2012
11.27

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

おかげさまで温泉めぐりも50箇所目となりました。今回は、広島県安芸高田市の「岩戸屋温泉」です。この温泉は、同市の観光施設である「神楽門前湯治村」内にあります。この施設は、神楽観劇、温泉、お食事、宿泊などができ、昔ながら湯治場の趣を残した街並みを楽しむことができるのが特徴です。訪問日は、2012年11月25日です。

施設外観(神楽温泉湯治村内)

岩戸屋温泉は、神楽温泉湯治村の中心施設の一つで、ボリューム感ある外観で存在感を示し、屋根の上に突き出た煙突が“湯治場”の雰囲気を醸し出しています。そして、温泉施設としての特徴は、浴場が1Fと2Fに分かれていることです。中々珍しいと思います。さらに露天風呂もあるという、贅沢な造りです。

1Fは大浴槽と洗い場のみというシンプルな構成。大浴槽の天井部分は2Fの吹き抜けとなっており、外に向かって大きなガラス張りで、明るく広々とした印象です。「掛け湯」と銘打ったがシャワーが入口に設置してあるのも珍しいと思います。2Fは階段を使って上がります。寝湯、サウナ、源泉水風呂、薬湯ジャグジー、といった設備があります。かなり広々としていて、スペースが余っているような印象です。珍しいのは、テレビ(しかも防水された箱のようなものに入っている)設置されており、椅子に腰かけてTV観賞ができるようになっていました。薬湯ジャグジーは、湯船がプラスチック製だったのと、微妙に湯船が小さくて知らない者どおしで一緒に入るのは少しためらってしまうような距離感なのが惜しいところでした。

露天風呂は岩風呂風の造りで、一部に屋根がかかっており、風情があります。奥に打たせ湯があるのですが、湯船との位置関係があまりよろしくなく、利用者のしぶきがかなり飛んできました。また、一つの演出でしょうが、1F浴室出口から露天ぶろまでのアプローチが結構長く、寒い時期はちょっと冷え過ぎる感もあります。

泉質は、「単純弱放射能冷鉱泉」で、源泉温度は17.4℃と低くなっています。「天然ラドン温泉」と銘打ってあり、弱放射能泉というのが売りの一つになっていますが、この温泉は循環式を採用しており、放射能泉として期待できる適応症は限定的だと思います。成分濃度自体は濃くないので、入りやすいやさしい湯と言えます。成分的には炭酸水素イオンの含有量がやや多く、入浴時の肌感がさっぱりしているのが特徴ではないでしょうか。

洗い場は1Fにのみあり、合計9箇所。3箇所と6箇所に分かれていて、6箇所分は仕切りのついた広めのタイプ。さらにそのうち1つは、椅子を使って洗えるように高い位置にカランが配置されていました。リンスインシャンプーとボディソープが備えてあります。脱衣場は、かなり広めにとってあります。ロッカーは、上着等を掛けれる縦長のタイプが50、オーソドックスな正方形のタイプが40弱という配置。ロッカーの鍵は下駄箱の鍵と交換でフロント受け取るのですが、上着を着た利用者には縦長のタイプの鍵を渡すような配慮がなされているようでした。ただ残念なことに、この縦長ロッカーは下から15cmぐらいのところに網棚があり、これは小物などをその網棚の下におけるようにする工夫なのですが、それがあるために肝心の上着などを掛けるスペースが狭まっています。上着の下がつっかえるようになっており、ちょっと残念な気がします。また、ロッカーが90近くあるのに対して、洗面は2か所。洗面台の無い部分もあり、実質3人が座れるぐらいのスペース。ドライヤーは3コ備えてありました。このあたりはちょっとアンバランス感があります。

フロントの様子

この温泉、お湯には若干色が付いたように見えるのですが、2Fの源泉水風呂の解説によると、平成13年の安芸灘地震以来、お湯に色がつくようになったと記されています。温泉は地下の恵みです。地震によってその湧出機構に影響が出てくることは想定されます。長いスパンで温泉を利用していれば、今回のように地下の変動によって温泉の成分が変わってくる、という体験をする機会もあるかもしれません。

