2011
02.25

2010年11月から、島根経営品質研究会に入会しました。

経営品質とは耳慣れない言葉ですが、顧客にとって価値あるものの創造を目指した経営への変革を目指し、1)顧客本位、2)社員重視、3)独自能力、4)社会との調和、の4つの要素を追求する経営だとされています。また、“品質”が意味するところは、「企業の経営が、その企業の目的を実現できる状態になっている」ことだそうで、まず、企業の目的を明らかにし、その実現のために先の4つの要素を重視しながら卓越した経営を目指そうとする取組みと理解することができます。

島根経営品質研究会は、2007年に島根県内において経営品質向上活動を実践する企業・団体・個人により設立されたもので、月例の勉強会、特別講演会、経営品質基礎講座、優良企業のベンチマーキング等の活動を実施されています。

2011年2月17日、特別講演会が開催され、「ネッツトヨタ南国 ビスタワークス研究所」の大原光秦さんを講師に迎え、経営品質についてセミナー形式で話を伺いました。ネッツトヨタ南国は高知県の自動車ディーラーですが、2002年度に経営品質に取り組む企業を表彰する「日本経営品質賞」を受賞した会社としても知られています。大原さんは、その中で経営品質の取組みを中心的に担われた方です。実は、この研究会では昨年も大原さんを招いて講演会を開催しています。私はその時と今回と2回話を聞きましたが、大変感銘を受けるとともに、会社の経営をどのように考えていくべきかについて、大きな示唆を受けました。

講師の大原光秦さん

セミナーの内容を全て網羅することは到底できませんが、今回の話の中から3つまとめておきます。

1.事情で働くのか、目的のために働くのか

“あなたは何のために働いていますか”という質問があったとき、様々な答えが存在します。“事情”というのは、生活のため、家族を養うため、といった回答のことで、何か理由があって(やむを得ず)働いている状態ということです。では生活に困らなくなったら働かないのか?ということになります。もっと言えば、そういった意識の人がする仕事は本当に人に喜ばれるものなのか、ということにもつながります。

一方、人を幸せにするため、世の中を良くするため、といった“目的”のために働く人は、仮にお金があって生活に苦労しなくなっても働き続けるでしょう。そういった人達の集まった組織とそうでない組織、どちらに優れているか、価値があるのか、答えは明白です。

経営も一緒です。例えば、昔から会社を経営していたから、引き継ぐ人がほかにいなかったから、等というのは“経営者が事情で経営している”と言えます。私は協和地建コンサルタントの3代目社長で、前述のような“事情”は当然あります。引き継ぐきっかけはそうだったとしても、そういった思いのままでこの先の経営を続ければ、会社の先行きが明るくなるはずもありません。なぜ組織には目的がいるのか、そして目的を明確にすることの重要性を分かりやすく、理解させてもらえる話でした。

2.人に影響を与える力は専門力と人間力に集約される

経営者や組織のリーダーは人を動かさなければなりません。人は相手から何らかの影響を受けて動きます。社長は、自分が従業員に影響を与えることで人を動かすことになります。その影響力は次の5つに分類されるそうです。1)強制力(力ずく、怒る、等)、2)欲しいものを与える(モノ、お金、等)、3)権威・肩書、4)専門性(詳しい、よく知っている、頼りになる等)、5)人間力(共感を呼ぶ、その人のためなら頑張れる等)、です。

自分が人から影響を受けて行動するとして、このうちどの影響力によって動きたいか、心から動くことができるか、という話です。考えてみれば簡単で、4)専門力と5)人間力に限られるでしょう。すなわち、専門力と人間力を持たない人が、1)2)3)を行使しても意味をなさないというわけです。そして、専門力は経験と勉強によって身につけていくことが出来るでしょうが、人間力は一朝一夕にはいきません。他人のため、世の中のために行動する人でなければならないでしょうし、経営者で言えば自分のためではなく、従業員のために行動できる人間ということになるでしょう。このことは、頭では分かっても中々出来ないことの一つだと思います。その高みを目指して日々意識し、努力することしかありません。リーダー・社長が“人間力を高める”ということの重要性を改めて認識させてもらうことが出来ました。

