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しまね起業家スクールビジネスプラン発表会 ~「起業」を切り口に、人が前向きに変わる場所~

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2011年9月4日(土)、しまね起業家スクールビジネスプラン発表会に参加しました。しまね起業家スクールは、島根県と特定非営利活動法人Gasshoが実行委員会を形成するかたちで運営されているもので、今期で11期目、累計500名以上の受講者、島根県内を中心に50名の起業家を輩出するという、歴史あるスクールのようです。

スクールは、4カ月間にわたり毎週開催される長丁場で、毎回行われるグループワークによるプランのブラッシュアップや、長期間のスクールで培われた新しいネットワークづくりが特徴で、その集大成が「ビジネスプラン発表会」ということになるようです。この発表会には、受講生はもちろん、一般の聴講者も参加可能で、私も島根県中小企業家同友会の方から案内を受けて、参加してみることにしました。

参加してみた感想は、「起業家スクール」「ビジネスプラン発表会」という言葉のイメージから想像されるものとはずいぶん様相が異なる、もっと違ったものなのだなということです。それを整理してみます。

1.「起業家」ではないし、これが「ビジネスプラン」なのか?

発表会では6名の受講生の方が自分のビジネスプランについてプレゼンテーションを行いました。それぞれに趣向を凝らした構成、熱のこもった発表、その想いは見ている者に訴えかけるものがありました。しかし、当初、その内容には、どうも違和感を覚えました。

まず、私は、発表者の方は今後、或いは既に独立される「起業家」の方だと思いこんでいましたが、いわゆる起業家と分類してよさそうな方は6名中3名。後は、自ら事業を営んでいる方が自らの事業の改善や自分自身を見つめ直す、というスタンスです。「第二創業」だと捉えればそれも有りでしょうが、割と細かい話が多く、私の理解としてはそういう話でもなさそうです。もっと気になったのは、これが「ビジネスプラン」なのか、という点です。プレゼンの内容は自分の想い・やりたいことの説明に大半が割かれ、悪く言えば「想いをぶちまけただけ」という印象。その熱意は素晴らしいのですが、ビジネスなのに、自分のプランはどうやって商売が成立するのかという、お金の話について説明がない(資料として収支計画は添付されていましたが説明はなし)プレゼンが多く、どうもバランスを欠いた印象を受けます。

冒頭、司会者の方から、今回の発表者はプランが優れているから選ばれた訳ではなく、その方達を発表者として応援することがこのスクール受講生全員のためになると考えて選ばせてもらった、という趣旨の説明を聞いてはいました。しかし、それでも、内容とすればみんなの興味を引くような新しいビジネスのアイデアを聞かせてもらえるのかと思っていたので、なんだか消化不良でした。これらのことは、おそらく、運営側も分かってやっていることだと思いますので、「起業家」「ビジネスプラン」という言葉に捉われず、なんとかこの会の本質を捉えたいと考えこのブログをまとめています。

発表会場の様子

2.みんなでつくるプレゼンが生み出す感謝の気持ちと仲間の絆

今回の起業家スクールの定員は50名。これに対して発表者は6名。では後の受講生はどうするのかと言えば、それぞれが6名の発表者のプレゼンを支援するグループに分かれて、その準備を手伝うという仕組みになっているようです。通常のこういったスクールものの発表は受講生それぞれが準備するものでしょうから、特徴の一つだと思います。

事実、発表者のプレゼンは、発表者の個性を活かし、それぞれ趣向を凝らしたものばかりでした。絵心のある方が似顔絵やイラストを描いたり、(おそらくは受講生の方が出演した)ビデオを制作して途中に挿入したり、そもそも、パソコンがあまり得意でない方に対しては、得意な方が手伝ったり、という協力のもとでそれぞれのプレゼンができあがっているのだろうなというのがありありと伝わりました。最初、「起業」が目的なんだから、プレゼンがゴールではないのに、あまりにプレゼンに凝り過ぎている印象を受けました。プレゼンで燃え尽きやしないかと心配になりましたが、実はこれにも大事な意味があるのだろうと感じています。

それは、「仕事は一人だけでするものではないということ」。個人事業主であっても、それを周りで支えてくれる様々な人が居て事業が成り立ちます。人を雇用して会社を運営していれば言うまでもありません。その方々に感謝しながら事業を営む。そういった疑似体験をする場として、このプレゼンがあるのではないかと理解しています。そして、プレゼンを協力したつくった仲間、このスクールの仲間は、今後それぞれの受講者の方が携わる事業において、お互いによき協力者になっていく。そのための仕掛けの一つでもあるのでしょう。

発表する渡部さん

3.ゴールは、人が前向きに変わっていくこと

しばらくの間、「一体このスクール、発表会とは何なのだろう?」と思って聴講していましたが、ある発表者の方のプレゼンに一つの答えがありました。

婚活&恋活 Alfine(アルフィーネ)を運営されている渡部忍さんという方の発表です。渡部さんは、島根県松江市を中心に合コンパーティー・イベント、お見合い・合コンセッティングをプロデュースするWedding-Cafe(結婚相談所)の事業を立ち上げられた方で、まさに起業家の方です。自らも、大手結婚相談所で働かれた経験をお持ちですが、さらにきめの細かい支援が出来ないかと考え、独立をされたとのこと。そのプレゼンの中で、自らの経験として、結婚に中々前向きになれなかったお客さまが、だんだんと変わり、そして最後は成婚までこぎつけたというお話をされました。その経験を通じて、「ゴールは結婚ではなくて、人が前向きに変わっていくこと」だと気づき、そのための手伝い、支援をする事業を立ち上げたというお話をされました。

ゴールは、「人が前向きに変わっていくこと」。その言葉を聞いた時、これが、このスクール、そして発表会を一言で表しているのではないかと感じました。自分が変わらなければ、周りも変わりません。4カ月という期間が、そのための出会い、気づき、学びの場となる。起業家スクールは、起業を目指すという切り口で、仕事を通じて自分自身が変わっていく場を提供していくことを最重要視しているのではないだろうかというのが、私なりの結論です。

発表者のみなさんの最後の挨拶

最後に発表者6名が壇上に並んで挨拶がありました。みなさんに共通していたのは、「協力したくれた受講生へのお礼、感謝の気持ち」と「自分が変われた」という喜び。誰でもできることだけど、中々できないことです。これを“起業”を切り口に学び、自分のやりたいことを実現するためのスタートラインに立たせてくれるのが、この「しまね起業家スクール」なのではないかと、自分なりに整理したところです。関係者のみなさん、違ってたら教えて下さい。

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