利用料は大人700円。中々立派な施設ではありますが、少し高めの印象はあります。しかし、神楽門前湯治村への観光や神楽観劇などとセットで、また、宿泊とセットで利用するという考え方ならば、さらに価値が出てくるのではないでしょうか。

観光客で賑わう神楽温泉湯治村

今回訪れたのは、3連休の最終日。観光バスが立ち寄る観光地となっており、神楽門前湯治村自体もかなり賑わっていました。温泉にもひっきりなしに利用者が訪れ、活況でした。神楽が好きな方にとってはとても興味深い施設でしょうし、中国縦貫自動車道高田I.C.から車で10分ほどの距離という好立地でもあります。ちょっとした立ち寄り観光地で温泉付、幅広い年代で楽しめる施設だと思います。

2012
11.22

2011年11月17日、島根県技術士会青年部会の主催で、平成24年度島根県技術士会青年部会企画 産学交流会が開催されました。この企画は、平成19年度から島根大学、松江高専との産学交流会イベントとして実施されているもので、技術者を目指す学生を支援する目的で開催されています。これまで計6回開催されており、私は、2009年度2011年度に続き、3回目の参加です。今年は、島根県松江市の島根大学生物資源科学部を会場に開催されました。今回、島根県技術士会、島根大学(学生)、松江高専(学生)、日本技術士会中国本部青年技術士交流会、からそれぞれ参加があり、およそ30名で実施されました。

今回のテーマは「BCP」。BCP(business continuity plan、事業継続計画)は、企業等が大規模災害等に直面したとき、企業をいかに存続させ、事業を継続できるようにするのかを検討し、事前に対応するための計画を定めておくもの(過去に実施されたセミナーの様子はこちら)です。BCP策定の第一人者である、山陰セコム㈱システムデザイン部の中谷室長を迎え、ワークショップによる模擬的な演習を通じてBCP策定の“さわり”を体験するという企画でした。

山陰セコム㈱ 中谷室長による事前レクチャー

1.“演習”を通じて見えてくること~創造力と実践力の訓練~

今回のワークショップは、参加者を5つに分け、そのグループを“1つの会社”とみなし、その中でBCP策定のさわりを体験する、というものでした。グループ毎に様々な設定を行った後、まずBCPの必要性を理解するための「演習」が実施されました。

この「演習」が、今回のイベントで大変大きな意味を持っていたと感じます。体験を通じて学びを深める機会は色々ありますが、災害に関しては“試し”に体験する訳にはいきません。避難訓練という機会もありますが、この場合は、“災害時にどう動かなければならないのか”は決まっており、決められたとおりにきちんと動けるか、が重要視されます。これに対し、今回の演習は大規模災害が発生した場合に想定される出来事を仮に想定し、創造力を働かせながら問題点や課題を予め抽出する、という趣旨になっています。

具体的な進め方は、講師である中谷室長から示される条件設定に対し、どうするかをグループで話し合うことを繰り返す、というものです。例えば、自分達が社内で仕事をしていた時の出来事という前提で、「11月17日(交流会当日)、大規模な地震が発生、社長は不在、全社停電、電話不通、インターネットのパケット通信は使用可」といった状況が提示され、「さて、まず何をしますか?」という問いかけについて話し合う、という具合です。

今回、実際にどうなったかというと、社員の安否確認、被害状況の確認、といった順当な意見が出る訳ですが、一とおり出た意見を聴いた後の中谷室長からの問いかけは、「リーダーを決める、という意見がでましたか?」でした。これを決めたグループは一つもありません。社長不在という条件設定の中で、今後の災害対策の意思決定権者を誰にするのか、どういう順番で決めるのか、これは予め定めておかなければ、その局面で中々決めることが出来ないそうです。ほんの一例ですが、これも現実に災害発生時の対応上、起こった課題に基づいているものです。その経験を実務に活かしていくための手法として、この演習というやり方は、分かりやすく有効な方法とだと実感しました。

