2014
01.30

2014年1月25日(土)、島根同友会の幹部社員研修が開催されました。会員企業の幹部社員(役員、部所長、幹部候補生等)を対象とした研修で、島根同友会としては初の試みです。今回、9社(9名)の参加者がありました。限られた要員で事業に取り組む中小企業では、当然、幹部社員も限られます。その幹部社員がどのような姿勢で社業に取り組むかは、事業に大きな影響を与えることは間違いありません。当社からは1名参加予定でしたが、急用で欠席。私が、聴講者として参加させて頂きました。講師としてお迎えしたのは、広島同友会求人社員教育委員会の川中英章委員長(株式会社イベントスコミュニケーションズ代表取締役)です。川中さんは、広島で飲食業を中心に事業を展開されており、創業以来の紆余曲折、様々な経験を経て、現在は素晴らしい経営を実践されています。幹部研修という枠を超えて、本当に学びのある素晴らしいお話を伺う事ができました。その一部を整理しておきます。

講演する川中さん(広島同友会 求人社員教育委員長)

1.一人一人がすごくてもバラバラだと立派な会社にならない

経営指針は、“会社のエネルギー”そのものだと、川中さんはおっしゃいます。

「会社のエネルギー」と呼ぶのは、一人一人がすごくてもバラバラだと力を発揮できない、という意味合いです。すごい能力を持つ人が協力することで、大きな力を発揮する。まさにその通りだと思います。経営指針を使ってそれをどう実現していくのかが問われます。そして、“経営指針が浸透していないと当たり前の事が出来ない”、ともおっしゃいます。一方で、当たり前のことを当たり前以上にやっていると、それに周囲が巻き込まれていく。経営指針を用いて会社をうまく回していくための基本が、そこにあると感じます。

さらに、「上手く行っていない会社はルールが多い」とも指摘されます。マナーが無い会社にはルールが要る。しかし、規制が多いと逆らおうとする。その悪循環が始まる。自らの規範に基づいて判断して行動する会社と、ルールだからそれに基づいて行動する会社、どちらがいい会社なのか、言うまでもないでしょう。しかし、現状は、とかくルールを作ろうとする風潮です。そうしておかないと、いざというとき企業に損失が生じるから。企業防衛のテクニックとして、そういう対策が必要な部分もあるでしょう。しかし、それが企業経営の本質ではないことは、肝に銘じておく必要があると改めて感じたところです。

もう一つ、今回の講演で印象に残っている言葉があります。「会社の出しているオーラは入社前から人を染めてしまう」というものです。これは、広島同友会での経験談ですが、共同求人によって採用した新入社員の合同研修などに訪れる社員をみると、あれはどこそこの会社の社員ではないか?という予想が当たる、とおっしゃいます。正式採用前のインターンシップや事前研修によって、入社予定の新卒者が既にその会社の風土に染まってしまう、という訳です。挨拶の出来る会社の社員は挨拶ができる。元気のいい会社の社員は元気がいい。その逆もある。いい会社でこそ、いい人財が育つ。当たり前だけど、その言い循環をつくり出すこと。それを継続することが、経営者の仕事ではないかと感じます。

2.「タコ野郎」を無くすことが幹部の仕事

“幹部の仕事”について、「タコ野郎」という話をして頂きました。タコというのは、自分の経験からしか学習できない生き物だそうです。母親は卵の孵化とともに息絶えるそうで、子どもに自分の経験を伝えることはない、という話をされました。だから、タコは先祖の失敗を継承して成長できない。「タコ野郎」とは、同じ失敗を繰り返す人のこと。これを無くすのが幹部の仕事だと明言されます。

最近の幹部の特徴として、「若い人のメンテナンスをする時間、面倒をみる時間が減っている」という指摘がありました。そして、上手くいっていない会社は、幹部が若い人の声を聴いてあげていない、とも話されます。その上で、“近頃の若い人は、、、、”というよくあるセリフに対し、その「近頃の若者」をつくっているのは、他ならぬ「幹部」であると、おっしゃいます。その根本原因として、若い人を辞めさせることは会社に多大な損失を与えること、幹部にその意識があるのかどうか、と指摘されます。長く勤めている社員が居るから、失敗事例を含めて経験を伝承していける。社員が辞めていく会社にはそれが無い。そのことがどれだけ会社にとって損失なのか、そのことを認識できるのが幹部である、との指摘はまさにそのとおりです。

