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豪雨災害復旧に見る支援のつながりとリーダーシップ~有福温泉災害復旧ボランティア~

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2013年8月23日から25日にかけて、またしても島根県西部を大雨が襲い、大きな被害が発生しました。先月の大雨災害の復旧もままならぬうちの新たな災害。被災された地域のみなさまに改めてお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧を重ねてお祈り申し上げます。この災害によって、当社が日頃から泉源管理等でお世話になっている江津市の有福温泉に大きな被害が出ました。被害発生の翌々日、温泉源の配管の仮復旧作業(4名)と、片づけ等の災害ボランティア(4名)で現地対応に出かけてきました。わずか一日のことですが、災害ボランティア班として、地域の方々、また各地から駆けつけたボランティアのみなさんと作業を行いました。その中で、こういった緊急時における地域のありよう、人と人とのつながり、といったことに大きな気づきを得る機会ともなりました。そのことについて少しまとめてみます。

浸水した家屋からの荷物の運び出し

1.明るく前向きに復旧に向けて活動する街の方々の力強さ

現地に到着し、日頃お世話になっている方々にご挨拶した後、災害ボランティアの活動に入りました。早速感じたのは、街の方々がとても元気だということです。死者・行方不明者等の人的被害が出ていないということもあるかもしれません。しかし、温泉街の街中のほとんどの家屋が床上浸水している状況ですので、大きなショックを受けられているのは間違いありません。それでも、とても元気に協力し合って片づけに取り組まれる姿は、悲壮感漂う姿を想像して駆けつけた身としては、少し救われた気持ちになりました。

それどころか、昼休憩時には、お茶や炊き出しのおにぎりなどをたくさん振舞って頂きました。ボランティアに行く者は、飲み物や食事、用具等、自分で準備していくことが基本です。ですので、我々を含めこの日ボランティアに来られた方々は自分達のものは準備しています。それでも、ボランティアで支援に来た我々を必要以上に気づかって下さる。自分達が一番大変なのに、その姿には感謝の言葉しかありません。少しでも復旧が進むよう、全力でこの作業に取り組もうという気持を新たにさせて頂きました。そして、作業が終わった後の「助かりました。」というお礼の言葉。本当に心に響きます。一日も早い復旧を願っています。

大変な時こそ元気を出す。災害は不幸なことであり、当事者でない我々はお見舞い申し上げるしかありません。いずれにしても起こってしまったことは元には戻らない。それならば、いち早く復旧させ、元の暮らしを取り戻す。くよくよしても仕方が無い。有福の街の方々の元気は、そういう強い気持ちの表れではないかとも感じます。これは何も災害対応に限りません。経営者であれば、事業経営が上手くいかないとき、ついつい気持ちが落ち込みがちです。しかし、そういう時こそ元気を出す。前を向いて一つ一つやるべきき事を進めていく。そういう基本的な姿勢を思い起こさせて頂いたように感じています。

温泉源からの配管仮復旧班による作業

2.駆けつけるボランティアの力・つながりの力

今回、当社メンバーは4名の泉源配管復旧班と、4名のボランティア班に分かれて現地入りしました。ボランティア班は、温泉街の建物からの荷物搬出(ほとんど全ての家屋が床上浸水)、廃棄物処理トラックへの積み込み、泥出し、飲食店の食器・テーブルなどの洗浄などのお手伝いを実施しました。当日は、県内各地からボランティアの方々が現地入りし、一緒になって作業を手伝っていました。

災害発生後、わずかな間でたくさんのボランティアの方々が集まるということが素晴らしいことだと、現地で改めて感じます。現代の人と人とのつながり、助け合いの気持ちも捨てたものではありません。様々な情報伝達手段が発達した現在では、テレビのニュース等に加えて、インターネット等で現地の状況を把握することが出来ます。そして、SNSなどの個人的なつながりを密にするツールを通じ、“あの人が困っているから助けに行かねば”という思いを持って参集する方々もいらっしゃいます。そういった新しいつながりが支援の輪を広げているように実感します。