2.就業経験はなくとも責任感ある対応は出来る

BCPは主に企業の事業継続のための計画です。このため、各グループのメンバーには(仮の)役割が設定されます。今回、総務部長、営業部長、事業部長など、組織の責任者としての役割が割り振られ、グループメンバーで、大規模災害時の企業運営(社長は不在という設定)を模擬体験しました。就職した経験のない学生は、「事業の継続」とか「○○部長」言われても、そもそも事業に携わったことが無いわけですからイメージしにくいだろうと思っていました。しかし、グループでの話し合いを進めていくうちに、必ずしもそうではないことが分かってきました。

というのも、話をしていくうちに、学生であってもそれぞれの立場で責任ある役割を果たす経験をする機会は多い、という点です。部活動に熱心に取組み、部長を任せられている学生、バイト先で責任感を持って働いている学生、など様々です。例えば、部活の合宿先で災害に遭遇した時、部長として部員の安全をどう図るか、バイト中に災害が発生し、被害が出た時にどう対応すべきか、など、学生であっても自分が置かれている立場でやるべきことがあるでしょう。それを今回の仮想の会社に当てはめて考えてみる。そのことで、少しイメージがしやすくなり、グループ内での検討がより進んだと感じています。

そして、あくまで仮の設定で検討を進める訳ですから、やはり想像力が大事になります。その想像力を引きだすための設定、自分自身の経験と関連付けさせて考える工夫。そういう配慮の大切さを感じることが出来ました。

3.「異質な人財によるダイバーシティ」の実感

私の参加したグループに、中国からの留学生がいました。中国で一度大学を出て、再度日本の大学に留学に来ているそうです。彼が言うには、中国での大学生活は遊んでばかりで、何か自分を変えたいと思って日本に留学した、とのこと。日本企業へ就職を希望しているそうで、昼食の時間中も技術士会メンバーに対して中国人を採用することについてどう思うか、など積極的に質問をしてきます。さらに日本で就職して、10年後には中国にその企業の現地法人をつくって赴任させてもらいたい、という構想まで話を聴き、その積極性と行動力は非常に印象に残りました。

その際に思い出したのが、以前、㈱日本レーザーの近藤社長の講演で伺った、「異質な人財によるダイバーシティ」というお話です。当社もそうですが、地元で暮らす地元出身者で構成される会社は、異質な価値観に基づく刺激があまりありません。まとまりやすく、おだやかである反面、変化に乏しくマンネリ化しやすいという傾向もあると思います。そこに、いい意味で異質な人財が入ることで、刺激が生まれ、社内が活性化する。そういった大胆な人財採用も中小企業だからこそ、考えていかなければならないと、感じる機会ともなりました。

とはいえ、世の中に全く同じ人など居ない訳で、“異質”と言えば、全員が異質です。誰しも様々な価値観を持って生きているし、それを受け入れることで見えてくることがある。異質な人財によるダイバーシティとは、まず、経営者が異質な価値観を受け入れる勇気を持ち、その異質な価値観を遠慮なく組織内で相互に発揮できる環境づくりを図る、といったステップを踏むことがことから始まります。そして、それは誰もが好き勝手にしていいという事でなく、その企業・事業の目的を達成するために必要な範囲内であることが前提です。その意味でも、企業の進む方向性を明らかにし、その企業が持つ価値観、大切にすべきことの共有化が大切、という認識を再確認することができました。

グループによるワークショップの様子

実は、当社も平成23年度に、山陰セコムさんのご支援を頂き、BCPを策定しています。中谷室長には大変お世話になりました。当社のBCPは極めて基本的な事項のみを定めた最低限の構成となっていますが、それでも、大規模災害時の指揮権者の設定、代替拠点の設定、安否確認の方法、取引先等の代々方法の確認、さらには、既存経営資源の再確認と今後に向けた対応課題の洗い出し等、様々なメリットがありました。特に、最初にご紹介した「演習」を行うことで、作ってみた計画が実態に即していないことが良く分かったりします。この“演習を通じて問題点を洗い出す”という手法は、様々な場面で役に立つ可能性があると感じます。当社での演習は幹部社員だけで実施しましたが、一般社員も含めて研修の一環として実施することも効果が大きいのでないかと考えています。

