2013
03.28

協和地建コンサルタントは、平成25年度、島根発のエネルギー地産地消モデル「スモールZEB」に挑戦します。平成24年8月から運用開始した、地中熱ヒートポンプ空調システムに、太陽光発電設備とLED照明などの省エネ設備を組み合わせ、CO2排出量ゼロ事業所の構築を目指します。着手に先立ち、なぜ、そのような取り組みを考え、挑戦するのか、そのまとめと、その実現を通じて目指すところをまとめておきます。

協和地建コンサルタント スモールZEBイメージ

1.中小企業でも実現できるコンパクトなZEBの実現へ

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)とは、再生可能エネルギーの多面的な利用や省エネの徹底などを組み合わせ、建物の運営・維持に係るエネルギーを建物の中でつくるエネルギーで±0にする、という施策です。経済産業省は、「2030年までに新築建築物全体でのZEB実現」といった(野心的な)目標を掲げており、この実現を図るための支援施策も充実しつつあります。このZEBの実現に向けては、“中核的な技術の一つとして地中熱の活用”が示されており、当社としても注視してきたところです。

ZEBは3階建以上の比較的大きな新築建築物への適用を想定しています。ところが、島根県をはじめ地方部においては、そのような建物が次々に建築されるという情勢にはありません。再生可能エネルギーの活用においても、むしろ既存の建物の中にいかに上手く適用していくかが問われています。そこで、先行的に地中熱ヒートポンプ空調を建物全体に採用した当社の本社社屋に対し、ZEBの実現に向けて採用が想定されている主要技術のいくつかを適用し、コンパクトで低コストなZEBの実現に挑戦してみることを考えた訳です。それを「スモールZEB」と名付けています。

現在、導入を予定している設備、機能は次のとおりです。
1)地中熱ヒートポンプ空調システム(H24年8月~導入済)
2)太陽光発電設備(平成25年6月~、本社及び倉庫屋根で20kw以上想定)
3)LED照明(平成25年6月~、本社及び倉庫照明を完全LED化)
4)本社屋の断熱性能向上(平成25年6月~、全ての本社窓の二重窓化(空調性能の向上))

これらの導入により、協和地建コンサルタント本社社屋・倉庫を対象に、一年間を通じたトータルのエネルギーコストを±0(=CO2排出量ゼロ)とすることに挑戦します。

2.多様な業種への波及効果が生み出す地域の活性化への期待

スモールZEBに取り組む当社にとっての意義は、第一には地中熱ヒートポンプ空調システムをエネルギー有効活用のパッケージの一部とすることです。そのことによる地中熱の理解促進、導入促進を目指しています。地中熱ヒートポンプ空調は、単体で考えると初期投資コストがかさむこともあり、中小企業の事務所、倉庫等では導入に向けたハードルが高いのが現状です。その選択肢を広げるきっかけの一つとなることを期待しています。もちろん、地中熱の販促施策としてだけなら、大がかり過ぎます。

この取り組みの意義の一つは、関連する様々な設備や商品の地域における市場の活性化にあると考えています。このパッケージには、地中熱以外にも様々な設備や商品が必要です。このコンセプトの普及によって、その設備や商品の需要が促進に少しでも影響を与え、取り扱う企業の成長につながれば、地域の経済活動の活性化に貢献することになります。それがひいては、当社の活性化にもつながってくる、と考えています。なお、当社は、この取り組みをきっかけとして、太陽光発電設備やLED照明販売等の事業に参入することは一切考えていません。当社は、当社にとって強みのある地中熱に取り組んでいきます。

現在、太陽光発電設備についてはバブル的に市場が活性化していますが、買取価格との関係でいつまでも続くものではありません。しかし、太陽光発電に限りませんが、再生可能エネルギーへの取り組みは一過性のものであってはなりません。技術革新を図りながら、地道に普及を図っていく継続的な取り組みが求められます。そう考えた時、島根県をはじめとした地方部における対応は、一社だけが取り組むのではなく、様々な企業が連携・協力しながら市場をつくり、育てていくことではないかと考えています。この“スモールZEB”は、その一つのモデル、或いはきっかけになりはしないかと考えています。

