島根県中小企業家同友会

島根県中小企業家同友会 企業変革支援プログラム学習会~自己診断により変革に向けた気づきを~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2011年7月2日、島根県中小企業家同友会では、「企業変革支援プログラム」の学習会を開催しました。

企業変革支援プログラムは、経営環境がますます厳しくなる中、自社と経営者の変革に向けた“気づき”を得るためのツールとして、中小企業家同友会全国協議会が取りまとめをされたものです。今回、島根同友会の役員でそのプログラム(冊子として提供)を実際に活用してみようという試みが企画され、私も参加してきましたので、以下にまとめておきます。

学習会の様子(皆でパソコンに向かって自己診断)

1.企業変革支援プログラムとは~自己診断を通じて“気づき”を得る~

企業変革支援プログラムとは、「同友会が長年培ってきた企業づくりにかかわる見解に基づいた、経営指針づくりや社員教育、共同求人などのさまざまな活動や会員の経営実践などの教育をまとめたものです。セルフアセスメント(自己診断)という形式で、自社の経営課題を自ら明らかにすることを大事にしています。」と説明されています。一言で言えば、「自己診断による“気づき”の獲得」ということだと理解しています。

この自己診断ですが、全体が5つのカテゴリー(1.経営者の責任 2.経営理念を実践する過程 3.人を活かす経営の実践 4.市場・顧客及び自社の理解と対応 5.付加価値を高める)分かれており、同友会が目指す中小企業経営に必要な方向性が示されているとも言えます。

そして具体的な作業は、経営に関する22の項目(上記5カテゴリーを細分化)に関する質問に経営者が回答(セルフアセスメント)するだけというものです。各項目における企業の成熟度を0~5までの6段階で自己評価し、その結果がレーダーチャートによって表示されます。このチャートが最も外側に広がった状態が目指すべき姿であり、引っ込んだところが自社の課題なり弱い部分ということになります。

なお、この質問・回答はインターネット上で行うことにより、WEB上での診断結果表示や、全国の同友会会員データとの比較も行えるという仕組みになっています。

自己診断による当社のレーダーチャート

2.今回の診断で得られた気づき

今回、企業変革支援プログラムを実施して、大きく次の3つの項目が当社の弱い部分であるということが明らかになりました。いずれも当社に足りない部分だという認識はありましたが、グラフで明確に示されるとよく分かりますし、改めて気づかせてもらえます。

(1)共に学び、共に育ちあう社風づくり

端的に言えば「社員教育」のことなのですが、一方的な教育ではなく、共に育ち合う、共に学び合う社風づくりが必要とされています。これに対し、当社の社員教育では体系的なものはなく、OJT重視、個人の自主性に委ねられている状況です。もちろん、技術的な研修は適宜受講する機会がありますし、資格取得の勉強を通じて知識を取得するということもありあす。しかし、「共に育ち合う、共に学び合う社風」が出来ているかと問われれば、そうなってはいません。当社は技術的なサービスを提供する会社ですから、そのための技術を習得していくことは当然必要です。しかし、それだけでなく、仕事を通じ、一人の社会人として、一人の人間としての成長を得られるような、お互いに切磋琢磨していけるような、そういった社風、風土を目指して行かなければならないと感じたところです。

(2)苦情対応・顧客要望及び顧客満足の把握

企業経営において、苦情や要望に対して積極的に対応することが重要であることは間違いありませんし、顧客満足の重要性も言うまでもありません。当社は、さいわい苦情・クレームの類は同業他社との比較では少ない方らしく、苦情対応に追われるということはありません。しかし、年に数回はお叱りを受けることもあります。その際、対応が即時性を有し、また、お客様の利益優先でなされているかどうかと言えば、疑問な点もあり、その都度対応という面は否めません。また、そのクレームなどのお叱りを真摯に受け止め、共有化し、全員で次の仕事に活かしていくという努力が不足していることを実感します。

顧客満足にしても、お客様の方から個別にお礼を伺ったりすることはあっても、こちらからお客様の満足度を把握するための体制などは無く、当社のサービスに対する顧客満足度がどの程度のレベルにあるのか、把握する手立ては持っていません。公共事業の元請け業務や工事については、県などが公表する“評点”と言う形で成果に対する評価を見ることができますが、民間企業様や個人のお客様についての把握は場当たり的なのが実態です。この状況を一つずつ見直し、当社なりのやり方で共有化し、新たなサービスの創出や改善につなげていくことが必要だと感じましたところです。

(3)付加価値を高める努力

企業が提供する製品やサービスが持つ付加価値に対し、お客様は対価を支払って下さいます。当社であれば、温泉・水源開発、地質調査、地すべり対策など、技術サービスのコアとなる技術そのものに付加価値があると考えています。しかし、その価値をより高めていくための取組み、努力をどのようにしているかという点については、社員教育の場合と同様ですが、組織的・体系的でなく、個人の自主性に大きく依存しているのが実態と改めて感じました。

会社として、組織として、既存技術の深化、新しい技術の習得、新しい技術領域・技術分野への進出など、他社が従来から力を入れている部分において大いに劣っているのではないかと、この部分については危機感を感じるところです。これを、組織的・体系的に運用し、検証し、見直すような仕組みに変えていくことが必要だと感じています。

企業変革支援プログラム(冊子)

3.活用に向けて~実践につなげることが大事~

当たり前のことですが、こうしたツールを使って診断を行っただけでは何も変わりません。今回の気づきを踏まえて、どのように実践するのか、どのように社内に落とし込んでいくのかが重要です。一方、今まで出来ていない部分ですから、いきなり劇的に変えるのも難しい面があろうし、無理に進めれば従業員に浸透せず、絵に描いた餅になる可能性もあります。“やったこと”にしてしまっては意味がありません。

このため、今回の診断で得られた上記3つの項目の気付きについて、何か一つずつでも新しい取り組みや仕組みの改善を行い、半年後、あるいは1年後の診断で変化・進歩が目に見えるような状態に持っていくことが大事だろうと考えています。

最後に、当日は島根同友会の理事・役員や事務局の方々総勢18名が参加し、全員で一斉に質問に回答・入力して自己分析を行うとともに、各人の診断結果に基づいたグループ討論が行われました。まずは理事・役員等から積極的に実践し、他の会員へも周知していこうという姿勢は同友会ならではだと感じます。そういった模範的姿勢を社内に対しても見せられるよう、さらに努力していく必要があると考えています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*