2012
11.15

島根県が主催する平成24年度「人財塾」に参加しています。昨年度から参加させて頂いていますが、この塾は2年まで連続参加できるとのことで、今年度も申込させて頂きました。第1回目が2012年6月7に開催されて以降、なかなかタイミングが合わず、今回の第5回にやっと参加することが出来ました。今回は、会場を島根県奥出雲町に設定し、(有)エヌ・イー・ワークスの三澤社長に講演を頂きました。それに続き、グループワークによって「経営理念」について議論を深め、自らの会社、自分自身の認識を明確にしていく、という内容でした。

エヌ・イー・ワークスの三澤社長とは、中小企業家同友会でご一緒させて頂いているご縁もあり、過去にも数回お話を伺う機会がありました。繰り返し聞いても都度新しい気づきがあります。講演での気づきと、グループワークでの気づきに付いてまとめておきます。

講演する三澤さん

1.「人のふんどしで相撲を取るのが仕事」の意味~地域の資源と人を活かす~

三澤さんは現在、「DEF(Dry Edible Flower)」と呼ばれる、食べる事の出来る食用の“押し花”を活用したビジネスに力を入れて取り組んでいらっしゃいます。元々は、自社製造のお菓子に添える形で使っていたものを、現在では、押し花のみを製造、販売する形態も採られています。そのことを、「素材に立ちかえることで広がりが出た」と語られます。

さて、三澤さんは「人のふんどしで相撲を取るのが私の仕事」とおっしゃいます。一聞するとあまりいい意味に聞こえません。しかし、当日の資料の表紙には「仕事を造るのが仕事です!」との記載もあり、それを三澤さん流のいい方で具体的に表現したのがこの“人のふんどしで相撲を取る”ということだと理解しています。三澤さんは、「田舎には古くからのすばらしいもの残っている」と言われます。古くからある特産品であったり、それを造る技術であったり、しかしそれを安値で売ったり、売れない場所で売っていることがある。そのやり方や場所(≒土俵)を変えれば、売り手・買い手、お互いにいい商売になる可能性がある。そのつなぎ役を自分自身がしている、という意味合いでしょう。

これは、一般の企業で言えば「人を活かす」ということに他なりません。取引先や協力会社を活かす、と言ってもいいかもしれません。その人の能力や技術、そして熱意といったものを把握し、最も活躍できる舞台を準備する。これを社内では当然に行い、自らが事業を行う地域でも実践する。それが、エヌ・イー・ワークスさんの仕事のやり方であり、地方で、そして地域で仕事をする企業の経営の本質ではないかと感じるところです。

2.徳島の葉っぱビジネスが証明してみせたこと~何歳になってもいきいきと働く~

三澤さんは、このDEFを「奥出雲の葉っぱビジネスにしたい」という想いを持って取り組まれています。そして、“葉っぱビジネスが証明してみせたこと”として語られたことが、三澤さんが本当にこの地域で実現させたいことなのだと、改めて感じました。葉っぱビジネスが証明したこと、それは、「田舎で現金収入を得ること」ではなく、「葉っぱがお金になること」でもなく、『人から必要とされることや働くということによって人は何歳まででも輝き続け、健康で健やかに人生を全うできること!』と話されます。

働ける幸せ、働いているから世の中と接点がある。徳島で葉っぱビジネスにいそしむ高齢者のみなさんは、「病気なんかしている暇がない」という感覚で、いきいきと仕事をされている。それを、DEFを使って奥出雲でも実現する。三澤さんの話を聴いていると、それが本当に実現できそうな、元気でいきいきと働く人が行き交う奥出雲町がイメージされます。

