2014
09.25

第42回青年経営者全国交流会in奈良 第8分科会報告後記

2014年9月18日(木)~19日(金)、「第42回青年経営者全国交流会in奈良」に参加し、第8分科会で報告させて頂きました。全国から1300名以上の青年経営者が集まる同友会の全国大会、その中で分科会を一つ受け持たせて頂いたことに改めて感謝します。本当に貴重な機会を頂きました。今回のブログでは、その報告後記として、全国大会の報告者としてここのような場に立たせて頂いたことにより、私自身が感じることが出来たことについて整理しておきます。

報告者席の様子

1.開始前の挨拶から“学ぼうとする姿勢”に圧倒

報告前に準備をしている段階で、何名もの方に挨拶に来て頂きました。その方々から感じるのは「何かを持って帰りたい!」という学びの姿勢です。何かを求めてきた!という熱意をひしひしと感じました。私は、全国大会で自分の経営体験を率直に報告してみなさんから厳しい意見を頂こう、というチャレンジャー的感覚で臨んでいましたが、分科会に参加する方から感じる熱意は、ものすごいプレシャーでした。“参加することに意義のある”的な私の呑気な気分を吹き払い、緊張感が一気に高まりました。

考えてみればそれもそのはず。2日間という貴重な時間を使い、全国各地から2万円の参加費と高い交通費を払い、各分科会に参加している訳です。その分科会から学べることが少なければ、参加者の方々の貴重な時間と費用を無駄にすることになります。開始直前の挨拶で、気持ちを引き締めさせてもらいました。準備した内容をしっかりと参加して頂いたみなさんに伝え、学びのきっかけにしてもらいたいという気持ちを改めて持たせて頂きました。

奈良青全交では全部で14の分科会が設営されました。その中でわざわざ私の分科会を選んで参加して頂いた訳です。私の分科会のテーマは「経営指針の実践」。このほかにも、人を活かす経営の実践、事業承継、市場と雇用の創造など、様々なテーマがあります。そんな中、経営指針の実践をテーマに選んで来てもらっている訳ですから、参加者のみなさんは、なにかしら経営指針に関して問題意識や悩みを抱えていらっしゃる訳です。そういったニーズに対応できるよう、準備はしてきた訳ですが、その本気度を目の当たりにし、全国大会という場に参加することで求められる役割を実感しました。

同友会で報告するということとその意義。それは全国大会だろうが、県内支部の例会だろうが同じです。本気で、必死に伝えることが大事だということを改めて学んだと感じています。

2.他同友会からのオファーに感謝

報告終了後、大変ありがたく感じたのは、いくつかの同友会の方から「報告に来てもらいたい」というオファーを受けたことです。正式な調整はこれからですが、依頼があれば、必ず調整をつけて各地の同友会へお伺いし、さらに多くの方に報告を聴いて頂き、その感想や感じたところを聴いてみたいと強く感じています。

また、何人かの方からは後日、説明用パワーポイント資料について提供依頼を受けました。これらの方々は、現在経営指針を策定中、または策定後の発表会を控えているという状況だそうで、私の報告資料を参考にしたいと連絡を頂きました。私のわずかな経験に基づく拙い報告が同友会で学ぶ全国の青年経営者の役に立てば幸いですし、そうやって同友会の学びが共有され、広がっていくのだと感じています。

いずれにしても、報告の後にそういったオファーや問い合わせを頂けるということは、私の報告した内容が、何らかの学びにつながったということだと理解しています。報告の内容自体は、決して美しい経営実践ではなく、私の心の負の部分や変遷をできるかぎり率直に話す内容となりました。人によっては違和感を覚えた方もあったと思いますが、そういった違和感も報告後のグループ討議では問題提起となり、学びが深まるきっかけだと考えています。

懇親会の場でも、分科会に参加して頂いた方々からたくさんの感想を聴かせて頂きました。共感して頂いた部分も多々あったようで、とてもうれしく思っています。一定の役割は果たせたという満足感、そして、この機会をさらなる飛躍につなげなければならないというプレッシャー、なにより、島根同友会を代表してこの場に立たせて頂いたことへの感謝を強く感じています。

