島根県中小企業家同友会

島根同友会(出雲)8月例会 しまねLOVEで挑戦し続ける~スサノオマジックを率いる経営者の情熱~

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2011年8月1日、島根県中小企業家同友会出雲支部の8月例会が開催されました。

この日は、株式会社山陰スポーツネットワークの赤池大介社長をお招きし、お話を伺いました。同社は、プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)スサノオマジックの運営母体となっている会社です。赤池社長は米国で企業されスポーツ関連のビジネスを手掛けられた後、日本に戻っていくつもの地域プロスポーツチームの再生を手掛けて成功させ、楽天イーグルスの立ち上げにも携わられたという異色の経歴の持ち主です。この方が、現在は島根に住んでスサノオマジックを率いていらっしゃいます。

今回、「プロスポーツ」というビジネスがどうったものかを垣間見るとともに、チャレンジし続けてきた赤池社長の“生き様”の凄さ、その情熱や信じる心の大切さを感じさせてもらいました。その内容を一部整理しておきます。

講演する赤池社長

1.球団の一番の資産はファン~ブースタークラブによる地域密着型経営~

今回の講演では、ビジネスとしてみたプロスポーツの仕組みについて色々と教えて頂きました。欧米のプロスポーツの収入を財務的にみると、1)チケット(入場料)収入、2)スポンサー(広告料)収入、3)放映権料収入、4)グッズ収入、の4本柱で構成されており、特に、米国のメジャースポーツは全世界に販売される放映権料のウェイトが非常に高いということです。この話は聞いたことがあります。一方、日本では放映権料収入がほとんど無く(野球は多少あるようですが)、チケット収入かスポンサー収入しかない。この2つも、天候に左右されたり、企業の業績に左右されたりと、安定的な収入として期待出来るかと言えば必ずしもそうではないという話です。

そのような状況で、人口規模が小さな地域でもプロスポーツを成立させる仕組みとして導入されているのが「ブースタークラブ」です。特定の選手を応援するために入ることが多いファンクラブとは異なり、チームそのものを、或いはそのチームが立地するその地域を応援しようという方々の集まりというイメージでしょうか。企業に頼らず、市民に支えてもらう仕組みとして多くの地域密着型スポーツで導入されているようです。球団そのもののファン、応援団、球団経営のプラットフォームとでもいうものでしょうか。経営的にみれば、ベースとなる売上を確保してくれる存在であり、最も大事にしなければならない顧客ということになります。これは一般企業に例えても、自分の企業・商品・サービスを応援してくれるベースとなるお客様(ファン)を確保するということだとみれば、スサノオマジックで実施されているブースターの集め方やサービスの内容・やり方には、参考にすべきものがあると思います。

2.挑戦する心~挑戦する者へのリスペクト~

赤池社長のこれまでの経歴を伺うと、まさに、挑戦し続ける人生を歩み続けていらっしゃるということがよくわかります。これまでの経験を包み隠さず話して頂きました。ボクシングで世界チャンピオンを目指し、挫折されたこと。その後、単身米国に渡って大学に進み、24歳で起業されたこと、その後米国のスポーツ関連用品の並行輸入などで大きな利益を上げられたこと、その後、米国のスポーツ球団での勤務等を経て、日本に戻られ、現在のスサノオマジックのような、地域スポーツの再生とでもいうべき事業に携わられています。

はっきりとはおっしゃいませんでしたが、若いころの事業もかなり成功されたようで、現在でも結構な資産家でいらっしゃるのではないかと思います。しかし、そこで安定した暮らしを選ぶのではなく、敢えて困難な仕事にばかり取り組まれているようにも見えます。それは赤池さんの持って生まれた闘争心のようなものかもしれません。いずれにしても、常い新しいことに挑戦し続ける姿勢、気持ちには感銘を受けます。そして、赤池さんから感じる「成功するんだ」という確信・自信は聞く者を圧倒し、そのパワーがスサノオマジックのブースタークラブが達成した圧倒的な人数に反映しているのだろうと確認します。

