2011年3月8日、島根県中小企業家同友会の出雲支部設立総会が開催されました。
その際、基調講演として、中業企業家同友会全国協議会会長である、鋤柄修(すきがらおさむ)氏(株式会社エステム代表取締役会長)のお話を聞く機会がありました。
講演テーマは、「時代の転換期に経営者に求められることとは~今、経営者がなすべきこと~」でしたが、中小企業の経営者が、そして私が今何をすべきか、を教えて頂くとともに、これから自分自身がやろうとしていること是非を確認するための参考になったと考えています。主なところを整理しておきます。
1.経営者は経営の勉強をするのが仕事
当たり前のことですが、改めて認識させられる言葉です。
これは「経営者はプレイヤーでは駄目」という趣旨で話されたのですが、中小企業はその成り立ちから、社長がプレイングマネージャーであることが多々あると思います。しかし、それでは駄目で、プレイングマネージャーから脱却しなければならない。プレイヤーにかまけていれば何時まで経っても経営の勉強が出来ず、ひいては会社のためにならない、という意味合いです。
例え話として紹介されたのですが、子どもがバイオリンやピアノを習うとき、人並みに弾けるようになるまで、およそ10,000時間の訓練が必要だそうです。これを経営に置き換えたらどうなるか。一日の仕事の中で2時間経営の勉強をしたとして、年間250日の出社日だとすると、年間で500時間しか勉強できない。先の10,000時間と比べると、このペースでは20年かかってしまう。時間としては全然足りないし、20年かかっては遅すぎる訳です。
自分自身に置きかえると、私は(幸い?)プレイングマネージャーではありません。いわば専業社長なのですが、仮に1日8時間が全て経営の勉強時間だとしても、年間250日なら2000時間/年。10,000時間達成するまで5年かかります。しかし、現実には5年後に「やっと一人前になりましたのでよろしくお願いします」と言う訳にはいきません。会社は日々動いていますし、明日何が起こるか分かりません。いずれと思うなら今すぐ様々なことに取り組み、日々勉強を絶やさずに積み重ねていくことが大事だと、改めて教えて頂きました。
2.社員からみたら会社は変わっていくことが必要
同友会には、「労使見解」(中小企業における労使関係の見解)という、経営に関する基本的な考え方があるそうですが、今回の講演の中でも、引用した話がありました。
この中に「経営者はいかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して経営を維持し発展させる責任がある」という一節があるそうです。今も昔も変わらない、経営者のよりどころのようなものですが、特に注目しないといけないのは、“発展させる責任がある”という部分だそうです。つまり、その前段の“維持させる”というのは何とかなるとしても、“発展させる”というのは実は難しいことだというお話でした。しかし、働く者からすれば、現状維持が続くということは、給料も上がらないし、将来の展望も開けないということに他なりません。だから、社員の目線からすれば、会社は変わっていかなければならないという訳です。
このことは私も痛感します。当社のように公共事業を主体とする会社の多くは、事業量的には、縮小或いは現状維持がやっとという状況がずっと続いています。私も、現状維持なら及第点だと考えていました。しかし、最近気が付いたのは、最初から現状維持を目指すのは経営ではないということです。現状維持は結果なのであって、あくまでも会社を発展させることが目標。そして、結果的に現状維持であっても、会社の仕組みや仕事のやり方など、会社のあり様は、その時その時に合わせて常に変わっていかなければならないと感じています。そうした会社の姿勢を見せることによって、社員の会社の見方、そして意識も変わってくるのでしょう。
3.経営者のネットワークは経営者自身がつくる
最後に、同友会のメリットについて話がありました。鋤柄さんは同友会の全国の会長さんですので、同友会のPRも忘れてはなりません。
同友会のよさとして、ネットワークが作れることを第一に挙げられました。経営者のネットワークを通じて社内に無い情報を入れる。それをどうやって社内に注入するのか、どうやって活かしていくのか、それを考えるのが経営者の仕事だとことです。
そのネットワークづくりに同友会が非常に役に立ちます。私もそう思います。最近特に感じるのは、「経営のことは経営者に聞くのがいい」ということです。経営や会計のセミナーもいいですが、会社を取り巻く実際の問題は多様で複雑、同じものはありません。それらへの対応は、やはり経営者から聞くのが手っ取り早いし、求める答えに近いものが得られるという実感があります。そういったやり取りを経営者どおしでするためには、日頃からのネットワークづくりが欠かせません。そして、そのネットワークは経営者自身が作るしかありません。こればかりは社員が作ってはくれません。
現在、長引く不況の影響などもあり、全国的に見ても多くの経済団体が会員数を減らしているそうです。そのような中、中小企業家同友会は会員数を増やしており、島根県内でも同じような現象が起きているようです。理由は簡単で、本当に役に立つと皆が思うから、会員数が増えている。それだけのこと。事実、そういう会だと思います。
このブログは、様々な社内外の様々な活動の中で私自身が感じたことを整理する意味で作成しています。同友会については、自分自身、やや褒めすぎの感もありますが、決して同友会信奉者などではありません。現在の私にとって役に立つと思うから、思った通りを書いています。あくまでも自分の会社を良くするために入会しているのであって、価値がなくなれば退会するでしょう。これからもそういう思いで参加していきたいと考えています。