3.実は恵まれていた自分に気がつく

報告後のグループ討議にも飛び入りで参加させて頂きました。グループ討議では様々な話題で議論が進みましたが、総じて感じたのは、「私は恵まれている。」ということです。

経営指針がテーマの分科会ですが、討議を進めるうちに内容が広がっていきます。私のテーブルには後継者の方が多く、事業承継問題についても話が及びました。経営指針を策定して経営の方向性を示そうと思えば、後継者の場合、“継承が終了しているかどうか”も重要な要素となります。その点、先代社長から中々継承してもらえない、交代したいと言っても譲ってもらえない、といった悩みについて話がありました。

私は、Uターンと同時に社長に就任、事業承継しており、そのような悩みは一切ありません。承継後、先代社長は資金繰り等の面で支援を担当してもらっているものの、経営の方向性についてはほぼ口出しすることはなく、私の自由にさせてもらっています。それがどれだけ有難いことなのか、実感します。それどころか、もっと先代社長も経営にかかわっていく姿勢が要るのではないか、とまで思っていました。しかし、それは無い物ねだりであり、自由にさせてもらっていること、私の方針を支援する黒子に徹してもらっていること、そのことへの感謝の気持ちが改めて湧いてきます。

幹部社員との意思疎通についても同様です。幹部社員との意思疎通がうまくいかない、言うことを聴いてもらえない、といった悩みも聴きました。私の場合は、意思疎通がどこまではかられているかは別としても、私の方針には従って、付いてきて頂いています。また、異論があるときにはきちんと指摘してもらっています。そういった当たり前のように感じる環境も、ひとたび会社が違えば大きな課題となっている訳です。どんな会社であろうと、全社を挙げて難局にあたらなければならない厳しい時代です。そんな時、当社の幹部のみなさんには本当のしっかりと協力してもらい、社長が楽をさせてもらっている。そのことを改めて感じる機会にもなりました。

分科会の様子

「報告者が一番勉強になる。」というのが、同友会で報告者を任せて頂くときの決まり文句です。私も島根同友会内で1度報告し、今回、全国大会で報告する機会も頂きました。その言葉がまさに真実であることを実感します。その意味することの一つは、「自分自身の棚卸し」ではないかと感じています。報告にあたり、自分自身が一度立ち止まり、振り返り、反省する。そして、謙虚になって報告すべき内容を整理していく。その過程で気がつくことがどれだけ大事なことか。自分自身で日頃から出来れば言うことはありませんし、そうすべきでしょう。しかし、他人に伝えるというアウトプットを前提に整理することで、単なる反省や振り返りでは気がつかないものが得られると考えています。前述のとおり、他同友会からもオファーを頂きました。そういった機会をしっかり活用させて頂き、さらに自分自身を高め、会社を高めるために取り組んでいきたいと考えています。最後に、応援して頂いた島根同友会のみなさん、奈良青全交に一緒に参加して頂いたみなさん、そして、座長を務めて頂いた、株式会社いづも屋の吉岡佳紀さんにあらためてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。これからも頑張っていきます!

2014
09.17

2014年9月9日(火)、島根県商工労働部雇用政策課が主催する、平成26年度「人財塾」にて、ネッツトヨタ南国の視察研修に参加させて頂く機会を得ました。前回のブログでも取り上げましたが、学びの要素があまりに多かったので、“その2”としてもう一度整理しておくことにしました。ネッツトヨタ南国の横田英毅相談役の語られる“人間性尊重”の経営、私自身がさらに理解を深め、当社の経営に役立てていきたいと考えています。

講演するネッツトヨタ南国横田相談役

1.「人間力」しか突破口がない

人間力しか突破口がない。講義の冒頭で横田相談役が話をされた重要なテーマです。

その前提として、現在、“働く日本人を窮地に追い込む2つの力”について話がありました。1つは、ハングリー精神、向上心、勤勉、低賃金、です。何の事かと言えば、20億人とも言われるアジア・途上国の労働力です。もう1つは、産業機械、ロボット、IT機器。人間の何百倍、何千倍というスピードで仕事を処理することができるもの。この2つが日本人の“仕事”のありように大きく影響を与えていることは間違いありません。これからもその傾向は続くでしょう。この2つの力にどう対抗するのか。その答えが、「人間力」だという訳です。