3.挑戦する姿勢を保ち続けることが社員の士気向上につながる

平成24年8月から運用開始した、当社の地中熱ヒートポンプ空調システムは、島根県内初の事務所全体の地中熱空調として各種マスコミにも取り上げて頂き、多くの方に関心を持って頂くきっかけになりました。職員にとっても会社の取組みが関心を持ってみられるということは気持が引き締まりますし、先進的な取組みをしていることに対して、多少なりとも誇らしい気持ちも持ってもらっていると思います。

そういった会社として挑戦する姿勢を持ち続けることの一つの形として、地中熱空調の次のステップが、「スモールZEB」だと認識しています。地中熱空調は“島根県内初”でしたが、今回の取組みは全国的にもあまり事例のないものになると考えています。会社としれば再生可能エネルギーに取り組む地域企業としての存在感の向上につながりますし、社員にとってもさらなる士気向上につながっていけばと考えています。

スモールZEBの実現は、エネルギーの削減量とエネルギーの生産量との兼ね合い次第です。着手にあたり、一定の試算を行っていますが実際にどこまで実現できるかは、やってみなければわからない面も多々あります。しかし、“やってみなくちゃ分からないからやってみる”ことが挑戦の基本な訳で、構想は楽観的に考え、試算と計画は悲観的に考え、必ず実現できると信じて取り組んでいきたいと考えています。

もちろん、挑戦が必要だからといって、やみくもに新しいことに手を出せばいいというものではありません。今回のスモールZEBも少なくない投資が必要となります。しかし、今回の投資は、固定価格買取制度の導入によって長期的には確実に回収可能なキャッシュを生みだします。現在、固定価格買取制度のプレミア価格の適用期間中ということもあり、H25年度から単価が少し下がりますが、それでも想定どおり売電できれば投資に対して十分な回収が見込めます。しかし、その売電価格は賦課金によって幅広く電気料金に上乗せされている訳で、事業性があるからといって、企業として単に利ザヤを収益に加算するだけでいいのかという気持もあります。であるならば、その余剰分をさらなるエネルギー効率の向上に資する投資に充て、様々な可能性を探って行くことが一つの方向性ではないかと考えています。

ZEBのイメージ (社)日本ビルエネルギー総合管理技術協会HPより

この「スモールZEB」というコンセプト。私が考えたものではありません。以前勤めていた会社の後輩が提案してくれたものをそのまま採用させてもらったものです。現在では、私もその後輩も以前勤めていた会社を辞め、同じ山陰という地で、新しい仕事に取り組んでいます。しかも、共通するのは“エネルギー”に関する仕事に係わりがある(もっとも、彼はスペシャリストでこの地域の第一人者、私は最近勉強し始めたばかりです)ということ。そういったご縁があったからこそ生み出すことができたこのコンセプトの可能性を確信し、実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。運用開始のあかつきには、またこのブログで経過を紹介します。

2013
03.22

2013年3月16日(土)、協和地建コンサルタント株式会社 平成25年度経営指針発表会を開催しました。ちょうど一年前に、当社初の経営指針発表会を開催してから1年。2回目の経営指針発表会を開催することが出来ました。当社に関わりある全てのみなさまに感謝致します。当日は、当社役員、社員に加え、金融機関のみなさん、協力会社のみなさん、その他当社の発表会を聞きたいと駆けつけて頂いたみなさん等、総勢40名の参加者を得て、今期の総括と次年度の経営計画、さらには将来に向けた方向性を示しました。今回、2回目の開催ということでの留意点、工夫、そして今後に向けた課題をまとめてみます。