そして、幹部が担うべき2つの仕事について話がありました。一つは、安心して失敗できる社風を作ること。もう一つは、過去からの仕事を、勇気を持って若い人に手渡すこと。失敗が怖いのは当たりまえ。しかし、その失敗がなければ成長しないし、その経験を後々に伝承することもできない。だから、後は安心して失敗できる社風があるかどうか。そのためには、まず若い人に仕事を渡すべき。そして、仕事を渡したベテランは新しいことに取り組む。新しいことへの挑戦と若手の育成。これは別々の事ではなく、全てつながっているのだと、改めて理解させて頂きました。

3.「魅える化」で生きざまを示す~ビジョンポスターで将来を可視化する~

補足報告において、「見える化」ならぬ「魅える化」について、思いもよらぬお話を聴くことができました。

「魅える化」とは、言うなれば“魅力ある未来を可視化する”といったような事だと理解しています。その具体的な方策が「ビジョンポスター」。㈱イベントスコミュニケーションズのホームページにも載せているということでしたの、確認してみました。これは、同社が運営する「チャレンジ農園吉山」という里山支援事業の将来の姿を描いたものです。これは、“2018年10月1日にこのようになっている”というビジョンを具体化したものだそうで、社員のみなさんも含めて、そのチャレンジ農園で活き活きと過ごす姿が描かれています。そして、それを実現するために逆算して計画を組み立てているということです。さらには、この2018年の決算予定書を作成し、社員に公表、共有しているということです。

具体的に書くことで様々な落とし込みが出来る、ということ。経営者の仕事の一つに、社員に対して将来像を示す、という事があります。明るい未来が展望できるから、社員の意欲も高まるし、一致団結してそれを目指そうという機運も出てくる。言葉で言うのは簡単ですが、中々できるものではありません。今回、その一つの形として、ビジョンポスターという方法を見せて頂きました。このポスターは、社員と一緒に作成されたそうです。よく、経営指針を一緒につくる、と言いますが、その実践の究極の形の一つではないでしょうか。自分で描いた将来像だから、自分自身もそれを目標として頑張れる。そういった会社、社員で構成される職場の空気は、新しい社員をそれに染めていく。そこに良い循環が生まれてくるのだと感じます。

川中さんは、最初に商売を始めた時、「まわりの人をワクワクさせる」という使命を定めたそうです。挫折や紆余曲折を経て、いま、その原点に立ち返って心がけていらっしゃるのは、「自分自身が魅力的に生活すること、活き活きと生活する姿を見せること」だとおっしゃいます。それが、前述の「魅える化」の究極の姿と言えそうです。その姿は、周囲の社員に広がり、将来像の実現を確実なものにし続けている、そんな印象を持って聴かせて頂きました。

参加幹部社員によるグループ討議

講演の最後に、「幸せのリーダーシップ」という話がありました。「あなたが居なくなったら困る」、そういう会社を造っていく。自分自身がやりたい、だから仲間を増やす、その先に売上や利益がある。自分の幸せをつかむために先頭に立って走っていくこと。そして幸せの仲間入りを果たすこと。経営者が、幹部が、それを率先して実践し、若い人に魅力ある大人の姿を見せる。それが、幸せのリーダーシップ。結びの言葉は「元々いい会社はない、そういった気持の会社がいい会社にみえる。」まさに、経営者そして幹部の目指すべき姿があると納得します。自分自身、仕事が楽しくて仕方がない、仲間を増やしたくて仕方がない、そういう経営者を目指すことを改めて心に誓う事ができた、素晴らしい講演でした。

2014
01.23

2014年1月15日、島根県技術士会青年部会と島根県立大学(浜田キャンパス)との交流企画が開催されました。交流企画は昨年度初めて開催し、今回が2回目です。就職活動中の3年生を対象にしたキャリア支援の連続講座(計15回)の1コマを頂きました。技術士会メンバーと学生との対談形式で開催され、テーマは「仕事のつらさとその乗り越え方」。技術士会メンバーが7名、学生が13名という構成で、6テーブルに分かれてグループワークを行いました。技術士会のメンバーとして、就職を控えた学生との対談は、経営者としての観点からとても参考になります。今回も、学生のみなさんとの話し合いから、貴重な学びと気づきを頂きましたので、整理しておきます。

