2015
03.19

2015年3月14日(土)、協和地建コンサルタント株式会社 平成27年度経営指針発表会を開催しました。平成24年度からスタートし、4回目の経営指針発表会となりました。当日は、当社役員、社員に加え、金融機関のみなさん、協力会社のみなさん等、総勢36名の参加者を得て、第56期を総括するとともに、新3カ年計画並びに第57期の経営計画を発表しました。

平成27年度経営指針発表会 社長による報告

1.ピンチをチャンスにするための決断~飛躍に向けた試練の年~

第56期(平成27年3月期)の業績は非常に厳しいものとなりました。

昨年度、大変な好業績に沸き、その一方で手綱を緩めず行きたいと昨年度の経営指針発表会でも話をしましたが、見事にその反動を受けた結果となりました。原因はある程度明らかになっていますが、いずれにしても全ての責任は社長である私にあります。私がもっと早く今期の外部環境の変化を予測し、もっと本気で取り組みを進めていたならが、ここまでの不振は発生しなかったかもしれません。だからこそ、私自身に大きな反省と危機感をもたらし、経営者としての実力の無さ、至らなさを実感させてもらえる機会になったと考えています。

その一方、良く言われるようにピンチだからこそ、それをチャンスに変えていくことが必要です。今期、業績は振るいませんでしたが、仕事上余力があったこともあり、社内では様々な取り組みが進展しました。このブログでも紹介している3S活動(キックオフ大会第1回定例会第2回・第3回定例会)もそうですし、環境整備や新しいことへの取り組みを進めました。いずれも、必ず次年度以降、結果につながっていくと考えています。

新卒採用も継続しました。今年度(平成26年度)は大卒1名の採用、そして次年度(平成27年度)は高卒2名、そして、平成28年度も大卒1名の採用に向けて動き出しています。業績が不振に陥れば、採用活動については不安になります。私自身、そんなに人を増やして大丈夫なのか、という気持が無いと言えばウソになります。しかし、企業が継続的に発展していくためには、新たな人財の獲得は欠かせません。現状ではなく、将来を見据えて、決断が出来るかどうか、その試練を与えて頂いたのではないかと考えています。

業績の不振は経営者にとっての試練です。そこでどう決断するのか、どう振舞うのか、社員も、取引先も、金融機関も、当社を取り巻く様々なステークホルダーに見られています。だからこそ、今回の様々な決断が、後々振り返って“よかった”と実感できるよう、さらなる決意を持って次年度以降の取り組みを進めたいと考えています。

2.新3カ年計画テーマ「攻めの営業・市場創出」

今回、新3カ年計画を策定・発表しました。テーマは「攻めの営業・市場創出」です。

今更ながらの気づきではありますが、やはり中小企業の業績に大きく影響するのは「営業力」です。前述のとおり、第56期(平成27年3月期)の業績は大幅な減収減益となりました。一言で総括すれば、営業力の弱さが顕在化した、と考えています。当社のこれまでの営業は、「待ちの営業」でした。公共事業の元請け受注を除けば、可愛がって頂いているお客さまから継続的に仕事を頂く案件、過去にお世話になったお客さまから紹介して頂く案件、そういった仕事を積み上げて売上を創っていました。大変ありがたいことですが、その現状に甘えていたことがハッキリしたのが今回の業績不振だと考えています。この体制を転換し、こちらから攻めていく営業体質、より当社を知って頂き、当社の強みを理解して頂けるように切り替えていきます。営業に携わる要員を増強するだけでなく、会社組織全体で営業活動に取り組める体制を今一度創りなおす計画とし、各部の取り組みに展開しています。

もう一つは「市場創出」です。従来型の公共事業市場の縮小は規定路線です。今年度、その影響をもろに受けました。分かっていながらそうなるのは経営の至らなさです。今更いい訳してもどうにもなりません。これから必要なのは、既存の仕事に変わる新しい市場を創っていくことです。当社の新市場は「地熱・地中熱」という市場です。島根県及び山陰エリアではまだまだ認知度が低い領域です。新しい市場は自ら動いて生み出していかなければ具体化しませんし、会社の発展もありません。具体的な取り組みとして、「地中熱融雪市場」の創出にも既に着手しています。そして、これからは、単独で取り組んできたこの新しいエネルギーの普及促進を、業界全体、或いは興味を持つ仲間たちと一緒に広げていきます。その結果、新3カ年計画では、3年後、この新しい市場での仕事量を、総受注額の1/4まで高めていくことを目標としています。

いずれにしても、一朝一夕にいくことではありません。しかし、動きださなければ結果もありません。必達に向けて、社内の総力を結集し、また新しい力を招き入れ、実現したいと考えています。

3.社員アンケートで“見える化”する当社の課題と変化の糸口

今回の発表会にあわせて、初めて「社員アンケート」を実施しました。

これは主に社員が仕事のやりがいという部分に対して、どのように感じているのかを簡単な質問項目で確認するものです。質問項目は、成長の実感があるか、自分で考えて仕事ができるか、自由に意見が言えるか、自分の努力は評価されているか、職場の人間関係はよいか、チームワークはよいか、セクショナリズムはないか、所属している組織が好きか、といったものを設定しました。メンタルヘルスに関する問題を抱える企業では、これらの質問に対して良い回答がでにくいのだそうです。

このアンケートは、2014年9月にネッツトヨタ南国で研修(その1その2)を受けさせて頂いた際に、同社の横田相談役から伺った話がきっかけです。横田相談役によると、一部上場の大企業などでこのアンケートを実施すると、前向きな回答は3割程度。それが中小企業では6割程度が平均とのことです。今回、当社では総回答数として、7割弱がこれらの質問に対して「そうである、まあまあそうである」という前向きな回答になりました。中小企業の平均的なところまでは達していると理解してよいかもしれません。

このアンケートのねらいは、働くことの幸せ、仕事のやりがい、など、目に見えないものを「見える化」するための取り組みの一つです。見える化することで、問題解決に取り組みやすくすることが出来ます。全体では7割弱が前向きな回答でしたが、唯一「セクショナリズムはないか」という質問に対しては、「ある」という回答が多くを占めました。小さな会社でも部門・組織間の壁があるとみんなが認識している訳です。しかし、それがこういったアンケートで明らかになれば、その結果を踏まえ、変化するための次の一手を打つことが出来ます。次年度は、まずそこに取り組みます。

そして、このアンケートは今後とも継続し、当社の変化を継続的に把握し、継続的な改善につなげていきたいと考えています。

交流会 来期の復活を誓います

前述の社員アンケート以外にも、毎回実施しているのが「施策アンケート」があります。今回も実施しました。1年間、社内で新たに取り組んだ様々な施策について、社員からみた評価を聴くものです。今回、“必要ない・あまり必要ない”と評価される項目数が減少から増加に転じました。この結果をどう評価するのか、ですが、実はいいことではないかと感じています。会社の中に様々な“変化”が生まれているからこそ、反発や違和感が生じ、“必要ない・あまり必要ない”という回答として顕在化している。ある社員から、「このアンケートがすべて“効果がある”と回答されるような組織は逆に不気味です。」という意見がありました。全体とすればいい評価をもらい続けているこのアンケート。社内の違和感も受け止めながら、より社員との対話を増やし、社内の変化を見逃さず、さらなる飛躍・発展を目指していきたいと考えています。次年度も協和地建コンサルタントをよろしくお願い致します。

2015
03.11

協和地建コンサルタントは、新卒採用に取り組み始めて4年目になります。これまで計4名(高卒2名、大卒2名)の新卒者が入社し、平成27年度も新たに高卒2名の採用が決まっています。そして、このたび平成28年度の新卒採用がスタートしました。平成28年度は大卒の採用を予定していますが、今年から新卒採用スケジュールが変更になったことに伴い、それにあわせた初めての採用活動をスタートさせました。その第一歩として、ふるさと島根定住財団(ジョブカフェしまね)が主催する「しまね企業ガイダンス」(合同企業説明会)に初めて参加しました。参加を通じて、地方の中小企業の採用活動に関して感じたことをまとめてみます。