平成25年度経営指針発表会の様子

1.“内向きの経営指針発表会”を隠れたテーマに据える~いい意味での内向きの経営~

今回の経営指針発表会において私自身のテーマとして設定していたのは、「内向きの経営指針発表会」ということです。なぜ内向きなのかは後述するとして、内向きなら社内だけでやればいい訳ですが、外部の方をお招きして開催することにもこだわっています。それは、当社の経営環境からすると金融機関のみなさんへのアピールも要りますし、協力会社のみなさんへも今後の方向を知って頂きたいということもある、そして何より、そうやって当社に関わる様々な方々と共に進んで行こうとする姿を、社員のみなさんに感じとってもらいたいと考えたからです。

さて、内向きの経営指針発表会を目指す背景には、ある社員の言葉があります。昨年度の経営指針発表会の開催を経て、その後の職員面談で経営指針発表会についてどのように感じたかを聴いた際に、ある職員から、「同友会だの、○○だの、よそから持ってきた言葉の受け売りに感じる。もっと社長の言葉で説明してほしい。これは外向けの経営指針ではないのか。」という厳しい指摘を受けました。中小企業家同友会での学びを経て作成した経営指針であることは間違いないですが、私なりの考えで当社になじむように創り上げたとある程度自負していましたので、言われた時はかなり頭にきました。しかし、冷静になると、そう感じている社員がいるという事実を、きちんと受け止めなければなりません。

この問いかけにいかに答えるのか。それは経営指針に基づく経営を行うと宣言し、それを実践に移し、成果をあげるしかないと考えています。そして、取組みの成果を通じて、少しずつ社内が変わってきているということを、社員一人一人が体感できるようにすること。その説明が社内に対して不十分だったのだと考えています。なぜその取組みが必要なのか、なぜするのか、繰り返し説明することが大事だと改めて感じています。いい意味での内向きの経営。それをできるだけ意識して今回の発表会を構成しました。毎年の成果の集大成を経営指針発表会で報告し、更なる発展の方向性を示していく。そうやって3年、5年、10年と続けていくことで、きっと全員にわかってもらえる日が来るはずです。そう信じ、来期の経営にまい進したいと考えています。

来期に向けたメッセージを語る社長

2.「部門計画」の立案・発表で深まる課題認識~現場の課題は現場で導き出す~

今回の経営指針発表会では、「部門計画の発表」という時間を盛り込みました。昨年度は、すべて私(社長)が一人で話をしたのですが、目指すべきは、社員全員で構築する経営指針だと考えています。今回は、「全員でつくりあげる経営指針」の第一歩として、各部門長3名が、部門計画を発表する時間を設けました。実は、当社で改めて部門計画というものを策定したのは、今回が初めてです。仕事は各部署単位でしっかりと成果をあげてもらっていますし、それぞれの部門・仕事の課題解決はこれまでも実践してきているところです。しかし、期の最初にあらたまって「計画」という形で施策をとりまとめ、それを発表したことはありませんでした。

これを実施してみてもっともよかったのは、各部門において計画を作るための話し合いの場が持たれた、ということです。これまでも部門のミーティングはある訳ですが、取りかかっている案件についての協議や、社長が示す方針に対応するための打合せが主体だったと思います。それに対し、今回は、全社目標は社長が掲げ、それを実現するための各部門の役割、役割を見据えた部門目標、目標達成のための具体的方策(3つ)という様式を定め、検討してもらいました。その結果、部門ごとに自主的に部門目標を設定し、そのために何が必要か具体的に考える、という行動が生まれました。

世間一般からみれば、組織運営としてはまだまだこれからの会社です。当たり前のことを今さらやっているのかもしれませんが、当社にとっては大きな一歩だったと考えています。現場を最もよく知るのは現場で働いている社員です。その課題認識に基づき、各部で立案された取組みは、今後1年間をかけて、今までのトップダウンの施策展開とは異なる新しい流れを具現化してくれるのではないかと期待しています。今回発表した計画がいかに実践され、また成果を生み出すのか、しっかりとフォローアップしていきたいと考えています。