グループワークでの話し合いの様子

1.早期離職はなぜ起こる?~学生に原因があると言う前に経営者が最善を尽くす~

今回のテーマは、端的に言えば“壁の乗り越え方”。設定のきっかけは、県立大学においても就職後の早期離職者が多いという背景があるとのこと。一般に早期離職とは就職後三年以内の退職を意味しますが、1年以内で離職するケースも多いそうです。ですので、就職後にぶつかるであろう、仕事の壁、人間関係の壁、といったハードルに直面した時どうすべきか、先輩社会人の経験を聴き、自分なりに消化した上で就職に望めば、少しは支援になるのではないか、ということが趣旨のようです。その意味では、話を聴く相手は技術士会の技術士でなくても良い訳ですが、昨年からのご縁もあり、“一社会人”の立場で臨ませて頂きました。

大学側とすれば、せっかくの就職先から早々に離職して欲しくないでしょうし、採用した企業側としてもそうです。もちろん、早期離職が絶対的に悪い訳でもないでしょう。しかし、学生としても、貴重な時間を使って取り組んだ就職活動の成果である就職なのに、就職活動にかけた期間も在籍せず辞めてしまっては、何をしていたのか分かりません。

そこで、今回のテーマに至る訳ですが、私自身はなんとなく違和感がありました。最近の若い人は就職して壁にあたると直ぐにやめてしまう、的な見方が本当に真実なのか。実際に早期離職者が多いのは事実ですから、そういう人もいるかもしれない。しかし、私自身が新卒採用に取り組み始め、また、インターンシップ受け入れなどの活動を通じて学生など若い人たちと接して感じるのは、少なし、私自身が就職活動していた時よりも、今の学生の方がよほどしっかりしている、という事です。たまたまいい人にばかり巡り合っているのかもしれません。それはそれで、いいご縁を頂いていることに感謝です。とにかく、もっと別のところに原因があるのではないかという気がする訳です。

そんな時、興味深い話を聴きました。県立大学に限りませんが、「第1志望に就職できない」という実態が大きく影響している、という説です。結果的に、第3志望、第4志望という就職先にしか就職できない学生が、早期離職につながっているとのこと。確かに、紆余曲折あって「まあいいか、仕方ない」と思って就職する学生もいるでしょう。それも社会の現実。だから、ちょっとしたことをきっかけに離職を決断する。一つの真実かもしれません。しかし、気になるのは、そういうケースに限って、その相手先の企業も「まあ、こいつでいいか」と思って採用しているのではないか、という事です。ある経営者の方から聴いた「こいつが辞めてもまあいいか、って思って採用すると相手に伝わるよ。」という言葉が思い起こされます。

学生側に問題があると言う前に、採用する側が、経緯はどうあれ、その学生の人生を預かるという覚悟があって採用を決定したのか。期待しているんだ、一緒にやっていこう、という気持を伝えきれているのか。未来を展望できる将来像を示せているのか。経営者が、まずそこを一生懸命やり、最善を尽くした上で、それでも早期離職されたのであれば、そこで初めて学生側に理由があるのかと考える。そのぐらいの気持ちがなければ、少なくとも中小企業の新卒採用というのは、成功しないのではないでしょうか。新卒採用を始めてまだ3年目ですので、偉そうなことを言える言う立場ではありませんが、そのぐらいの気持ちで、今後とも採用に取り組んで行きたいと考えています。

2.人の数だけ歴史がある~自分の想いを表現できる仕事へ~

今回、私がグループワークで担当したのは2名の学生。1時間、2人とじっくり話ができました。言い換えれば、1時間話しただけに過ぎません。その二人のことが全て分かった訳でもありません。しかし、よく聴いていると、最初は漠然と希望しているだけかと思っていた彼らの就職希望先も、彼らの人生経験の中での気づきや転機となった事柄がきっかけになっている事が分かってきました。

