新規事業・経営改善

新規事業に向けて 「スモールZEB」でCO2排出量ゼロ事業所に挑戦~島根発のエネルギー地産地消モデル~

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協和地建コンサルタントは、平成25年度、島根発のエネルギー地産地消モデル「スモールZEB」に挑戦します。平成24年8月から運用開始した、地中熱ヒートポンプ空調システムに、太陽光発電設備とLED照明などの省エネ設備を組み合わせ、CO2排出量ゼロ事業所の構築を目指します。着手に先立ち、なぜ、そのような取り組みを考え、挑戦するのか、そのまとめと、その実現を通じて目指すところをまとめておきます。

協和地建コンサルタント スモールZEBイメージ

1.中小企業でも実現できるコンパクトなZEBの実現へ

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)とは、再生可能エネルギーの多面的な利用や省エネの徹底などを組み合わせ、建物の運営・維持に係るエネルギーを建物の中でつくるエネルギーで±0にする、という施策です。経済産業省は、「2030年までに新築建築物全体でのZEB実現」といった(野心的な)目標を掲げており、この実現を図るための支援施策も充実しつつあります。このZEBの実現に向けては、“中核的な技術の一つとして地中熱の活用”が示されており、当社としても注視してきたところです。

ZEBは3階建以上の比較的大きな新築建築物への適用を想定しています。ところが、島根県をはじめ地方部においては、そのような建物が次々に建築されるという情勢にはありません。再生可能エネルギーの活用においても、むしろ既存の建物の中にいかに上手く適用していくかが問われています。そこで、先行的に地中熱ヒートポンプ空調を建物全体に採用した当社の本社社屋に対し、ZEBの実現に向けて採用が想定されている主要技術のいくつかを適用し、コンパクトで低コストなZEBの実現に挑戦してみることを考えた訳です。それを「スモールZEB」と名付けています。

現在、導入を予定している設備、機能は次のとおりです。
1)地中熱ヒートポンプ空調システム(H24年8月~導入済)
2)太陽光発電設備(平成25年6月~、本社及び倉庫屋根で20kw以上想定)
3)LED照明(平成25年6月~、本社及び倉庫照明を完全LED化)
4)本社屋の断熱性能向上(平成25年6月~、全ての本社窓の二重窓化(空調性能の向上))

これらの導入により、協和地建コンサルタント本社社屋・倉庫を対象に、一年間を通じたトータルのエネルギーコストを±0(=CO2排出量ゼロ)とすることに挑戦します。

2.多様な業種への波及効果が生み出す地域の活性化への期待

スモールZEBに取り組む当社にとっての意義は、第一には地中熱ヒートポンプ空調システムをエネルギー有効活用のパッケージの一部とすることです。そのことによる地中熱の理解促進、導入促進を目指しています。地中熱ヒートポンプ空調は、単体で考えると初期投資コストがかさむこともあり、中小企業の事務所、倉庫等では導入に向けたハードルが高いのが現状です。その選択肢を広げるきっかけの一つとなることを期待しています。もちろん、地中熱の販促施策としてだけなら、大がかり過ぎます。

この取り組みの意義の一つは、関連する様々な設備や商品の地域における市場の活性化にあると考えています。このパッケージには、地中熱以外にも様々な設備や商品が必要です。このコンセプトの普及によって、その設備や商品の需要が促進に少しでも影響を与え、取り扱う企業の成長につながれば、地域の経済活動の活性化に貢献することになります。それがひいては、当社の活性化にもつながってくる、と考えています。なお、当社は、この取り組みをきっかけとして、太陽光発電設備やLED照明販売等の事業に参入することは一切考えていません。当社は、当社にとって強みのある地中熱に取り組んでいきます。

現在、太陽光発電設備についてはバブル的に市場が活性化していますが、買取価格との関係でいつまでも続くものではありません。しかし、太陽光発電に限りませんが、再生可能エネルギーへの取り組みは一過性のものであってはなりません。技術革新を図りながら、地道に普及を図っていく継続的な取り組みが求められます。そう考えた時、島根県をはじめとした地方部における対応は、一社だけが取り組むのではなく、様々な企業が連携・協力しながら市場をつくり、育てていくことではないかと考えています。この“スモールZEB”は、その一つのモデル、或いはきっかけになりはしないかと考えています。

3.挑戦する姿勢を保ち続けることが社員の士気向上につながる

平成24年8月から運用開始した、当社の地中熱ヒートポンプ空調システムは、島根県内初の事務所全体の地中熱空調として各種マスコミにも取り上げて頂き、多くの方に関心を持って頂くきっかけになりました。職員にとっても会社の取組みが関心を持ってみられるということは気持が引き締まりますし、先進的な取組みをしていることに対して、多少なりとも誇らしい気持ちも持ってもらっていると思います。

そういった会社として挑戦する姿勢を持ち続けることの一つの形として、地中熱空調の次のステップが、「スモールZEB」だと認識しています。地中熱空調は“島根県内初”でしたが、今回の取組みは全国的にもあまり事例のないものになると考えています。会社としれば再生可能エネルギーに取り組む地域企業としての存在感の向上につながりますし、社員にとってもさらなる士気向上につながっていけばと考えています。

スモールZEBの実現は、エネルギーの削減量とエネルギーの生産量との兼ね合い次第です。着手にあたり、一定の試算を行っていますが実際にどこまで実現できるかは、やってみなければわからない面も多々あります。しかし、“やってみなくちゃ分からないからやってみる”ことが挑戦の基本な訳で、構想は楽観的に考え、試算と計画は悲観的に考え、必ず実現できると信じて取り組んでいきたいと考えています。

もちろん、挑戦が必要だからといって、やみくもに新しいことに手を出せばいいというものではありません。今回のスモールZEBも少なくない投資が必要となります。しかし、今回の投資は、固定価格買取制度の導入によって長期的には確実に回収可能なキャッシュを生みだします。現在、固定価格買取制度のプレミア価格の適用期間中ということもあり、H25年度から単価が少し下がりますが、それでも想定どおり売電できれば投資に対して十分な回収が見込めます。しかし、その売電価格は賦課金によって幅広く電気料金に上乗せされている訳で、事業性があるからといって、企業として単に利ザヤを収益に加算するだけでいいのかという気持もあります。であるならば、その余剰分をさらなるエネルギー効率の向上に資する投資に充て、様々な可能性を探って行くことが一つの方向性ではないかと考えています。

ZEBのイメージ (社)日本ビルエネルギー総合管理技術協会HPより

この「スモールZEB」というコンセプト。私が考えたものではありません。以前勤めていた会社の後輩が提案してくれたものをそのまま採用させてもらったものです。現在では、私もその後輩も以前勤めていた会社を辞め、同じ山陰という地で、新しい仕事に取り組んでいます。しかも、共通するのは“エネルギー”に関する仕事に係わりがある(もっとも、彼はスペシャリストでこの地域の第一人者、私は最近勉強し始めたばかりです)ということ。そういったご縁があったからこそ生み出すことができたこのコンセプトの可能性を確信し、実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。運用開始のあかつきには、またこのブログで経過を紹介します。

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