2013
08.29

2013年8月23日から25日にかけて、またしても島根県西部を大雨が襲い、大きな被害が発生しました。先月の大雨災害の復旧もままならぬうちの新たな災害。被災された地域のみなさまに改めてお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧を重ねてお祈り申し上げます。この災害によって、当社が日頃から泉源管理等でお世話になっている江津市の有福温泉に大きな被害が出ました。被害発生の翌々日、温泉源の配管の仮復旧作業(4名)と、片づけ等の災害ボランティア(4名)で現地対応に出かけてきました。わずか一日のことですが、災害ボランティア班として、地域の方々、また各地から駆けつけたボランティアのみなさんと作業を行いました。その中で、こういった緊急時における地域のありよう、人と人とのつながり、といったことに大きな気づきを得る機会ともなりました。そのことについて少しまとめてみます。

浸水した家屋からの荷物の運び出し

1.明るく前向きに復旧に向けて活動する街の方々の力強さ

現地に到着し、日頃お世話になっている方々にご挨拶した後、災害ボランティアの活動に入りました。早速感じたのは、街の方々がとても元気だということです。死者・行方不明者等の人的被害が出ていないということもあるかもしれません。しかし、温泉街の街中のほとんどの家屋が床上浸水している状況ですので、大きなショックを受けられているのは間違いありません。それでも、とても元気に協力し合って片づけに取り組まれる姿は、悲壮感漂う姿を想像して駆けつけた身としては、少し救われた気持ちになりました。

それどころか、昼休憩時には、お茶や炊き出しのおにぎりなどをたくさん振舞って頂きました。ボランティアに行く者は、飲み物や食事、用具等、自分で準備していくことが基本です。ですので、我々を含めこの日ボランティアに来られた方々は自分達のものは準備しています。それでも、ボランティアで支援に来た我々を必要以上に気づかって下さる。自分達が一番大変なのに、その姿には感謝の言葉しかありません。少しでも復旧が進むよう、全力でこの作業に取り組もうという気持を新たにさせて頂きました。そして、作業が終わった後の「助かりました。」というお礼の言葉。本当に心に響きます。一日も早い復旧を願っています。

大変な時こそ元気を出す。災害は不幸なことであり、当事者でない我々はお見舞い申し上げるしかありません。いずれにしても起こってしまったことは元には戻らない。それならば、いち早く復旧させ、元の暮らしを取り戻す。くよくよしても仕方が無い。有福の街の方々の元気は、そういう強い気持ちの表れではないかとも感じます。これは何も災害対応に限りません。経営者であれば、事業経営が上手くいかないとき、ついつい気持ちが落ち込みがちです。しかし、そういう時こそ元気を出す。前を向いて一つ一つやるべきき事を進めていく。そういう基本的な姿勢を思い起こさせて頂いたように感じています。

温泉源からの配管仮復旧班による作業

2.駆けつけるボランティアの力・つながりの力

今回、当社メンバーは4名の泉源配管復旧班と、4名のボランティア班に分かれて現地入りしました。ボランティア班は、温泉街の建物からの荷物搬出(ほとんど全ての家屋が床上浸水)、廃棄物処理トラックへの積み込み、泥出し、飲食店の食器・テーブルなどの洗浄などのお手伝いを実施しました。当日は、県内各地からボランティアの方々が現地入りし、一緒になって作業を手伝っていました。

災害発生後、わずかな間でたくさんのボランティアの方々が集まるということが素晴らしいことだと、現地で改めて感じます。現代の人と人とのつながり、助け合いの気持ちも捨てたものではありません。様々な情報伝達手段が発達した現在では、テレビのニュース等に加えて、インターネット等で現地の状況を把握することが出来ます。そして、SNSなどの個人的なつながりを密にするツールを通じ、“あの人が困っているから助けに行かねば”という思いを持って参集する方々もいらっしゃいます。そういった新しいつながりが支援の輪を広げているように実感します。

我々は、たまたま同じ日に現地入りした松江商工会議所青年部のボランティアメンバー5名と合流し、一緒に泥出し作業等に従事しました。商工団体、特に若手経営者のつながりも強いものがあります。先月の津和野の災害でも、多くのメンバーがボランティアで現地へ駆けつけていたようです。日頃から、地域は違えど経営者の一人としてお互いに切磋琢磨する仲間だからこそ、危機に際して駆けつける。後述の、江津商工会議所青年部の会長を務める有福温泉の旅館経営者の方がいます。その方が困っているなら、何が何でも助けに行かねばならない。そう感じて行動に移す県内の若き経営者がたくさんいる。そのことに大いに感銘を受けるとともに、果たして自分自身がそういう存在になっているのか、改めて考えさせられる機会を頂いたと感謝しています。

当社ボランティア班と松江YEGボランティアメンバー

3.緊急時に力を発揮してこそ真のリーダー~復旧後の新しいまちづくりへ~

今回、街(温泉街)の中心部に仮設置された自治会の災害対策本部で陣頭指揮を取っていらっしゃった自治会長さんがいらっしゃいます。日頃から懇意にさせて頂いている方で、まちづくりにかける強い情熱と行動力を持たれている、とても尊敬すべき方です。その方の奮闘ぶりに改めて感銘を受けました。緊急時に力を発揮してこそ真のリーダーではないかという思いを新たにしました。