最後はガンバローコールで締め

3.将来に向けてさらに大きなビジョン・方向づけを見出す

昨年度策定した経営指針では、いわゆる長期的な将来ビジョンのようなものは示さず、経営方針の中で「当社の目指す3つの姿」という方向性を示し、3カ年の具体的な目標を掲げました。これは、5年、10年先の情勢は到底見通せないが、せめて3年後にどうありたいか、ぐらいは示し、それに向かって行くことが現実的と考えたからです。しかし、最近感じるのは、近い将来の姿だけ追い求めていると、そのことで将来の可能性を小さく制約してしまうことにつながらないか、ということです。

荒唐無稽な夢を描いてもいけませんが、「思い描かなければ実現しない」とも言われます。ということは、思い描く姿が小さくまとまっていると、実現した姿も小さなものになるということではないでしょうか。昨年度設定した“3つの姿は、今後とも実現に向けて取り組んでいきます。しかし、さらにその先にある、もっと大きな将来像、我々はどうなっていたいのか、もう少し大きな姿を描き、それを追いかけたいと考えています。今回、来期経営計画の発表の中で、その頭出しを行いました。当社が到達する将来像イメージ、それは、「地質」、「地下水」、「地熱・地中熱」に特化した独自技術と提案力、人財力で地域に貢献し、他の追随を許さない島根県内NO1・オンリーワン企業。そして、「島根発、全国で通用する企業へ!!」発展していく。

地元島根に根差してきた会社ですから、今後との中心的なフィールドは島根にあります。しかし、我々が今後培って行く技術力、提案力、そして人財力は、島根だけにとどまらず、全国の我々を必要とされるお客様のところに届けることができる。そういう未来を描きたいと考えています。この一年間でその姿をもう少し具体化し、また至る道筋を整理し来年度の経営指針発表会で提示したいと考えています。

交流会最後の集合写真

私が今回の経営指針発表会でうれしかったことの一つは、発表会後の交流会の最後に役員、職員全員で移す集合写真です。昨年も同じタイミングで全員の集合写真を撮ったのですが、「今年の方が、笑顔が明るい」のです。昨年は初めてだったこともあり、全体的に表情が硬かったように感じますが、今年は、表情も穏やかで笑顔が非常に多い。これが、この1年の変化をあらわしているのではないかと考えています。短期間に飛躍的に良くなるのは中々難しいことです。しかし、少しずつは、良くなっていけるはず。会社は少しずつ良くなってきている、そう感じてもらい続けることができる経営を今後とも継続していきたいと感じ、第2回目の経営指針発表会の報告のまとめとします。来期、さらに飛躍・発展する協和地建コンサルタントをよろしくお願い致します。

2013
03.15

2013年3月12日(金)、島根県中小企業家同友会 松江支部3月例会が開催されました。この日は、『終わりなきゴールを追い続けて~一度きりの人生、可能性を追求して~』と題して、明石屋株式会社 代表取締役社長 明石雅之さんから報告を頂きました。同社は、島根県松江市宍道町に本社を構え、山陰地域を主対象に食品原料、米穀、包装資材などの卸売を行う会社です。

明石さんは、若干23歳のとき先代(父)の急死により事業継承され、さまざまな苦労を重ねながら、現在は成長志向の経営の元、順調に売り上げを伸ばされています。事業継承から15年をかけて、売上高を約5倍に伸ばすなど、徹底した戦略と強力な営業力で市場を開拓し、成長を続けられています。私にとっては、中小企業家同友会をはじめ、様々な経営の学びの場で一緒になる機会が多い、大先輩の経営者(年は私が上ですが)です。これまでの経緯や社内の取りまとめなど、どのよう考えを持っていらっしゃるのか、興味深く話を聴くことができました。私が特に感じたことを3点整理しておきます。

