2014
09.17

2014年9月9日(火)、島根県商工労働部雇用政策課が主催する、平成26年度「人財塾」にて、ネッツトヨタ南国の視察研修に参加させて頂く機会を得ました。前回のブログでも取り上げましたが、学びの要素があまりに多かったので、“その2”としてもう一度整理しておくことにしました。ネッツトヨタ南国の横田英毅相談役の語られる“人間性尊重”の経営、私自身がさらに理解を深め、当社の経営に役立てていきたいと考えています。

講演するネッツトヨタ南国横田相談役

1.「人間力」しか突破口がない

人間力しか突破口がない。講義の冒頭で横田相談役が話をされた重要なテーマです。

その前提として、現在、“働く日本人を窮地に追い込む2つの力”について話がありました。1つは、ハングリー精神、向上心、勤勉、低賃金、です。何の事かと言えば、20億人とも言われるアジア・途上国の労働力です。もう1つは、産業機械、ロボット、IT機器。人間の何百倍、何千倍というスピードで仕事を処理することができるもの。この2つが日本人の“仕事”のありように大きく影響を与えていることは間違いありません。これからもその傾向は続くでしょう。この2つの力にどう対抗するのか。その答えが、「人間力」だという訳です。

では、人間力とは何なのか。「生きる力」と同義だと横田相談役は説明されました。そして、生きる力とは、「問題を発見して解決する力」。それはすなわち、経営力とも呼べるもの。すなわち、人間力=経営力=生きる力、であり、さらには、“精神的な若さ”であり、“鬼の大きさ”であり、“人生の勝利者”である、と続きます。鬼の大きさ、とは聞きなれない言葉ですが、人材像の例えとして、“鬼(発揮能力)”と“金棒(保有能力)”で説明されました。日本の教育は“金棒”=知識だけを大きくしてきたのではないか。本当はそうではなく、金棒を自在に操り、自分自身の未来を切り開く力(鬼)を育てる(大きくする)ことが大事ではないのか、という指摘です。精神的な若さとは、人生への興味、想いやり、感謝の心、探究心、創造力、強い意志、といったものであり、これも人間力そのもの。

問題は、改めて問われれば、誰もがこれらが大事なものだと答えるが、日頃から大切に思って高めていこうとしている組織は少ない、ということです。考えれば分かるのだが、普段大事にしていない。だから、個人も会社も良くならない。やらなかったら、やらなかっただけの結果しか手に入らない。行動、言動を変えていく。そこをやっていかないと良くならない、ということです。前回ブログにも記載した、「経営とは変えること」という言葉の意味を改めて理解するところです。

2.ベクトルは採用の時に合わせる

「ベクトルは採用の時に合わせる」。改めてその意味の深さに気づきます。

ネッツトヨタ南国では、採用に際して20時間から最大200時間をかけて新卒者と接触し、社内を隅々まで見せた上で採用を決定するそうです。その過程で、ネッツトヨタ南国の価値感をしっかりと説明し、一方で応募者の価値感についても確認する。横田相談役は、ネッツトヨタ南国で多くの社員を採用してきた経験から次のように話されました。「変わらないのは人柄、その次が価値観」。その人が持つ価値観は入社後も大きくは変わらない。だからこそ、入社に際して合せておかなければならない、という訳です。

当社でも、経営指針を策定して以降、採用に際しては経営理念や経営方針を説明し、その内容について承知してもらった上で採用を決定する、という取り組みを、形の上では実施しています。しかし、採用までにかけられる時間は限られています。高卒の新卒採用は限定的にならざるを得ない面もありますが、一人一人がどんな価値観を有しているのかまで踏み込んで理解し、採否を判断するという段階にはほど遠いのが実情です。

“入社に際して会社の価値観と刷り合わせをしっかりしておく”という指摘自体は、改めて聞けばそのとおりであり、異論もありません。だけど出来ていない。出来ない理由は色々あるでしょう。しかし、前述の「人間力」の話と同様で、言われれば大事なことだと分かるが実際には行動に移していない、大切にしていない、ということ。それが問題だという好例ではないでしょうか。採用に関してどこまで手間暇をかけられるか。その差が、1年後、5年後、10年後、会社にとって大きな違いとなり、顕在化する。ネッツトヨタ南国を視察させて頂き、改めて感じたところです。

さらには、「組織とは、その組織にとって必要のない人間には居心地を悪くしておかなければならない」とも指摘されました。確かに、良くも悪くも、価値観の合わない組織とは居心地が悪いものです。それがお互いのためでもあるでしょう。だからこそ、組織の価値観は明らかにしておく必要があるし、組織が目指すべき目的に向かうためには真っ先に必要なことなのだろうと理解するところです。

3.難しい仕事が回ってくるかどうか

難しい仕事が回ってくるかどうかで自分のポジションが分かる。

最後に行われた社員の方々との意見交換でのコメントです。前段の講義において、横田相談役は仕事の「やりがい」こそが“幸せ”だと説明されましたが、社員は実際にどう思っているのか、大変興味がありました。どういったことが仕事の喜びと感じるか、どんな時に自分が評価されていると感じるか、という趣旨の質問に対する回答です。難しい仕事=面倒くさい、ではなく、そのことを誇りにも感じられるという風土。社員教育のレベルの違いを垣間見た瞬間です。

ネッツトヨタ南国では、各職場から選らばれたメンバーで3つのプロジェクトが常に動いているそうです。イベント企画委員会(※名称は正確でないかもしれません)、あたりまえ委員会、こんにちは委員会、の3つがあり、イベント企画委員会では、年2回、お客さまを対象にした大きなイベントを企画運営します。これはすべて時間外で行われ、「部活のようなもの」なのだそうです。そして、「教育の場」であり「会社の風土と先輩の想いを引き継いでいくもの」と、参加する社員自身が認識した上で実施されています。

そのこと自体が驚きであり、素晴らしいのですが、このようなプロジェクトのリーダーが回ってくるかどうか、が社員の中では評価の一つとして認識されている訳です。100名規模のお客さまを動員して開催する大きなイベントのリーダー。それは難しい仕事に間違いありません。しり込みしてしまいたい気持ちもあるかもしれません。しかし、それでもその仕事が回ってくることを喜びとする風土。一朝一夕にできるものではなく、先輩から後輩への引き継ぎが繰り返されることで培われるものでしょう。

整備工場内の見学

今回の視察研修での学びは、本当に有意義なものとなりました。経営者となって5年半ほどの私ですが、このタイミングでこの研修を受けることが出来たことに感謝したいと思います。もっと早い時期に来ていたら、理解が薄かっただろうと思います。くしくも、2014年9月18日(木)には、島根同友会を代表し、第42回青年経営者全国交流会in奈良で報告をさせて頂きます。そこでの報告は、これまでの経営者人生の棚卸であり、今後に向けた飛躍のステップにしたいと考えていました。その前にこの研修を受けることが出来たのも、巡り合わせであり、意味あってのことだと捉えています。今回の学びをしっかりと受け止め、会社と社員のさらなる飛躍に向け、しっかりと取り組んで行きたいと考えています。

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