ご自分の自宅も被災されているにもかかわらず、連日、本部に詰めて陣頭指揮をとる。行政との折衝、マスコミへの取材対応、街の人からの要望の処理、災害対応にあたる地元の方々・消防団・ボランティアへの指示、など、仕事は多岐にわたりますが、それら一つ一つを丁寧に、かつ素早く決断して対処していく。自分が本部を離れる時には必ず代理の者に指示を出しておく。そして、最後には町内の飲食店から相談を受け、水道復旧作業(配管工事)を自らの手で施工されていました。まさに獅子奮迅の活躍。こういったリーダーが地域に居ることの心強さを感じずにはいられませんでした。

そして、もう一人若手のリーダーが、前述の江津市の商工会議所青年部の会長も務める、旅館経営者の方です。自らの旅館も大きな被害を受けながら、自分は街の復旧に向けた各種段取りに奔走されていました。こういった方が居るから、なんとか地域が持ちこたえている。そう感じずにはいられません。

このような各世代のリーダーが一丸となって街の復旧に取り組む。復旧の後は、新しい街づくりにつなげていく。そう期待させてもらえる姿を垣間見た気がしています。繰り返しになりますが、災害は無いに越したことはありません。しかし、既に起こってしまった災害を元に戻すことはできません。災害発生直後は、“災害復旧”という共通の目的に向って一丸となれる。それが一段落した後も、“街の復興、新しいまちちづくり”という共通の目的に向って取り組んでいく。そういういい流れが出来れば、「災害は起こったけども、いいこともあった」と振り返ることが出来る日が来るのではないかと感じます。我々も、引き続き有福温泉もまちづくりのための全力で支援していきたいと考えています。

消防ポンプによる放水で泥を流す

今回、もう一つ印象に残ったのは、地域の「消防団」の活躍です。消防団が所有している放水ポンプが家屋に流れ込んだ泥の排出や、道路に溜まっている泥を流すのにとても大きな役割を果たしました。ポンプを稼働させるとき、たまたま消防ポンプを動かした経験のある人が不在で、地元の消防団員でもある当社専務がポンプを動かし、放水作業をスムーズに進めることが出来ました。消防団で使っている道具は県内各地で全て共通。ポンプの仕様も同じ。ですので、自らの地域で訓練していれば、誰がどこに行っても同じように道具を使って作業することができます。知っている人にとっては当たり前のことかもしれませんが、そのことの持つ意味を現地での実体験で感じる機会となりました。地域に若い人が少なくなり、消防団員の成り手が無いというのも実情です。日常の訓練も面倒くさく思うのも当然です。私もそう思う時があります。しかし、いざという時、これらのことがどれだけの役に立つのか。どれだけ人を助けるのか。それを知り得たことも大きな収穫でした。私も地元消防団員の一員です。これまで以上に訓練に取り組み、いざという時に備えたいと実感しています。

2013
08.23

2013年7月28日に島根県西部を襲った大雨により大きな被害が発生しました。現在もその爪痕が生々しく残っています。被災された地域のみなさまに改めてお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。この災害にあたり、当社も災害対応業務として、津和野町内の砂防河川の一部を担当し、現地調査と災害査定用資料作成を実施しています。私が社長に就任して以降、初めての本格的な災害対応となりました。8月13日から17日までの現地作業を終了し、現在は社内での作業を継続中ですが、現地作業が終了したタイミングで、この災害対応という仕事が会社経営の観点からどういう意味合いを持つのか、対応してくれている社員への感謝の意味も込めて、まとめてみます。

担当した河川の状況

1.経営としての迅速な意思決定の重要性~協力してくれる社員に感謝~

当社をはじめとした設計コンサルタントが担う「災害対応」とは、今回のような大雨等で災害が発生した場合に、道路や河川といった土木施設等を対象に現地の被害状況を把握し、災害復旧のための国の査定を受けるための資料を作成するものです。これはボランティアではなく、国・県・市町村等の自治体(当該土木施設を管理する主体)からの業務委託として費用を頂いて実施するものです。

当然のことながら、災害は突然襲ってきます。ですので、この災害対応という仕事も突然発生する仕事です。自らの地域で発生した災害に対して協力するのは当然のことなのですが、短期勝負で多くの人員を要する仕事なので、既に受託している仕事を抱えている中では、それらを止めて対応する必要があり、簡単に調整がつかないことも多々あります。災害対応のためとはいえ、既にご契約頂いているお客さまに大きな迷惑をかける訳にはいきません。このため、災害対応には経営の素早い意思決定と調整能力、なによりも社員のみなさんとの共通認識と協力が求められます。

