人財塾

平成23年度「人財塾」(第2回) 第二創業の作り方を学ぶ~経営とは「差別化」×「一体化」

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島根県が主催する平成23年度「人財塾」に参加しています。2011年6月1日の第1回に続き、6月10日に早速第2回が開催されました。

第2回目は、株式会社角田識之事務所 代表取締役の角田識之氏を講師に迎え、「従業員に夢と希望を与える“第二創業の作り方”」というテーマで講演・ディスカッションを行いました。講師の角田さんは、講演のタイトルにもあるように、環境変化に対応した企業の“第二創業”の実現に向けた様々なコンサルティングをされている方です。「第二創業」とは、一般には既存企業が事業継承のタイミングなどで業態転換や新規事業進出を図ることを指すようで、2年前に私が会社を引き継いだ協和地建コンサルタントとしても、視野に入れておきたい観点かと思い、興味を持って聞かせてもらいました。その話の一部を整理しておきます。

講演する角田識之氏

1.起こった出来事は変わらないが、その中身は自分で意思決定できる

冒頭、角田さんの自己紹介を兼ねたお話をされた際の言葉です。角田さんは、27歳の時に交通事故に遭い、数日間意識が戻らないことがあったそうです。それをきっかけに大きく人生が大きく変わったという話をされました。その気づきとして、「人生は一度きり。一筆書きのあみだくじ。バックは出来ない。」ということを強く説かれていました。誰でも頭では分かっているそのことが、事故をきっかけに本当に腹に落ちて理解できたのだというお話だった思います。

そしてもう一つ、「意思決定できる人には不幸も失敗も存在しない」という話がありました。私も、社長の一番大事な仕事は「意思決定」することだと常に意識しています。先の交通事故も、起こってしまった事実としては変わりませんが、その事故の持つ意味は自分自身の意思決定(捉え方、判断)で変わってくるという意味です。同じような話で、“谷の隣には山がある”という言葉がありました。人生や企業業績の谷間がくれば不安になります。しかし、谷のとなりには必ず山があり、谷が深ければそれだけ高い山もある。業績が厳しい時に事業継承すると会社の寿命が長くなるそうです。私も、(たまたまですが)会社の状態が極めて厳しいタイミングで社長交代しましたので、ありがたい言葉に感じました。当社の事業が永く続くことを願っていますし、そうしなければならないと考えています。

2.経営とは「差別化」×「一体化」

第二創業に向けた経営に向け、社長の最も大切な意思決定は、『「差別化」と「一体化」の方針を決定すること』だと言うことです。

(1)差別化=業態開発

差別化とは、すなわち「業態開発」だということです。業種では無く、業態。経営方法や販売方法など企業や店舗での営業形態による分類ということになります。この業態が世の中で一つのものであるかどうか。そして、業態開発を行う上では、提供する価値を「基本価値」(8割)と「付加価値」(2割)に分けて考えるそうです。まず、基本価値はその企業の付加価値として絶対に崩してはならないもの。当り前のことであっても、それを磨き上げることで感動につながる場合がある。付加価値は、基本価値の上にある、お客様をときめかせる何か。そして、これを誰でも再現できるようにしておくことが必要だということです。

(2)一体化=クレドづくり

一体化とは、「クレドづくり」に集約されるそうです。クレドとは「志」「信条」「約束」などの意味があるラテン語で、企業の信条、経営哲学、行動指針など簡潔に示したものだそうです。このクレドを従業員と共有化することで、従業員の自主的な行動を促し、企業価値を高めることにつながるそうです。

従業員がこのクレドを理解することで、同じ価値観を持ち、「理念型行動人材集団」を形成することが大事だということでした。朝礼などを通じてこれを浸透させるきっかけを作り、日常の事業活動を通じて検証していく、といった流れのようですが、確かに、(1)の基本価値と付加価値を誰でも再現できるようにするためには、このような信条や行動指針の徹底を図り、心からそれを理解する従業員を育てていくことが必要でしょう。

3.株式会社エブリプラン第二創業ビジョン発表

今回の人材塾では、参加メンバーでもある株式会社エブリプランさんの、「第二創業ビジョン」の発表も行われました。同社から参加されている河原社長は、この人材塾の平成22年度の参加者でもあり、創業から15年経った節目に、さらに15年後の将来を見据えた第二創業ビジョンを策定され、この人材塾の場で発表をされました。

エブリプランさんは、建設コンサルタント業も営まれる会社で、当社の業務領域とも一部重なるところがあり、仕事でもたまにお付き合いがある会社です。そういった業種的に近い会社が将来ビジョンをどのようの考え、具体化させていらっしゃるのか、大変興味を持って聞かせて頂きました。また、今回(第2回)のテーマでもあった「第二創業」への取組みを、身近かな企業から具体的に話して頂けるというのも中々無い機会だと思います。単にセミナー・講演を聞くだけでなく、参加した各企業が将来ビジョンなどのアウトプットを取りまとめ、発表するというところまでたどり着く。これは中々簡単ではないと思います。河原社長の取り組み姿勢や経営者としての熱意は大いに刺激にさせて頂くとともに、自分自身の取組みにも真摯に反映させて頂きたいと考えています。

株式会社エブリプランのみなさん

なお、角田さんの講演では、角田さんがアジア地域も含めて実践、提唱されている「感動経営」という概念、そして取り組みについても時間を割いて話をして頂きました。正直1時間半ほどの講演では全体を理解するのは大変でしたが、自らの会社の経営にいかに落とし込んでいくのか、時間を置いて改めて考えてみたいと思います。

 

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