企業ブースでの説明の様子

1.無名企業のアピールの場~企業PR&学生×企業交流会~

本番の企業ガイダンスに先立ち、当日オプション企画として、「企業PR&学生×企業交流会」なるものが開催されました。これは、企業ガイダンス当日の午前中に開催されたもので、企業のプレゼンと学生とのフリートークを組み合せたものです。

まず、午後からのガイダンスへの参加企業のうち、24社が2分で自社のプレゼンを行います。その後、7分間のフリートークを7回開催しました。1回あたり5~6名の学生がその会社の席(写真参照)を訪れてくれます。そこで、会社のこと、今後の就活のことなど、幅広く話をします。7分という時間はわずかではありますが、企業の経営者や採用の担当者と直接話をする機会をたくさん設けられるのは良いことだと感じました。

椅子取りゲーム風に学生が回ってきますので、中には、思い描く業種・業界とは異なる会社の席に来た学生も居たでしょう。それでも、これをご縁に会社を知ってもらうことで、当社に限らず、新しい出会いが生まれていきます。自分が想定する範囲外の出会いを創出していく。そういった取り組みは挑戦的でもあり、幅広くUターンを含めた地元就職を生みだしていくために必要なことだと感じました。

午後から開催された企業ガイダンスの本番では、この交流企画で当社のグループに来てくれた学生が、再度ブースを訪ねてくれました。これらの学生は、おそらく当社がこの午前中のイベントに参加していなければブースを訪れることは無かったでしょう。そういう意味では、圧倒的に知名度に劣る中小企業においては、企業側から様々な形で存在をアピールすることが重要であり、特に、こういったフェイス・トゥ・フェイスで話が出来る機会を大切にすべきと実感したところです。

2.中小企業の中でも格差を実感~しまね企業ガイダンス~

午後からは、企業ガイダンスの本番です。25分間×6サイクルで学生が興味を持つ企業のブースを訪れます。当社ブースに来場して頂いた学生は計9名という結果になりました。多いか少ないかはさておき、興味を持って訪れてもらったことに感謝します。

ここで実感するのは、地元企業であってもその知名度には格段の差があるということです。銀行系、大手製造メーカー系、公共公益機関系、マスコミ系、といった企業のブースは学生であふれかえっています。普通に生活していて名前を目にする会社、テレビCMを出しているような会社、そういったところはやはり強いのだなと実感します。一方、さほど知名度のない通常の会社は、2~3人程度。時には全く来訪のない時間帯もあります。当社も6サイクルのうち、1回は来訪者ゼロでした。確かに、協和地建コンサルタントなど、普通に生活していて知るはずもありません。

そういう中で幅広く人財を求めようと思えば、一つ一つのご縁を大切にし、つなげていくことが重要だと感じます。今回当社ブースを訪れてくれたのは前述のとおり9名。恐らくは少ない方でしょう。しかし、これを“少ない”と捉えるのではなく、“少数精鋭”と捉えたいと考えています。ブースでの説明はわずか25分。学生も会社のことが十分理解できた訳でもないでしょうし、企業側として得られる学生の情報は限定的です。少ない人数だからこそ、今後、きめ細かく対応していける。そういう発想の転換が必要ではないかと考えています。

3.フォローアップで独自性を出す~インターンシップの重要性~

知名度が限られる中で、自社が求める人財を獲得していくためには、前述のとおり、一つ一つの出会いを大切にしながら、その後のフォローアップで独自性を出していくことが重要ではないかと考えています。これは、このガイダンスに参加した同じような規模の企業経営者の方との話の中でも共通認識を得ました。

具体的な方法はインターンシップです。ふるさと島根定住財団でもインターンシップの企画を準備されていますが、会社独自でインターンシップを企画し、こういったガイダンスでご縁のあった学生をいち早く受け入れ、仕事の内容や会社の雰囲気を知ってもらうことが必要だと考えています。そういったきめ細かいフォローアップこそ、中小企業が差別化していけるところではないでしょうか。そのほか、財団では、今後もさまざまな形の企業説明会を企画されています。当社にあったものを活用し、学生とのいい“ご縁”を増やしていきたいと考えています。

いずれにしても、実際に職場に入ってみなければ本当のことは分かりません。インターンシップとて、限られた期間の中では何から何まで分かることはありません。しかし、小さな会社だからこそ、迎える側が本気で対応できれば、その気持ちは伝わるのではないでしょうか。そのためにも社員の中で、インターンシップというものに対する認識を強く持ってもらいたいと考えています。今年度、当社では大学生、高専、高校生、と計6名のインターンシップを受け入れてきました。社内の訓練の一つだと思ってたくさん受け入れました。インターンシップを受け入れるのを当たり前とする環境づくり。これも、いい人財を迎えるための方策の一つではないかと考えています。

学生との交流企画(車座でのフリートーク)

今回のしまね企業ガイダンス(合同企業説明会)は、島根県内の中小企業を対象としたものとしては、H28年度新卒採用の就職活動解禁後、初めてのものです。この前日には、「学生の”自分”商談会~リアルアドバンス~」が開催されました。これは、学生が自分を企業に売り込む、という趣旨の企画で、41名の学生がエントリーし、26社の企業が参加されたそうです。当社も参加を希望しましたが、残念ながら定員超過で参加できませんでした。当社は、今回の新卒採用から本格的に定住財団のお世話になっていますが、島根での定住促進に向けて、地元企業の採用活動に際して様々な施策を実施されており、大変頭が下がります。情報発信力に劣る地元中小企業にとってとても力強い支援になります。これからも、財団を十二分に活用させて頂き、未来につながる採用が実現できるよう、取り組んでいきたいと考えています。

2015
03.06

島根経営品質研究会の活動の一環として、「株式会社さんびる」さん(以下、「さんびる」と記載させて頂きます。)の第39期経営方針発表会及び創業祭(2015年2月28日開催)に参加させて頂きました。昨年度は都合がつかず参加できませんでしたので、1年ぶりの参加となりました。さんびるは、山陰を中心にビルメンテナンスや指定管理、教室運営などを中心に、多様な事業を展開され、近年では九州、関東など中国地方外のエリアにも事業を拡大されています。今回の経営方針発表会でも、この数年来の会社の成長を実感させて頂きました。(過去の発表会の様子 第36期発表会第35期発表会

さんびるでは、役職員全員をフルネームで呼び合います。「社長」とか「部長」といった呼び方はしません。このため、さんびるの代表取締役社長は田中さんですが、以下、“田中社長”ではなく、“田中正彦さん”とフルネームで記載しています。 今回は、田中正彦さんの発表会での発言の中から私の気づきをまとめておきます。

発表する田中正彦さん

1.発表会は魂を入れる場所

発表会の冒頭、田中正彦さんは「発表会は方針に魂を入れる場所、目と耳と魂を清めてしっかり納得理解して下さい」と語られました。言い換えて、企業価値、あるいは存在価値を入魂する、とも話されました。企業は方針に沿って事業運営を進めていきます。しかし、その前提にある企業の価値、存在意義、を社員一人一人が理解した上でなければ、本当の意味での企業価値の実現には至らない、という基本認識があると理解しています。

私の理解では、魂を入れるとは、頭で理解している理念であったり企業の存在意義であったりするものを、トップからの直接のメッセージを通じ、その場所と時間を共有することで社員一人一人が腹に落とすことだと考えています。そのため、さんびるの経営方針発表会では、全ての説明は田中正彦さんが行います。部署長が説明したりする時間はありません。全てトップが話をすることで、トップの想い、トップが進める方向性を明確なものにする意図があるのだと、以前聞いたことがあります。言うまでもなく、経営の責任は全て経営者にあります。だからこそ、発表会で伝える方針とその魂は全てトップが語る。それを徹底されているのが、さんびるのやり方ということでしょう。

そして社員にどう伝えるのか。田中正彦さんは、冒頭、「本気でやっていけない人は、どうぞゆっくり辞めて下さい」、「能力があっても覚悟が出来ない人は、どうぞ他社で能力を発揮して下さい」、と明言されます。このことは、さんびるの経営方針書に書いてあります。だから、明確に発言して構わない。その一方で、社長自身が先頭に立ってやりつづけることもまた明言する。それが毎年行われます。全マネジメント社員とたくさんの来賓の前で繰り返し明言するからこそ、社員にもその本気度が伝わり、社員に田中正彦さんの魂の言葉が注入されるのだと実感しています。