男子学生Aくんは、四国の出身です。就職希望先は卸売業。医療機器や文具、家具などの分野に興味があり、企業説明会でも集中して回っているとのこと。なぜ、卸売業なのか。彼のバイト先での経験から「深い信頼関係を気づける業種に就きたい」という気持が芽生えたのだそうです。そのバイト先はボウリング場。地方のボウリング場というのは狭い世界で、その店員は顔なじみのお客さんと非常に親しくなるそうです。そのうち、Aくん自身もボウリングの競技をはじめ、そのことで道具や設備環境等に詳しくなり、レベルアップを目指すお客さんに対して様々なアドバイスやサポートができるようになったそうです。そのことで最初は得意でなかった接客も楽しくなり、さらにお客さんとの距離が近づいた。そこから、お客さまと密接に付き合い信頼関係を結べる仕事、という就職先に興味を持ち、卸売業という業種に行きついた。メーカーではなく卸売業なのは、多様な商品の中から、お客様のニーズに最もあった商品を提案できるのは卸売業の方ではないかと考えたからでしょう。Aくんから、卸売業という業種の魅力を教えてもらったような気がします。

女子学生Bさんは、島根県内出身。旅行業界を目指しているそうです。具体的な名称としては、大手旅行代理店が出てきました。地元の旅行代理店も調べたそうですが、来年は採用を予定されていないそうで、諦めたということです。大手代理店はハードルが高いのではないかと聞いたところ、やはりそのようです。ではなぜ、旅行代理店なのか。実は、Bさんは、ある時期、外に出れなくなった時期があったそうです。いわゆる引きこもりという状況でしょう。そんな時、そういった子どもを支援している方々が、海外旅行に連れて行ってくださったそうです。その旅行は、単に観光地を回るだけでなく、外国の一般家庭に短期ステイするなど、人と人とにふれあいを重視するような企画だったそうです。Bさんは、そこでの交流、ふれあいをきっかけに、また外に出れるようになったと話してくれました。その時、旅行の持つ力、旅先での人とのふれあいの素晴らしさを感じ、自分も同じような企画をしていきたいと考えるようになったそうです。旅行の本質は、旅先での人とのふれあい。ここでも、旅行業の魅力を教えてもらった気がします。そして、現在Bさんは、幼児を対象とした読み聞かせサークルに所属し、人をサポートする役割にまわっています。

2人ともとても魅力的な学生でした。今後、彼らが就職活動の実践の場に出て行くにあたり、こういった話をしっかり話をしてもらいたいと感じました。そもそも、こういった大学の講座に自ら顔を出す学生は、真面目だし、問題意識を持っている面々です。だからこそ、いい就職先、いい仕事に巡り合って欲しいと思います。そして、派手な経歴は必要ない、と改めて感じました。一人一人に歴史があり、想いがある。聴けば聴くだけ、知れば知るだけ人の魅力が出てくる。そう感じる貴重な時間を過ごさせて頂きました。

3.地の利を生かしてお互いを知る~地域に根差す中小企業ならではの就職・採用方法~

今回、2人の学生が合同就職説明会に参加してみた感想も聞くことができました。あくまで2人の感想ですが、参考になります。ブースを訪問して、あまりいい印象を持てなかった企業は「説明者が義務的に話している会社」だそうです。「自信を持って楽しそうに話をしてくれればいいのに、、、」という感想があり、ごもっともでした。また、大変な面、悪い面もあわせて説明してくれる会社は、信頼が出来そうな気がするそうです。「今はこうだけど、今後こうよくなるんだ」という話が聞きたい、とも話してくれました。

この話を聴いて思い出したのは、昨年の企業向け採用セミナーで聴いた「成長している企業は社長が採用に関わっている」という一言です。企業規模によっても異なるでしょうが、採用活動を単なる仕事と捉え、担当者だけに任せてしまうと、それは学生にも伝わるのでしょう。私は、採用活動を担当者に任せられるような身分ではありませんので、引き続き、採用活動の最前線に立って、新卒・中途あわせてその採用に携わっていきたいと考えています。

