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戦略MQ会計セミナー~売上の大小にかかわらず利益を確保するために~

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少し前ですが、2010年10月27日(水)、広島で開催された「戦略MQ会計セミナー」というセミナーに参加しました。以下、その時に得られた示唆と、当社における取り組みについて記します。

1.売上と利益には相関関係がない ~では経営上どうするのか~

経営者なら誰しも利益を出したいですし、儲けたいと考えています。(と思いますけど)

会社を経営し、利益を出していくためには売上が必要ですし、我々のような建設コンサルタント業、建設業(さく井工事)といった業種はいわゆる受注産業ですので、売上につながる調査や工事などの受注が必要です。だから、社長以下、営業マンや現場の担当者がなんとか受注を確保するために奔走しています。

しかし、売上が上がっても利益が出ないこともあります。たまたま大きな案件を受注できた年があったとします。しかし、100の仕事を受注しても、90が外にでる(外注費、材料費など)ものであれば、10の仕事を受注したのと変わりません。これでは、売上は大幅増となっても、利益が大幅増とはなりません。

このように、売上と利益には必ずしも相関関係はありません。そのこと自体は感覚的に分かることですが、経営者としては、だったら企業経営上どうすればいいのかを考える必要があります。今回のセミナーは、そのことに対し示唆を与えてくれました。

2.粗利総額が固定費を上回ればよい ~“率”よりも“額”が重要~

今回のセミナータイトルでもある「戦略MQ会計」では、利益は“固定費<粗利総額”の場合に生まれると考えます。

利益を出すためには、売上ではなく“粗利総額”に着目することが重要で、そうすることで、売上の大小に左右されず、その年、利益が出るのか出ないのかが判るようになります。

この場合の固定費とは、当社の場合、いわゆる“仕事に際して外に出るお金”(外注費、資材費、試験検査費、消耗品費等)以外の全ての経費を指し、具体的には、人件費(生産部門も管理部門も役員も全部)、販売管理費、間接原価、金利、などが該当します。

受注額から外に出るお金を差し引いた残りが粗利額で、それを積み上げていく。順調に受注が進んでいけば、ある時、粗利を積み上げた総額が固定費を上回る時が来ます。そうすると、それ以後の積み上げは全て利益で、また、その年は赤字にならないことになります。そのタイミングにいかに早くたどり着くかが大事で、“粗利総額>固定費”となれば一安心。非常に分かりやすい。

一般には、“売上-費用=利益”という公式が利益の計算方法ですが、この式では、最後の最後まで利益が出るのか出ないのか、いくら出るのか分かりません。最終的な売上を予想し、それに対する経費の“率”を想定し、利益を予想することしかできないからです。私も昨年度まではそうやって利益を“予想”していました。しかし、結局のところ、すべて予想・見込みに過ぎません。“率”で考えることの限界がそこにあります。企業経営には“率”が付きものです。私もそうですが、利益率、粗利率、原価率、など、“率”で経営判断をしてしまいがちです。しかし、“率”ではなく“額”で考えるということに頭を切り替えると、色々なことがすっきりしてきます。

3.売上ではなく「粗利総額」を収支目標の中心におく

このセミナーと前後し、当社では、今年度から収支目標の中心を「粗利総額(≒限界利益額)」としています。

売上の目標もありますが、重視するのは粗利総額です。この額が、1年間で最低限必要な固定的経費を上回ると、その年は赤字になることがありません。その目標に向けて、営業面では受注獲得に向けた戦略(粗利額の大きな仕事の獲得、数をこなして粗利額を積み上げる等)を立て、また、生産面では実行予算の作成に際していかに外部に流出する費用を抑制するかを考えるようにしています。

そして、このことを社内に周知し、徹底することを重要視しています。通常、職員は売上が上がれば利益が出て、ボーナスも増える、給料が上がる、と考えます。それは当然ですし、そういう時もあるでしょう。しかし、前述のとおり売上があがっても利益が出ない場合もある。そういう情報が無いまま1年が終われば、「売上が上がっているのにボーナスが少ない」「会社が利益を独り占めしている」などの不満につながりかねません。このため、当社では、今年度から、累積してきた粗利総額を毎月社内に周知し、目標達成度合いを共通認識として持ち、達成に向けた取り組みを図るようにしています。

利益は、「固定費<粗利総額」の場合に生まれる。

改めて書けば単純な話です。大企業は別でしょうが、中小企業はこういった単純で分かりやすい経営指標を採用し、役職員が皆で理解し、一緒に仕事に取り組める仕組みとすることが重要だと感じています。

なお、当然ながらセミナーの内容は上記のことだけではなく、もっと多様で、色々な示唆を得ることができました。興味のある方は「戦略MQ会計」検索してみてください。

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