2.鉄砲は売らない、玉を売る

田中正彦さんが発表会を通じて強調されていたことの一つが、さんびるのビジネスモデルについてです。すなわち、「鉄砲は売らない、タマを売る」ということ。要するに「繰り返し発生するお客様の需要に答える」ということです。さんびるの主力であるビルメンテナンス、指定管理業務、教室運営、といった領域はまさにそれに該当します。また、新しい事業領域として、空調設備の領域にも進出されていますが、これもエアコンなどの設備工事の受注をねらっているものではなく、その受注後の設備メンテナンスを定期的な仕事にしていくことを目指しています。

この、繰り返し発生する需要に答えるという観点、建設業や建設関連業に従事する者にとっては、非常に頭を悩ませる大きな課題です。建設業は、基本的に一品ものであり、一度きりの商売です。もちろん補修や修繕もありますが、繰り返し定期的に(もっと言えば毎年)発生する需要ではありません。このため、常に新しい需要を開拓し、毎年ゼロからその積み上げをしていかなければなりません。そこから(一部であっても)脱却して行かなければ、今後の事業継続は難しくなってくるという認識は業界共通だと思います。

建設分野においても構造物等の維持管理が叫ばれるようになり、新設から点検・補修の領域に転換しつつあります。当社でも、温泉や水源井戸のメンテナンスの領域で実績を増やしつつあります。これとて同じお客様から毎年発生する仕事ではありませんが、市場で一定のシェアを確保することで、平準化してみると年間一定程度の仕事を確保する、といったことが可能ではないかと考えています。後は、その転換を加速化させなければなりません。何をしなければならないか、何が急ぐのか。大きな示唆を頂きました。

3.目標はそのとおり行かないからこそ必要

今回、印象に残った田中正彦さんの言葉があります。「目標はそのとおりに行かないからこそ必要」というものです。目標と実績の差との意味するものを読み取って方向性を見出す。さんびるの第38期は、目標を大きく上回る売上を確保し、今回の第39期の計画につなげています。いい時はもちろんそれでいい。しかし、目標が達成できなかった時にこそ、この言葉の持つ意味が重要になってくると感じます。

当社は、今期は業績的に大変苦戦しました。目標に対しては大幅に未達です。当社における目標と実績との差が意味するものは何なのか。それを見出すのは経営者の仕事です。答えの一つは“営業力”です。当社の技術やサービスを地域の市場において周知することが十分に出来ていない。また、そのための努力が足りていない。そのことが今期の業績に直結していると認識しています。また、自らの市場を広げていくこと、新しい市場を自ら創出していくこと。その取り組みがスピード感に欠け、従来市場の変化(縮小)に追いついていないことも要因です。

当社も、2015年3月14日に経営指針発表会を開催します。現在その準備中ですが、目標と実績とのかい離をどう捉え、どう次に活かすのか。その問題意識をどうやって社員全員で共有していくのか。発表会を前に貴重な気づきを頂いたと考えています。

創業祭で全員集合

さんびるの社員のみなさんとは、島根経営品質研究会での活動を通じて仲良くさせて頂いており、顔見知りの方もたくさんいます。発表会の後は創業祭(懇親会)が開催され、そちらにも出席させて頂いています。発表会及び創業祭の司会は、新入社員(採用予定社員)が担当するのが通例で、毎年新しい方がたくさん入社されています。どんどん知らない顔が増えています。一方で、馴染みの方はどんどん役職が上がり、若くても営業所を任されるなど、その活躍のステージをあげています。新しい人財を獲得し続けることと、領域を拡大して活躍のステージを創っていく。その2つが上手く出来て来ているのだと感じます。当社も人財の獲得と市場の創出、その両輪を回し続けることで成長していきたいと考えています。最後になりますが、田中正彦さん、さんびるのみなさん、今年もお招き頂いてありがとうございました。引き続き学ばせて頂きたいと思います。

2015
02.27

2015年2月25日(水)、島根同友会主催の「中小企業会計啓発・普及セミナー」が開催されました。テーマは、「企業の継続的成長を目指す経営」と題し、PSE研究所の中林孝氏を講師に迎え、会計(決算書、キャッシュフロー等)の観点からみた経営のあり方について講演を頂きました。このセミナーは、独立行政法人中小企業基盤整備機構の支援により「中小会計要領」に関する普及啓発も含めて実施されるものです。セミナーでは、中小会計要領についての説明も頂きましたが、中林さんからは、要領の説明に留まらず、会計を経営にどう活かすか、様々な示唆を頂きました。その一部をまとめておきます。

講師 PSE経営研究所 中林孝氏

1.現金を第一に考えた経営をしていく

中林さんが最も力を入れて説明されたのは、「現金を第一に考えた経営をしていく」ということです。

冒頭に興味深いシミュレーションを見せて頂きました。「減価償却によるキャッシュフローでは長期借入金を返済できない」、ということを分かりやすく示したものです。設備投資に伴う減価償却費では、借入金の返済が間に合わず、途中で運転資金の借り入れが必要になる。そして、すぐにその運転資金の借り入れの返済も間に合わなくなり、さらなる運転資金の借り入れが必要になる。その自転車操業が続けられるうちはいいが、いずれお金が借りられなくなった時に資金的にショートして経営が破たんする、というものです。分かりやすく数字でみせて頂きました。

これは、いわゆる“勘定合って銭足らず”の一例でもある訳ですが、損益を重視して利益を出すことばかりに捉われ、資金調達を安易に行い続けると、仮に利益が出ていても現金が足りなくなる可能性がある。一般的にはよく言われる指摘で、経営者であれば一応わかっているはずの話ですが、シミュレーションで見せつけられると、強く印象づけられます。

他でもなく、当社も“お金に忙しい会社”であり、運転資金を長期資金で賄うこともあります。一度そういう流れにはまると中々長期借入の残高は減らず、返済が続きます。経営者として、できるだけ長期資金の残高を減らしたい気持ちはありますが、かといって日々の資金繰りに窮しては本も子もありません。長期資金の返済と毎年のキャッシュフローのバランスをいかに取るのか。まさに当社の長年の経営課題です。「現金を第一に考える」、決して忘れてはならない原則を改めて指摘して頂きました。

2.決算書は自社のために使う~管理会計が重要~

二つ目の大きな指摘は、「決算書を自社のために使うべき」ということです。

会計のセミナーでは、決算書の読み方などを聴くことが多いのですが、今回は、“読み方”ではなく、“使い方”について示唆を頂きました。一般に、決算書の使い方としては、公告用、税務申告用、金融機関説明用、役所提出用、などがありますが、これは全て他人のための使い方です。それはそれで必要な訳ですが、それだけではもったいない、というのが中林さんの指摘です。他人のためだけでなく、自社で利用する。自社で使うことで、せっかく作成する決算書の効果が広がっていく、という訳です。

自社での活用の代表例は、経営方針発表会などでの活用です。自社の経営数値がどのようになっているのか、社員と共有することが重要なのは異論のないところです。もう一つは、自己管理用に用いることです。いわゆる“管理会計”としての活用です。そのためには自社用に決算数値を加工することが必要な場合もありますが、そのことで、自社の数字をより客観的に捉えることが可能となり、また経年的に比較することで、外部環境又は内部環境の変化との関係を把握し、次の一手を素早く判断することが可能になります。

具体的な活用例として、固定費管理日報による限界利益把握、対前年比売上伸び率推移による業績管理、など、実際にこの地域の中小企業が工夫されている事例を紹介して頂きました。業種・業態によって求められる管理会計も異なってくるでしょう。当社では、限界利益に着目し、実行予算と連動した利益管理を実施していますが、そういった各社なりの管理方法をお互いに勉強し、いいところを相互に取り入れていくという取り組みも、今後の同友会活動の一つとして有意義ではないかと感じたところです。

