2011年5月10日、島根県中小企業家同友会の第10回定時総会が開催されました。
島根県中小企業家同友会が発足して10年、この1年は、2010年11月27日の経営フォーラムの開催(私は別件と重なり欠席)、そして、2011年3月の出雲支部設立など、組織としても大きな変化・前進があった年となったようです。
また、この一年間で48名の会員が入会(私もその一人)し、総勢157名となったという報告がありました。前年比144%の急成長ということになります。いまどき、これだけの勢いで会員数が増える経済団体というのも珍しいのですが、島根県内の経営者を惹きつける魅力があるということを、この数字が証明しています。
そして、本総会の記念講演として、島根経済同友会代表幹事、株式会社ミック代表取締役社長 宮脇和秀氏のお話を聞く機会がありました。
講演テーマは、「変わる世界、日本、そして地方の現状」でしたが、東日本大震災おける政府の危機管理から国家のあり方、世界経済から地方経済、これからの企業の進むべき方向など、多岐にわたって興味深い話を伺うことが出来ました。全体とすれば駆け足だったのですが、その中でも私の記憶に残った“言葉”と、私の理解した意味合いを整理しておきます。
1.中小企業もビビらずにアジアをピンポイントで攻めていく
当社は、海外市場など思いもよらないのですが、そうやって“最初からダメだと思っていてはダメだ”という話だと理解しています。世界経済をみるとこれからはアジアの時代であることは間違いないところです。そういった中で、中小企業も「ビビらずにアジアをピンポイントで攻める」ことを考えるべきだと。
この“ピンポイント”という考え方と“ビビらずに”ということ、一考の余地があると感じました。自社の強みを、アジアの特定の国、特定の地域にピンポイントで売り込んでいく。“海外市場”と漠然と考えるとどうしていいか分からなくなる訳ですが、ピンポイント(ある国の、ある地域、ぐらいのイメージだと思います)で考えれば、具体的にどうすればいいのか見えてくるケースもありそうです。
そして“ビビらないこと”。本当にそのとおりだと思います。海外に出ることだけじゃなく、全てに当てはまることだと思います。話を元に戻すと、当社が直ぐに該当する商品・サービスを持っている訳ではないですが、初めから海外市場を考えないのではなく、可能性は閉ざさず、頭の隅には置いておくべきだと気づかせて頂きました。
2.経営者にガッツが無くなった~冒険しないと飛躍はない~
中小企業が、今後伸びていくために必要な要素として、まず、閉じずに打って出ることが重要だという話です。全くそのとおりですが、中々できない。そして、そのためのキーワードとして、多品種少量、高付加価値、カイゼン、ブランド化、スピード、などを掲げられましたが、一番最後は「ガッツ」。
今の経営者にはガッツが無くなったという印象があるようです。私も身につまされます。負けん気とか、貪欲さとか、押しの強さとか、がむしゃらさとか、まさに自分に足りないところだと思います。原因の一つとして、『昔は“いずれはよくなる”と思うことが出来たが、今は出来ない。それは政治に原因がある』という話もありました。政治のせいにしていてもはじまりませんが、「冒険しないと飛躍はない」、「変化し続けることが大事」との話もあり、まさにそのとおりだと感じたところです。
こういった話を聞く場を定期的に提供してもらい、自分自身の気持ちを強くし、奮い立たせることのできるのも、同友会のいい所だと思っています。
3.スクラップ・アンド・ビルドではなく、増改築で
企業を変えていくための方法のたとえ話です。スクラップ・アンド・ビルドで一から作りかえるという手法もあるが、中小企業ではそういったやり方はなじまないという考え方。それよりも中小企業は「増改築」でやっていく。“たとえ”として分かりやすいと思います。しかし、これは将来の目標、目指すべき姿、夢、といったものが明確にあり、それを目指して進んでいく時に、それを見据えながら「増改築」していく、という話だと理解しています。普通に考えても、やみくもに増改築した建物が使いにくくなるのは間違いありません。
もう一つ話があったのは、“手を付けたくないところから”先にやっていくことが重要だということ。その企業の人・モノ・金、を見た時にどこが課題なのか、一番大きな課題から取り組んでいく。おっしゃる通りの話ですが、難しい問題が後回しになりやすいというのは、どこの世界でも同じだと言うことでしょう。これも、当たり前のことを当たり前にやることが重要で、実はそれが以外に難しい、ということなのだろうと感じました。
ちなみに、宮脇さんは、夜の街もお好きなようで、フィリピンパブなど外国人女性のお店が大好きだと明言されていました。講演でそこまで言い切るのはさすがだと感心してしまいましたが、要は、夜の街に元気が無い状況では経済も活性化しないと言う話でしょう。もっと言えば、現金を回し、実態経済を動かしていくという意味で、夜の街で(適切に)お金を使っていくことも大事だという意味と理解しています。同友会も例会後には必ず懇親会がありますが、二次会も含めて必ず先払いの会費制で明朗会計です。節度あるお金の使い方ともいえ、とかく夜の街で散財しがちな私としては感心し、見習わなければならないと感じているところです。