今回の災害、大雨が発生したのが7月28日、これに対して当社が現地入りしたのは、8月13日と、少しタイムラグがあります。実は、8月上旬にも一度対応要請があったのですが、前述のお客さま都合で調整が付かず、対応が困難な状況にありました。今回対応できたのは、“お盆休みを返上する”という対応ができたからです。元々、多くの社員が休みを取る予定でしたし、お客様への対応もひと休止します。このお盆休み中に多くの要員を要する現地作業(被災箇所確認、伐採、測量、被災状況写真撮影等)を実施すれば、限られた範囲ではありますが、対応が可能と判断しました。

ほとんどの社員がお盆休み返上となることについては心苦しくも思いましたが、島根県内の甚大な災害対応を少しでも支援したいということを伝えたところ、多くの社員が協力を申し出てくれました。本当に感謝したいと思います。もっとも、お盆休み返上で災害対応にあたっているのは当社だけではありません。県内の各設計コンサルタントをはじめ様々な方々が連日遅くまで対応に当たっています。その努力が、一日も早く“復旧”という形で具体化することを願っています。

2.「笑顔は一生の宝もの」の実践と大切さを現場で知る

当社は、2013年4月から大学新卒の新入社員を迎えています。この新入社員も、災害対応のメンバーとして4日間、津和野町での災害対応に従事してくれました。ある社員が「一年目から災害対応とは運がいいね。」と声をかけていました。この言葉は冗談半分、本気半分ですが、的を得ています。入社して4カ月ほど、最初のお盆休みをいきなり返上で泊まり込み、となれば大変なのは間違いありません。その一方で、この4日間を一緒に過ごし、役割を果たしてくれたことで、素晴らしい経験をしてくれたと感じています。

実は、この新入社員は女性なのですが、猛暑が続く現場でずっと元気に仕事に取り組んでくれました。伐採等の力仕事はさすがに控えましたが、各種測定作業の補佐などに意欲的に取り組んでくれました。また、現地での飲み物の準備や昼のお弁当の手配等の仕事を担当してもらいましたが、これも自分で考え、自らの判断で対応してくれました。まだ入社4カ月で技術的にはまだまだこれから身に付けていってもらう時期ですが、与えられた役割をしっかりと全うするその姿には、周囲の社員も心強く感じて見守っていたと思います。

私がなにより素晴らしいと感じたのは、「疲れた顔を見せないこと」です。連日35℃越えの酷暑の中での作業です。当然疲労が溜まっていたと思いますが、常に笑顔で笑い声を絶やさない。つらい現場だからこそ、笑顔で過ごす。男ばかりの現場を和ませ、活気づけてくれていました。その笑顔が、周りの笑顔を生みだす。その影響は、会社に戻って内業に移ってからも続いているように感じます。先日、島根同友会の新入社員研修があり、「笑顔は一生の宝もの」という話がありました。それをさっそく実践してくれていたのでしょう。その効果と大切さを教えてもらったと感じています。

3.災害復旧という共通の目的に向けて取り組むことの意義

今回、本隊は4日間(最も長い者で5日間)、泊まり込み(津和野町又は益田市内に宿泊)での対応となりました。要員数は、8名から最大14名を現地に投入して作業にあたりました。通常の仕事でも宿泊で仕事にあたることはありますが、これだけの人数が一度に宿泊して作業にあたるのは、短期勝負の災害対応でなければ機会がありません。いわば合宿的な色合いもあります。夕食時に一日の疲れをいやしながら皆で歓談する、というのは通常の会社の懇親会とはまた違った意志疎通の機会となり、貴重な時間を過ごすことができました。

そして、私自身が現地作業部隊の一員として作業に従事し、4日間にわたって一緒に仕事ができたことも大きな財産になりました。実際問題として一人でも多くの要員が必要でしたし、災害対応を決定する際、専務から「社長も現場に出向いて経験してみた方がいい」と助言を受けたことも理由の一つです。私は現地作業の技術的な部分では役に立たないので、主に被害状況を確認するための伐採作業に携わりました。そこで、夏場の炎天下での伐採作業がいかに過酷な労働なのかを思い知ることとなりました。そのことで、日頃から現場で作業に当たる社員のみなさんへの感謝と尊敬の気持ちを新たにすることができました。大変でしたが、本当にいい機会をもらったと考えています。

今回、「一日も早い災害復旧に向けて取り組む」、という共通の目的を持って全社一丸となって対応するという、会社としても貴重な経験をさせて頂きました。言うまでもなく、災害は起こらない方がいい。しかし、全く災害に関わらず暮らしていくこともまたできません。いつどこで、誰が被災するか分からない。今後も会社として災害対応に携わる機会も必ずあるでしょう。そんなとき、今回の会社としての経験を活かし、より効率的かつ迅速に対応できるよう、対応力と団結力を高めていきたいと考えています。

休憩中のひととき

今回、私自身が最も勉強させてもらったと感じています。社員一丸となり、共通の目的に向う時の当社の力を垣間見ることができ、大変心強く感じました。また、酷暑が続く中での対応でしたので、熱中症など健康面での支障も心配しましたが、私をはじめ(笑)大きな怪我や体調不良もなく、現地作業を終了できました。人一人がお互いを気遣い、役割分担と協力しながら乗り切ったおかげと考えています。繰り返しになりますが、今回の島根県西部災害、災害対応を担っているのは当然ながら当社だけではありません。県内の設計コンサルタント各社が、忙しい中、当社よりもたくさんの現場を担当され、夜を徹して作業に当たられています。当社が携わった被災箇所はごく一部ですが、それでも災害復旧の一翼を担い、一日でも早い被害の復旧に貢献出来ればと考えています。