3.金融機関からお金を借りるのは「時間をお金で買う」という発想で

中林さんからの最後のメッセージは、「金融機関からお金を借りるのは時間をお金で買うという発想で」というものでした。

まずその前提として、資金計画はキャッシュフロー計算書をベースに作成し、シミュレーションしていかなければなりません。資金計画は、自社のキャッシュフローを考慮して作成する。あたりまえだけど、意外に出来ていない会社も多いという指摘もありました。そして大事なのは、シミュレーションは黒字を前提に行うが、実際には赤字の年もありうる、ということです。その場合にも許容できるバッファを持った資金計画を立てておくことが必要だということです。

「それができれば苦労しない」という経営者も多いでしょう。資金計画が苦労している経営者ほどそう感じると思います。私もそう思います。しかし、自社のキャッシュフローに見合った設備投資の実施、又は運転資金の調達を前提として経営を考えていかなえれば、大きな荒波が訪れた時に立ちゆかなくなる可能性があります。自社のキャッシュフローと必要資金とのバランス、単年度だけでなく、長期にわたって確認しておくことの重要性を改めて感じたところです。

その上で、金融機関からの借り入れはお金で時間を買うべきタイミングで決断する、と指摘されます。私も、運転資金ばかりでなく設備に関する資金調達も行ってきました。多くの場合は先行投資として実施しており、その市場における先行者利益の獲得を狙っていますが、直ぐに結果が出ていないものもあります。しかし、その結果が出ることを信じ、またそれを出していくために必死で経営する。その想いを新たにさせてもらった気がします。今後の資金調達に関しても、お金に困って借りるという後手の姿勢に回ることをできるだけ回避し、“攻めるために借りる”という基本方針は持ちながら、その上で自社のキャッシュフローを見据えた適切な判断をしていきたいと考えています。

講演する中林さん

一般に、中小企業の資金繰りは大変と言われますが、私の周りでも無借金経営やそれに準じる財務状態で、資金繰りに困っていない会社も結構あります。資金繰りにために頭を悩ましたり、そのための資料作成や手続き、交渉事に時間がかかったり、負荷は少なくありません。資金についてあまり心配しなくていい経営者を見ると、羨ましく感じる訳ですが、他人をうらやんでも自社が変わる訳ではありません。そういう財務体質に持っていった経営者の手腕こそ学ぶべきです。金に忙しい私のような会社は、むしろ、資金調達が必要だから金融機関と関係ができる、金融機関からの支援や助言、ネットワークの活用により経営の領域が広がる、そういった前向きな姿勢で資金調達を捉えていくことが大事だと感じます。そして、今回のテーマである「企業の継続的成長」を資金の観点からもしっかり見据えておくことが大切だと、今回のセミナーで改めて感じたところです。

2015
02.19

2015年2月14日(土)、島根同友会の第15回経営指針成文化セミナー成果発表会が開催されました。このセミナーは、島根同友会会員企業を対象に、経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を体系的に策定するものです。今回、6名(6社)の参加者があり、およそ5カ月の時間をかけて自社の経営指針をまとめました。成果発表会では、策定した各社の経営指針を発表します。そして、今後の経営指針に基づいた経営の実践に向け、指針に対するさまざまな意見を聴取する場でもあります。経営者が、自社の将来をかけて策定する経営指針。その策定の経緯から成果の内容までを聴くことができるこの成果発表会は、同友会活動の中でも最も多くの学びを得られる機会の一つです。第15期の発表会を通じて感じたことをまとめておきます。

成果発表するセミナー受講生

1.後継経営者が覚悟を決める場

今回の6名の受講生のうち、後継経営者が3名いらっしゃいました。そのうち、1名は既に社長として経営を司っていらっしゃいますが、後の2名は、いわゆるナンバー2の立場であ、今後の事業継承を予定されている方です。今回のセミナーでは、このナンバー2の方々が大きな決断を行う機会となったのが印象に残ります。

私も後継者なので同様なのですが、後継者というのは、なんとなく“事業を継承する”という認識はあっても、それが一体どういうことなのかという本質的な認識がなく、そのまま経営を継承してしまう場合があります。順風満帆で盤石の会社であればいい訳ですが、実際には継承後に外部環境の大きな変化や自社の経営状態を目の当たりにし、前向きになれない後継者もいます。そんな後継者が、経営を継承する前にこのセミナーを受講することで大きく変わることが出来ます。セミナーを通じて自分なりの経営の方向性を定め、また、経営環境や財務面も含めて会社の実情を把握し、それを事前に受け入れておく機会となる訳です。

実際問題として、順風満帆の会社の後継者の方がこのセミナーを受講するというケースは多くありません。やはり様々な課題がある会社、先行きに不安を持っている会社、外部環境の変化に直面する会社の後継者だからこそ、経営の学びを求めて同友会に入会し、このセミナーの受講に至るのだと思います。そんな後継者こそ周囲が支援しなければなりません。そして後継者のみなさんには、ぜひこのセミナーを通じて覚悟を決めてもらいたいと思います。仮に覚悟を決めきれなくても、いずれ覚悟するための土台づくりにはなります。その意味でも後継者こそ、このセミナーを受けて頂きたいです。

今回、いずれ社長を継承する後継者2名もそれぞれの立場での決断をされました。社長になるタイミングを自分自身で決めて現社長と意志統一した方、自分がどの方向を目指すのかを明確にして現社長と話合った方、セミナーやフォローアップの場以外で、それぞれに転機と変化を迎えています。半年間を通じてその経緯を見せて頂くことで、“後継者が経営者となる”ために何が必要なのか、改めて教えて頂いたと考えています。

2.創業経営者の転機を受け入れる場

今回の6名の受講生のうち、3名は創業経営者でした。創業者が創る経営指針について、私自身の認識を改める機会を頂きました。

後継者の私からみれば、創業者の方は、明確な自分の想いを持って事業を立ち上げ、運営されてきており、経営指針は創りやすいのではないかという印象がありました。しかし、今回、創業者でも経営者でも関係のない経営に係る大きな課題がたくさんあることを、改めて感じました。例えば、外部環境の変化。地域の小売店の横に全国資本の大規模小売店が来たらどうするのか。同じ商品・サービスを同じ値段で、同じように扱っていては勝負にならないのは明白で、これは創業でも後継でも関係ありません。また、いくら想いがあっても立ちうちできない変化があります。そして、人の問題。企業の問題の大半は人の問題に行きつくと言われますが、創業者だから人財育成が成功する、或いは人財に恵まれるとは限らない訳です。人にかかる様々なトラブルや問題もまた、創業者、後継者を問わず課題として顕在化しています。

そして、今回のセミナーで特徴的だったのは、創業経営者の方々が、自分達に訪れた大きな転機を受け入れ、さらなる飛躍を目指した決断をされたことでした。抗いがたい外部環境の変化に対応するため大きな業態変化を決断した方、一度諦めかけた後継者の育成に再度取り組む決断をした方、社員と一緒に目指す大きな夢を具体化するための方策を明確にした方、わずか半年の間に、大きなドラマをいくつも見せて頂きました。

発表後、大きな変化が訪れるタイミングでセミナーを受講していたからこそ、大きな決断することが出来たと話して下さいました。経営とは変化すること。変化の連続にどう対処していくのか。その答えの一端も、この経営指針成文化セミナーで得られるのではないかと考えています。

3.経営指針発表会が新たな受講生を呼び込む

現在、島根同友会で実施している経営指針成文化セミナーは、年2回、各6名(計12名)の受講生を定員としています。

毎回、募集開始後短期間で定員を満たす人気のセミナーとなっており、同友会会員における経営指針に対する認識の高まりを感じます。また、2回目の指針セミナーを受講する会員もいます。当初策定した指針が自分の想いを反映しきれていない、環境の変化に合わせて再度方針を見直すということもあります。また、一つの転機としては、一人で始めた事業から、従業員を雇用する事業へステップアップする段階で、再度策定を行う方もいらっしゃいます。