この、「働くことによって何歳まででも輝き続ける」という視点。なにも過疎地の高齢者だけの話ではありません。一般の企業においても同じように考えなければならない視点だと感じます。現在、高齢化の急速な進行と年金受給開始年齢の引き上げに合わせ、労働者が65歳までは働ける就業環境整備が求められています。そして、雇用延長を単なるコスト増という観点で見ることなく、企業が当然実施しなければならない環境整備だという認識が求められる。そして、それは工夫と熱意次第で実現できるのではないか、と感じさせてもらえます。身体的な衰えはあるとしても、その豊富な経験を活かして活躍できる環境づくり、それができる経営者になるべく努力したいと感じたところです。

3.未来は明るいと信じる気持ち~現在の延長上に想像される未来を裏切る~

今回のグループワーク(グループ討議)の冒頭、アドバイザーとして付いて頂いた島根県のコーディネーターの方から次のような投げかけがありました。「今社会全体がどうなっているのか、何をみんな求めているのか、どうしたら変わっていけるのか、最初に考えてみよう。」というものです。この趣旨は、現在の日本を覆っている(と言われている)政治の混迷や既存制度の疲弊や破たん等を、経営者としてどう捉え、その上で、自社をどうしていくべきか考える、というものです。

この投げかけ、実は私があまり考えていない領域だったので、とっさに回答に窮する思いがしました。最近の私は、とかく目先のことに囚われ、目先の対応に追われ、政治とか国の制度等の話は、どこか他人事的に考えていました。しかし、「どうしたら変わっていけるのか?」という問いかけに対しては、一つの答えが浮かびました。

それは「明るい未来を信じること」です。最近、とかく想うのは「将来に向けた展望は全て暗い」ということです。確かに、人口は減るでしょうし、地域の担い手が居なくなるかもしれない。もっと大きな不況がくるかもしれない。地球温暖化で災害が多発するかもしれない。地球の資源が枯渇して豊かな生活が享受できなくなるかもしれない、等々きりがありませんが、とにかく未来は暗そうです。少し前まで私もそう思っていました。

しかし、今思うのは、「未来は明るいと信じなければならない」、ということです。仮に、我々の努力に関わらず、未来が暗いと完全に決定しているのなら、頑張らなくてもいいかもしれません。しかし、そうではない。明るい未来も当然にありえます。それを決めるのは我々自身だし、現在の延長上に想像される未来を裏切ることが求められていると思います。そして、地域の経済活動の未来を明るくするのは、地域の経営者の仕事です。

そういう答えがその場でスムーズに出たのは、やはり、地域をいきいきと輝く人たちでいっぱいにする、という明るい未来に対する三澤さんの熱意でした。その気づきに、改めてお礼申し上げたいと思います。そして、私がこのような考え方になる大きなきっかけとなったものとして、「ふるさとがえり」という映画がありますので、ご紹介しておきます。地域に住み、生活する方に一度ぜひ見て頂きたい映画です。

グループワークの様子

この「人財塾」という学びの場、島根県の商工労働部が企画されて3年目になります。多くの企業の参画があり、県内企業の特に若手経営者に多くの学びを提供しています。この人財塾があったからこそ知り会えた島根県内のすばらしい経営者の方々がたくさんいらっしゃいます。経営者の学びの場は色々ありますが、この人財塾も、今後さらに発展し、島根の中小企業経営者に学びと未来に向けた力を与えて頂きたいと思います。

2012
11.09

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回49箇所目は、島根県浜田市金城町の「美又温泉 国民保養センター」に行ってきました。訪問日は、2012年11月8日です。美又温泉は、山陰の名湯として古い歴史を持つ温泉地で、開湯は元治元年(1864年)まで遡ります。現在では、今回訪れた国民保養センターのほか、8つの民間旅館が営業されています。この国民保養センターは、多角形の角柱風の建物が目を引く、美又温泉のシンボル的な施設で、日帰り入浴だけでなく宿泊も可能です。

国民保養センター外観

泉質は、アルカリ性単純泉で、phが9.8とかなり高いことが特徴です。美又温泉のキャッチコピーは「泉質日本一、美肌の湯」。中々思いきった表現ですが、実際のところこの高いphから“美肌の湯”としても名高く、施設内でも大きくアピールされています。入浴するとアルカリ度の高い温泉らしく、直ぐにヌルヌル感を感じることが出来ます。循環式ですが適度に新しいお湯が加えられているようで、さっぱりした心地よい入浴感です。成分的にも特別なものは含まれていないため、子供からお年寄りまで安心して入ることができる“優しい湯”、ということもできます。