では、人間力とは何なのか。「生きる力」と同義だと横田相談役は説明されました。そして、生きる力とは、「問題を発見して解決する力」。それはすなわち、経営力とも呼べるもの。すなわち、人間力=経営力=生きる力、であり、さらには、“精神的な若さ”であり、“鬼の大きさ”であり、“人生の勝利者”である、と続きます。鬼の大きさ、とは聞きなれない言葉ですが、人材像の例えとして、“鬼(発揮能力)”と“金棒(保有能力)”で説明されました。日本の教育は“金棒”=知識だけを大きくしてきたのではないか。本当はそうではなく、金棒を自在に操り、自分自身の未来を切り開く力(鬼)を育てる(大きくする)ことが大事ではないのか、という指摘です。精神的な若さとは、人生への興味、想いやり、感謝の心、探究心、創造力、強い意志、といったものであり、これも人間力そのもの。

問題は、改めて問われれば、誰もがこれらが大事なものだと答えるが、日頃から大切に思って高めていこうとしている組織は少ない、ということです。考えれば分かるのだが、普段大事にしていない。だから、個人も会社も良くならない。やらなかったら、やらなかっただけの結果しか手に入らない。行動、言動を変えていく。そこをやっていかないと良くならない、ということです。前回ブログにも記載した、「経営とは変えること」という言葉の意味を改めて理解するところです。

2.ベクトルは採用の時に合わせる

「ベクトルは採用の時に合わせる」。改めてその意味の深さに気づきます。

ネッツトヨタ南国では、採用に際して20時間から最大200時間をかけて新卒者と接触し、社内を隅々まで見せた上で採用を決定するそうです。その過程で、ネッツトヨタ南国の価値感をしっかりと説明し、一方で応募者の価値感についても確認する。横田相談役は、ネッツトヨタ南国で多くの社員を採用してきた経験から次のように話されました。「変わらないのは人柄、その次が価値観」。その人が持つ価値観は入社後も大きくは変わらない。だからこそ、入社に際して合せておかなければならない、という訳です。

当社でも、経営指針を策定して以降、採用に際しては経営理念や経営方針を説明し、その内容について承知してもらった上で採用を決定する、という取り組みを、形の上では実施しています。しかし、採用までにかけられる時間は限られています。高卒の新卒採用は限定的にならざるを得ない面もありますが、一人一人がどんな価値観を有しているのかまで踏み込んで理解し、採否を判断するという段階にはほど遠いのが実情です。

“入社に際して会社の価値観と刷り合わせをしっかりしておく”という指摘自体は、改めて聞けばそのとおりであり、異論もありません。だけど出来ていない。出来ない理由は色々あるでしょう。しかし、前述の「人間力」の話と同様で、言われれば大事なことだと分かるが実際には行動に移していない、大切にしていない、ということ。それが問題だという好例ではないでしょうか。採用に関してどこまで手間暇をかけられるか。その差が、1年後、5年後、10年後、会社にとって大きな違いとなり、顕在化する。ネッツトヨタ南国を視察させて頂き、改めて感じたところです。

さらには、「組織とは、その組織にとって必要のない人間には居心地を悪くしておかなければならない」とも指摘されました。確かに、良くも悪くも、価値観の合わない組織とは居心地が悪いものです。それがお互いのためでもあるでしょう。だからこそ、組織の価値観は明らかにしておく必要があるし、組織が目指すべき目的に向かうためには真っ先に必要なことなのだろうと理解するところです。

3.難しい仕事が回ってくるかどうか

難しい仕事が回ってくるかどうかで自分のポジションが分かる。

最後に行われた社員の方々との意見交換でのコメントです。前段の講義において、横田相談役は仕事の「やりがい」こそが“幸せ”だと説明されましたが、社員は実際にどう思っているのか、大変興味がありました。どういったことが仕事の喜びと感じるか、どんな時に自分が評価されていると感じるか、という趣旨の質問に対する回答です。難しい仕事=面倒くさい、ではなく、そのことを誇りにも感じられるという風土。社員教育のレベルの違いを垣間見た瞬間です。