今回、発表会終了後に次回セミナーの申し込みを頂いた会員さんがありました。既に一度指針を策定されていますが、従業員の雇用をきっかけに再度セミナーを受講したいという希望です。また、一度策定して実践していく中で、十分に理解出来ていなかった指針の意義を、従業員の雇用という視点を踏まえてもう一度見直したいという意向も持たれています。一人で行う事業と、従業員を雇用して行う事業、その間には大きなハードルがあると思います。私は、従業員が居る会社を引き継いだので当たり前に雇用をしていますが、最初に1人で初めてしばらく事業を営んだ後、人を雇用するというステージに進む際には、やはり決断が要ります。雇用の形態は色々あるとしても、“従業員の生活を担う”立場になることに違いありません。自分一人であれば、すべて自分の責任の範囲内ですが、従業員を雇用すればそこにも経営者の責任が広がる。そのタイミングで、指針を見直すというのは大変いい試みではないかと考えています。

そして、もう一つ話題が出たのが、「同期を創りたい」という希望です。このセミナーで一緒に経営した受講生は、“同期”として今後の経営を競い合うことになります。業種業界、年齢性別、経験は違えど、同じタイミングで経営指針を策定した者どおし、やはり負ける訳にはいきません。ここでいう勝ち負けは売上や利益ということだけでなく、どれだけ自分の定めた理念や方向性を実現出来たかという点も含めてです。同期が頑張れば、自分も頑張れる。そういった経営者の横のつながりを創ることができるもの、このセミナーの大きな特徴だと考えています。想いを共にする仲間を創りたい方の参加をお待ちしたいと思います。

修了証を持って記念撮影

2014年10月に開催された第15期経営指針成文化セミナーは、島根同友会としては、初の直営方式として開催し、会内講師のみで最後の成果発表まで辿りつきました。私も今回初めて講師役を兼ねて参加しましたが、今回の発表会でセミナーの受講者が、それぞれに素晴らしい報告を行い、経営指針に基づいた経営を進める覚悟を決めて頂いたことは大変うれしく思います。そうやって受講生の方を送り出すからなおさら、自分自身の経営が立ち止まっていてはいけないと強く感じます。次年度以降も、島根同友会の経営労働委員会を任せて頂くことになりました。引き続き、経営指針の成文化を実施した経営者を島根に輩出し、それぞれの経営者が経営を伸ばすことで、地域経済が発展する。そういった同友会発のプラスのスパイラルを生みだすべき、努力していきたいと考えています。今回のセミナー受講者のみなさんの益々の発展とご活躍をお祈りします。

2015
02.13

協和地建コンサルタントでは、「地中熱」の地域活用に取り組んでいます。今回は、『雪のバリアフリー』対策として、地中熱を活用した融雪装置の必要性について簡単に紹介します。地中熱を利用した融雪装置は、積雪の多い地域を中心に様々な方式が開発され、実際に運用されています。その基本は、地中の熱を道路や駐車場等の路盤の下まで運び、その熱で雪を溶かし、着雪や凍結を防ぐというものです。地中熱による道路融雪設備は、島根県内では、国道261号の広島県との県境部に1km弱整備されています。鳥取県はもっと進んでいて、代表的なものとして大山へ至る道路に2km以上の融雪設備が整備されています。こういった設備が今後もっと必要になってくると考えています。

国道261号の融雪の様子(島根県HPより)

1.『雪のバリアフリー』対策の必要性~平常時のバリアフリーは進んだが~

ここで掲げる「雪のバリアフリー」とは、積雪によって道路や歩道、あるいは駐車場等への出入りに支障をきたす状況の解消を指しています。言い換えれば、除雪体制等の維持確保策とも言えます。当社が主に事業を営む山陰エリアは、中国山地沿いを中心に冬季には積雪により道路交通上の支障が発生することがあります。また、積雪だけでなく凍結によるスリップ事故など、安全面での懸念もあります。こういった事象に対応するため、国、県、市町村などにより除雪体制が構築されており、積雪になれば早朝より遅くまで地域建設会社の方々が除雪作業に従事され、交通環境の維持に尽力されています。

一方、島根県内においては継続した道路整備の成果により道路の改良が進み、より安全で走行性の高い道路の整備によって通行困難箇所が解消され、また、市街地等では歩道の整備による歩行者の安全確保や段差の解消など、さまざまなバリアフリーが実現しつつあります。しかし、こと「雪」に関しては、まだまだバリア“フリー”とはいかない状況がある、というのが問題意識です。前述のとおり、除雪体制によって基本的にはしっかりとした対応が図られていますが、それでも除雪には物理的な限界もあり、除雪基地から遠方箇所、トンネル出入口、交差点・歩道、など、除雪の難しい場所も多々あります。こういった箇所は除雪だけで対応するのではなく、消融雪装置による対応もあわせて、トータルの「雪のバリアフリー」を実現させるべきではないかと考えています。

2.除雪オペレータの高齢化・業者廃業と除雪ニーズの増加

冬季の積雪時には、除雪が行われます。除雪は各地域の建設会社が受託するのが一般的ですが、この除雪を行うオペレータの高齢化が進んでいます。加えて、建設業そのものの廃業もあったりして、除雪体制を維持していくのは年々難しくなっていくことが予想されます。行政サイドも、除雪用の車両を購入して貸与したり、オペレータの講習会を開催したりするなど、建設会社の負担を軽くしながら、除雪体制を維持できるよう努力されています。その一方で、前述のとおり、市街地内や学校、病院、福祉施設など雪のバリアフリー対策を必要とする施設はたくさんありますし、なにより、毎年道路は少しずつ改良が進み、かつその区間は要除雪区間となりますので、除雪が必要な道路総延長は毎年増えて行くと考えられます。

また、地域の除雪を担っている建設会社が雇用している除雪オペレータは、その専従職員とした雇用されている訳ではありません。冬季については除雪作業に従事することもありますが、それ以外の季節には一般の建設会社社員として各現場での工事等に従事します。除雪の仕事だけで1人の社員が雇用できるものではありません。かつては、県内各地において様々な建設事業が多く存在し、その中で冬場の除雪にも対応する社員を雇用していくことが十分可能でした。しかし、現在、地域の建設事業は減少の一途をたどり、除雪の必要性は認識するものの、その体制を維持するめに必要な雇用を確保することが難しくなりつつあります。そう考えて行くと、近い将来、島根県内における除雪体制が維持できなくなる可能性があるのではないか、という懸念があります。

大きな課題であり一朝一夕には解決できませんが、その一端を担うのが消融雪設備の整備ではないかと考えている訳です。道路融雪設備の施工にあたっては、地元建設会社が担う土木的な領域が多々あります。そこは減少している夏場の仕事を一部でも補完することにつながります。そういう地域経済トータルの視点も必要だと考えています。

3.地中熱による融雪装置の有効性~無散水式による環境にも優しい融雪~

道路の積雪等を除去する設備は、島根県内においても積雪の多い地域において以前から導入が進められています。多くみられるのは、いわゆる「散水式」の消雪設備です。地下水や河川水等を利用して道路に散水するものです。積雪時には各地の交通改善に役立っていますが、散水された水が近隣地域へ影響を与えたり、自動車による水跳ね等による苦情が寄せられたりします。また散水口の詰まりなどによる機能低下などのデメリットもあります。

その一方、「無散水式」と呼ばれる融雪装置は、古くは電気を熱源とする伝熱ヒーターなどが用いられてきましたが、現在は、地中熱を活用するタイプが普及してきています。地中に熱交換用の井戸を掘削してパイプを通し、水を循環させることで地中の熱を舗装の下の放熱管へと運び、融雪又は凍結防止を行うものです。散水式に比べて地下水などの水資源を無駄に使うこともなく、また、飛散した散水による影響もないため、環境にも優しい融雪装置と言うことができます。

この設備は、道路だけでなく、駐車場でも活用することが期待されます。国道54号では本線脇のチェーン脱着場に地中熱による融雪設備が整備されています。道路の雪が溶けているだけでなく、停車して作業をするためのスペースも確保されることは重要です。いずれも温度センサーによる自動運転が可能であり、維持管理・メンテナンス性に優れた道路設備と言えます。

地中熱融雪模式図(国土交通省HPより)