そして、今回改めて感じたのは、やはり地元の企業であるならば、地元の学校から(できれば地元の)学生を採用したいということです。地元の学生であれば会社の生の姿を見てもらうこともできますし、インターンシップとして働いてもらうこともできます。当社が、この4月に採用予定の新卒学生は、地元大学出身です。その地の利を生かし、1年間当社でアルバイトをしてもらっています。1年間のバイトの途中で採用試験を行い、内定を出しました。実際に働きながら、どんな会社なのかをよく知ってもらい、社内の行事にも参加して社員のみなさんとも交流を図ってもらう。そういうことが出来るのも、地元の企業と地元の学生ならではでしょう。

これからの地元中小企業の採用活動のやり方として、社長が自ら学生との交流或いは意見効果の場に出向くことが大事になってくると考えます。そして、意欲ある学生には実際に働きながら会社と仕事を知ってもらい、その上で改めて採用試験を実施する。もちろん、そのやり方だけにこだわるものでもないし、当社も職種によっては全国から広く人財を集めていきたいという気持があります。いずれにしても、知名度に劣る中小企業は、まず、その存在を知ってもらわなければならない。その情報発信の最前線には、やはり経営者が立つべきだと、改めて認識したところです。

参加者は全部で20名ほど

今回の企画では、じっくりと2人の学生と話をすることができた一方、それ以外の11名の学生の方とは話をする機会がありませんでした。終了後の学生のアンケートでも、もっと色々な社会人の方と話をしたかった、という意見を頂きました。限られた時間ですので、どう活用するかは考え方次第です。たくさんの人と話をすれば、その分、密度が薄くなります。今回よかったのは、同じ学生と1時間みっちり話ができたことだと思います。以前参加したセミナーで学んだ「聴ききる、言わせきる」という言葉を思い出します。しっかり話をすることの大切さ、時間をかけることの意味、経営者の実践の場としても色々と得るものがありました。この連携企画、来年も何らかの形で継続していく予定です。島根で学ぶ学生の役に立ち、そして参加する我々も学べる場として、さらに発展することを期待しています。

2014
01.15

社長の温泉めぐり62 三朝温泉(株湯) 鳥取県三朝町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

62箇所目は、鳥取県三朝町の三朝温泉「株湯」です。訪問日は、2014年1月5日です。

三朝温泉は、開湯から850年を誇る鳥取県の名湯の一つです。「世界有数のラドン含有量」を誇り、古くから湯治場としても利用されていきています。現在、現在、大小24の宿泊施設が営業され、3箇所の公衆浴場があります。鳥取県内でも有数の温泉地で、訪問日は正月の連休最後の日ということもあり、多くの観光客の方が温泉街を散策されていました。今回初めて訪問し、三朝温泉の起源と言われる公衆浴場、「株湯」に行ってみました。

株湯の外観

三朝温泉の泉質ですが、ガイドブックなどでは3種類の泉質が紹介されています。「含放射能・ナトリウム-塩化物泉」「含放射能・ナトリウム-炭酸水素塩泉」「含放射能・単純泉」の3つです。これは、泉源によって含有成分が多少異なり、かつ、多少成分の濃い泉源に、塩化物泉や炭酸水素塩泉などの名称が付いているということでしょう。いずれも放射能泉であることが特徴です。

株湯の泉質は、成分分析表によると「単純弱放射能泉」です。2つの泉源(温度の高い泉源、低い泉源(飲泉用の泉源))を混合した泉源が使用されているようです。単純泉となっていますが、細かく見ると成分総計では0.929g/kgとなっており、あと少しで成分名称が付く(1g/kg以上が必要)レベルです。実際の成分としては、塩素イオンや炭酸水素イオンの含有量が多いので、湯冷めしにくい保温効果や殺菌効果、清涼感ある美肌効果なども期待できます。

一方、細かい話ですが、泉源名称としては、“弱”放射能泉となっています。ラドン含有量の表記をみると、例えば、島根県内で弱放射能泉となっている、鷺の湯温泉、比田温泉、むいかいち温泉、津和野温泉、匹見峡温泉、など(他にもありますが)などと比べて、特別高い訳ではありません。数値だけみると、“世界有数のラドン含有量”というふれこみほど高くない、というのが気になるところです。しかし、ラドンは湧出後直ぐに空気中に逸散します。このため、測定のタイミングや場所などによっても結果が変わってくる可能性があります。こちらの泉源は混合泉となっているため、混合までの過程でラドンが空気中に逸散し、実際のポテンシャルよりも低く測定されているのかもしれません。また、後述するように、放射能泉はその使い方が大事で、その点でこの株湯は非常に理にかなった造りになっています。

