島根県技術士会

島根県技術士会 オモシロ技術塾 「地域振興を目指してのバイオマスの利活用について」

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2009年4月から島根県技術士会に入会し、活動に参加させて頂いています。

島根県技術士会 http://peshimane.s3.zmx.jp/

島根県技術士会には「青年部」という、若手会員の組織があり、45歳までの会員で構成されています。私もまだ該当年齢なので、参加させて頂いています。

その活動の一つに「オモシロ技術塾」というものがあります。月1回、様々なテーマで話題提供と議論をする場として設置されています。会員が講師となって自分の関連する技術的な話題に関して話をしたり、或いは外部から講師を招いて最新の情報を得たりするというものです。単に講義・講演を聞くだけでなく、後半はディスカッションに時間を割いているところが特徴です。毎年年間10回程度開催されています。

2010年4月28日(金)には「地域振興を目指してのバイオマスの利活用について」と題して、NPO法人バイオマス総合研究センターの村上代表理事を招いて話を伺いました。同センターは、島根県松江市にあるNPO法人で、島根県内のバイオマス資源の有効活用について、より広く総合的な視点から研究開発を行うことを目的とされています。なお、私も縁あって同センターの会員となっており、少しだけ活動のお手伝いをさせて頂いています。

さて、村上代表理事からは、現状のバイオマス活用の問題点やその課題解決策等について幅広くお話を頂きました。全部は記せませんが、私の頭に残っている要点を3つほど記しておきます。

話題提供の様子(村上代表理事)

1.バイオマスエネルギーの基礎知識・・・再生可能なエネルギーだが扱いにくい

バイオマスは、廃棄物系(食品残さ)、未利用系(間伐材の木質チップ化等)、資源作物(トウモロコシで燃料を精製する等)に分けられる。そして、エネルギーの定めは、通常は「一度使ったら終わり、再生するにはもっとエネルギーが要る」だが、バイオマスエネルギーの主体である植物は例外で、数年から数十年で再生が可能である。ただし、天候任せであったり、石油ほど凝縮されておらず扱いにくいというのが難点ということです。この“再生可能性”が注目されているが、その特性にあった活用方法が必要だということです。

改めてバイオマスの基礎知識について説明を受けましたが、分かりやすかったです。短大などでの講義用にまとめられたものだと話されていました。

2.現状のバイオマス活用の問題点・・・経済性がゼロ

これまでの施策は単発的で「産業として成り立たないから続かない」という指摘です。

バイオマスの活用技術は、大きく、(1)堆肥化、(2)木質ペレット、(3)食廃油BDF(バイオディーゼル燃料)、の3つの技術に分類されるそうです。これらについては地方自治体が中心となって様々な取り組みがなされていますが、いずれも経済性がほとんどゼロ(エネルギー効率が低い、スケールが小さい等の問題があるそうです)のまま取り組まれており、途中で立ち行かなくなってしまう事例が後を絶たないという話でした。その解決こそが、バイオマス総合研究センターが目指しているものだということです。

3.課題と解決の方向性・・・バイオマスの産業化

バイオマスを産業化することこそが、経済性を確保することだという話です。そのための方策として、次のようなことが示されました。

(1)効率の良いプロセスを構築する・・・一か所に集中して効率的にエネルギー利用ができようにする、性能の高い装置を導入する(ヨーロッパの技術が進んでいるという話)

(2)総合的に考える・・・農業、林業を含めて地域全体(市町村単位を想定)で総合的に取り組むことで、年間を通して高い稼働率を維持することにつながる

この3.で示したようなバイオマスの産業化を島根県内で実現させることがバイオマス総合研究センターが目指しているものだそうです。非常に大きな話で、短時間では理解も議論もしつくせない印象でした。もう少し検討が進んだ段階で、もう一度この話題で論議が出来ればよいのではないかと感じました。

いずれにしても森林資源の豊富な島根県(島根県だけではありませんが)にとって、バイオマスが産業として成立することは意義深いものだろうと感じます。この構想の実現に向けて、技術士会としても、また、一会員としても何らかの形で関与していければと考えています。

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コメント

  1. 今岡裕作 より:

    ときどきお邪魔しています。島根県技術士会HP担当の今岡です。この度はオモシロ技術塾の内容をまとめていただいておりありがとうございます。いまのところ塾の内容をどのように残していこうか青年部さんとHP担当の間で模索しています。
    石倉さんがまとめられた文章を読んで、「ああ、やっぱりテキスト化して記録しておくことは意義の有ることだな」と感じました。
    社長としての活動を行われつつも、お忙しいなか技術士会にも参加いただき感謝です。青年部に在籍できる若さでありながら組織のリーダーでもあるという、(私から見て)異色な存在である石倉さんの意見をまた塾で聞かせてくださいね。

    1. 石倉 昭和 より:

      投稿ありがとうございました。オモシロ技術塾については、以前から内容を簡潔にまとめてブログに記載することを考えていましたが、ちょっと手間なのと、中々出席できなかったのとで、実現できていませんでした。ですが、今回やってみて、やっぱり記録しておけば後々色々と役立つのではないかと感じました。次回以降も、参加した会の内容についてはこのブログで紹介させて頂ければと考えています。引き続きよろしくお願いします。

  2. 今岡裕作 より:

    ときどきお邪魔しています。島根県技術士会HP担当の今岡です。この度はオモシロ技術塾の内容をまとめていただいておりありがとうございます。いまのところ塾の内容をどのように残していこうか青年部さんとHP担当の間で模索しています。
    石倉さんがまとめられた文章を読んで、「ああ、やっぱりテキスト化して記録しておくことは意義の有ることだな」と感じました。
    社長としての活動を行われつつも、お忙しいなか技術士会にも参加いただき感謝です。青年部に在籍できる若さでありながら組織のリーダーでもあるという、(私から見て)異色な存在である石倉さんの意見をまた塾で聞かせてくださいね。

    1. 石倉 昭和 より:

      投稿ありがとうございました。オモシロ技術塾については、以前から内容を簡潔にまとめてブログに記載することを考えていましたが、ちょっと手間なのと、中々出席できなかったのとで、実現できていませんでした。ですが、今回やってみて、やっぱり記録しておけば後々色々と役立つのではないかと感じました。次回以降も、参加した会の内容についてはこのブログで紹介させて頂ければと考えています。引き続きよろしくお願いします。

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