2013
08.13

2013年8月6日(火)、島根県中小企業家同友会 松江支部8月例会が開催されました。この日は、「『自立型組織への挑戦』~誰もが働きやすい環境を目指して~」と題して、社会福祉法人みずうみ 事務局長 岩本雅之さんから報告を頂きました。みずうみは、昭和60年に設立された社会福祉法人で、特別養護老人ホーム、ケアハウス、デイサービスセンター、保育園など様々な福祉施設を運営されており、職員数は361名にのぼります。岩本さんは、父親であり創設者でもある現理事長の元、事務局長として法人運営全体を統括されています。大学は福祉系大学に進まれ、学生時代も福祉ボランティアに従事されるなど、まさに福祉一色の人生を歩まれています。そして、現在、社会福祉法人みずうみの事務局長として、基本理念に基づいた“自立型組織”づくりに日々取り組まれています。報告を通じて伺った理念経営や組織運営の実践から、大変多くの気づきと学びを頂く事ができました。その一部を整理しておきます。

報告される岩本雅之さん

1.自分自身も基本理念に基づいて生きる

岩本さんが策定された基本理念は、「すべての人が自然に笑顔になる為の環境作り」です。さらに、「一、明るく、仲良く、楽しい人間関係の構築」、「二、向上的な組織改革、チームワークの徹底」、「三、地域福祉創造へのあくなき挑戦」、という三つの理念が続きます。これにはすべて解説が付されており、なぜそのことが必要なのか、どういった考え方に基づいて定められているのかが示されています。表面的な言葉だけでなく、言葉の奥に秘められた岩本さんの想いを伝えるためのものです。

そして、この基本理念を策定された経緯について、興味深いを話をされました。岩本さんは、福祉大学を卒業して法人に戻り、最初は現場に出ていらっしゃったそうです。法人に戻った当初は、漠然と、そこで働く人が楽しく過ごしてもらえればいい、と考えていたそうですが、当時の職員の方々は、目を合わせない、暗い、話をしない、という状況で、自分が考えていたことと、大きく異なった現実がそこにあったそうです。当初、そのことに対して直接的な改善を指示したりもしていたそうですが、いつまでも改善しない。そして遂には、自分自身にも違和感を覚えてきたそうです。

そして、「どうすれば自分の思っていることをみんなに伝えられるのか」、を考え、一年をかけてまとめたのが基本理念だそうです。その時のことを、「自分自身がすっきりしたかった」と話されます。理念策定後、自分が考えていることが文字になったことで自分自身の気持ちが落ち着き、その後は自分自身も自然体で居られるようになったそうです。現在、岩本さんは、「自分もこの基本理念に沿って生きている」と明言されます。

この言葉には、ハッとさせられるものがあります。私も一年半前、経営指針を策定し、経営理念を新たに定めました。その理念は、自分自身の想いとして、また会社が、そして会社に集う社員全員がどうあって欲しいかを文言にまとめました。しかし、一年以上が過ぎた今、自分自身、その経営理念に沿った生き方をぶれずに実践できているのか。自問自答させられます。出来ていないとは言いません。しかし、策定当初の想いを継続し、きちんと継続できているのか、今一度振り返り、襟を正すタイミングに来ていたのではないかと感じます。このタイミングで岩本さんのお話を聴けたことに感謝します。

2.自立型組織に向けて~一人一人の感性、自主性を尊重する~

社会福祉法人みずうみでは、「自立型組織」の確立を目指して様々な取り組みが実践されています。その一つに、「職場内のコミュニケーションに関する基本指針」という指針があります。この指針では、法人が求める人物像を、それぞれの役職ごとにまとめられています。特徴的だと感じたのは、役職ごとの指針は“人材育成”に特化した内容であり、「自分の上長が求める人材育成を理解するよう心がけること」、そして、「自分が育成する職員の“感性、自主性”に配慮したアドバイスをすること」と、示されている点です。この“感性、自主性”というキーワード。これに対して、岩本さんは「部下を自分のロボットにしようと思うとストレスになる。自分の子供に対して自分の思い通りにしようとしてストレスになるのと同じ。」と説明されます。

企業の求める人物像を想定して明文化し、人事考課や昇給などの判断資料として活用する仕組みはよくみかけますが、多くの場合、仕事上の能力発揮を主眼にしたものになっています。これに対して、この指針では人材育成のあり方に特化して人物像を描いています。この点に関し、岩本さんは、「人間は誰しも不完全な状態、だからそれぞれの人の力量を把握した上で、改善していく必要がある。」と話されます。そのことの意味は、お互いを認め合う、一人一人を肯定する、という考え方がベースにあるだけでなく、人財を画一化させないため、基本理念で大きな方向は示しながら、個々の職員の力を最大限に発揮させるためにどうすべきかを考えた結果、なのでしょう。