株湯は、小さめの浴槽のみのシンプルな公衆浴場です。風呂の大きさは3m四方といったところでしょうか。大人が3~4人入れば、すでに窮屈な印象です。そして、入浴の第一印象は、「熱い」ということ。窓口で「熱くなっていますよ」と教えてもらっていましたが、本当に熱かったです。後で聞くと、この日は44℃を少し超えるぐらいの温度になっていたようです。入っていると、熱すぎて、段々皮膚の感覚がおかしくなってきました。熱いのか、冷たいのか分からない感じ。冬場に雪や冷たい水で手が冷え切ってひりひりする時のような感覚です。温泉で温まる、というよりも、ホルミシス効果による湯治のために来るための場所なのかもしれません。

浴場内は、かなり密閉度が高く、入った瞬間、かなりの蒸気で満たされているのが感じられます。これは放射能泉を最大限に活用するために非常に重要です。ラドンとは、温泉中に含まれるラジウムが地上に出た際に分解されて生じる弱い放射線のことです。これを体に浴びたり、呼吸したりして体内に取り込むと、新陳代謝が活発になり、免疫力や自然治癒力が高まると言われています。その効果を「ホルミシス効果」と呼び、放射能泉の有する大きな特徴の一つです。前述のとおり、すぐに空気中に逸散してしまいますので、それを逃がさず体内に取り込めるような仕組みが必要となります。その効果を最大限に発揮させるため、コンパクトで密閉性の高い浴室に蒸気を満たすのが、一番理にかなっています。

また、源泉かけ流しで運用されているのですが、新しいお湯は浴槽下から湧き出るような仕組み(足元湧出)になっています。この後、もう一つの公衆浴場「ひだまりの湯」にも入浴したのですが、温泉の供給については、同様の形式が採用されていました。この方法だと、源泉から新しいお湯を投入する際に、できるだけ空気に触れないようにして新鮮な源泉が浴槽に満たされることになります。特に放射能泉では、ラドンの空気中への逸散を最小限に抑える意味で、有効な方法だと考えられます。地域の方が利用する公衆浴場ながら、健康維持のために最大限の配慮がされている温泉と言えます。

この株湯、石鹸やシャンプーの類は浴室内には備わっていません。受付で購入することはできます。洗い場も4箇所のみで、仕切りの無いタイプです。ロッカーは籠に衣類を入れる方式で10箇所。同じ数だけ有料の貴重品ボックスがありました。洗面台は2箇所で、ドライヤーは見当たりませんでした。大人300円という利用料金からしても、このあたりは割り切ってあっていいと思います。

隣接する足湯

株湯の駐車場脇には、足湯と飲泉場があります。訪問した日は、足湯が調整中なのか、水はありましたが温度がかなり低くなっていました。次の週からポンプのメンテナンスが実施されるようで、すぐ脇に工事用の機械が設置してありましたので、その関係かもしれません。また、飲泉場は、自由にお湯を汲むことができます。三朝温泉は、色々なところで飲泉が可能になっているところが特徴です。島根県内の温泉では、飲泉可となっている(保健所の許可が必要)温泉は少ないのですが、こちらは昔から飲泉されてきたという経緯もあるのかもしれません。三朝神社にある飲泉「神の湯」は、神社の手洗舎が温泉です。贅沢で本当にありがたみがあります。温泉街中心部にある足湯・飲泉場「薬師の湯」も誰でも利用できます。三朝の名物の一つである河原にある温泉「河原の湯」、残念ながら先般の台風で温度が低くなっていると言う表示がありましたが、温泉情緒を満喫できる貴重な観光資源です。また、宿泊しなくても、各旅館の色々なお風呂を利用できる「旅館湯めぐり」には、16の旅館が参加されています。

三朝のシンボル 河原の湯

現在、鳥取県内を東西につなぐ高速道路の整備が進み、松江市からも1時間半ほどで温泉街までたどり着きました。とても近くなりました。機会があれば、大小さまざまな個性ある温泉宿にも宿泊してみたいと思います。

