温泉めぐり

社長の温泉めぐり75 鳴子温泉(鳴子観光ホテル) 宮城県大崎市鳴子町

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

75箇所目は、宮城県大崎市の鳴子温泉「鳴子温泉ホテル」です。訪問日は、2015年5月20日です。

鳴子温泉は宮城県大崎市鳴子町に広がる鳴子温泉郷の一角を成す温泉地です。鳴子温泉、東鳴子温泉、川渡温泉、中山平温泉、鬼首温泉、の5つの温泉地の総称として、「鳴子温泉郷」という名称が用いられているようです。このうち、鳴子温泉は、1000年以上の歴史を有するとされ、古くから「奥州三名湯」の一つに数えられています。前述の5箇所の温泉地の中でも最も大きな温泉地で、ホームページでは19の宿泊施設が名を連ねていました。今回、縁あって仕事でこの地域を訪れる機会がありました。その宿泊で利用させて頂いたのが、老舗の一つ「鳴子観光ホテル」です。400年の歴史を有し、102室の部屋数がある大型の宿泊施設です。

鳴子観光ホテル外観

今回利用した、鳴子観光ホテルの泉質は、含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉で、成分総量は2502。9mg/kgです。源泉温度が70.8℃と高いため、常に加水して利用しているようです。なお、鳴子温泉は、各旅館・ホテルがそれぞれの泉源を有しており、泉質は各泉源によって少しずつ異なるそうです。

鳴子温泉は成分に“含硫黄”と示されるように、硫黄臭のする温泉で、温泉街全体に硫黄臭が広がります。お湯は白濁しており、硫黄臭と相まって、温泉地に来たという実感があり、大いに温泉情緒を感じることが出来ます。白濁するのは、硫黄泉の中でも遊離硫化水素が主成分の泉質で、適応症は高血圧や動脈硬化など、現代の生活習慣病に効き目があると言われています。硫黄泉というのは、私の住んでいる地域ではお目にかかることなありませんが、こういった湯を日頃から利用できる地域は大変恵まれていると思います。また、ナトリウム-炭酸水素塩泉でもあり、典型的な美肌の湯という側面もあります。入浴すると、さわやかでスベスベ感ある、さっぱりとした肌合いを感じることが出来ます。このホテルでは、かけ流し式の撹拌循環式という方法が採用されており、ろ過器は用いられていないとのことです。このため、お湯の鮮度は非常に高く感じました。硫黄臭と白濁したお湯のイメージも相まって、大変いいお湯だという印象を受けました。

男湯「源蔵の湯」(誰も居なかったので撮影)

鳴子観光ホテルのお風呂は、男湯と女湯は固定されているようで、男湯は「源蔵の湯」と名付けられています。大型温泉ホテルの大浴場にふさわしい、ゆったり広々とした空間です。長方形の大浴槽がメインのお風呂には、源泉が刻々と注ぎ込まれています。全体に御影石が敷き詰められ、高級感があります。一角に「真湯」と呼ばれる温泉水ではないお湯の浴槽がありました。あまり見かけたことがありませんが、硫黄臭のある温泉なので、こういった風呂のニーズもあるのかもしれません。露天風呂は屋根付きの檜風呂となっていました。浴槽内には段が付いているのですが、白濁しており外からは全く認識できません。入浴時は少し注意が要ります。このほか、貸切露天風呂も3種類準備されており、こちらについては、全て源泉かけ流しとなっているようです。

洗い場は18箇所、仕切りはありません。シャンプー、コンディショナー、ボディーソープが備わっています。洗面は4箇所、ドライヤーは2台のみでした。アメニティ類は豊富で、さすがに大きなホテルのお風呂です。脱衣場はホテル内の施設ということもあり、篭が基本となっています。貴重品は別途貴重品ボックスがあり、それを利用するスタイルです。あまり見かけない工夫としては、自分のスリッパがどれだか分からなくならないように、番号札を付けることができるようになっていました。かつては、こういった旅館のスリッパや早い者勝ちで履いて帰るものだと思っていましたが、昨今では他人が履いたスリッパをはくのはいやだ、という要望もあるのかもしれません。

このホテル、昭和の温泉が賑わった頃の大型温泉宿泊施設であり、館内全体としてはやや古さはあります。しかし、お風呂については比較的最近リニューアルしたように見受けられます。現代風の高級感ある造りで、脱衣場から内湯、露天風呂まで清掃も行き届いており、気持ちよく利用することが出来ました。

鳴子観光ホテルは、鳴子温泉の温泉街のやや外れにあります。到着するまでに鳴子温泉の温泉街を通り抜けて進みましたが、大変残念ながら閉鎖されたホテル・旅館、売りに出された土地等、温泉街としての活力低下もまざまざと感じました。温泉利用や宿泊に対する利用者のニーズも変化しており、昔ながらの大型の温泉地は方向を見出しにくくなっているのは確かだと思います。そういった情勢もあってか、大崎市では、この鳴子温泉を舞台に地熱を活用したまちづくりを進められています。今年度は、経済産業省の地熱開発理解促進事業、同様に地熱資源開発調査がこの鳴子温泉エリアで実施されます。地熱活用を一つの起爆剤とし、この素晴らしい温泉を有する鳴子温泉エリアの活性化がぜひ実現するよう、期待したいと思います。

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