こういった融雪設備が必要な場所は一般に中山間地域です。中山間地域は、今後人口が減る一方であり、新たな社会資本を整備してもそれだけの価値があるのか、という議論があり、私もそのように感じていた時もありました。しかし、先日、島根県中山間地域研究センターの藤山浩研究統括監の講演を聴き、考えが一変しました。島根県内の中山間地域には人口が増えているところがあります。また、総人口は減っていても若い女性と子どもの数が増えている地区はかなりの数になります。島根では中山間地域への定住が進みつつあります。だからこそ、これからのインフラ整備は、今まで以上に地域の生活に寄り添ったものでなければなりません。その一つとして、積雪地域における「雪のバリアフリー」対策。今後進めていくべき施策だと強く感じています。

2015
02.06

2015年1月18日(水)、島大毎熊研究室・島根同友会合同新春講演会が開催されました。「地域経済循環の現状と戦略~人口と所得の1%を取り戻す」と題し、島根県中山間地域研究センターの藤山浩 研究統括監を講師にお招きしました。藤山浩さんは、島根県益田市生まれで、現在も益田市に在住し、田園生活を営まれています。国土交通省、農林水産省をはじめ各省庁の各種委員を歴任される中山間地域研究の第一人者であり、地元島根の中山間地域の実情、そして今後どうしていくべきなのかについて最も知見の深い方です。今回の講演も、まさに目からうろこ、そして、島根に住む我々自身が認識を新たに持つべき話をたくさん伺うことができました。その一部をまとめておきます。

講演する藤山さん

1.「市町村消滅論」への疑問~一番の例外は海士町~

冒頭の話は、いわゆる「市町村消滅論」に対する問題点の指摘でした。日本創世会議によって発表された、「全国の地方のうち896自治体で消滅の可能性がある」という報告。島根県のみならず全国的に大きな衝撃を持って受け止められました。藤山さんは、危機意識を喚起するための刺激的な問題提起であり、全国的にも地域的にも持続可能な人口動態ではないという指摘は重要、としながらもいくつかの疑問点を提示されました。具体的には、データ時期が2010年の国勢調査までで2011年以降のUIターンの増加が反映されていない、東京圏への一極集中が収束しない前提、データ単位が広域合併後の市町村単位で小地区単位での定住状況差を反映していない、などというものです。

その一番の例外が「島根県の海士町である」と指摘されます。海士町の取り組みは市町村消滅論が話題になって以降、とくにメディアでの露出が増えたようにも感じます。高校の入学定員が1クラス増えた、保育所に待機児童が発生した、などUIターンの成功によって町に活気が生まれている様子が取り上げられ、全国的にも注目されています。その海士町の人口推計ですが、2010年の国勢調査で2374人であったものが、日本創世会議の予測値では2040年に1,294人にまで減少するのに対し、島根県中山間地域研究センターの予測では2039年に2,434人と人口増に転じています。この違いは、20~39歳の女性の人口数、前者が町全体で53人にまで減少するのに対し、後者では223人となっていることによるものです。海士町は、既に人口増加基調に転じており、子どもが増えていく島になっている、と説明されます。

そして、実は、海士町はトップランナーではあるが、特別な事例ということではなく、島根県全体でも同じような傾向が起こりつつある、ということです。今回の講演で最も驚かされる点でした。

2.人口の1%を取り戻す~田舎の田舎は人口が増えている~

“田舎の田舎”は人口が増えている、という現実があるということです。島根県内の中山間地域を小学校区単位で見ていくと、人口が増加基調に転じている地区が多数あるそうです。そのこと自体驚きですが、そのポイントはやはり若い女性の数と子どもの数。30代の女性の増減をみると、県内の中山間地域(小学校区単位)227地区のうち、96エリアで増加しているそうです。地域一体としてUIターンに取り組み、成功しつつある地区ということです。それらの地区でも人口総数であれば減少しています。しかしそれは、昭和1ケタ世代の自然減によるもので、社会増に転じている地区が多数あるというのが藤山さんの説明です。

この成果は、ひとえに地域の存続をかけて新たな転入者の受け入れに地域を上げて取り組まれている住民のみなさんの取り組みの結果であるとともに、東日本大震災以降の、日本国民の価値観の変容もあると指摘されます。その例え話が秀逸でした。これまでの日本をすごろくに例えると、ゴールが東京であった。すなわち、東京すごろく。しかし、それがゴールと思わない人が増えてきた。田舎に住んでいることが自体悪くないと考える人が、増えてきた、と言う訳です。

藤山さんは、今後の中山間地域のとるべき戦略として、「1%戦略」を示されました。毎年、外部からの移住により人口の1%を増やしていく、というものです。そのことで人口が安定し、30年後にも今の人口がほぼ減らない、高齢化率が上がらない、子どもの数が減らない地域ができる、と話されます。それを実際に試算と各地域の実績により実証されています。1%でいい、しかし、継続していく。100人であれば1人。1000人であれば10人ですから、毎年と思えば大変ではありますが、出来ない数ではない、という印象を持ちます。海士町や、島根県内の中山間地期で起こっている事実を共有し、島根県全体で取り組んでいくことで、島根県の中でも中山間地域の将来に明るいものがある、と理解していくことにつながる、とても希望の持てる話を頂きました。

3.所得の1%を取り戻す~地域内循環の再構築~

人口の1%にあわせて、「所得の1%を取り戻す」、というお話も伺いました。「地域内経済循環の強化が必要」という考え方です。地域内でお金を循環させるという指摘。今回、長年にわたる家計支出調査の結果を踏まえて、具体的に聞かせて頂きました。

まず、現状を単純に言うと、「住民所得に等しい金額が域外流出している」ということです。これは、ある一定の規模の地域の中での出来事として集計されていますが、島根県全体でみても、総県民所得と同じぐらいの金額を、県外から調達しているということです。当然、これをすべて域内で調達することは現代社会の生活ではできません。しかし、1%を域内に取り戻せば、それが新規定住を実現するための原資になりうる(事例として、高津川流域(約7万人)の場合、1%で303組の新規定住に相当)、と試算されています。

その具体例ですが、例えば食費。近年では特に外食費が相当な割合で域外に流出している。これを地域で賄えるようにするだけで多くのお金が地域に回り、雇用を創出できる。そしてクルマ。購入費及び維持費でかなりの支出を取られているようです。今後は電気自動車など、エネルギーを域外市場に頼らない方法が導入可能な手段の普及に取り組むべきとのこと。そして、大きな課題は学費だそうです。特に大学の学費。これが原因でUIターンに踏み切れない移住希望者も多いとのこと。それが無ければ田舎に住んでも家計収支上は大きく変わらない。子どもの学費を貯めるために都会で働いている、という実態が調査から浮かび上がると言います。しかし、その原因が分かれば、その部分を何らかの支援でカバーすることによって、地域への定住を促進するという施策の方向性を探ることもできます。

エネルギーも当然のその中に入ります。エネルギーコストとして地域外に流出している金額は大きなウェイトを占めています。よく言われるように、地産地消の再生可能エネルギーによってエネルギーコスト、代表的に言えば電気代、地域内に還流していく。電力小売自由化の流れの中で地域電力会社の設立を通じて資金の地域内循環を実現しようとされている事業者が全国にたくさんいます。そういった大きな流れを逃さず、中小企業として地域を維持存続させていく中で生き延びる術を探っていくことが必要だと、実感するお話だったと感じています。

講演する藤山さん

藤山さんの最後のメッセージは「急いではいけない」というものでした。1%ずつ進めていく。それとて大変な事ではありますが、手間をかけて増やしていくことこそ、伝わっていくのではないか、という説明を受けました。私も中山間地に住む者の一人ではありますが、自分の地域をどうしていくべきか、また、どう動いていくべきなのかを考えるきっかけを頂きました。一方で、先行する地域のようにUIターンなどの移住者を受け入れ続けることが出来る地域を創るためには、手間暇を惜しまずかけていくことが何よりも大事になるということを、強く感じたところです。私は、私にできることを一つ一つやっていくしかありませんが、今回の講演を聴き、子ども達の世代においても地域を維持存続できることができることを前提に、物事を考えていけると考えています。今回まとめることが出来たのは、講演のごく一部だけですが、本当に素晴らしい、島根の未来に期待の持てる講演でした。中山間地域の様々なところ、中山間地域に住む様々な方に、この講演を聴いて頂きたいと思います。