ネッツトヨタ南国では、各職場から選らばれたメンバーで3つのプロジェクトが常に動いているそうです。イベント企画委員会(※名称は正確でないかもしれません)、あたりまえ委員会、こんにちは委員会、の3つがあり、イベント企画委員会では、年2回、お客さまを対象にした大きなイベントを企画運営します。これはすべて時間外で行われ、「部活のようなもの」なのだそうです。そして、「教育の場」であり「会社の風土と先輩の想いを引き継いでいくもの」と、参加する社員自身が認識した上で実施されています。

そのこと自体が驚きであり、素晴らしいのですが、このようなプロジェクトのリーダーが回ってくるかどうか、が社員の中では評価の一つとして認識されている訳です。100名規模のお客さまを動員して開催する大きなイベントのリーダー。それは難しい仕事に間違いありません。しり込みしてしまいたい気持ちもあるかもしれません。しかし、それでもその仕事が回ってくることを喜びとする風土。一朝一夕にできるものではなく、先輩から後輩への引き継ぎが繰り返されることで培われるものでしょう。

整備工場内の見学

今回の視察研修での学びは、本当に有意義なものとなりました。経営者となって5年半ほどの私ですが、このタイミングでこの研修を受けることが出来たことに感謝したいと思います。もっと早い時期に来ていたら、理解が薄かっただろうと思います。くしくも、2014年9月18日(木)には、島根同友会を代表し、第42回青年経営者全国交流会in奈良で報告をさせて頂きます。そこでの報告は、これまでの経営者人生の棚卸であり、今後に向けた飛躍のステップにしたいと考えていました。その前にこの研修を受けることが出来たのも、巡り合わせであり、意味あってのことだと捉えています。今回の学びをしっかりと受け止め、会社と社員のさらなる飛躍に向け、しっかりと取り組んで行きたいと考えています。

2014
09.12

平成26年度「人財塾」 ~ネッツトヨタ南国で学ぶ人間性尊重の真髄~

2014年9月9日(火)、島根県商工労働部雇用政策課が主催する、平成26年度「人財塾」にて、ネッツトヨタ南国㈱の視察研修に参加させて頂く機会を得ました。この塾は、“地域産業の振興を牽引する次世代リーダーの育成”を目的に企画されており、「日本でいちばん大切にしたい会社」著者の坂本光司・法政大大学院教授による講義や優良企業視察等から構成される経営の勉強会です。私も、平成23年度、平成24年度と参加させて頂いており、今回はOBとして平成26年度のカリキュラムに参加させて頂いた形です。今回、ネッツトヨタ南国㈱の横田英毅相談役の講義を受け、“人間性尊重”の意味するところに触れ、大変大きな学びを得ることができました。その一部をまとめておきます。

ネッツトヨタ南国横田相談役の講義

1.社員の満足と幸せを分けて考える

「満足」と「幸せ」を分けて考えることを提案したい。

今回の横田相談役の講義の中でとても大きな気づきを得た話です。お客様満足(CS)のために従業員満足(ES)を高める、ということが昨今よく話題になります。しかし、これらの最後につく言葉はいずれも“満足”です。そして、満足ではなく、幸せを追求すべき、というのは話の趣旨です。では、満足と幸せの違いとは何なのか。

一般的な傾向として、「満足」とは、追い求めるもの、損得に関係、今・金・自分だけ(利己)、wants、部分最適、目標、量、結果、相対、経済(便利)、見える(数字になりやすい)、際限がない、ということ。これに対して、「幸せ」とは、気づくもの、心の持ち方、利他、needs、全体最適、目的、質、プロセス、絶対、道徳(感謝)、見えにくい、反復でも効果的、といった傾向にあるとされます。

では、仕事に当てはめるとどうなるのか。満足とは、給与、賞与、昇給、昇進、昇格、福利厚生が充実、休みが多い、楽、といったもの。一方、幸せとは、自分の成長が実感できる、自分で考えて仕事ができる、自由に意見が言える、自分の努力が評価される、職場の人間関係、上司関係が良い、コミュニケーション、チームワークがよい、お客様、同僚、ビジネスパートナーから感謝されている、所属している組織を誇りに思う、といったものであり、端的に言えば「やりがい」という言葉に集約されます。だから、仕事においていえば、「幸せ=やりがい」となる。

