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マネジメントゲーム(MG)で経営感覚を養う~悩み・考えることで成長を促す~

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このたびの東北関東大震災で被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族のみなさまに心からお悔やみ申し上げます。

2011年3月5日(土)~6日(日)にかけて、マネジメントゲーム(以下、「MG」と言います。)という研修に参加してきました。鳥取県倉吉市の、倉吉MG会(事務局は株式会社丸十さん)が主催する研修に参加させてもらいました。

MGは、“ビジネスゲーム”と呼ばれる体験型の経営教育手法で、西順一郎さんという方が開発されたものだそうです。「一人経営」という形式で、参加者全員が同じ元手(資本金)でスタートし、同じ条件で競って利益を上げ、どこまで資産を増やせるかを競います。負荷は大きいものの効果も高いそうです。実際、初めてやってみましたが大変でした。

また、一回だけでなく、繰り返しMGを行うことで、様々な気づきを得られることができるそうです。中々興味深い研修で、感じたこと全てはまとめきれませんが、その一部を紹介します。

1.安くしないと売れないが、安くすると売上と利益が上がらない

MGで疑似体験する会社は、材料を仕入れて、工場で生産し、市場に売る、という会社です。基本的に製造業の会社ということになります。5~6人ぐらいが1グループになり、全員が1人社長で、同じ製品を作り、同じ市場に売るという前提。全員が競争相手です。同じ商品を売るので、販売は入札。安い値段を提示した人が商品を売ることができます。(詳しく説明するときりが無いのでこのぐらいで。)

このゲームをやってみて最初に感じたのは、「安くしないと売れないが、安くすると儲からない(お金も足りなくなる)」ということです。当たり前のことですが、このことを直接的に体感出来る機会というのは実はあまり無いと思います。現実世界も同様ですが、そのバランスが重要な訳で、どのタイミングで売ればよいのか、いくらなら勝てるのか、といった様々なことを考えながらゲームを進めなければなりません。また、このゲームはかなり早いスピードで進むので、迅速な意思決定が求められます。意思決定の訓練としても秀逸な仕組みになっていると思います。

今回のMGでは、5回(5期)ゲームをしましたが、前半は全くついて行けず、やっと感覚が分かってきた頃に終了となりました。結果は後述するように散々でしたが、研修としての完成度の高さ、奥の深さは感じることが出来ました。

MGの様子(倉吉MG会 岡野さん撮影)

2.マトリックス会計表による決算作業も大きなウエイトを占める

このMGによる研修では、ゲーム盤を使って模擬的な会社経営を行うだけでなく、1回(1期)ごとに実施する決算作業が大きなウエイトを占めていました。ゲームで使った資金繰り表(現金出納や仕分け帳を兼ねる)を用いて、その期の現金収支をまとめ、それを「マトリックス会計表」と呼ばれる会計手法を用いて決算作業を行います。(これも詳しい説明は省略します。)

重要なのは、これを全て手計算(電卓は使用)で実施するという点です。最初は訳が分かりませんし、結構な作業量でびっくりしましたが、何回も研修を重ねている方はものすごいスピードで計算し、帳票を作成します。この計算スピードを高めることも研修の一環となっているようで、完成すると講師の方がチェックし、すべて合格すると完了。その順位をカウントするようになっています。

この計算は、手順が紙に書いてあり、数字や指標等の意味することが分からなくても、作業を進めれば決算書が作成できるようになっています。最初は分からずとも、手計算でスピードと正確性を競いながら繰り返し行うことで、結果的に数字の意味を理解することにつながるのでしょう。なんでもパソコンの表計算ソフトで計算できる時代だからこそ、「実際に自分で計算して確かめてこそ身に付く」ということを教えられたように思います。

マトリックス会計表(全て手計算で作成)

3.目標を立てて必要な利益・売上を計算し、そのための方法を考える

今回の研修では、MGを全部で5回(5期)しましたが、4期の前に必要な利益や売上について目標設定を行うようになっていました。3期分ゲームを進めると、ゲームの様子も分かり、また、各参加者の会社もよかったり悪かったりしています。そのタイミングで、次の期でどの程度まで会社の業績を持っていきたいかを考え、そのために必要な利益や売上を計算し、それを実現するためにはどうすればいいのか(数量多く売るのか、一つ一つを高く売るのか等)を考える訳です。

普通の会社であれば当然に行うことですが、このゲームでも同様のことが行われます。会社経営を疑似体験して経営感覚を養うのがこのゲームの目的ですが、目標設定の必要性や目標達成のために考えるべきことを上手く学べるようになっていると感心しました。そして、目標設定してやってみても、上手くいかない訳です。そこでまた考える。現実世界を上手く凝縮し、効果的に考えさせる上手い仕組みに感心しました。

参加者の成績(左グラフ 一番下がっているのが石倉)

最終的な成果は、21名の参加者中最下位。しかも、一人だけ元手を下回る債務超過状態となりました。終わった後は、正直あまり面白くありませんでした。しかし、不思議なもので数日時間がたってくると、またやってみたくなってきました。

一緒に参加された方(かなりMGの経験を積まれた方)が散々な成績の私に言われました。「上手く行った時より、上手くいかなかった時の方が勉強になる。なぜ上手くいかなかったのか考えるから。」

その通りだと思います。人間は悩んだ時にこそ成長するといいます。会社経営も悩みの連続ですが、乗り越えるといいこともあります。その悩み・考えるという機会を擬似的に創出し、人としての成長を促す効果がこのMGの真髄なのではないかと、今思うところです。

 

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