報告する㈱明石屋 明石雅之さん

1.数字を追い求める経営~売上100億円を目指す意味とは~

株式会社明石屋は、「売上目標100億円」を掲げて、成長志向の経営を続けられています。このことについて、明石社長は、社員に“目的と目標”を示したい、と話されます。目的は「社員にとって希望のある、夢のある会社」づくりで、その目標が「100億円企業」という訳です。そして、明石屋がどこに行こうとしているのか(目的と目標)が明確だからこそ、それによってやりたいこと、やらなければならないことが明確になる、とも話されます。目標の立て方は、各社それぞれです。どのような将来像を描くのか、については、到達時点での会社の状態をリアリティある表現で示す会社もあるでしょう。明石屋の場合は端的に数字で表した、ということだと理解しています。

この“100億円”という数字。数字を目標にしているからこそ、数字に厳しく経営できる、という面があると思います。例えば、経営理念を重視した“理念経営”という考え方がありますが、理念を重要視するあまり数字がおろそかになる、という一面もあるかもしれません。売上を確保し、利益が出せるからこそ事業が継続できるし、従業員の生活を守ることができる。明石屋は、成長志向で毎年売上を伸ばし、安定的な利益を確保し、自己資本を着実に積み上げています。それを実現するための生々しい戦略についても話がありました。いずれにしても、そこで勝ち残って得た利益があるからこそ、将来のため、従業員のために投資することができる。それも経営者の答えの一つでしょう。

今回の明石さんの話を聴いて思いだすのは、2011年9月の松江・出雲2支部合同例会での、福岡同友会所属の若竹屋酒造場 林田浩暢さんの報告です。この中で林田さんは、「利益を出せば会社は変わる、人も変わる」という話をされました。利益を追うこと、利益を出すことで、社員の意識が変わってくる、という訳です。どんないい理念を掲げても、利益の出せない会社では社員は安心できません。どんな人格者であっても、給料が払えない社長にどこまで従業員がついていけるでしょうか。“数字を追う”ことに対する徹底した執着。とかく経営理念を重視する同友会的考え方からすると少し異質なので、違和感を持った参加者もいたかもしれません。しかし、実は、やもすれば“経営理念”を言い訳にしそうになる私のような気持ちの弱い経営者に対する叱咤激励である、と私は理解しています。利益、それは数字で示される経営の結果であり、経営者の評価。その重要性を再認識し、その実践を身をもって示すことの力強さを感じる報告でした。

2.お互いが褒め、讃えあえる会社へ~サンクスカードが生み出す感謝の循環~

明石さんは、強力な営業力と仕組みづくりで事業規模を拡大させる一方、「社員の満足度を上げる」という命題に向けて様々な取り組みを積み重ねられています。その背景には、社長就任後、最後まで溝を埋めることができずに社員をリストラしたことへの後悔、経営者どおしの言い争いを社員に諭された経験など、赤裸々に語って頂いた過去の失敗があります。このため、明石さんが自社の経営指針を策定された際には、社員に対するアンケートを実施し、様々な社員の考え方を聴いたそうです。その中で“会社への期待とお願い”という問いかけでは、かなり辛辣な意見がたくさん噴出したそうです。それを、勇気を持って受け止め、できること・出来ないことをきちんと説明していかれたそうです。一つ一つ説明していくことで、心の荒んでいた社員の方も少しずつ変化していったということです。

実は、当社の経営指針策定に際して、明石さんにアドバイザーを務めて頂いています。明石さんからの助言を受け、当社でも同じような社員アンケートを実施しました。その中で、厳しい意見をたくさん頂きました。しかし、そういう意見が出てくることが実はとてもありがたいことな訳です。本当に荒んでいる会社や、社員が諦めている会社だったら、そういう意見が出ること自体がないでしょう。厳しい意見こそ、会社への期待と受け止め、前に進む勇気。それを明石さんから頂いたと考えています。