我々は、たまたま同じ日に現地入りした松江商工会議所青年部のボランティアメンバー5名と合流し、一緒に泥出し作業等に従事しました。商工団体、特に若手経営者のつながりも強いものがあります。先月の津和野の災害でも、多くのメンバーがボランティアで現地へ駆けつけていたようです。日頃から、地域は違えど経営者の一人としてお互いに切磋琢磨する仲間だからこそ、危機に際して駆けつける。後述の、江津商工会議所青年部の会長を務める有福温泉の旅館経営者の方がいます。その方が困っているなら、何が何でも助けに行かねばならない。そう感じて行動に移す県内の若き経営者がたくさんいる。そのことに大いに感銘を受けるとともに、果たして自分自身がそういう存在になっているのか、改めて考えさせられる機会を頂いたと感謝しています。

当社ボランティア班と松江YEGボランティアメンバー

3.緊急時に力を発揮してこそ真のリーダー~復旧後の新しいまちづくりへ~

今回、街(温泉街)の中心部に仮設置された自治会の災害対策本部で陣頭指揮を取っていらっしゃった自治会長さんがいらっしゃいます。日頃から懇意にさせて頂いている方で、まちづくりにかける強い情熱と行動力を持たれている、とても尊敬すべき方です。その方の奮闘ぶりに改めて感銘を受けました。緊急時に力を発揮してこそ真のリーダーではないかという思いを新たにしました。

ご自分の自宅も被災されているにもかかわらず、連日、本部に詰めて陣頭指揮をとる。行政との折衝、マスコミへの取材対応、街の人からの要望の処理、災害対応にあたる地元の方々・消防団・ボランティアへの指示、など、仕事は多岐にわたりますが、それら一つ一つを丁寧に、かつ素早く決断して対処していく。自分が本部を離れる時には必ず代理の者に指示を出しておく。そして、最後には町内の飲食店から相談を受け、水道復旧作業(配管工事)を自らの手で施工されていました。まさに獅子奮迅の活躍。こういったリーダーが地域に居ることの心強さを感じずにはいられませんでした。

そして、もう一人若手のリーダーが、前述の江津市の商工会議所青年部の会長も務める、旅館経営者の方です。自らの旅館も大きな被害を受けながら、自分は街の復旧に向けた各種段取りに奔走されていました。こういった方が居るから、なんとか地域が持ちこたえている。そう感じずにはいられません。

このような各世代のリーダーが一丸となって街の復旧に取り組む。復旧の後は、新しい街づくりにつなげていく。そう期待させてもらえる姿を垣間見た気がしています。繰り返しになりますが、災害は無いに越したことはありません。しかし、既に起こってしまった災害を元に戻すことはできません。災害発生直後は、“災害復旧”という共通の目的に向って一丸となれる。それが一段落した後も、“街の復興、新しいまちちづくり”という共通の目的に向って取り組んでいく。そういういい流れが出来れば、「災害は起こったけども、いいこともあった」と振り返ることが出来る日が来るのではないかと感じます。我々も、引き続き有福温泉もまちづくりのための全力で支援していきたいと考えています。

消防ポンプによる放水で泥を流す

今回、もう一つ印象に残ったのは、地域の「消防団」の活躍です。消防団が所有している放水ポンプが家屋に流れ込んだ泥の排出や、道路に溜まっている泥を流すのにとても大きな役割を果たしました。ポンプを稼働させるとき、たまたま消防ポンプを動かした経験のある人が不在で、地元の消防団員でもある当社専務がポンプを動かし、放水作業をスムーズに進めることが出来ました。消防団で使っている道具は県内各地で全て共通。ポンプの仕様も同じ。ですので、自らの地域で訓練していれば、誰がどこに行っても同じように道具を使って作業することができます。知っている人にとっては当たり前のことかもしれませんが、そのことの持つ意味を現地での実体験で感じる機会となりました。地域に若い人が少なくなり、消防団員の成り手が無いというのも実情です。日常の訓練も面倒くさく思うのも当然です。私もそう思う時があります。しかし、いざという時、これらのことがどれだけの役に立つのか。どれだけ人を助けるのか。それを知り得たことも大きな収穫でした。私も地元消防団員の一員です。これまで以上に訓練に取り組み、いざという時に備えたいと実感しています。

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