島根経営品質研究会

島根経営品質研究会 経営品質特別セミナー 会社の目的、社長の人間力、社長の本気

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2010年11月から、島根経営品質研究会に入会しました。

経営品質とは耳慣れない言葉ですが、顧客にとって価値あるものの創造を目指した経営への変革を目指し、1)顧客本位、2)社員重視、3)独自能力、4)社会との調和、の4つの要素を追求する経営だとされています。また、“品質”が意味するところは、「企業の経営が、その企業の目的を実現できる状態になっている」ことだそうで、まず、企業の目的を明らかにし、その実現のために先の4つの要素を重視しながら卓越した経営を目指そうとする取組みと理解することができます。

島根経営品質研究会は、2007年に島根県内において経営品質向上活動を実践する企業・団体・個人により設立されたもので、月例の勉強会、特別講演会、経営品質基礎講座、優良企業のベンチマーキング等の活動を実施されています。

2011年2月17日、特別講演会が開催され、「ネッツトヨタ南国 ビスタワークス研究所」の大原光秦さんを講師に迎え、経営品質についてセミナー形式で話を伺いました。ネッツトヨタ南国は高知県の自動車ディーラーですが、2002年度に経営品質に取り組む企業を表彰する「日本経営品質賞」を受賞した会社としても知られています。大原さんは、その中で経営品質の取組みを中心的に担われた方です。実は、この研究会では昨年も大原さんを招いて講演会を開催しています。私はその時と今回と2回話を聞きましたが、大変感銘を受けるとともに、会社の経営をどのように考えていくべきかについて、大きな示唆を受けました。

講師の大原光秦さん

セミナーの内容を全て網羅することは到底できませんが、今回の話の中から3つまとめておきます。

1.事情で働くのか、目的のために働くのか

“あなたは何のために働いていますか”という質問があったとき、様々な答えが存在します。“事情”というのは、生活のため、家族を養うため、といった回答のことで、何か理由があって(やむを得ず)働いている状態ということです。では生活に困らなくなったら働かないのか?ということになります。もっと言えば、そういった意識の人がする仕事は本当に人に喜ばれるものなのか、ということにもつながります。

一方、人を幸せにするため、世の中を良くするため、といった“目的”のために働く人は、仮にお金があって生活に苦労しなくなっても働き続けるでしょう。そういった人達の集まった組織とそうでない組織、どちらに優れているか、価値があるのか、答えは明白です。

経営も一緒です。例えば、昔から会社を経営していたから、引き継ぐ人がほかにいなかったから、等というのは“経営者が事情で経営している”と言えます。私は協和地建コンサルタントの3代目社長で、前述のような“事情”は当然あります。引き継ぐきっかけはそうだったとしても、そういった思いのままでこの先の経営を続ければ、会社の先行きが明るくなるはずもありません。なぜ組織には目的がいるのか、そして目的を明確にすることの重要性を分かりやすく、理解させてもらえる話でした。

2.人に影響を与える力は専門力と人間力に集約される

経営者や組織のリーダーは人を動かさなければなりません。人は相手から何らかの影響を受けて動きます。社長は、自分が従業員に影響を与えることで人を動かすことになります。その影響力は次の5つに分類されるそうです。1)強制力(力ずく、怒る、等)、2)欲しいものを与える(モノ、お金、等)、3)権威・肩書、4)専門性(詳しい、よく知っている、頼りになる等)、5)人間力(共感を呼ぶ、その人のためなら頑張れる等)、です。

自分が人から影響を受けて行動するとして、このうちどの影響力によって動きたいか、心から動くことができるか、という話です。考えてみれば簡単で、4)専門力と5)人間力に限られるでしょう。すなわち、専門力と人間力を持たない人が、1)2)3)を行使しても意味をなさないというわけです。そして、専門力は経験と勉強によって身につけていくことが出来るでしょうが、人間力は一朝一夕にはいきません。他人のため、世の中のために行動する人でなければならないでしょうし、経営者で言えば自分のためではなく、従業員のために行動できる人間ということになるでしょう。このことは、頭では分かっても中々出来ないことの一つだと思います。その高みを目指して日々意識し、努力することしかありません。リーダー・社長が“人間力を高める”ということの重要性を改めて認識させてもらうことが出来ました。

3.価値感の共有化ができているリーダーは本気で取り組んでいる

経営の目的があり、その目的に向かって社員が一丸となって取り組んでいる状況。いわゆる価値観の共有化がなされている企業は、強い会社・良い会社である可能性が高いと思います。それは、どのような企業であっても目指しているはずですが、出来ていない企業も多い。当社も、現時点ではそういったレベルにはありません。

それが出来ていないのは「リーダー(社長)が本気で無いから」だという話です。本気でないから相手に伝わらない。回りの環境のせいや社員のせいではない。至極ごもっともで分かりやすい話です。自分自身を振り返ってみて、もちろん適当・いい加減に経営に取り組む気持ちはありませんが、どこかに甘えはなかったのか、人のせいにするような気持ちが一切なかったのか、顧みるべき点は多々あります。叱咤激励と受け止め、気持ちを新たにする機会を得たと感じています。

質疑、意見交換の様子

まとめてみると抽象的・概念的な話が中心になった気がしますが、経営の本質はまさにそこにあるのだと思います。テクニックや手法ではない。目的、理想、夢、愛、など、青臭く、中々本気で考える機会が無いことを考えることの重要性、そのことを経営品質の考え方から教わったように思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*