風呂場は、施設の3階(男湯)と4階(女湯)にあり、前述のとおり多角形のタワー風(といっても4階建てですが)の建物の中にあります。浴室内は、昭和の銭湯の風情を感じさせるタイル張りで、浴槽は薄いブルーのタイルでした。最近の温泉施設はどこも濃い色の石張りだったりしますので、(それはそれで雰囲気がありますが)たまにこういった風呂に入ると新鮮な気分になったりします。浴槽は、中央部に大浴槽があり、窓際に広がりっています。一部はジェットバスになっています。温泉街を流れる川沿いの景観を眺めながらの入浴が楽しめる(現在、道路工事中で見た目はあまり良くありませんでしたが)のも特徴です。離れたところにサウナと水風呂がありました。また、家族風呂も備わっているようです。

洗い場は13箇所、うち10箇所は鏡が付いています。施設的に古いこともあり、洗い場の間隔はせまく、仕切り等もありません。リンスインシャンプーとボディソープが備えてあります。この洗い場の特徴的なところは、カラン・シャワーともに“温泉水”が使われていることです。湯量が豊富で、アルカリ性単純泉で含有成分が少ないので、こういう使い方もできるのでしょう。アルカリ度の高い温泉水をシャワーで使う感覚は独特のものがあり、一度試す価値ありです。

洗面は3箇所、ドライヤーは2つ備えてありました。ロッカーは鍵付のものが約30、扉無しで籠が備えてあるものも30弱、という構成。なお、籠のみのロッカーは、元々扉付のロッカーの扉を外したもので、この辺りは古さを感じます。ただし、脱衣場内は掃除もきちんと行き届いている印象で、古くてもこういった清潔感のある施設は好感が持てます。なお、鍵付のロッカーは100円を入れて帰ってくるタイプですが、受付で手続きをする際にフロントの方が「100円玉が要りますが大丈夫ですか?」と尋ねて下さいました。ちょっとした心遣いですが、ありがたいです。

ロビーの様子

利用料金は大人500円。島根県東部の公共の日帰り温泉施設等と比較すると、少し高い印象もありますが、昭和情緒漂う、風情ある施設と独特の入浴感等を考慮すれば、妥当なところかもしれません。訪問時は、平日の夕方前でしたが、そこそこの利用者があり、浴室内も結構賑わっていました。宿泊のお客さんと思われる方も入浴されていました。施設のパンフレットでは宿泊の会席コースなども大きくPRされており、宿泊にも力を入れているようです。

温泉街の外れには温泉スタンドが設置されています。その名も「美人湯温泉スタンド」。100円で200㍑のお湯を汲むことができます。私が見に行った際も、地元の方が大きなポリタンクにお湯を注いでいらっしゃいました。これだけ高いphのお湯なので、自宅の風呂を熱くして半分ぐらい“刺し湯”しても、かなりヌルヌルの入浴感を味わえると思います。

美人湯温泉スタンド

ちなみに、この美又温泉の4つある泉源のうち1つは、過去に協和地建コンサルタントが掘削させて頂いたものです。残念ながら現在は使用されていないようですが、当社ともご縁のある温泉地です。やっと訪ねることができました。この国民保養センター、古さは感じますが、何か温かみのある、“古き良き時代”を想像させる風情ある建物で印象に残ります。また機会を見つけて、訪れてみたいと思います。

2012
11.02

2012年10月31日、パラダイスコーポレーションで代表取締役社長を務める川中努さんからご案内を受け、川中さんが講師を務める『「心を知る技術」勉強会』に参加してきました。自分の“価値観”を知る「バリュー・ディターミネーション」のワークを体験し、この手法の可能性を感じさせてか頂くことができました。