 

2015
01.27

社長の温泉めぐり71 東郷温泉(水明荘) 鳥取県湯梨浜町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

71箇所目は、鳥取県湯梨浜町「東郷温泉(国民宿舎 水明荘)」です。訪問日は、2015年1月26日です。

水明荘 外観

東郷温泉は、鳥取県の中央部にある東郷湖の南岸に位置する温泉地で、その東郷湖の湖底より湧き出した温泉を活用している特徴的な温泉地です。北岸には“はわい温泉”があり、この近接する2つの温泉地は、湖畔の風景が優雅な雰囲気を醸し出す鳥取県を代表する温泉地となっています。東郷温泉は高温の源泉を有し、かつ、湧出量も豊富なことで知られます。水明荘は、東郷温泉街の中心に位置する施設で、東郷湖湖畔にそびえる五階建て、中華風の瓦屋根が特徴的な建物です。温泉はかけ流しで運用されているそうです。基本的には温泉宿泊施設ですが、日帰り入浴も可能であり、今回利用してみました。

東郷温泉(水明荘)の泉質は、含弱放射能-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉です。成分分析表によれば、元々水明荘が所有している源泉と、東郷温泉管理組合が所有している2号泉の混合泉となっています。混合後の泉温は70.5度とかなりの高温です。また、成分総計1.491g/kgで、含有量としては比較的薄めの泉質と言えます。源泉は違いますが、同じ東郷温泉の入浴施設「ゆアシス東郷龍鳳閣」もほぼ同じ性質を有しています。泉質面では、塩化物泉の特性として、塩化物イオンの“パック”効果で湯ざめしにくい温まりの湯、ナトリウム-硫酸塩泉の特性として、浴用により高血圧症、動脈硬化症などの効果が期待されます。一方、phは7.8と弱アルカリ性の泉質で、入浴した時のぬめり感はさほど感じません。さっぱりした入浴感と言えます。また、温度が高いため加水されているようですが、「季節により加水している」旨の記載があるので、今回(冬季)は、源泉そのままのかけ流しで運用されていたかもしれません。

2Fベランダからの眺望(風呂からの眺望もほぼ同じ)

水明荘の風呂は男湯、女湯、家族風呂、障がい者風用風呂、露天風呂、という構成になっています。今回は日帰り入浴だったので男湯のみを案内されましたが、宿泊の場合は、露天風呂、家族風呂なども利用可能だと思われます。また、男湯が2F、女湯が4F、露天風呂が5F、となっており、男湯と女湯の入れ替えはなさそうです。男湯はシンプルな長方形の内湯のみ。特徴的なのは、窓からの眺望です。東郷湖の湖畔のすぐ脇に建物がありますので、風呂場から眺望が絶景です。風呂に浸かりながら眺望を楽しむことができます。当日はあいにくの雨模様でしたが、春先や秋口の眺めの素晴らしさは容易に想像されます。当然ながら上の階ほど眺望がいいと思われ、常に4Fが女風呂であるため、この施設では常に女性が優遇されています。2Fを4Fも入れ替えで入れるようにすればいいのにという気もしますが、事情があるのかもしれません。いずれにしても、女性優遇は正しい選択だと思います。

洗い場は7箇所。仕切りはありません。リンスインシャンプーとボディソープが備えつけてあります。ロッカーは篭が置いてあるタイプで32箇所あります。貴重品は、別途貴重品ボックス24箇所あり、そちらに預けるようになっています。日帰り入浴の場合は少しめんどくさいですが、基本的に宿泊者の方が利用する前提なので、こういう形が妥当でしょう。貴重品は出来るだけ車に置くなどして利用するのがいいかもしれません。洗面は4箇所あり、ドライヤーは2つのみでした。

日帰り入浴の利用料金は、大人540円。70歳以上は320円となっています。入浴可能時間は、平日10:30~21:30と長く設定されており、遅くまで利用できるのも特徴と言えます。私が訪れた時間は、平日の昼時でしたが、地元の方と思わしき方が結構利用されていました。

飲泉(龍泉の湯)

また、建物の外には「龍泉の湯」と呼ばれる飲泉があります。温度は思いのほかぬるく、気軽にすくって飲むことが出来ます。ホームページによるとペットボトルに入れて持ち帰る方も多いそうです。この東郷温泉をはじめ、鳥取県内の温泉は飲泉適とされている温泉が多くあります。入浴だけでない温泉の楽しみ方として選択肢が広がり、いいことだと思います。

水明荘は、前述のとおり国民宿舎として、湯梨浜町内の主要宿泊施設の一つとなっており、リーズナブルな価格設定で地域の食材を豊富に使った料理が楽しめます。また、会議、宴会、みやげ物販売等、多様な活用がなされています。私が訪問した日も、午前中から会議利用があったようで、たくさんの利用者の方がいらっしゃいました。また、当日はあいにくの雨模様でしたが、隣接する東郷湖畔公園は水明荘の湖岸前のスペースと一体となり、湖畔の風景を楽しむオープンスペースを創りだしています。好天時には温泉入浴前後にさわやな散策を楽しむこともできます。時間がたっぷりある時に、宿泊で訪れてみたい温泉地です。

2015
01.23

2015年1月13日(火)、島根県中小企業家同友会 松江支部1月例会が開催されました。この日は、『「人を活かす経営の実践」ES(社員満足度)No.1企業からCSR経営企業へ~自主的社員が会社の未来を創造する~』と題して、アースサポート株式会社 代表取締役 尾﨑俊也さんから報告を頂きました。アースサポート㈱は、松江市を拠点に、一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬処理、総合リサイクル事業、総合ビルメンテナンス、トータルサポート業を行う会社です。尾崎社長からは時々お話を聴く機会がありますが、人口減少が続く山陰地域で業績を伸ばされている企業として、特に戦略及び営業面での取り組みの卓越性にいつも学ばせて頂いています。今回の報告でも企業経営に関する様々な示唆を頂きましたが、企業を発展させるために何が必要か、戦略、営業、成長(市場開拓)、という観点で私なりの気づきをまとめてみます。

報告するアースサポート尾﨑社長

1.戦略の失敗は戦術ではカバーできない

この数年のアースサポート㈱のテーマは、「踊り場からの脱出がテーマ~もっと成長のスピードを上げていく~」だったと話されます。「リーマンショックの際には全ての業種でゴミの排出量が減るという減少が起こった」そうです。とてもショックな出来事で、その前後には、それまで成長を続けていたアースサポートも横ばいの時期を迎え、そのステージを早く抜け出すための取り組みが課題だったと話されます。

そのために重視されているのが「戦略」です。最初に話されたのは、「戦略の失敗は戦術ではカバーできない」ということ。例えて言えば、どの山に登るのかを決めるのは経営者、どのルートから登るのかは社員と一緒に考える、ということです。すなわち、登る山を間違えてしまえば、どのルートから登るのか必死に考えても意味が無い、ということになります。それだけ、経営者が判断し、決定する戦略(方向性)は大きな意味を持ちます。

あと二つ、戦略に関する言葉を教えて頂きました。一つは「勝者は自社の他社の弱みにぶつける。敗者は自社の弱みと他社の強みにおびえる」というものです。だから、まずは自社の強みを考え、それに合ったチャレンジをする、ということ。そして、「雑魚は磯辺で遊べ」というもの。魚は小さいうちは磯辺で育つ。大きくなったが外海へ出ていく。自社の成長ステージにあわせて、どこで戦ったらいいのかをよく考える、戦いやすい場所を見つける、ということです。

この3つの言葉。自社に置き換えた時どうなのか、が一番重要です。登るべき山は間違っていないのか。自社の強みを活かしたチャレンジができているのか。自社の成長ステージにあわせた市場で戦っているのか。次年度に向けた計画策定の中で、今一度振り返り、確信を持った上で良く年度を迎えたいと思います。

2.ベタベタの営業で1件1件つぶしていく

尾﨑さんの話で私が印象に残っている言葉として、「中小企業の業績は営業力で決まる」というものです。過去にある会合で発言されていたものです。言われてみれば当たり前のように感じますが、私自身強く印象に残っています。技術、仕組み、品質等で圧倒的に差がある場合は違うかもしれませんが、そこまで大きな差が無いのが一般中小企業。そうであれば、やはり営業力が強い方が勝つ。では、営業力を強めるとはどういうことなのか。