自分を認めてもらえる、否定されない、自分の考えが最大限尊重される、という環境でなければ、そもそも職員の“自立”にもつながらないし、自立型組織など構築できる訳もない、ということだと理解しています。そして、前述の基本理念に際しても、管理職が部下を注意する際、「まず、基本理念に基づいて指導を行うよう要請している」そうです。自分の考えや経験、価値観で指導するのではなく、まず、基本理念に基づいて指導する。その上で自分自身の言葉で話をする、というステップを踏むそうです。その前提には、採用時における基本理念に関する丁寧な導入説明があります。さまざまな場面で理念が丁寧に説明されることで、前述のコミュニケーションに関する基本方針が上手く機能し、自立型組織が確立されつつあるのだと感じます。

3.データを大切にし、繰り返し意識する仕組みをつくる

前述のとおり、社会福祉法人みずうみは、全事業所の職員総計が361名という大きな組織です。女性の数が圧倒的に多く、比較的若い世代が多い。岩本さんは、みずうみの組織を見渡す際に、部署(事業所)ごとの人員構成、年齢構成、就業年数など、データを丁寧にみながら様々な施策を検討されるそうです。平均勤続年、そしてどんな世代の人たちが働いているのか。それを把握し、その職員に必要な労働環境を考えていくのだそうです。

端的な例としては、保育園に所属する保育部の構成。年齢構成はほとんどが20代で、就業年数は3年未満が高く、長く勤めている人が少ない。それだけ、長く働くことが難しい職場・職種であるという傾向が出ているそうです。そういった職員の年齢構成を見定めながら、職場内保育園を開設するなどの施策を取られています。企業内保育園といっても、簡単に設立できるものではありませんし、コストもかかります。ある特定の時期だけでなく、経年的にこれらのデータを見ていくことで、思いつきではなく、どのタイミングで開設するのが最も効果的なのかを見定め、的確な準備を進めたうえで判断されているのだろと考えています。

もう1点、「職員備忘録」という冊子を見せて頂きました。これは、前述の基本理念、行動指針などのほか、各種の方針や組織図、危機管理マニュアル、各種制度説明など、1年の事業活動を通じて職場に周知された文書等をあらためて一まとめにし、冊子状に綴じたものです。これを作成するようになったきっかけは、会社で決めて周知したことも、次の月になると忘れてしまうことがある、という理由だそうです。だから、毎年一回全ての文書を取りまとめて職員に配布する。毎年変更があったところは少しずつ見直していく。このことで、理念や基本方針などを職場のみなさんがより深く理解してくれるようになった、思いつきで無いことを理解してくれた、と岩本さんはおっしゃいます。

私も社内向けに様々な資料を作成、配布していますが、“配りっぱなし”という面は否めません。1枚1枚の紙で都度配れば、そのうちどこかに紛れてしまう、ということも多々あるでしょう。会社としてきちんと理解してほしいこと、重要なことであれば、説明は一度だけでなく繰り返し行うとともに、形を整えて職員に配布する。こういった取組みも非常に重要です。これらの対応をとても“丁寧に”実践されている姿勢は尊敬できますし、直ぐに当社にも取り入れたいと考えています。

岩本さんを交えたグループ討議

岩本さんは、職員に向う姿勢として、「ウソをつかない、自分に正直」であることを強く意識されています。報告の後に行われたグループ討議では、岩本さんと社会福祉法人みずうみを良く知る方々が同じテーブルにいらっしゃいました。その方々が、口をそろえておっしゃるのは、「みずうみは、基本理念に書いてあるとおりの職場。岩本さんも理念どおりの人。」ということです。報告の中でおっしゃった「自分も基本理念に沿って生きている」という言葉は、ごく近しい方々からみてもそのとおりだという事です。正直、誰にでも出来ることではないと思います。人間色々な面があり、強く正しい自分もあれば、弱い自分もあるのが通常ではないかと思います。私もそうです。直ぐに岩本さんのようにはなれない。しかし、自分に、そして職員に対してウソをつかない、という点については徹底していかなければなりません。それは自分自身との戦い。これを、岩本さんの報告とグループ討議を経た私の答えとします。

2013
08.09

2013年8月4日(土)と5日(日)、松江市の夏祭り「水郷祭」に、まつえ南商工会青年部八雲支部で出店しました。昨年は一年ぶりに復活、それに引き続いての出店です。2日間をほぼフルに店頭に立ち、焼きそばと生ビール、ソフトドリンクなどを売りました。私は、2010年に初めて参加して以来通算3回目となりました。年に一度の夏の祭典。その中に、運営側の一角として参加させて頂くことで、さまざまな気づきや発見、そして日常を離れた楽しいひとときを過ごすことが出来ました。今年の反省と来年に向けた展望をまとめておきます。

今年も頑張って営業しました

1.「生ビール完売」は景気回復の兆しか?