3.価値感の共有化ができているリーダーは本気で取り組んでいる

経営の目的があり、その目的に向かって社員が一丸となって取り組んでいる状況。いわゆる価値観の共有化がなされている企業は、強い会社・良い会社である可能性が高いと思います。それは、どのような企業であっても目指しているはずですが、出来ていない企業も多い。当社も、現時点ではそういったレベルにはありません。

それが出来ていないのは「リーダー(社長)が本気で無いから」だという話です。本気でないから相手に伝わらない。回りの環境のせいや社員のせいではない。至極ごもっともで分かりやすい話です。自分自身を振り返ってみて、もちろん適当・いい加減に経営に取り組む気持ちはありませんが、どこかに甘えはなかったのか、人のせいにするような気持ちが一切なかったのか、顧みるべき点は多々あります。叱咤激励と受け止め、気持ちを新たにする機会を得たと感じています。

質疑、意見交換の様子

まとめてみると抽象的・概念的な話が中心になった気がしますが、経営の本質はまさにそこにあるのだと思います。テクニックや手法ではない。目的、理想、夢、愛、など、青臭く、中々本気で考える機会が無いことを考えることの重要性、そのことを経営品質の考え方から教わったように思います。

2011
02.17

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

31箇所目は、島根県出雲市の「えんや温泉(ニューウェルシティ出雲)」です。訪問日は、2011年2月15日です。

ニューウェルシティ出雲外観(えんや温泉側(裏側))

えんや温泉は、成分濃度の高さが特徴です。泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、成分分析表によれば成分総計20.19g/kgを誇り、特に塩素イオンの含有量は島根県内屈指の高さと言えます。口に含むとかなり塩味がします。入浴による適応症としては、切り傷・火傷や慢性皮膚病などに効果があると考えられます。加えて、この温泉は“高張泉”(浸透圧が人間の体をつくっている細胞液よりも高い)であるため成分の吸収効果が高く、成分濃度の濃さと相まって、より高い効果が期待できると考えられます。一方で、成分が吸収されやすいと言うことは“湯あたりしやすい”とも言え、慣れないうちからの長時間入浴は控え、体を慣らしながら利用する方がよいと言えます。

風呂は、内湯のみで露天風呂などはありません。浴室内はコンパクトで、源泉を使用した浴槽は4~5m四方のコンパクトな浴槽となっています。また、成分分析表では使用位置の温度は40.7℃となっていましたが、それよりはやや高めの温度になっているように感じました。結構熱い風呂だと思います。

また、並びの浴槽にはジェットバスや気泡風呂などがありますが、これは源泉ではなく水道水が使われていました。また、浴室内の一角に打たせ湯などもあり、限られたスペースながら設備的には色々と工夫がなされています。

洗い場は9箇所、仕切りのあるタイプで、ボディシャンプーとリンスインシャンプーが備えてあります。脱衣場はロッカーが50個程度ありましたが、コの字型のレイアウトになっている上に間隔が狭いため、4~5人同時に着替えをするとかなり窮屈な印象を受けました。なお、受付で下駄箱の鍵と交換にロッカーキーを受け取り、使用するタイプです。洗面台は4箇所、いずれもドライヤーが備え付けてありした。

受付など入口付近の様子

入浴料は、大人500円。出雲市内の民間温泉施設(元々は公的な施設ですが現在は民営なので民間施設と比較)すると、近隣で営業するランプの湯(平日大人600円)、割烹温泉ゆらり(平日大人600円)などと比べてやや割安となっています。施設が小規模であること考慮すれば妥当なところかもしれません。

えんや温泉は、「ニューウェルシティ出雲」の一角にある温泉施設で、温泉以外にも結婚式場、会議・宴会場、宿泊、レストラン、トレーニングジムといった多様な機能を有する複合施設です。元々は、「島根厚生年金会館」として運営されていたものが、2010年3月から地元民間企業の運営に代わり、現在の名称でリスタートされています。