満足ももちろん重要だが、幸せ(やりがい)を重視している人が、良い仕事をしている人ではないか、と横田相談役は問いかけられる訳です。ネッツトヨタ南国はいうまでもなく、車を売る会社。しかし、車を売るのは目標レベル(満足)の話。では目的は何なのか。それは、社員を成長させること、人間力を高めることだと。お金にならないことに全力投球できる集団であれば、お金を稼ぐことにも全力で働ける。やりがいとは人間の内側からの動機づけ。本来人間とは内側からの動機づけにより行動するもの。しかし、いつの間にか、給料という外側からの動機づけによって動くようになってしまった。それをもう一度、内側からの動機づけに戻していくことが求められているのだと。だから、「幸せ=やりがい」ということに気づかせることが大事、という訳です。しかも、このことは教えてはいけない。気づかないといけない。後述する、「教えない教育」の根本がここにあるのだと考えています。

そう考えると、もう仕事の内容は関係がなくなってきます。会社の目的はその事業によって様々でしょうが、その目的に向って社員の人間力を高めていくというプロセスは全ての企業に共通します。「あれは自動車業界だからできる話だ」とか、「接客業だから出来る話だ」といった捉え方では本質を見誤るし、それは、後述する、「どうしたらいいか考える」ことを経営者が放棄していることだと考えています。

2.どうしたらいいか考える

「教えない教育」を徹底しているのが、ネッツトヨタ南国です。

今回の研修後半で、同社の社員の方との意見交換の時間がありました。その中で「入社して、『本当に教えてくれないんだ』と実感した。」という話を伺いました。もちろん、基礎的な事のレクチャーはあるにしても、とにかく一つ一つ自分で考えることからスタートするのネッツトヨタ南国の教育。今まで私が学んできたことは、まず仕組みを作り、意味が分からなくてもその通りに仕事をさせ、その中で気づかせていく、というスタイルが大半でした。いわゆる「形から入って心に至る」ということですが、ここの話は全く逆です。そのことについて、横田取締役は、仕組みに頼り過ぎる企業は、20年後、30年後、弱い体質の企業になってしまうのではないかとと危惧している、と話されます。仕組みは確かに便利だが、一方で、問題解決力を育まない。仕組みは働く人をロボット化する、それよりも風土が大事、と語られました。

前述の社員の方の話に戻りますが、ある仕事中の疑問点に対して、「先輩はどうされてますか?」と尋ねたところ、「どうしたらいいと思う?」と返されたそうです。直ぐに答えを言わず、考えさせる。驚くべきは、そのやり取りは、1年目の新入社員と4~5年目の先輩社員の間のことだということです。そうやって、自ら考えさせる風土、先輩にそうやって指導されてきたことを、今度は後輩に同じように指導する。先輩から後輩に受け継がれ、ネッツトヨタ南国の風土として定着している訳です。そうやって育った社員集団からなる企業が業績面で強さを発揮するのは当然のことです。

ネッツトヨタ南国にも仕組みはあります。社内見学の際に、来店するお客さまを出迎える際の情報共有の仕組みを紹介してもらいました。通常であれば、「こんな仕組みがあります」と紹介して終わるところ、説明して頂いた社員さんは、「この仕組みは便利だけれども、この仕組みが出来る前の社員と、出来た後に入社した社員との間では本質的な対応力に差がでている。そこをどう埋めていくかが課題になっている。」という趣旨の補足説明をして下さいました。その問題意識の高さに驚くとともに、それが、「どうしたらいいか考える」教育を常に実践したきた結果なのだと実感したところです。

3.経営とは変えること

「経営とは変えること」。経営に対する横田相談役の端的な回答です。

今回、懇親会の席にも横田相談役に参加頂き、講義とは異なる話を伺うことができました。“経営とは変えること”、その意味を、個人に置き換えた例え話で教えて頂きました。「健康になる」という目的のために、毎朝6時に起き、7時に出社し、夕方は18時には帰宅し、21時には寝る、という規則正しい生活を繰り返している人がいるとする。それはそれで健康になるために一定の役には立つが、あるレベル以上にはならない。あるいは自分が年をとるなど、環境が変われば健康を維持できなくなるかもしれない。本当に、その人が健康になることを目的としているならば、その目的の達成に向けて常に何かを変えていかなればならない。例えば、10分早く起きてラジオ体操をする。30分早く起きてウォーキングをする。それこそが目的を達成するためにすべきこと。それはまさに自分自身を経営する、ということ。だが、多くの人は、そういった変化を年に何回起こしているだろうか。ほとんど、変化していないのが実態だと。

