新規事業・経営改善

新規事業に向けて 「しまね地域資源産業活性化基金助成金事業」に応募するも落選

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新規事業に取り組もうと応募した助成金事業に落選したという話です。

協和地建コンサルタントでは、当社の強みの一つである温泉開発の実績やノウハウを活かした新規事業を計画しています。その一つが、「しまねの温泉宅配事業」です。

この事業は、島根県内の低利用・未利用の温泉源を活用し、温泉水を一般家庭や福祉施設などに宅配するサービスを行うものです。一般家庭においては健康増進ニーズや手軽な温泉レクリエーションの提供、福祉施設等では施設サービスの付加価値向上などを期待し、事業化を計画していたものです。

中小企業がこういった新規事業を事業化するにあたっては、資金面が課題となります。お金持ちの会社もありますがが、平時から金融機関からの借り入れがあり、日々、資金繰りに苦慮しながら経営している会社にとっては、新規事業を始めるための初期投資は金額の大小によらず負担となります。

そこで、そういった中小企業を支援するために、公的な補助金や助成金制度が存在します。こういった公的支援策の活用に取り組んでみて、色々と思うところを記してみました。

1.「補助金」と「助成金」・・・役所的発想による仕分け

今回活用したのは、「しまね地域資源産業活性化基金助成金交付事業」という助成制度です。島根県内の中小企業などが県内の地域資源を活用して、新規事業に取り組む場合、その費用の一部を助成してもらえるというものです。

こういった公的支援には、「補助金」タイプと「助成金」タイプがあります。今回の事業は、名前のとおり「助成金」というタイプの支援事業(ソフト事業)です。

一般の人には何が違うのか分かりませんが、大まかに言えば、補助金事業は、事業で実際に使う設備など、その事業者の資産となるものを購入するための費用として使えるもの、助成金事業は、事業を具体化するまでの事前準備(試作品作成、マーケティング・市場調査など)について費用を見てもらえるものです。一般に、助成金事業ではモノを買ったり、助成金で作った試作品を販売して収益を上げてはいけないことになっています。それは、役所的発想では、事業の準備段階と実施段階とは明確に分かれるものだという認識があるからです。つまり、準備段階にかかる経費として支援する金なのだから、それで収益を上げたり、モノを買って自分の資産にしてはいけないということです。

本来、商売(事業)というのは、何かのニーズがあってそこに合った商品やサービスを提供し、顧客がそれに対して価値があると思えば対価を得ることができるものです。試しに作った商品でも、売ってくれという人がいれば売れるし、大量生産して売る気満々で発売しても、全く売れなければ、サンプル配布などをしなければならないときもあるでしょう。事前の準備段階と具体的の段階に明確な線引きが存在するとは限らないと思います(特に我々中小企業の商売においては)が、役所的発想としては、準備段階と事業実施段階は明確に分かれていないと色々と都合が悪いようです。

なので、窓口に申請の相談に行っても、事業の内容より、申請する経費が当該事業に該当するかどうかの話に熱心になる傾向があります。それが仕事だということは良くわかりますが、事業の内容やその支援策の有効な使い方についてもっと意見が欲しいなと思いますね。

2.応募が目的化してはいけない、落選しても得られるものもある

今回、かなりの手間と時間をかけて応募資料や、プレゼンテーションの資料を準備しましたが、残念ながら落選となりました。敗因はある程度分かっていますが、落選するのは悔しいものです。

しかし、それまでの作業が全損という訳ではありません。事業の内容や実現性、市場性などを理解してもらうために検討を重ねることで、漠然としていた事業の細部が固まってきたり、思わぬ課題を事前に発見できたりします。以前からお世話になっているしまね産業振興財団の方には応募に当たって色々と相談に乗って頂き、色々な新しいアイデアも頂きました。

そういった意味では、応募してみて良かったと思っています。ただ、応募し、特定されることが目的化してはいけません。特定されることを重視しすぎて、事業の本来の枠組を崩してしまっても意味が無いからです。そこは気を付ける必要があると感じました。

一つ苦情もあります。事務局側が“非特定となった理由を説明しない”ということです。紙きれ一枚で「非特定となりました」と通知するのみで、しかも、わざわざ「審査の内容に関する問合せには応じられません」とまで書いてあります。一々説明するのが面倒なのも分かりますし、テストではないので定量的に当落の線引きが明確になるものでもなく、説明がしにくいのも分かります。しかし、当社に限らず、各社時間をかけて準備して応募資料を提出しています。さらに、この事業はプレゼンテーションと質疑応答があります。各社わざわざ出かけてきた上で落選する訳ですから、応募者に対する配慮・気遣いがもう少しあっても罰はあたらないし、まじめに取り組んでいる企業にとって、何が悪かったのか、足りなかったのかを示すことも重要で、それもこういった支援策の役割の一つだろうと思うところです。

愚痴はこのぐらいにし、次の展開を考えなければなりません。悔しいので費用を全部自社の持ち出しでやってやろう(本来事業を興すというのはそういうものでしょうが)という気もしますが、やはり公的な資金手当ては魅力ですし、有ると無いでは全然違います。一旦具体化は保留にし、その他の制度の活用や、この制度への再チャレンジ(春と秋、年に2回応募ができる)などよく検討してみたいと考えています。

こういった支援策は貴重な税金を使ったありがたい制度です。相手(制度)を良く知り、上手く活用することが大事だと思います。

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