講演の途中、「米国には人種差別など様々な障害があるが、その一方で、チャンスを公平に与える国であり、『挑戦する者へのリスペクト』がある。」という言葉がありました。長年米国で生活されて感じたその姿勢が、現在の姿の根底にあるのではないかと感じました。挑戦する気持ち、持ち続けなければと思いつつ、日々の仕事や低迷する外部環境のせいにして失いがちです。しかし、今一度気持ちを強く持とうと思わせて頂ける、素晴らしい講演でした。

3.しまねLOVE~島根をもっと知ってもらいたい~

赤池社長は当然ながら島根県出身の方ではありません。現在の仕事に携わられるまでは、島根に来られたことも無かったそうです。

しかし、現在は島根県に住まわれてスサノオマジックの成功に向けて東奔西走され、あらゆるところで島根をアピールされています。講演の中で何回も「島根をよく知ってもらいたい」とおっしゃいました。それは、単に仕事だから、役目だからという次元でなく、島根を愛し、島根を良くしよう、良くなると信じて活動されているのだろうと感じます。まさに“しまねLOVE”。その強い気持ちは、島根に生まれ、育った者が負けていてはならないと感じさせてもらえます。

そしてその先には、この島根でプロスポーツが定着すれば、それが日本のあるべきスポーツ文化として定着させることが出来るのではないかという、赤池さんの夢があるのだと思います。そして、スポーツの素晴らしさを通じて島根の人達が島根に誇りを持つ。もっと言えば、そういった新しい世界、価値観、文化、といったものを創造しようとされているのかもしれません。赤池社長は現在40歳。同い年の私としては一番に刺激を受けなければなりません。ぼやぼやしている場合ではないという気にさせてもらえました。

昨シーズンのスサノオマジックは、初参戦でプレーオフ進出など、輝かしい成果を収めた訳ですが、今シーズンはさらに「勝チームをいかにつくるか」をテーマに取り組みをスタートされており、赤池さんとして優勝を狙われているそうです。さらに8000人超(これでも相当多いそうです)だったブースタークラブを30,000人にまで拡大しようという目標で頑張っていらっしゃいます。赤池社長の話を伺っていると、高いハードルだけど実現できそうな、そんな気持ちにさせてもらえます。今回の話を聞いて、同友会の会員の方もたくさんブースタークラブに入会されたようです。私も昨シーズン入会してはいましたが、試合観戦は1回のみでした。今年はもう少し多く足を運び、ブースターのみなさんと一緒に楽しんでみたいと思います。

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コメント

  1. 渋 瀬 清 治 より:

    山口同友会の渋瀬です。 赤池社長の話、私も聴いてみたかったし、どんなつながりで島根に来られたのか、そして、島根の魅力をどう見ているのか!?を、聴いてみたかった。

  2. 渋 瀬 清 治 より:

    山口同友会の渋瀬です。 赤池社長の話、私も聴いてみたかったし、どんなつながりで島根に来られたのか、そして、島根の魅力をどう見ているのか!?を、聴いてみたかった。

  3. 石倉 昭和 より:

    渋瀬様、コメントありがとうございます。赤池社長が島根にいらっしゃったきっかけは、チーム設立の立ち上げの段階から中心的役割を担われた藤井三千勇さん((株)藤井基礎設計事務所代表取締役社長)が、直接東京に出向かれて就任を依頼されたことだと聞きました。また、島根の魅力については、古きよき日本の雰囲気を残している地域だというコメントが記憶に残っています。

  4. 石倉 昭和 より:

    渋瀬様、コメントありがとうございます。赤池社長が島根にいらっしゃったきっかけは、チーム設立の立ち上げの段階から中心的役割を担われた藤井三千勇さん((株)藤井基礎設計事務所代表取締役社長)が、直接東京に出向かれて就任を依頼されたことだと聞きました。また、島根の魅力については、古きよき日本の雰囲気を残している地域だというコメントが記憶に残っています。

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