2014
01.06

新年あけましておめでとうございます。旧年中はたいへんお世話になりました。

このブログ、毎月2000人の方に訪問して頂けるまでになりました。2012年末時点では、1000人/月程度でしたので、この1年で2倍に増えました。「継続は力なり」を実感します。なによりも、たくさんのみなさんに読んで頂いているからこそであり、本当に感謝いたします。引き続きのご愛顧をよろしくお願い致します。

さて、昨年、平成25年は「経営指針」に基づく経営の2年目でした。多くの学びとご縁を頂き、いい一年を過ごすことができました。平成26年度は、経営指針に掲げた“目指すべき将来像”の実現に向け、さらなる飛躍の一年にしたいと考えています。年初にあたり、今年、行動に移すべきと考えていることを整理し、ご挨拶とします。

1.次世代の新しい業務運営体制の模索~世代交代を通じて会社の実力を高める~

当社の中期的な重要課題の一つに、「次世代の業務運営体制の構築」があります。

現在、当社の幹部層は世代交代の時期に来ています。社長である私と、弟である専務はまだ若い世代ですが、その他の幹部層はそれなりの年齢層になっています。もちろん、まだまだ活躍して頂くつもりです。しかし、10年後も同じ体制で良いかと言えば、そうはいきません。そういった背景の中で、新しい幹部社員の育成が求められています。これは、今年出てきた新しい課題ではなく、私が社長に就任した時から分かっていた課題なのですが、この5年間、具体的な行動に着手できずにいました。今年、その課題にしっかりと向かい合いたいと考えています。

一方、実務・現場を担当する社員たちも変化のタイミングを迎えています。当社では、2年前から新卒採用に取り組んでおり、今後も継続して行けば、若い世代がどんどん増えてきます。その中で、従来からの社員は、中堅・先輩社員として、今までとは仕事の進め方や役割を変化させ、先輩は先輩として、そして会社の中核を成す中堅社員としての立場、役目を果たしていく必要があります。

そして、この2つの変化のタイミングで求められるのが、業務運営体制の再構築です。現在の処理体制も一つの形として定着しており、それなりの成果を上げています。しかし、現状の仕組みは、従来からの継続的な仕事を経験のある固定的なメンバーで処理する前提で構築されたものです。このため、若手社員の育成や新しい領域の仕事への対処、という面からはベストな体制とは限らないと考えています。私自身、どのような体制が望ましいのか、現時点ではっきり見えている訳ではありません。しかし、当社の強みを活かし、差別化を図りながら、新しい時代の要請にも対応していける業務処理体制。一定の時間をかけてしっかりと考え、上手く移行させながら起動に乗せていかなければなりません。

今年は、そのことを社内の共通認識として共有し、現場の意見を聞き取りながら着手する第一歩とします。そして、その基本は、「人に仕事を付けるのではなく、仕事に人を付ける」こと。当社の業務運営に際して求められる役割を明確にし、そこに人を付ける。職務を明確にすることで、その職務を果たしているか否かの評価も明確になる。そういった体制の構築に向けて、私自身が先頭に立って進めて行きたいと考えています。

2.一つ一つの仕事をスピードアップして生産性を高める~協和地建ブランドの確立に向けて~

去年は大変仕事に恵まれた一年でした。一方で、近年になく地質調査(ボーリング調査)のお話をお断りすることにもなりました。依頼の時期が重なり、対処する要員が確保できなかった事が理由です。補正予算等による公共事業費の増額など様々な要因が重なり、島根県内における地質調査の仕事量が多かったという背景があり、今後とも同じような状況が続くとは限りません。しかし、今後とも、当社に期待して頂いているお客からのご要望にしっかり応えられる体制の維持は必須の課題です。貴重な仕事の機会を逃さず、限られた仕事の中で最大限の粗利を確保していく。その体制をしっかりつくっておかなければなりません。

その一方で、成果の品質は維持・向上しなければなりません。“早かろう、悪かろう”では意味がありません。現在の品質を維持、むしろ向上させながら、仕事をスピードアップする。簡単なことではありませんが、それを実現できなければ目指すべき将来像にも辿りつきません。やらなければならないことは分かっています。しかし、どうやって実現していくのか。昨年たくさんの仕事をお断りしたことで、それを真剣に考えるいいきっかけを頂いたと認識しています。

