島根県中小企業家同友会

島根同友会 新入社員研修~会社の異なる“同期”が切磋琢磨することで見えてくる島根の未来~

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2013年7月27日(土)、島根県中小企業家同友会の新入社員研修が開催されました。会員企業の新入社員(今回は入社3年以内までを対象)を対象とした研修で、島根同友会としては初の試みです。今回、13社から21名の参加者がありました。中小企業では採用できる人員数が限られますし、教育の体制も整っている訳ではありません。このため、体系的な新入社員研修の類は中々実施できないのが実情です。このため、同友会という組織でまとまり、大手企業にも引けを取らず、また、同友会に所属する中小企業らしい新入職員研修が企画され、今回実現に至りました。当社からも1名新入社員が受講するとともに、私自身も経営理念・経営指針ということについて、30分弱話をさせて頂く機会を頂きました。今回の研修を通じた気づきをまとめておきます。

研修会場の様子

1.“笑顔”は一生の宝もの~トレーニングで笑顔をつくりあげる~

今回の新入職員研修は、島根同友会会員でもある㈱島根人材育成の柳樂 由紀さんを講師に迎えて開催しました。研修は、大きく、1)ビジネスマナー(仕事観、印象、立ち振る舞い、電話対応)、2)コミュニケーション(報連相談)、3)経営理念(自分のキャリアビジョン)、という内容で構成され、半日をかけて実施されました。グループワークを中心に構成されており、参加者も取り組みやすかったようです。新入社員だけでなく、一般社員そして経営者が聴いても学びになることがたくさんあり、基本の大切さ、そして、いかに我々が“マナー”や“基本”を知らずに日々仕事をしているのかを痛感する機会でもありました。

印象に残るお話として「笑顔は一生の宝もの」という言葉がありました。ビジネスマナーとして笑顔を身につけてもらいたい、というものです。笑顔の持つ様々な効果について説明して頂きましたが、何より、笑顔は相手に安心感と信頼感を与えてくれる。笑顔を身に付けることで、相手とのコミュニケーションが全く異なってくる。恥ずかしがらずに笑顔を身に付けて欲しい、というものです。

大事なことは、「笑顔はトレーニングしないとできない」のだそうです。講師の柳樂さんも日々訓練し、いつでも自然な笑顔がつくれるようになったそうです。「笑顔は一生の宝ものになる」ともおっしゃいます。笑顔のすてきな人になれば、同じ出会いの中でもこれまでとは違った展開を見せるかもしれません。なぜなら、相手が安心し、信頼してくれるから。そして、マクドナルドのメニューにもあるようにスマイルは0円です。コストはかかりません。お金をかけずに身に付けることができる宝物。誰もが今一度考えてみるべき、いいお話を伺ったと思います。同じような話が、「電話の3S」というお話にもありました。スマイル、シュアリー、スピーディー、という3Sです。その第一がスマイル。笑顔で話すと声が変わる。心の笑顔、「笑声」(えごえ)と呼ぶそうです。相手の表情や身振りなどが見えない電話だからこそ、心が伝わるよう誠意を持って対応する。そこでも“笑顔”が大切になってくる。

自分を振り返ると、恐らくは一日の大半を難しそうな顔をして過ごしているのではないかと反省します。社長に就任した当初ほどではないかもしれませんが、サラリーマン時代よりも笑顔が減ってきている実感はあります。笑顔になれない理由も多々あります。しかし、だからこそ、「笑顔トレーニング」が必要なのでしょう。“笑顔を意識する”というレベルではなく、職場をそして会社を良くしていくための取り組みとして、“トレーニングする”、ことを実践していきたいと考えています。

2.共感できる経営理念の下でこそ、社員は安心して働くことが出来る

今回、新入職員研修の第3講で、「経営理念」について話をする機会を頂きました。これは、今年度から島根同友会で「経営労働委員長」という役割を頂いたことがきっかけです。経営労働委員会は、同友会会員が経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を策定することを支援していくことを中核的な活動とする委員会です。そこで、新入社員のみなさんに、なぜ経営理念や経営指針が必要なのかを説明し、会社の理念や方向性と、新入社員のみなさんの将来ビジョンとを上手く擦り合わせていくことを狙ったわけです。

私は、一昨年、経営指針を新たに策定したばかりで、偉そうに講義ができる立場ではありませんが、今回、この話をさせて頂くにあたり、「経営理念」とは何なのか、改めて考える機会を頂いたと感謝しています。経営理念とは、事業経営を行うにあたって経営の基本的なあり方を表明したものです。企業の目的は何か、何のために経営を行うのか、どのような会社を目指すのか、等を示します。確かにそうなのですが、その用語説明的な解説で新入社員のみなさんが果たして腑に落ちるのか、それが気になっていました。その中で行き着いた私なりの一つの見方があります。

