温泉めぐり

社長の温泉めぐり44 匹見峡温泉(やすらぎの湯) 島根県益田市匹見町

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回44箇所目は、島根県益田市匹見町の「匹見峡温泉 やすらぎの里」です。訪問日は、2012年4月18日です。匹見峡温泉やすらぎの里は、益田市匹見町にある温泉施設で、宿泊施設や宴会場、お食事処、おみやげ屋、なども備えた大型施設です。温泉としては、内湯用と露天風呂用、2つの泉源を持つところも特徴です。なお、内湯用の泉源については、協和地建コンサルタントが平成4年度に掘削工事を実施させて頂いています。

匹見峡温泉 施設入口

泉質は、内湯が「単純弱放射能冷鉱泉」、露天風呂が「単純弱放射能温泉」となっています。この2つの泉源ですが、成分分析表によると、泉質の成分的な違いはさほど無く、源泉の温度によって泉質名が変わっています。前者が20.8℃、後者が30.5℃です。PHの表記はありませんが、いずれも8.5以上はある、アルカリ度高めの温泉です。いずれの泉源も温度が低いため加温されていますが、加水はされず、かけ流しと循環式を併用しているようです。しかし、お湯の入れ替えについてはかなり力を入れられており、新しい温泉水がふんだんに使われています。その効果もあってか、入浴するとアルカリ性温泉の特性であるヌメヌメ感がすぐ感じられ、お湯の鮮度が高いことが伺えます。

単純泉のため、成分分析書に記載される適応症に特別なものはありませんが、実際の成分としてはナトリウムイオンと炭酸水素イオンの含有量が比較的高くなっています。さらに含有成分の成分総計は0.9g/kg(1.0g/kgを超えると泉質名が付く)あり、加水もされていないため、ナトリウム‐炭酸水素塩泉の特性がみられると考えられます。適応症としては、切り傷、火傷、慢性皮膚病などの改善が期待されます。また、炭酸水素イオンの効果で、皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流す効果もあり、高いPHと相まって、美肌の湯として高いポテンシャルを有していると言えます。この点については、近傍にある美都温泉の泉質特性とよく似ています。

内湯の様子(一部)

内湯は、あかるく広々とした造りで、長方形の大きめの浴槽が2つあります。木で縁取られた浴槽と、岩風呂風の浴槽。岩風呂の方には、ジェットバスと泡風呂が備わっていました。その脇には水風呂、サウナもあります。さらに、13種の天然薬草を配合したという薬湯があり、かなり濃厚な色合いでした。ただ、浴室に入るとこの薬湯の匂いが充満しており、風呂全体の匂いのように感じられます。すこし匂いがきついのではないかという印象を持ちました。

露天風呂は、かなり大型でやはり岩風呂風の造りでした。底が深く、全体に屋根がかかっており、雨天時などでも安心です。広々とした庭園が備わっており、露天風呂で肩までゆっくり浸かり、広々とした庭を見渡すのもいい雰囲気でした。その他、壺風呂、打たせ湯(2箇所)ありましたが、たまたまなのか、打たせ湯のお湯はかなりぬるめでした。

洗い場は7箇所ありますが、うち鏡無しが3箇所。仕切りはありませんが、間は広めにとってあります。リンスインシャンプーとボディソープが備えてありました。脱衣場のロッカーは正方形の一般的なタイプ(100円返却式)と縦長タイプ(4文字ロック式)が36ずつ。ロッカーのタイプで鍵の方式が異なるのはちょっと戸惑うかもしれませんが、縦長タイプは上着を着ている場合には重宝します。また、籠のみのスペースもありました。車で来場して貴重品を持ちこまない地元の方などはこちらが便利なのでしょう。洗面は3箇所で、ドライヤーは2箇所のみ。水道のないカウンターのみのスペースもあり、そちらも3人ぐらいは使用できそうでした。風呂の施設規模、ロッカーの数に比して、洗面とドライヤーの数は少し少なめという印象です。

利用料金は大人600円。やや高めの印象もありましたが、風呂の大きさや施設の充実度からすれば妥当なところかもしれません。その他、岩盤浴ができるコーナーもあり、温泉入浴とセットで1500円という値段設定となっていました。

フロントとみやげものコーナー周辺

私が訪れたのは、平日の夕方でしたが、思った以上に利用者があり、地域の温泉施設として指示されている様子も伺えました。前述のとおり、この施設は宿泊機能も備えており、収容人員も結構あります。またお食事処、宴会場などのスペースも大きく、想像以上に大型の施設でした。匹見町は、島根県内でも特に山間部に位置するエリアであり、外来の利用者だけでなく、町内の多様な行事などでも活用される、地域の拠点施設でもあるという印象です。また、同町の自然や特性を活かした、多様な宿泊プランも企画されているのも特徴的でした。一例ですが、鮎会席宿泊プラン(6~9月)、ホタル観賞宿泊プラン(6月)、夏探検隊宿泊プラン(夏休み期間)、雪見宿泊プラン(12~2月)などが紹介・PRされており、積極的で興味深い取組みだと感じました。

同じ島根県内でも県西部の温泉には、中々行く機会がありません。当社が掘削した泉源の中でも、この温泉はもっとも西にある泉源で、今回やっと訪れることが出来ました。美肌の湯としてもすぐれた泉質を有する匹見峡温泉、機会がありましたら、ぜひご利用下さい。

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