そして、明石さんが実施された様々な取り組みのうち、これまでで一番効果があったと感じていると言われるのが「サンクスカード」という取組みだそうです。明石屋では、半期に一度、経営指針発表会を開催されます。その際、社員全員が個人目標を発表し、その後、お互いに労いの言葉を綴ったサンクスカードを社員どうしで交換するという取組みを実践されています。これをはじめてから、場が和み、笑顔が増え、一体感が出たと話されました。今後とも、そのような、「お互いが誉め讃えあうことの出来る社風」を目指したいと語られます。社員どうしで示しあう感謝の気持ち。このことは、直接お客さまと接することに少ない職場で働く者にとって、とても大きな励みやモチベーションにつながると思います。当社でもぜひ取り入れていきたい素晴らしい取組み、そしてその実践方法を伺うことができたと考えています。

3. 社長自身が広告塔になって訴えていく~新卒採用にかける情熱~

明石屋は、明石さんの事業継承以降、常に成長してきた会社ということもあり、近年では慢性的な人員不足の状態が続いているそうです。そして、営業担当者が定着しない、さらには中途採用では人が集まりにくい、という状況が続き、現在では中途採用を諦め、新卒採用に切り替えられています。そして、平成24年度、同社初の大学卒の新卒採用(2名)を実施されたそうです。さらに、平成25年4月からは3名の新卒者を迎えるそうです。まさに成長している会社ならではです。

しかし、新卒採用に取り組む過程でもさまざまな試行錯誤があったようです。一番は、島根県松江市に本拠を置く卸売業では中々特徴を出せない、ということ。魅力に感じる会社、夢があるわくわくする会社として就活する学生の目に映らない、という悩みです。確かに、卸売業自体、花形の業種ではありませんし、企業(食品加工業者)向けの事業ですので、一般消費者の目線ではイメージが湧きにくいのが実態でしょう。そこで、明石社長が取り組まれたのが、「自分自身が広告塔となって訴えていく」ということ。就活イベント等では必ず自分が出向いて自分の言葉で語る。明石屋のホームページには、経営理念から各種施策、明石屋の事業意義、100億円の目標など、明石さんの考えていること、実践していることがしっかりと整理されています。

そうやって取り組むうちに、明石さんの考えに共感する学生が徐々に増えてきたそうで、その結果が平成25年4月からの3名の新卒者採用ということでしょう。新入社員が入ることで既存の社員の教育にもつながる、既存の社員が襟を正すきっかけになる、とも話されます。そのことは、私自身も実感します。当社においても平成24年4月、11年ぶりに2名の新卒採用を行いましたが、社内の雰囲気は大きく変わりました。なにより私自身が変化します。今後40年以上も会社生活を送ることになるであろう若い子たちが成長するステージ、将来にわたって活躍できる場づくり、そのための教育、そういったことにしっかりと取り組まねばならないと改めて自覚するきっかけになります。

先日、島根県商工労働部の主催で開催された採用セミナーでも同じような話がありました。成長している会社は社長が採用にかかわっている、のだそうです。まさにその手本が身近にあり、話を聴くことができる。そのことに感謝し、私も実践につなげたいと考えています。

例会の様子

明石さんの最後の言葉が、明石さんの人生、そして仕事に真剣に向き合っていることを如実に示していました。「一度きりの人生、まだまだ満足出来ない。死ぬときに満足できる人生だったと思える人生にしたい。」と断言されます。そして、真剣に企業経営に取り組む中で、自己中心的な思考から徐々に意識が変わってきたとも話されました。私自身も、最初に経営を引き継いだ時は、自分の為に経営していました。しかし明石さんをはじめ、様々な経営者と出会う中で、意識が変わってきました。社員の物心両面の満足度を高めるために全力で奔走される明石さん。その姿に少しでも近づけるよう、自分自身もさらに努力し、また結果を出さなくてはならないと強く感じさせてもらえる、大変意義深い例会となりました。