これを会社に置き換えても同様。会社の目的に向けて会社を変える、ということが年に何回あるだろうか。ほとんど変化出来ていない会社が大半。もし、社長が、社員が、会社を、自分自身を変える変化を毎日一つずつ起こしていったとしたらどうなるか。会社は永遠に進化し続ける。日々進化し続けているから、そんな会社は改革する必要がない。そして、それはネッツトヨタ南国という会社の姿そのものなのでしょう。そして、そういった変化の連続は、「自ら考える」ことのできる風土のある会社でなければ起こらない。だから、考えさせる教育が大事なのでしょう。

この会社に派手さはありません。見た目にスゴイ技術、革新的なサービス、といったものはありません。しかし、毎日少しずつ進化し続け、結果的に企業は成長し、全社員がやりがいを持って働いている。とてもシンプルだけど衝撃的、かつ端的な指摘です。変化はさまざまな経営の実践を通じて生まれてきます。だから、さまざまな取り組みを実践し続けること、進化させ続けることが継続すれば、きっと会社はよくなると確信させて頂くことができる、素晴らしいお話でした。

社内見学の様子

ネッツトヨタ南国で実践されてきた人間性尊重の人財育成は、島根経営品質研究会の特別講演会で毎年島根にお招きしている、ビスタワークス研究所の大原光秦さんの講演(H24年度はこちら)でも何回か聴いてきました。そこで学んだことも踏まえて今回の研修に参加できたことで、一層の理解が深まったと感じます。やはり経営の学びも繰り返し、継続していくことが大切だということを改めて実感します。今回、当社がどのような姿を目指していくべきなのかを考える、すばらしいヒントを頂いたと思います。ネッツトヨタ南国のような会社になろうと決めた訳ではありません。しかし、会社の未来を考える際に、この会社の事を知らずに考えるのと知った上で考えるのとでは、その結果にはとても大きな差が出てくると感じます。いずれにしても、変化すること。会社も、社長も、社員一人一人も。その積み重ねの先に、当社の未来も見えてくると考えています。

2014
09.03

2014年9月、島根県中小企業団体中央会が幹事団体として実施している「しごとディスカバーinしまね インターンシッププログラム」による島根大学学生のインターンシップを受け入れています。このプログラムは、一般の職場体験型インターンシップとは一線を画し、学生が自分で内容を企画、コーディネーター等のサポート付、実習前後の研修実施、実習先の課題解決にチャレンジ、といった特徴を有しており、当社も実施先として紹介を受けてお話を伺い、興味深いと取り組みと思いましたので、受け入れを決めた経緯があります。今週からスタートした現在実施中のプログラムですが、その概要と実施状況、会社としてのねらい等をまとめてみます。

現場で説明を受ける堀井くん

1.県内就職を支援し、地元中小企業の底上げにつなげる

このプログラムの趣旨は、「県内中小企業への地元就職を支援する」という点にあります。

中小企業である当社としても大いに賛同しますし、こういった活動や理解が進むことを期待します。本プログラムの説明資料では、優れた人材の地元就職を阻害する要因の一つとして、県内中小企業に対する学生の理解不足があり、一方で、学生自身も就職に際して企業の目的や価値観が自分に合致するかどうかを見極める機会に乏しい、という認識が示されています。そのミスマッチを未然に防ぎ、県内就職を支援するのが趣旨だということです。企業側からみると、新卒者の採用活動に際して地元の中小企業の知名度が圧倒的に低い、ということはつくづく感じます。多くの学生は地元の企業を知りません。これほどインターネットが普及した時代ですが、むしろ普及しているからこそ、資金力と情報発信力に劣る中小企業は劣勢に立たされます。だからこそ、中小企業の採用活動はターゲットを絞っていくべきでしょうし、直接的な人的つながりを重視する方向に向かうべきと考えます。