今回我々が販売した商品のうち、唯一、生ビールだけが「完売」しました。仕入れた数量は昨年より少なかったのですが、昨年は余りが出たので仕入れを減らしています。その状況で、2日目の夜、しかも比較的早い時間帯で完売してしまいました。その一方で、お茶・ジュースなどのソフトドリンク、ノンアルコールビールなどはかなり売れ残りました。結果だけ見ると“アルコールが売れた”という状況です。

また、当店の2日間の売上は昨年並みでした。我々が店を構える松江市役所駐車場周辺の人出がどのくらいであったか、正確なデータはありませんが、昨年と比べて著しく増減している印象はありません。また、暑さの体感で言えば、昨年の方が暑かったと思います。

その状況で、なぜ生ビールが完売したのか。この理由を、あえて、“景気回復への期待感”と考えてみたいと思います。たかが祭りの出店の生ビールの売り上げだけで景気動向を語れる訳もありませんが、祭りに訪れた多くの参加者の方々が、少なからず気分を高揚させ、お酒も飲んで祭りを楽しもうという気持ちになっていたとすれば、それはこの地域において喜ばしいことではないかと考えます。

地方部における景気回復に関しては、実体経済の回復はまだまだという指摘が多い状況です。ですが、水郷祭と時を同じくした8月5日、山陰両県で操業する企業の2013年度の設備投資動向が6年ぶりの増加になった、との新聞報道もありました。山陰地域の経済動向も、期待感から具体的行動へと移ってきつつあるのかもしれません。そのタイミングで開催された水郷祭。この賑わいが、実態経済の回復、地域活力の回復へとつながっていくことを楽しみにしたいと思います。そう思った方が、自分自身にとっても、きっといいことがあると思っています。

開店直前の状況 相変わらず地味な当店

2.機会損失~分かっていても避けられないのは方向づけの欠如から

水郷祭は2日間にわたって開催され、両日とも20時から花火が上がります。この花火開始前までの2時間ほどが、焼きそばに代表される食事モノを販売する勝負時となります。20時を過ぎて花火が上がりはじめると客足が一気に途絶えます。大量に売り切るためには、ピークの時間に向けて供給体制を整えておかなければなりません。このことは、1~2回出店してみると分かります。だから各店とも、その時間帯に商品切れを起こさないよう、準備をしていきます。我々もそうしていました。

しかし、今回、2日目の勝負時に商品切れを起こしてしまいました。原因の一つは、焼きそばにトッピングとして載せている目玉焼きを焼く時間が間に合わず、焼きそばは準備できていても、完成品として提供することが出来なかったことです。結果、商品切れを起こした我々のブースの客足は途絶え、わざわざ訪れて頂いた何人ものお客さんを逃しました。「あと2分でできます!」と伝えても、待たれるお客さんは居ません。お客さんは「今、欲しい」のです。そして、絶対にうちの店の焼きそばでなければならない訳でもない。

これは、なにも出店の商売に限ったことではありません。多くの場合、お客さんは直ぐ欲しい、直ぐ対応して欲しいから、店に来ている。その要望に対応できなければ競争に勝てないのは当たり前。もしそうでないなら、“この商品でなければならない”という絶対的な付加価値を持つこと。あれが食べたい、或いは、あの人がつくったものが欲しい。そして、我々のお店はそのどちらでもなかった。だから、ほどほどには売れたけど、ものすごい充実感はありません。大げさな話では無く、たかが祭りの出店とたかを括らず、自分達はどういう方向を目指すのか、どうなりたいのか、イメージしながら取り組むことが大事だということを改めて感じたところです。

賑わいが増してきた時間帯 行列は隣の店から(^_^;)

3.地域の活力と交流を実感する場としての祭り

水郷祭は、松江最大、そしてしまね最大のお祭りですが、中国地方でも有名な祭りになりつつあるそうです。私は松江市役所前の商工団体ブース周辺にしかいませんので、全体像をしっかりつかんでいる訳ではありません。しかし、2日目の人出は本当に“松江にこれだけ人が居るのか”と思うぐらいのボリューム感で、ひとときとはいえ、松江もまだまだ捨てたもんじゃない、という地域の賑わいと活況を感じることができました。

その印象を裏付ける話があります。今回、たまたま仕事で松江に滞在していた下関の取引先の方が私のブースを訪ねてくれました。彼も下関市で商工会議所青年部に所属して下関市の祭りに関わるそうですが、今回初めて水郷祭を見て、「水郷祭の方が断然賑わいがある」と話をされていました。なにより、参加している商工団体のメンバーの活気、熱意の高さに驚いたと話してくれました。外部の目から見てそれだけ評価されるこの祭り、中心となって活動されている方々の熱意と努力のたまものだと感じます。その祭りに、携わらせてもらう機会を頂いていることに感謝したいと思います。

そして、もう一つ感謝したいのは、たくさんの友人・知人の方々がブースを訪ねて来てくれることです。昨今はフェイスブックなどのSNS活用の広がりもあり、週末に水郷祭に参加していることを周知する手立てがあります。それを見てくれた方々が訪ねてきてくれる。それだけでなく、昨年度も出ていたから今年も居るのだろうと思って顔を見せてくれる。飲み物一つでも買ってくれるという、ちょっとした心遣い。“来たよ!”という一言の挨拶。そうやって訪ねてもらえることのありがたさを、今年は特に実感する機会となりました。松江に帰って来て5年目。だんだんと自分自身が地域に根差して来たのかなと感じる機会でもありました。