2013
03.08

2013年2月26日、島根県商工労働部主催の採用セミナー『採用活動の「イロハ」教えます!』が開催され、私も参加してきました。今回のセミナーは新卒採用にターゲットを絞った内容で、株式会社ザメディアジョン・リージョナル代表取締役 北尾洋二さんを講師に迎えて開催されました。受講料は無料。普通にお願いすればそれなりの講師料が必要な方だと思いますが、島根県の施策として地元企業を対象にこのようなセミナーを開催して頂けることは、大変ありがたいことです。

当社における新卒採用は、平成24年4月に実に11年ぶりの新卒採用(高卒)を実施、平成25年4月からは、これも十数年ぶりの大卒の新卒採用が決定しています。平成26年度以降も、年1名以上の新卒採用を継続したいと考えています。それは、言うまでもなく、新卒採用が事業を伸ばし、会社を活性化させるために必要だと確信するからです。このため、今回のセミナーも大変興味深く聴くことが出来ました。その中の気づきを少し整理しておきます。

セミナー風景

1.採用活動のポイントと手順~求める人財像の明確化と共感されるメッセージ~

本セミナーの中心的事項の一つ、「採用活動のポイント」として次の2点が示されました。一つは、求める人財像の明確化、もう一つは、共感できるメッセージの発信、です。

私自身、大変納得できるポイントです。そして、この2つの要素はおたがいに密接にかかわっていると感じます。求める人財像が明確になっていればこそ、しっかりとした、ぶれないメッセージを発信できるはずです。そして、求める人財像を明確にするためには、会社の理念、考え方、目指すべき方向などを明らかにする必要があります。そして、これらが明らかになれば、学生側も共感できる・できないの判断がしやすくなるでしょう。いずれにしても、会社の考え方や方針に共感できなければ、その組織に加わってもいい結果は生まれないし、その方自身やその会社のためにならないのは間違いありません。

そして、企業側が採用活動に向う際の手順として、次の5項目を示されました。1)自社の採用方針の整理、2)自社の魅力の整理、3)求める人財を具体的に表現する、4)発信手法を選ぶ、5)環境整備、と続きます。この中で特に大事だと感じたのは、2つめの「自社の魅力の整理」です。

説明の中で、魅力とは“採用する人財に約束できること”である、との指摘がありました。その会社に入ることで、採用された方にどのような未来があるのか、どのような活躍の場があるのか、それをイメージできるように伝えることができるか否かだと感じます。そして、これは採用時のことだけでなく、お客さまをはじめ、様々な利害関係者の方々に対して示すことができるものでなければならないものでしょう。“自社の魅力”とは採用活動のために探し出すものではなく、日頃の事業活動を通じてつくり上げもの。そう考えて、自社事業の新しい方向づけ、企業風土づくり、環境整備・環境改善に日々取り組まなければならないと再認識したところです。

2.自己開示(オープンマインド)が就活を活性化させる

今回のセミナーで印象に残った事項の一つとして、「企業側が自己開示しないと学生も心を開かない」という指摘がありました。

企業の現状を率直に伝えることこそ重要だという訳です。採用する側としては、採用する学生がどのような人物で、どのような能力、経験、考え方を持っているのか、すべて確認した上で採否を判断したいと考えます。その一方で、企業側は就職しようとする学生に対して十分な情報開示をしているのか、という話です。大企業はいざしらず、中小企業で、我々のような本当に小規模な会社の場合、会社の実態をさらけ出すことは勇気が要ります。いいところだけを見せたい、と考えるのが自然ではないでしょうか。

