温泉めぐり

社長の温泉めぐり26 出雲湯村温泉(元湯公衆浴場) 島根県雲南市木次町

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

26箇所目は、島根県雲南市木次町の「出雲湯村温泉(元湯公衆浴場)」です。訪問日は、2010年11月6日です。

出雲湯村温泉は、奈良時代には温泉地として活用されていたという記録が残る、由緒ある温泉です。1000年以上前から、40℃以上の温泉が地上に湧出し続けているというのは大変貴重なことです。はるか昔の様子に思いをはせながら入浴できるというのは、最近開発された温泉には無い魅力です。元々、奥出雲の秘湯的な温泉のようで、現在でも公衆浴場が1軒、民間宿舎が2軒あるのみです。今回入浴したのは公衆浴場の方ですが、川沿いの細道に小さく佇む浴場は“秘湯に来た”という雰囲気を醸し出しています。

元湯公衆浴場 外観

元湯公衆浴場の中も、木材の質感を活かした懐かしい感じがする造りです。浴室内は石風呂風の浴槽のみのシンプルなつくりで、やや暗めになっていることも相まってゆっくりとくつろげる雰囲気です。後で説明しますが、大きめの木製の湯桶が特徴的です。風呂は結構深めになっていて、底にお尻を付けると大人でも顔が浸かってしまいます。窓から脇を流れる斐伊川の流れを覗き見ることが出来るようになっています。

露天風呂もありますが、川沿いに向けた板壁が視界を遮り(見えることは見えるのですが)、開放感が少なめなのが残念でした。また、温度がかなりぬるめで、冬場は少し寒いのではないかと思いました。

浴室の様子(誰もいなかったので撮影)

泉質はアルカリ性単純温泉です。やさしい泉質で入りやすい温泉と言えます。

単純温泉ではありますが、成分分析表によれば塩素イオンの濃度が一番高く出ていますので、繰り返し入浴することで、切り傷、火傷、慢性皮膚病など、塩化物泉が持つ適応症の効果を期待することもできると考えられます。また、成分分析表にはphの記載がありませんでしたが、“アルカリ性単純泉”ですので、ph8.5以上はあると考えられます。実際の入浴でも、いわゆる美肌効果を短時間で感じることが出来ました。

洗い場、脱衣場も特徴的です。

まず、洗い場にはシャワーがありません。さらに、洗い場は2箇所のみで、木製で長方形の大型の桶に源泉が注がれており、そこから洗面器でお湯を汲んで体を流します。洗い場でのシャワーに慣れた方は面食らうかもしれませんが、たまにはこういったスタイルも趣があります。ボディソープとリンスインシャンプー、せっけんが備え付けてありました。

脱衣場にはロッカーが無く、籠が20個ほど置いてあるだけです。貴重品は脱衣場前の貴重品ロッカーに入れるようになっています。さらに、1回100円でお金が返ってきません。さらにすごいのは、洗面台が無いということ。脱衣場で手を洗うことができません。鏡が1枚、そこにドライヤーが1つあるだけ。本当に必要最低限のものだけです。その他、家族風呂が別棟にあり、浴場の棟と家族風呂の間に足湯があり、だれでも利用することが出来るようになっています。足湯は、すぐ近くを流れる斐伊川を眺めながらくつろげるようになっており、良い雰囲気を出していました。

この公衆浴場は、平成13年に改築されたようです。昔の姿は知りませんが、おそらく昔ながらの湯治場の雰囲気を残すことを重視し、敢えてこのような(ある意味不便な)しつらえで改築したのだと思います。そのこだわりに感心します。

入浴料は大人320円という設定で、端数があるのは珍しいです。受付には地元の方でしょうか、番頭さんがいらっしゃいます。しかし、入浴券は券売機で購入します。色々経緯や背景があるのでしょうが、せっかく人を配置するなら券売機はやめて直接お金を支払う方がこの温泉の雰囲気には合っていると思いました。

河原にある野湯

この温泉の最大の特徴は、公衆浴場から少し離れ、河原に降りると野湯(のゆ、やとう)があることです。

河原から自噴している温泉を囲って風呂にしてあり、利用者は自由に入ることができます。島根県内では珍しく、ここぐらいではないでしょうか。着替えのための施設も目隠しもありませんので、そのつもりで利用する必要がありますが、まさに“自然の中で自然恵みを体感できる“貴重な場所となっています。訪れたのが昼間だったので私はさすがに利用しませんでしたが、聞けば昼間でも結構利用される方がいるそうです。私も、昼間から平気で利用するぐらいの温泉通めざして頑張りたいと思います。

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