今回のインターンシップの募集先は島根大学です。私も島根大学の出身ですし、昨年度及び今年度、島根大学から新卒採用を実施しています。島根大学のOBとして、インターンシップを受ける学生が、地元就職に目を向ける機会の一つになればと考えていますし、当社としても、今後、島根大学からの採用充実につなげていくことを視野に入れています。この取り組みは、今年度の単発的な企画ではなく、次年度以降も継続されるものと思います。一朝一夕に効果は出ないかもしれませんが、継続することで認知度が深まり、成果につながるだろうし、こういった取り組みに協力する中小企業が増えることも、島根の地元企業の底上げにつながっていくだろうと考えています。

2.「就活生向けPRビデオ制作」インターンシップ

当社における今回のインターンシップのテーマは「就活生向け会社PRビデオの制作」としています。

いわゆる「インターンシップ」から想像される内容とは少し離れますが、実施主体の担当者の方との打合せで意見交換を行ううちに出てきたアイデアです。実施主体としても、企業に負担をかけるインターンシップではなく、受け入れた企業にとってもメリットのあるインターンシップにしたい、という説明があり、それならば、単に仕事を体験してもらうのではなく、一部体験をしてもらうとしてもそれを主目的とはしない企画を考えていきました。そこで行きついたのが、インターンシップ期間中、学生目線で当社のあらゆるところを視てもらい、どのように感じたのか、どんな会社なのかをこれから当社と出会う学生に対してPRしてもらえれば、会社にとっても大いにメリットがあるのではないかと考えた訳です。

とは言っても、実際に実現しようと思えば中々ハードルの高い取り組みです。公募型のプログラムだったので応募してくれる学生が居るだろうかとも思っていましたが、今回、島根大学法文学部4回生、堀井敬行くんが応募してくれました。難しいテーマにも関わらず、チャレンジしてくれることが大変うれしいですし、そういった意欲ある学生が会社を訪れ、社員と触れ合うことで、そこに与えてくれる刺激にも期待しています。

PRビデオは10分程度を想定しています。その中で紹介できることは限られます。だからこそ、堀井くんが、どういう視点で当社を見てくれるのか、どの部分を中心に据えてくれるのか、注目したいし、とても関心があるところです。そして、その着目点には、当社の今後に向けた飛躍のヒントが潜んでいると考えています。

3.自らの仕事を説明し、質問に回答することで気づくもの

今回、会社の紹介と取材を兼ねて、現在稼働中の現場や完成した現場(温泉井等)を堀井くんと廻っています。また、社内では倉庫内で次の仕事の準備中の状況をみてもらったり、若い社員と雑談してもらったりしながら会社を視てもらっています。各現場では、担当者に仕事の概要や、今何をしているところなのかを説明してもらいます。また、その場では堀井くんから色々な質問をしてもらっています。質問を積極的にしてもらうことは、特に意義があると考えています。

自分の仕事を専門ではない人に説明すること、専門性の無い人からの質問に答えること、簡単そうで難しいことです。だからこそ、社員の訓練になるし、きちんと説明できたかどうか、自分自身を見つめ直す機会にもなります。そして、若い社員には、「自分の仕事を自信を持って説明できることの楽しさ」を体感して欲しいと考えています。自分の仕事を自信を持って説明できる社員が集う会社。そんな会社が、当社の経営理念で目指すべき姿の一つではないかと考えています。

そういう考え方の元、当社では、インターンシップは積極的に受け入れたいと考え、実践してきています。今回はビデオ制作という趣向でしたが、松江高専、松江工業高等学校からは、毎年、職場体験としてのインターンシップを受け入れています。当社及び当業界のことをほとんど知らない学生たちに対し、担当者が仕事を説明し、教えていきます。そういう経験の積み重ねは、必ず社員の成長につながり、ひいては会社の成長、そして地元中小企業の発展につながってくると信じています。

ボーリングツールについての説明を撮影

今回のインターンシップの成果は、9月末に10分程度のPRビデオとして出来上がってきます。前述のとおり、どのような仕上がりになるのか、非常に楽しみにしています。学生目線で、就活生向けを意識してつくられた映像がどのようなものになるのか。そして、そのビデオで描かれる当社はどんな風に映るのか。それが現在の当社を表しているだろうし、そこで足りないものが、今後の当社に必要なものだろうと考えています。堀井くんには是非頑張って頂き、いいPRビデオをつくってもらいたいと願っています。