しかし、今回のセミナーでは、悪いところも含めて敢えてさらけ出すべき、との話がありました。会社からみて就職活動を行う学生の立場に立って考えれば、彼らが知りたいのは、表面的な話ではなく、「実際のところどうなのか?」という情報でしょう。会社側と学生側、お互いがお互いの立場に立って考える。相互の情報開示によって歩み寄ることが出来れば、会社にとっては欲しい人材を得る機会となり、学生にとっては自分が望む職場で働く機会を得られる。そのような就職活動におけるWINWINの関係を作り出すことが期待できるのではないでしょうか。

これは面接においても同様のことが言えると思います。先般、当社に急遽大卒の新卒採用の話があったときのことです。最初の面談を行った際には、当社の弱みを積極的に開示しました。例えば、新入社員の教育研修制度。当社にきちんとした仕組みはありません。なにせ、10年以上も新卒採用したこともない訳ですから、ある方がおかしい(笑)。そういったことも率直に伝えました。それでも当社で働いてみたいと言って頂ける方に来て頂かないと、私自身、現状で引き受ける訳にはいかないと考えたからです。5年後、10年後もそれではいけないでしょう。しかし、「今後、どうなるのか?どうしたいと考えているのか」についてはある程度説明が出来たと考えています。現状は現状として捉え、その共通認識を持った上でやっていく。今後とも、そのような率直な説明を心がけていきたいと考えています。

 3.成長している企業は社長が採用に関わっている

セミナー後半で、興味深い話がありました。それは、「成長している企業は社長が採用に関わっている」というものです。

社長こそがその会社の最前線である。その会社の姿を表している。その社長が採用に関わることこそ最大のPR。中小企業であればなおさらです。今日では、フェイスブックなどの実名型のSNSメディアの発達により、就職活動中の学生でも、対象とする会社の社長のフェイスブックに直接アプローチすることが出来ます。これは、従来では考えられなかったことです。だからこそ、社長自身が、自らの言葉で会社をどうしたいのか、そのためにどんな人財が欲しいのかを語ることが必要なのでしょう。中小企業の採用活動という局面では、これまで以上に社長自身の発信力が大きな差をつけていくことになる、それは私自身も感じるところがあります。

私自身の経験では、昨年末に島根大学総合理工学部地球資源環境学科の3年生を対象に、当社の会社紹介をさせて頂く機会を得ました。この時は、社長である私自らが出向き、直接学生のみなさんに話をさせて頂きました。前述した、今年の4月に新卒採用する方は、この時のPRをきっかけに学校側から照会があり、急きょ面接・採用決定したという経緯があります。面接の際に聞くと、私がこうして毎週書いているブログも読んで頂いており、日頃社長がどんなことを考えているのか、ある程度把握して頂いていました。また、ホームページや会社のFAECBOOKページ等も見た上で、当社への就職を希望して頂きました。今回のセミナーで話をされたことを先駆けて実践出来きていたようで、これまでの考え方や進め方が間違っていなかったという感触を得られ、嬉しく感じたところです。

次年度以降の採用活動においても、社長自らが最前線に立ち、社長の言葉で会社の将来、進むべき方向、必要な人財像を語りたいと思います。その上で共感して頂ける多くの新しい仲間を迎えることが出来るよう、引き続き取り組んでいきたいという決意を新たにすることが出来ました。

セミナー風景(その2)

今回のセミナーでは、参加者による「グループワーク」も行われ、参加した県内企業の経営者、総務人事担当者の方々と色々と話をする機会がありました。内定を出しても、さらにランクが上の企業や公務員の内定を得ると辞退してしまう。そんな、地元企業における採用活動の難しさも伺いました。だからこそ、前述の「自社の魅力」を本当に魅力ある者にすることが重要だと感じます。さらに、小規模な企業に目を向けてもらうためには、「今どうなのかではなく、今後どうなるのか」が大事だと考えています。採用した方が将来活躍する姿をイメージできるような将来像、方向性を示せるのかどうか。これは、新卒採用も含めて、事業を発展させるために必要な経営者の極めて重要な仕事だと確信します。そう感じてもらえる会社になれるよう、これからも日々努力していきたいと考えています。