通常のホテルとして利用してもリーズナブルな宿泊料となっており、また、ホテル宿泊者は温泉が無料(宿泊料にふくまれている)で利用できるそうです。また、温泉の一般利用は21時までですが、宿泊客は21時から24時までと朝の6時から8時半まで利用できるそうで、これも良いサービスだと思います。立地的にも出雲市の街中にあり、温泉入浴も含めて考えればお得感はあると思います。

訪問したのは平日の午後でしたが、浴室内は常時4~5人の利用者がありました。浴室がコンパクトなこともあり、かなり賑わっている印象を受けます。成分濃度の高さでは突出した値を示す貴重な温泉であり、こういった温泉だからこそ、日頃から利用することがより重要なのだろうと感じます。利用者のみなさんはも身を持って感じられているのかもしれません。

2011
02.09

社長の温泉めぐり30 岸本温泉(ゆうあいパル) 鳥取県伯耆町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

30箇所目は、鳥取県西伯郡伯耆町の「岸本温泉ゆうあいパル」です。訪問日は、2011年2月6日です。

岸本温泉ゆうあいパル 外観

岸本温泉の泉質は、アルカリ性単純泉です。単純泉の中でも成分量は少なめながら、phが9.2とアルカリ度が高いなのが特徴です。成分が少ない分“入りやすい温泉”であり、長湯をしても湯あたり等の心配は少なく、ph高めの美肌の湯として、適度なヌメリ感を感じることができます。

浴室内は天井がかなり高く、高い位置にある天窓から取り入れられた光が浴室内を照らしています。床や外壁は石張りのパネルとする一方で天井のみ木材が使われており、高級感もありながら落ち着いた雰囲気を出しています。

風呂(内湯)は大浴槽のみとなっていますが、その一部がジェットバスや気泡バスなどになっています。また、外には内湯とほぼ同じぐらいのサイズの露天風呂があり、一角に打たせ湯がありました。広めの露天風呂は中々開放感があります。ただ、この露天風呂はかなり温度がぬるめの設定で、冬場はちょっと寒い感じがします。その他、広めの遠赤外線サウナが備わっています。

浴室の様子

珍しいものとしては、「雪肌サウナ」という設備。ネーミングがいいです。もちろん雪が降る訳ではなく、冷たいサウナということ。要するに冷凍庫の中のような状態(温度は0℃とのこと)をつくり、熱いサウナの後に入る(それを繰り返す)ことで、肌の引き締めに有効で、美肌効果が高いそうです。実際入ってみると、確かに冷気が満ちているので寒いのですが、水風呂に比べれば随分と入りやすく、出た後もさっぱりします。夏場の湯あがり前に使うとかなり爽快ではないかという印象です。山陰地域“初”というふれこみですが、確かに他の施設では見かけません。特に女性に人気のようです。

洗い場は10箇所、仕切りの無いタイプで、ボディシャンプーとリンスインシャンプーが備えてあります。脱衣場は2箇所に分かれていて(部屋の形状がややいびつなので、後で増やしたのかもしれません)、トータルで50以上あります。縦長の鍵付きで、上着などが掛けられるようになっています。なお、受付で下駄箱の鍵と交換にロッカーキーを受け取り、使用するタイプです。洗面台は3箇所、いずれもドライヤーが備え付けてありした。

また、この施設は温泉プールを併設しています。プールは長円形で直線コースはありません。泳ぐことよりも歩行浴などで活用するタイプのようです。脱衣場から風呂とプールそれぞれに行ける造りとなっています。また、プール用の見学スペースが設置されており、プールに入らなくても外から中の様子を見ることができるようになっています。

その他、中庭の一角に足湯があり、無料で使用することができます。ただ、源泉を加温せずにそのまま使用しているということで、少しぬるめになっています。

中庭にある足湯

入浴料は、温泉のみで400円。ここは、プールが併設されているので、入浴+プールだと500円、プールのみは300円という設定になっています。

この施設は外観も大変立派で風呂やプールだけでなく、レストランも併設されています。また、「岸本町保健福祉センター」と名前が付いており、保健・福祉行政の拠点施設としても位置付けられているようで、社会福祉協議会の事務所なども併設されていました。

