新規事業・経営改善

経営改善に向けて 「経営改善アドバイザー派遣事業」で原価管理を改善

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松江商工会議所が窓口となっている島根県の補助事業「経営改善アドバイザー派遣事業」を活用しました。

これは、経営内容が悪化している中小企業等や経営革新・新分野進出を検討している建設業で、財務管理、生産管理、マーケティングなどの経営の改善や新分野進出等に関する専門的アドバイスを必要としている企業を対象に、3回まで無料で専門家の派遣を受けられるというものです。

建設業及び建設関連産業(地質調査業、測量設計業など)を営む当社は、公共事業を中心とした市場環境の変化・縮小が進む中で、様々な問題を抱えています。

特に、かつてのように潤沢に仕事が無い中で、原価をいかに管理するのかは、少ない仕事の中で利益を確保し、会社を存続させていくために非常に重要な要素です。しかし、当社の原価管理の仕組みはまだまだ不十分と考えており、私も口では「原価・原価」と言いながら、会社全体として具体的にどう改善していけばいいのか、試行錯誤をしているところでした。そういったこともあり、今回の派遣事業では、「原価管理」に絞ってアドバイスを受けました。

支援して頂くアドバイザーは、2010年1月に開催された建設産業の新分野進出セミナーを聴講した際に、講師をされた先生(建設分野に詳しい方だったので)をアドバイザーとして指名させて頂き、支援して頂きました。

アドバイスを受けて原価管理の見直しを検討したのですが、助言を受けた大きな視点として次のようなことがありました。

1.工程計画の棚卸し

「人は何かするとき、無意識のうちに余裕をみておく(サバを読む)ものだ」という考え方があるそうです。工程計画を策定する際に、この“サバ読み”を無くす、いわゆる工程上の棚卸をしながら計画を策定することが重要だということです。その上で、その仕事で利益が出せるのか出せないのか、出せるのなら更に増やせないのか、出せないのなら赤字額を少しでも圧縮できないのかに知恵を絞ることが必要だということでした。

そしてその工程計画の策定にあたっては、担当者が一人で作らず、小さな会社であれば社長以下で集まって議論しながら作り上げることで、仕事に対する共通認識、工期短縮のアイデア等が出てくるという話でした。当社は小さな会社ですが、それでも計画策定は個人に依存してしまっています。計画策定にあたって協議する仕組み(もちろん相談はしますが)は特に導入していませんでした。

2.“人・時”で積み上げる

受託した仕事についてはそれぞれ実行予算を立て、仕事に取り掛かります。この実行予算作成に当たり、“人・時”で計画を策定すべきという助言を受けました。通常我々の業界では、“人・日”で作成することが多いのですが、あえて「時間」で作成することが大事だそうです。

1日単位の積み上げだと、細かくしてもせいぜい、0.5日ぐらいまでですが、1時間単位で計画することで、残業時間も含めて実際にどのくらい時間がかかりそうなのかを考えるようになり、職員一人一人がどのくらいの単価で働いているのか、そしてその結果会社に利益が残るのかを、計画策定段階で把握させることがねらいだということです。さらに進捗にあわせて計画と実際の差異を確認することで、さいしょはザックリと作っていた計画も、徐々に担当者一人一人の時間管理に対する認識が高まり、精度が上がっていくという話でした。

以上のような指摘や取り組みは、同業他社では既に当たり前の取り組みなのかもしれませんが、社内だけで検討していたのでは気が付かないものでした。今回の助言を受け、2010年度より、原価管理の改善策として、実行予算書の策定手順の見直し、予算計画書の様式及び評価指標の変更などを実施することにしました。

このことにより、少ない仕事の中でも利益を確保し、経営体質を強めていくとともに、工程管理方法の見直しにより、より早く、スピード感を持って仕事を進め、お客様によりよい成果をご提供できるようにしていきたいと考えています。

今回の事業ですが、専門家の派遣は最大3回までであり、実際に助言してもらえる内容・時間は限られています。経営改善なり、新分野進出なり、具体的に何をしたいのかを明確にした上でこの制度を上手に使うことでより効果が発揮されると感じました。その一方、様々な企業の実情を知っている経営コンサルタントの方と率直に意見交換できるという機会もまた貴重で、この島根の地に居るだけでは分からない情報を知る機会にもなりました。

2010年度もこの制度は継続されるそうで、異なるテーマでぜひ活用してみたいと考えています。

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