バリュー・ディターミネーションとは、人間行動学と自己啓発の分野での世界的な権威である、ドクター・ジョン・F・ディマティーニが開発されたメソッド(方法、方式)で、人間関係の改善・解決策であり、40年近い調査・研究成果を用いて開発された科学的な手法(とても説明しきれないのでこのぐらいで)だそうです。今回の勉強会ではその“さわり”を紹介頂き、実際に参加者がワークすることでその一部を実感するという趣旨のものでした。その感想を少しだけ整理しておきます。

説明する川中さん

1.「価値観」~人は自分が価値を置いている分野で才能を発揮する~

バリュー・ディターミネーションのキーワードは「価値観」。この言葉、実は私はあまり好きではありません。下世話な話ですが、よく芸能人が離婚会見で「価値観の不一致です」などとその理由を話します。が、元々そんなぴったりの人なんかいる訳ないし、違うのを理解してそれをお互いに合わせていくのが結婚生活だろう、と思ってしまう訳です。なんか、分かったようで分からない“便利な言葉”として安易に使われている感じが嫌で、私はこの「価値観」という言葉を日常ほとんど使いません。しかし、今回の勉強会を通じて、実は「価値観」として端的に表現される事がらの奥にある意味合いを考えることこそ重要、というのが少しわかってきました。

前置きが長くなりましたが、今回の話の主旨の一つは、「人は自分が価値を置いている分野で才能を発揮できる」、というようなことです。さらには、川中さんは「本当の自分(の価値観)に気づくことで、自分の天才性が発揮できる」とも説明されました。有体に言えば「好きこそ物の上手なれ」ということでしょうが、自分の好きな事、やりたいことをもっと大事にし、それを軸足に生きた方がいい、というようなことだと(今のところ)理解しています。これに対しては“夢で飯が食えるか!”的な論もある訳ですが、夢に生きろということではなく、夢に描くほど好きだったことに、今必要に迫られてやっている仕事を上手く関連づけで自分の動機づけを得る、というような意味合いではないかと考えています。

もう一つの強調されていたポイントは、「物事には両面がある」ことの理解、でした。全ての事には良い面、悪い面の両面がある。お金がたくさん得られれば、そのお金で様々な事が出来るが、反面、傲慢になって友人を失ったりする可能性もある。たくさんの子供に恵まれるということも、当然に幸せなことである一方、親として子供に時間をかけることで、自分自身が本当にやりたかったことを行う時間や機会を逸しているかもしれない。何事も捉え方一つな訳ですが、これを人間関係にも当てはめて考えてみる、ということでしょうか。例えば、いつも怒られていて嫌いだった先生がいたが、振り返ってみればその時の厳しい指導が今の自分の人間形成に役立った、と解釈するようなことです。その他にも事例を交えて色々な説明をして頂きましたが、私自身の感覚としては大変分かりやすい、理屈の通った話として聴くことができました。

2.経営者として自分自身の本当にやりたいことを見出す~社業と関連付けて成果につなげる~

今回、自分自身の「価値観」を明確にするためのシートを用いて、自分が大事にしている価値観がどのような優先順位にあるのかを確認するワークを行いました。自分自身の価値観を問う「12の質問」に答えていきます。細かい手法の説明は省きますが、ワークの結果、私の優先順位の1位は「仕事」、3位に「子供」、といったものが入ってきました。これらは順当なところと言えそうですが、それ以外のもの(2位、4位、5位)は私の現在の興味や嗜好、自分自身の性格等を反映したものだと思えます。では、自分自身の価値観の優先順位が分かったとして、その後どうするのか。

その答えは、「自らの価値観を認識し、本当の生き方に気づく」ということのようです。人生が上手く行かない理由は、自分以外の誰かの価値観にあわせているから、自分が本当に望んでいることとは異なるものにしがみつているから。確かにそうかもしれません。自分の価値観(≒本当に大事にしたいこと)が分かれば、自分の本当に好きなことをする、又は、自分が今やっていることを自分の価値観にリンクする、といったことが可能になる、と言う訳です。

