温泉めぐり

社長の温泉めぐり50 岩戸屋温泉(神楽門前湯治村) 広島県安芸高田市美土里町

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

おかげさまで温泉めぐりも50箇所目となりました。今回は、広島県安芸高田市の「岩戸屋温泉」です。この温泉は、同市の観光施設である「神楽門前湯治村」内にあります。この施設は、神楽観劇、温泉、お食事、宿泊などができ、昔ながら湯治場の趣を残した街並みを楽しむことができるのが特徴です。訪問日は、2012年11月25日です。

施設外観(神楽温泉湯治村内)

岩戸屋温泉は、神楽温泉湯治村の中心施設の一つで、ボリューム感ある外観で存在感を示し、屋根の上に突き出た煙突が“湯治場”の雰囲気を醸し出しています。そして、温泉施設としての特徴は、浴場が1Fと2Fに分かれていることです。中々珍しいと思います。さらに露天風呂もあるという、贅沢な造りです。

1Fは大浴槽と洗い場のみというシンプルな構成。大浴槽の天井部分は2Fの吹き抜けとなっており、外に向かって大きなガラス張りで、明るく広々とした印象です。「掛け湯」と銘打ったがシャワーが入口に設置してあるのも珍しいと思います。2Fは階段を使って上がります。寝湯、サウナ、源泉水風呂、薬湯ジャグジー、といった設備があります。かなり広々としていて、スペースが余っているような印象です。珍しいのは、テレビ(しかも防水された箱のようなものに入っている)設置されており、椅子に腰かけてTV観賞ができるようになっていました。薬湯ジャグジーは、湯船がプラスチック製だったのと、微妙に湯船が小さくて知らない者どおしで一緒に入るのは少しためらってしまうような距離感なのが惜しいところでした。

露天風呂は岩風呂風の造りで、一部に屋根がかかっており、風情があります。奥に打たせ湯があるのですが、湯船との位置関係があまりよろしくなく、利用者のしぶきがかなり飛んできました。また、一つの演出でしょうが、1F浴室出口から露天ぶろまでのアプローチが結構長く、寒い時期はちょっと冷え過ぎる感もあります。

泉質は、「単純弱放射能冷鉱泉」で、源泉温度は17.4℃と低くなっています。「天然ラドン温泉」と銘打ってあり、弱放射能泉というのが売りの一つになっていますが、この温泉は循環式を採用しており、放射能泉として期待できる適応症は限定的だと思います。成分濃度自体は濃くないので、入りやすいやさしい湯と言えます。成分的には炭酸水素イオンの含有量がやや多く、入浴時の肌感がさっぱりしているのが特徴ではないでしょうか。

洗い場は1Fにのみあり、合計9箇所。3箇所と6箇所に分かれていて、6箇所分は仕切りのついた広めのタイプ。さらにそのうち1つは、椅子を使って洗えるように高い位置にカランが配置されていました。リンスインシャンプーとボディソープが備えてあります。脱衣場は、かなり広めにとってあります。ロッカーは、上着等を掛けれる縦長のタイプが50、オーソドックスな正方形のタイプが40弱という配置。ロッカーの鍵は下駄箱の鍵と交換でフロント受け取るのですが、上着を着た利用者には縦長のタイプの鍵を渡すような配慮がなされているようでした。ただ残念なことに、この縦長ロッカーは下から15cmぐらいのところに網棚があり、これは小物などをその網棚の下におけるようにする工夫なのですが、それがあるために肝心の上着などを掛けるスペースが狭まっています。上着の下がつっかえるようになっており、ちょっと残念な気がします。また、ロッカーが90近くあるのに対して、洗面は2か所。洗面台の無い部分もあり、実質3人が座れるぐらいのスペース。ドライヤーは3コ備えてありました。このあたりはちょっとアンバランス感があります。

フロントの様子

この温泉、お湯には若干色が付いたように見えるのですが、2Fの源泉水風呂の解説によると、平成13年の安芸灘地震以来、お湯に色がつくようになったと記されています。温泉は地下の恵みです。地震によってその湧出機構に影響が出てくることは想定されます。長いスパンで温泉を利用していれば、今回のように地下の変動によって温泉の成分が変わってくる、という体験をする機会もあるかもしれません。

利用料は大人700円。中々立派な施設ではありますが、少し高めの印象はあります。しかし、神楽門前湯治村への観光や神楽観劇などとセットで、また、宿泊とセットで利用するという考え方ならば、さらに価値が出てくるのではないでしょうか。

観光客で賑わう神楽温泉湯治村

今回訪れたのは、3連休の最終日。観光バスが立ち寄る観光地となっており、神楽門前湯治村自体もかなり賑わっていました。温泉にもひっきりなしに利用者が訪れ、活況でした。神楽が好きな方にとってはとても興味深い施設でしょうし、中国縦貫自動車道高田I.C.から車で10分ほどの距離という好立地でもあります。ちょっとした立ち寄り観光地で温泉付、幅広い年代で楽しめる施設だと思います。

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