店先からもそこそこ楽しめる花火

すでに水郷祭の名物にもなっている“氷屋(宍道支部)”には、昨年同様ものすごい行列ができていました。今年はさらに生産体制を強化し、よりスピーディーに商品を提供できる体制を整えて臨んでいました。まさに別格の販売量と人気。他の商工団体青年部の出店とは一線を画する存在感を放っています。その刺激もあってか、この数年間でその他団体のブースも華やかになり、また独自色ある新たな商品が毎年出てくるようになりました。我がブースが代わり映えしないのは反省点ですが、そういったお互いの切磋琢磨、一緒に祭りを盛り上げようという共通の目的意識、それがとてもいいサイクルで動いているのではないかと感じます。我々も是非、来年はもう一工夫を取り込んで祭りに望む。そして地域を盛り上げる。そんな存在になることを目指し、また来年挑みたいと考えています。

2013
08.02

2013年7月27日(土)、島根県中小企業家同友会の新入社員研修が開催されました。会員企業の新入社員(今回は入社3年以内までを対象)を対象とした研修で、島根同友会としては初の試みです。今回、13社から21名の参加者がありました。中小企業では採用できる人員数が限られますし、教育の体制も整っている訳ではありません。このため、体系的な新入社員研修の類は中々実施できないのが実情です。このため、同友会という組織でまとまり、大手企業にも引けを取らず、また、同友会に所属する中小企業らしい新入職員研修が企画され、今回実現に至りました。当社からも1名新入社員が受講するとともに、私自身も経営理念・経営指針ということについて、30分弱話をさせて頂く機会を頂きました。今回の研修を通じた気づきをまとめておきます。

研修会場の様子

1.“笑顔”は一生の宝もの~トレーニングで笑顔をつくりあげる~

今回の新入職員研修は、島根同友会会員でもある㈱島根人材育成の柳樂 由紀さんを講師に迎えて開催しました。研修は、大きく、1)ビジネスマナー(仕事観、印象、立ち振る舞い、電話対応)、2)コミュニケーション(報連相談)、3)経営理念(自分のキャリアビジョン)、という内容で構成され、半日をかけて実施されました。グループワークを中心に構成されており、参加者も取り組みやすかったようです。新入社員だけでなく、一般社員そして経営者が聴いても学びになることがたくさんあり、基本の大切さ、そして、いかに我々が“マナー”や“基本”を知らずに日々仕事をしているのかを痛感する機会でもありました。

印象に残るお話として「笑顔は一生の宝もの」という言葉がありました。ビジネスマナーとして笑顔を身につけてもらいたい、というものです。笑顔の持つ様々な効果について説明して頂きましたが、何より、笑顔は相手に安心感と信頼感を与えてくれる。笑顔を身に付けることで、相手とのコミュニケーションが全く異なってくる。恥ずかしがらずに笑顔を身に付けて欲しい、というものです。

大事なことは、「笑顔はトレーニングしないとできない」のだそうです。講師の柳樂さんも日々訓練し、いつでも自然な笑顔がつくれるようになったそうです。「笑顔は一生の宝ものになる」ともおっしゃいます。笑顔のすてきな人になれば、同じ出会いの中でもこれまでとは違った展開を見せるかもしれません。なぜなら、相手が安心し、信頼してくれるから。そして、マクドナルドのメニューにもあるようにスマイルは0円です。コストはかかりません。お金をかけずに身に付けることができる宝物。誰もが今一度考えてみるべき、いいお話を伺ったと思います。同じような話が、「電話の3S」というお話にもありました。スマイル、シュアリー、スピーディー、という3Sです。その第一がスマイル。笑顔で話すと声が変わる。心の笑顔、「笑声」(えごえ)と呼ぶそうです。相手の表情や身振りなどが見えない電話だからこそ、心が伝わるよう誠意を持って対応する。そこでも“笑顔”が大切になってくる。

自分を振り返ると、恐らくは一日の大半を難しそうな顔をして過ごしているのではないかと反省します。社長に就任した当初ほどではないかもしれませんが、サラリーマン時代よりも笑顔が減ってきている実感はあります。笑顔になれない理由も多々あります。しかし、だからこそ、「笑顔トレーニング」が必要なのでしょう。“笑顔を意識する”というレベルではなく、職場をそして会社を良くしていくための取り組みとして、“トレーニングする”、ことを実践していきたいと考えています。

2.共感できる経営理念の下でこそ、社員は安心して働くことが出来る

今回、新入職員研修の第3講で、「経営理念」について話をする機会を頂きました。これは、今年度から島根同友会で「経営労働委員長」という役割を頂いたことがきっかけです。経営労働委員会は、同友会会員が経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を策定することを支援していくことを中核的な活動とする委員会です。そこで、新入社員のみなさんに、なぜ経営理念や経営指針が必要なのかを説明し、会社の理念や方向性と、新入社員のみなさんの将来ビジョンとを上手く擦り合わせていくことを狙ったわけです。