それは、理念とは「善きこと」が前提だということです。一日一善の“善”。何も難しことではなく、人にやさしくする、困っている人を助ける、ウソをつかない、という善い行い。こういった価値観は、国や地域、時代を超えても共通するものがあるはずです。事業も同じで、「人を傷つける」とか「社会を不安に陥れる」といった理念を掲げて経営する会社はあり得ません。人の役に立つ、地域に貢献する、社員の幸せを追求する、といったことが謳われます。だから、“経営理念を明確に掲げている”という時点で、その会社は善きことを行おうとする会社である訳です。後は、その理念にウソがないかどうか。ウソがなければ、理念に共感して入社した社員と経営者との間に自然と信頼関係が生まれてくるでしょう。社員と経営者の間に信頼関係がある会社であれば、その将来は明るいと言えます。

また、社員には一人の人間として様々な価値観を持っています。働く際にもその価値観を重視したいと考える。一方、経営理念とは、いわば会社の価値観であり、倫理観です。特に新入社員であれば、自分自身の価値観が明確にしきれていない、また、倫理観も定まりきらない、という面もあるでしょう。そんなとき、経営理念があることで、自分自身の価値観と会社の価値観を擦り合わせ、安心して働くことができる。また、会社の倫理観が明確になっているから、仕事上の様々な判断・決断の局面で、倫理観を社員個人に依存させないで済む。このような働く上での安心感、信頼感を生みだす源泉もまた、経営理念ではないかと考えています。

3.新入職員研修で出会う“同期”が切磋琢磨し、島根の未来を築く

今回、同友会会員のうち13社21名の参加がありました。業種も経歴も異なる様々な受講生が参加していましたが、このメンバーが「同期」として今後とも交流を深め、切磋琢磨していくことを、社員共育委員会では期待しています。

同じ時に同じ会社に就職する「同期入社」には、不思議な縁があります。私も、最初に就職した会社では同期が30名弱いました。年齢はまちまちであっても、“同期”という縁でつながる一つの仲間であり、友人であり、ライバルでもある。時には愚痴も言いあい、バカ話で盛り上がりもしますが、それだけではない。同期のあいつが頑張っているから、自分も頑張れる。同じ目標に向って切磋琢磨する仲間がいることは心強いものです。ところが、中小企業においてはそういった同期の仲間をたくさん得ることができません。一人採用するだけでも大変な決断が要る会社もある中で、複数名の新入社員を確保することは困難なのが実情です。

そこで、同友会という共通の学びの場に属する会社に同時期に入社した新入社員を「同期」としてまとめ、新入職員研修、フォローアップ研修などを通じてさらに交流を深めていく、というやり方が考えられる訳です。同じ会社に同期がたくさんいればそれに越したことはないかもしれません。しかし、同じ時期に社会人となり、同じ研修を受けた仲間がその後どう頑張っているのか、お互いに刺激し合い、成長していくことができれば、それはお互いのためにもなるし、それぞれの所属する会社のためになります。業種が異なる“同期”ならではの交流を通じ、気づきや学びもあることでしょう。

島根同友会が初めて開催した新入社員研修には、“同期をつくる”という大きな目的も含まれていました。この同期のメンバーが共に育ち、それぞれの会社を伸ばしていく。それは、結果的にこの島根の地域を活気づけていくことにつながります。地域がなくなれば、地域の中小企業もありません。一人で会社に就職しただけでは得られないものがたくさんあるはずです。当社から参加した新入社員もこの同期のメンバーに加わり、社内だけでない様々な世界を知り、感じ、大きく成長してもらいたいと考えています。

経営理念について話をさせて頂きました

今回の研修会を企画運営したのは、島根同友会の社員共育委員会のみなさんです。同友会では、「教育」を「共育」と表現します。共に、育つ。経営者と社員とが共に学び、成長することで、会社も維持発展する。他県の同友会では、経営者と会社のリーダーが一緒に様々な研修会に参加して信頼関係を深めながら、より良い会社づくりに取り組んでいる事例がたくさんあります。今回の新入社員研修でも、受講生である新入社員に加えて、聴講者として受講生を派遣している会社の経営者が多く参加され、同じ講義を聴講して様々な学びを得ました。これも、島根同友会における“共育”の第一歩と言えるでしょう。新入社員を採用するということは、経営者が新しい社員と一緒に新しい学びに関われる貴重な機会を得るという事でもあります。当社では、今後とも新卒新入社員の採用を続け、経営者と新入社員とが共に育つ場づくりを継続し、会社の維持発展に取り組んでいきます。

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コメント

  1. 岡 英樹 より:

    新入社員研修には同友会らしい共に育つが根底の深い意味があったのだと僕も深い共感と気づきを得ました。

    1. kwc134026adtor より:

      岡さま、コメントありがとうございます。私も実際に参加してみたことで新たな気づきを頂きました。今後ともよろしくお願い致します。

  2. 岡 英樹 より:

    新入社員研修には同友会らしい共に育つが根底の深い意味があったのだと僕も深い共感と気づきを得ました。

    1. kwc134026adtor より:

      岡さま、コメントありがとうございます。私も実際に参加してみたことで新たな気づきを頂きました。今後ともよろしくお願い致します。

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