今回の報告でも、その答えのいくつかを話して頂きましたが、基本は「ベタベタの営業で1件1件つぶしていく」ということです。画期的な秘策がある訳ではありません。仕事をもらうためにスマートなやり方などありはしない。お客さんとの接点を増やし、つかんだら離さない。営業先をリスト化して、1件1件全員でアプローチしていく。当たり前のことのようですが、自社に置き換えてみると出来ていない部分、取り組みが弱い部分であることを痛感します。

今期受注面で苦戦した当社にとって営業面をいかに見直し、伸ばしていくのかは喫緊の課題です。今までのやり方は、基本的に“待ちの姿勢”でした。公共事業の元請はもちろんですが、下請にしても、民間の仕事にしても、以前のお客さまやその紹介の方からアクセスして頂くケースがほとんどでした。それはそれでありがたいことですが、そういったお話が途切れた時に対応する術を持っていないのが当社ではないかと感じています。そう言った中で、尾﨑さんの話は耳が痛く、突き刺さります。地道な努力無くして成功なし。肝に銘じて、当社としての地道な営業のあり方を見つけ、実践に移したいと考えています。

3.チャレンジし続けることでしか成長は得られない

松江市を中心とするマーケットで圧倒的なシェアを目指すアースサポートですが、さらなるチャレンジを進められています。

その一つが東京進出です。昨年、東京都内の工場を買収され、新しい市場へ打って出られました。東京は現在インフレにあり、もうしばらくは人口が増えていく、島根からみれば海外のような市場だと話されます。事実、廃棄物処理に関しても島根の水準からみればかなり高い単価での取引が出来るそうです。東京を“海外のような市場”と視る。島根とその周辺しかみていない私にとっては新鮮な視点、考え方です。強みを活かせる分野があるのであれば、新しいエリアに進出していく。そういう戦略、決断も経営者の仕事であり、今後の当社ではどうしていくのか、考えるきっかけを頂いた気がします。

もう一つ紹介頂いたのが、「Tポイント」。代理店としてゴミ処理にTポイントを付与し、個人顧客の開拓につなげていらっしゃいます。その具体的な事例は、人口減少社会の中の新しい領域として個人向けビジネス「ごみのコンビニ片付け堂」。この不用品回収ビジネスとTポイントを組み合わせるというのが戦術であり、チャレンジ戦略と戦術の組み合せのお手本とも言える取り組みです。感心してばかりではなく、当社も同じような視点を持った取り組みができないか、次年度以降の取り組み際して考えていきたいと思います。

次々と新しいチャレンジをしていく尾﨑さんですが、その根底には「チャレンジし続けることでしか成長は得られない」という基本認識があります。私も同感です。同じことを同じようにしていて成長できる時代ではありません。しかし、重要なのはその挑戦が自社の強みを活かせるものかどうか。私自身、しっかりと考え、かつスピード感を持って判断します。

例会の様子

尾﨑さんは、平成26年7月からは株式会社山陰スポーツネットワークの代表取締役にも就任されました。本業がただでさえ多忙な中、「愛する地域に興奮と感動、誇りを提供する」という志のもと、地元プロバスケットボールチーム「島根スサノオマジック」を率いていらっしゃいます。スポーツビジネスはスピードが第一。とにかく直ぐにやること。そして、勝たなければ意味が無い。と、端的に話されます。その「スピード」と「勝つ」という結果重視の姿勢は、まさにアースサポートの会社の姿勢そのものでもあるように感じます。あらゆる経験を会社と地域の発展に活かされる尾﨑さんの姿勢に大いに刺激を頂き、私も次年度大きなチャレンジをしていく勇気を頂いたと感じています。

2015
01.13

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

70箇所目は、島根県浜田市旭町の旭温泉「あさひ荘」(リニューアル後)です。訪問日は、2015年1月6日です。

旭温泉には、1軒の公共浴場と3軒の旅館があります。今回訪れたのは、日帰り入浴施設である「あさひ荘」です。あさひ荘は、昭和52年に旭温泉の元湯として整備されて以来、長らく地域の温泉施設として活用されてきましたが、平成26年8月にリニューアルオープンしました。リニューアル前のあさひ荘は、平成21年のブログ記事で紹介しています。この間、平成23年度には旭温泉の新泉源(2号井)が開発され、当社にて調査及び掘削を実施させて頂きました。その新泉源の誕生に合わせて施設も一新されたのが、現在のあさひ荘です。かつては鉄筋コンクリート造2階建ての建物でしたが、瓦葺の木造平屋建て趣を変え、木材の質感を前面に出した温かみある外観へと変貌しています。

あさひ荘(リニューアル後)外観

旭温泉(2号井)の泉質は、アルカリ性単純温泉です。以前使用されていた1号井と同じ泉質名ですが、特性は少し変わっています。1号井はph値が9.9と高く、お湯に入った瞬間から肌にぬめり気が出る感覚が非常に強く感じられましたが、2号井は同じアルカリ性温泉ながらph値は8.5とほどほどの値であり、適度な入浴感は適度にすべすべで、こちらの方がさっぱり感を得られます。好みは人それぞれだと思いますが、第二泉源の方が誰もが入りやすい泉質と言うことが出来ると思います。

風呂は内湯のみです。リニューアル前のあさひ荘の面影を残すシンプルな形状で、地域に根差した公衆温泉浴場という位置づけを端的に表していると言えます。洗い場は大理石、風呂の中はタイル張り、壁面は無垢の木材を多用した明るい雰囲気になっています。大きめのガラスからは手入れされた庭園を望むことができます。リニューアル前のあさひ荘も内湯のみのシンプルな施設でした。色々な考え方があると思いますが、普段着で気軽に立ち寄れるところが地元の方にも好評だったという施設ですので、新しくするからといってコンセプトは大きく変えず、より人が集まりやすく、気軽に立ち寄りやすい施設にするという考え方はとても素晴らしいと思います。

内湯の様子(誰も居なかったので撮影)

洗い場は5箇所。仕切りはありません。リンスインシャンプーとボディソープが備えつけてあります。ロッカーは鍵付きのタイプで、造りつけと思われる木製のものが10箇所、既製品(後で追加で設置されたのでしょうか)のロッカーが10箇所ありました。洗面台は2箇所でドライヤーも2つありました。オープン間もない施設だけあって、とてもきれいに保たれていますし、脱衣場内の清掃がとても行き届いているのが好印象です。

リニューアルしたあさひ荘は日帰り入浴に特化した施設となっており、みやげ物やお食事処などは備わっていません。これらは旭温泉の温泉旅館や飲食店や近傍にある地場産品を取り扱う施設などとすみ分けているのでしょう。また、以前からある別棟が休憩コーナーとなっていました。この施設は元々地域の集会所のような形で利用されていたようですが、渡り廊下で接続され、温泉利用後にゆっくり畳の部屋で休憩できるよう、配慮されています。有料で使える広いスペースもあるようです。

利用料金は、大人(中学生以上)400円。当日から使える会員となることで350円となります。営業時間は9時から20時までと比較的長く、早めの入浴や夕方の入浴など幅広く使える施設となっています。私が訪れた時間は、平日の昼時で、長年通っているという地元の方と少しお話することができました。昼時は一番人が少なく、夕刻になると結構込みあうそうです。

受付、ロビーの様子

なお、現在のところ元々利用されていた1号井はあさひ荘ほか温泉施設への供給は実施されていないようです。同じアルカリ性の泉質ではありますが、ph値の違いにより入浴感には大きな違いがあります。ゆくゆくは、男湯と女湯を日替わりで泉源を変えて入浴できるようにするなど、せっかくの温泉資源を有効活用するような運用も期待したいところです。いずれにしても、新泉源の開発に携わらせて頂いた者の一人として、旭温泉の新たな顔となる「あさひ荘」が、地域の方々そして観光やレジャーで訪れる方々に幅広く活用される施設となるよう願ってやみません。