私は、一昨年、経営指針を新たに策定したばかりで、偉そうに講義ができる立場ではありませんが、今回、この話をさせて頂くにあたり、「経営理念」とは何なのか、改めて考える機会を頂いたと感謝しています。経営理念とは、事業経営を行うにあたって経営の基本的なあり方を表明したものです。企業の目的は何か、何のために経営を行うのか、どのような会社を目指すのか、等を示します。確かにそうなのですが、その用語説明的な解説で新入社員のみなさんが果たして腑に落ちるのか、それが気になっていました。その中で行き着いた私なりの一つの見方があります。

それは、理念とは「善きこと」が前提だということです。一日一善の“善”。何も難しことではなく、人にやさしくする、困っている人を助ける、ウソをつかない、という善い行い。こういった価値観は、国や地域、時代を超えても共通するものがあるはずです。事業も同じで、「人を傷つける」とか「社会を不安に陥れる」といった理念を掲げて経営する会社はあり得ません。人の役に立つ、地域に貢献する、社員の幸せを追求する、といったことが謳われます。だから、“経営理念を明確に掲げている”という時点で、その会社は善きことを行おうとする会社である訳です。後は、その理念にウソがないかどうか。ウソがなければ、理念に共感して入社した社員と経営者との間に自然と信頼関係が生まれてくるでしょう。社員と経営者の間に信頼関係がある会社であれば、その将来は明るいと言えます。

また、社員には一人の人間として様々な価値観を持っています。働く際にもその価値観を重視したいと考える。一方、経営理念とは、いわば会社の価値観であり、倫理観です。特に新入社員であれば、自分自身の価値観が明確にしきれていない、また、倫理観も定まりきらない、という面もあるでしょう。そんなとき、経営理念があることで、自分自身の価値観と会社の価値観を擦り合わせ、安心して働くことができる。また、会社の倫理観が明確になっているから、仕事上の様々な判断・決断の局面で、倫理観を社員個人に依存させないで済む。このような働く上での安心感、信頼感を生みだす源泉もまた、経営理念ではないかと考えています。

3.新入職員研修で出会う“同期”が切磋琢磨し、島根の未来を築く

今回、同友会会員のうち13社21名の参加がありました。業種も経歴も異なる様々な受講生が参加していましたが、このメンバーが「同期」として今後とも交流を深め、切磋琢磨していくことを、社員共育委員会では期待しています。

同じ時に同じ会社に就職する「同期入社」には、不思議な縁があります。私も、最初に就職した会社では同期が30名弱いました。年齢はまちまちであっても、“同期”という縁でつながる一つの仲間であり、友人であり、ライバルでもある。時には愚痴も言いあい、バカ話で盛り上がりもしますが、それだけではない。同期のあいつが頑張っているから、自分も頑張れる。同じ目標に向って切磋琢磨する仲間がいることは心強いものです。ところが、中小企業においてはそういった同期の仲間をたくさん得ることができません。一人採用するだけでも大変な決断が要る会社もある中で、複数名の新入社員を確保することは困難なのが実情です。

そこで、同友会という共通の学びの場に属する会社に同時期に入社した新入社員を「同期」としてまとめ、新入職員研修、フォローアップ研修などを通じてさらに交流を深めていく、というやり方が考えられる訳です。同じ会社に同期がたくさんいればそれに越したことはないかもしれません。しかし、同じ時期に社会人となり、同じ研修を受けた仲間がその後どう頑張っているのか、お互いに刺激し合い、成長していくことができれば、それはお互いのためにもなるし、それぞれの所属する会社のためになります。業種が異なる“同期”ならではの交流を通じ、気づきや学びもあることでしょう。

島根同友会が初めて開催した新入社員研修には、“同期をつくる”という大きな目的も含まれていました。この同期のメンバーが共に育ち、それぞれの会社を伸ばしていく。それは、結果的にこの島根の地域を活気づけていくことにつながります。地域がなくなれば、地域の中小企業もありません。一人で会社に就職しただけでは得られないものがたくさんあるはずです。当社から参加した新入社員もこの同期のメンバーに加わり、社内だけでない様々な世界を知り、感じ、大きく成長してもらいたいと考えています。

経営理念について話をさせて頂きました

今回の研修会を企画運営したのは、島根同友会の社員共育委員会のみなさんです。同友会では、「教育」を「共育」と表現します。共に、育つ。経営者と社員とが共に学び、成長することで、会社も維持発展する。他県の同友会では、経営者と会社のリーダーが一緒に様々な研修会に参加して信頼関係を深めながら、より良い会社づくりに取り組んでいる事例がたくさんあります。今回の新入社員研修でも、受講生である新入社員に加えて、聴講者として受講生を派遣している会社の経営者が多く参加され、同じ講義を聴講して様々な学びを得ました。これも、島根同友会における“共育”の第一歩と言えるでしょう。新入社員を採用するということは、経営者が新しい社員と一緒に新しい学びに関われる貴重な機会を得るという事でもあります。当社では、今後とも新卒新入社員の採用を続け、経営者と新入社員とが共に育つ場づくりを継続し、会社の維持発展に取り組んでいきます。