この「自分がやっていることを自分の価値観にリンクさせる」という作業、今回のワークでは実施していないのですが、大変重要な意味をもつという印象です。誰しも様々な経緯や環境、しがらみの中で生きてきており、自分がやりたいことが分かったからといって、直ぐにそれが出来る環境にない場合もあるでしょう。その時に、自分が今(仕方なく)しなければならないこと(仕事が一つの代表例でしょうか)が、自分にとって優先順位の高い価値観にどういう意味をもたらすのか、それを見出し、しっかりと関連づける。前述の“物事には両面がある”という考え方がここで意味を持ってくるのでしょう。自分にとって好まざると感じることも(悪い面)、実は自分のやりたいことにつながっている(良い面)、と理解する。そのことで、今しなければならない行為に大きな意味が感じることができる。その作業は次のステップになるのでしょうが、大変興味深く感じています。

現在、私は後継者として経営者をしていますが、中小企業の後継者(特に息子等の場合)というのは、多くの場合“行きがかり的”にその役目に就き、目的ではなく“事情”で経営に携わります。それでも引き受けたからには、社員とその家族のため、お客さまや取引先のため、事業を維持発展させなければなりません。その時に、「自分が仕事に取り組む意義を心から納得する」ということは大変重要な意味を持ちます。バリュー・ディターミネーションで、自分自身の価値観の優先順位、自分自身が本当に何をしたいのかを明らかにし、そのやりたいことと自分を取り巻く様々な環境を関連付け、気持ちを楽にして事業に邁進する。それができれば、そんなすばらしいことはありません。是非、自分自身で試してみたいと考えています。

3.社内における価値観あわせのツール~個々人の価値観を事業の目的と関連づける~

今回講師をして頂いた川中さんは、このツールを社員のみなさんとの面談で用いられており、社内の価値観を合わせるために活用されているそうです。バリュー・ディターミネーションのもう一つの効果として、自分や他人の価値観を知ることによって人間関係がスムーズになる、ということがあるそうです。自分の価値観を相手の価値観に準じた方法で伝える。例えば、趣味でチームを作っているサッカーに優先順を置いている社員がいるとすれば、仕事上の連携や協力をサッカーチーム内でのコミュニケーション等に例えて話をする、といった具合でしょう。

この活用方法は非常に有効性が高いように感じます。例えば、仕事第一でとにかく仕事に集中する人、仕事もするけど家庭も大事にしてそのバランスを取る人、色々なタイプの人がいるとします。それは、その人の置かれている家庭環境、年齢など人生のステージ、等によっても変わってきます。家庭を大事にしなければならない時期にある人に、仕事第一主義的観点で仕事の話をしても思うように意図が伝わらない、というケースは想像がつきます。

そうではなく、お互いが(その時点で)優先順位を高くしている価値観に即して話をする。これを上手く行うことができれば、間違いなくお互いの意思疎通がスムーズになるでしょう。結果、様々な価値観を持つ人間の集まりだけれども、それぞれの価値観が会社・組織の目的にそれぞれの人にあった形で結びつき、一体的な行動につながる、ということが実現できそうな気がします。“気がする”というのは、実際に試してみた訳でもないからそう書くのですが、大きな可能性を感じているところです。

自分自身の「価値観」の優先順位を把握するワーク

「人間関係」それは、経営者として最も大事なことの一つであり、悩みが絶えることのない問題の一つです。社員一人一人の顔が見える中小企業であればなおさらです。それを改善、さらには問題となっていることを解決するための方法があると聴けば、興味を持たずにはいられません。ただ、大事なのはこういった方法があると学ぶことだけでなく、実際の自分自身の人間関係において実践していくことでしょう。経営者とすれば、その会社や組織の人間関係を改善あるいは解決し、事業の維持発展、社員やその家族の幸せの実現につなげてこそ、学んだ意味があります。いきなり会社で試すという選択肢もあるでしょうが、まずは、自分の家庭の中で用いてみる(奥さんとの人間関係を改善(笑))ことからスタートしてみようかと考えています。最後になりましたが、ご紹介頂いた川中さんに改めてお礼申し上げます。