一つの方法として、「『数値』で仕事のスピードを把握できる仕組みづくり」に取り組みたいと考えています。当社においては、“仕事のスピード”を定量的に把握する取り組みはこれまで行ってきていません。それを、今後具体化していきます。もっとも、当社が請け負う仕事は一つ一つ条件が異なっており(分かりやすい例で言えば、地質調査でも掘りやすい地層とそうでない地層がある、等)、単純なものさしで仕事のスピードを図っても、一律に比較できるデータにはなりません。しかし、それでもある考え方に基づき、定量的に把握することを継続すれば、「なぜその数値になったのか」という問いかけが生まれ、原因を特定し、次に同じような条件の仕事があった際には活かす事ができるはずです。それを繰り返して行けば、個々の担当者の励みになり、社内での切磋琢磨になり、継続的な改善の一助になると考えています。

この取り組み、ボーリング調査を主対象にしていますが、その他の仕事でも同じです。着手から完了まで、全体の行程をトータルで短縮し、スピードアップする。それを数値的に把握し、改善に役立てる。製造業などでは当たり前に行われていることですが、遅ればせながらその考え方や手法を研究して取り入れ、さらなる会社のレベルアップにつなげたいと考えています。そのことは、「協和地建コンサルタント」のブランド力の向上につながり、限られた仕事の中でのシェアを最大化、ひいては目指すべき将来像の実現につながると考えています。

3.外の世界を知る~自分の立ち位置を知り、共通の目的に向って成長する~

今後、社員全員で強く意識して取り組みたいこととして、「外の世界を知る」ということがあります。その目的は、「自分の立ち位置を知る」ことです。自分、或いは自社の立ち位置を知れば、何が足りないのか、何を伸ばしていけばいいのか、など、今後、自分及び自社がどう変化して行けばいいのかが見えてきます。私自身、これまで様々な経営の勉強会に参加することで、自社の立ち位置を認識し、経営に関する各種改善や方向付けを見出すことができました。今後とも続けて行きたいし、非常に大事なことだと考えています。そして今後は、社員全員でそういった認識を持っていきたいと考えています。

一社員の立場で考えれば、技術技能面での研修に出かける、同業者の技術者と仕事で係わる、といった場面で、自社の立ち位置を知る機会があります。しかし、これまでは「自社の立ち位置を知る」という明確な目的を持って研修を受けたり、他社と接したりしていた訳ではありません。今後は、そこに強い意味づけを持って臨んでもらいたいと考えています。そして、よりレベルの高い研修、新しい事を学ぶ場に出かける。また、同じ業界であれば、より高いレベルで仕事をしている会社や技術者の方々と係わることが大事だと考えています。自分より高いレベルに事柄に触れるからこそ、今度自分そして自社がどう成長していく必要があるのかを強く認識することができるはずです。

私も技術者あがりです。以前は、「技術者なのだから、技術を高めるのは当然」と思っていました。しかし、技術を高めなければならないと思う理由は、“技術者だから”という一点だけであって、それ以上の深い探求には至っていませんでした。今は違います。今は、自分の、そして会社の目指すべき姿の実現のために、自分の能力を高めなければならない。その先に、目的とする社員とその家族の幸せがあります。だから、社員のみなさん一人一人も、自らの目指すべき姿の実現のため、そして会社の共通の目標である目指すべき将来像の実現のため、その先にある社員とその家族の幸せのため、自らの立ち位置を常に認識し、さらなる成長に向けて一緒に努力してもらいたいと考えています。全員がそれを継続することで、当社らしい、新しい社風・風土をつくりあげていきたいと考えています。

以上、経営者として今年、そして来年度に向けて行動に移すべきことの方向性をまとめ、新年のご挨拶に代えさせて頂きます。お客さまに、共に働く仲間に、我々を取り巻く全ての方々に対して感謝し、明るく元気に、一年を乗り切って行きたいと思います。

平成26年、そしてその先も、協和地建コンサルタントをよろしくお願い致します。