訪問したのは日曜日の午後ということもありましたが、ひっきりなしにお客さんが訪れており、かなり賑わっている様子でした。松江市からはやや遠いですが、米子市内からは車で20分程度でしょうか。風呂も適度な大きさで、入りやすいアルカリ性単純泉、また雪肌サウナという珍しい設備もある、中々よい温泉施設だと思います。

2011
02.03

平成23年1月22(土)、平成22年度島根県技術士会新年例会が開催されました。

毎年開催されている「新年例会」ですが、午後からの研究発表会と夕方からの懇親会で構成されています。研究発表は、共同研究と個人研究に分かれており、様々な会社・組織に所属する会員のみなさんが、共同或いは個人で実施された研究活動について報告されます。今回の研究発表会は4時間半にわたる長丁場で、昨年の8件を上回る11件の研究発表が行われました。発表者が多くて時間目一杯に詰め込んだ盛りだくさんの内容で、これらの研究に取り組まれる方々の熱意には頭が下がります。事務局発表では、研究発表会が約90名、懇親会が約60名という参加者数だったようです。

研究発表会の様子

今回、その中で、バイオマス研究分科会の報告「島根県内の木質バイオマス利用の事例調査」について取り上げてみます。バイオマスについては、青年部会でも2010年5月に講師をお招きして話を聞いています。この分科会でも木質バイオマスに着目し、島根県内における木質バイオマスの供給側(チップ加工等)、利用側(チップボイラ等)、それぞれの実情について調査されています。実は、私もこの調査に参加しようと思っていましたが、都合が悪くなり行けませんでしたので、なおのこと興味がありました。

言うまでもなく、バイオマス資源の有効活用については近年注目が集まっています。森林面積比率が全国3位の島根県(“率”で3位ってあまり意味がない気もしますが)では、“木質バイオマス”資源をどう活用してくかは重要な論点かと思います。

しかし、国を挙げて取り組んでいるという割には伸びやなんでいるというか、日常生活に飛躍的に浸透しているという感覚はありません。それは何が原因なのか、実情はどうなのか、興味があるところです。

結論から言えば、やはり、バイオマス資源は、単発的な導入・利用では持続的なものにならないということで、供給側、利用側両面から、地域一体となって市場を拡大することが重要だということのようです。今回の研究は、事例調査といいながら、現状の問題点や課題、今後の取り組み方策まで提案されており、大変参考になるものでした。

ところでえ、私は2年前に広島から島根(松江市八雲町)にUターンしてきましたが、その際、実家を改修し、ペレットストーブを導入しました。本当は薪ストーブが良かったのですが奥さんの反対(手入れが面倒すぎるとの意見)により、ペレットストーブにしました。このペレットストーブの燃料となるペレットですが、広島県内の業者さんから買っています。島根県内で生産したものを使えればよいのですが、まだ気軽に購入できるような生産体制はできていないようです。最近は薪ストーブが人気で、薪やペレットなど木質燃料の需要も以前よりは高まっているようですが、灯油並みという訳にはいきません。

ちなみに、薪ストーブより取り扱いが簡単というのがペレットストーブの売りの一つですが、それほど簡単ではありません。ほぼ毎日手入れ(掃除)も必要ですし、上手く着火しないこともあります。使うペレットの種類とストーブとの相性もあるようです。また、燃料のペレットもできるだけ吸湿しないよう、保管に気を付けないといけません。この点、利便性について灯油と比較できるレベルにはありません。

それでも使うのは、“買ってしまったので仕方ない”こともありますが、ある程度の熱量があって暖まるということ、さらには、火が燃える様子を見ながら暖を取るということの心地よさ、といったものがあります。生活の一部に木質バイオマスを(一応)取り入れている身として、その活用が今後どのように進むのか、興味があるところです。

研究発表会の後は懇親会です。

懇親会の様子

公共事業に関わる土木系技術者のみなさんが中心なので、顔なじみであったりするわけですが、発表者の方にそれぞれの研究の概要や、発表では十分話が出来なかった内容を聞いたりする場になっています。島根県という地域に根差して活動する技術者が、発表の場、そして懇親の場で交流を図れる島根県技術士会という組織は、大変有意義なものだと改めて思います。