2014
10.31

2014年10月25日(土)~26(日)にかけて、島根同友会の第15期経営指針成文化セミナーが開催されました。同友会では、“経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)の成文化”に力を入れていますが、このセミナーでは、2日間でその素案を取りまとめ、さらに3カ月をかけて精査していきます。今回、島根同友会では初めて、セミナー講師を全て会内で担当する、“直営方式”でのセミナーを開催しました。

私も、3年前にこのセミナーに参加して経営指針を策定し、現在実践中です。今回、島根同友会の経営労働委員会の委員長として、講師役を兼ねて運営に参加させて頂きました。講師といっても、司会進行役のようなものですが、その役目を含めて直営方式で実施したことによる学びや気づきをたくさん頂きました。その一部をまとめておきます。

セミナーの様子

1.主体性を持って運営に取り組むことで見えてくるもの~講師が一番勉強になる~

これまで島根同友会の経営指針成文化セミナーは、第1期より東京同友会・コンサルタント朋友の奥長先生に講師をお願いしてきました。奥長先生のおかげで数多くの経営者が経営指針を成文化し、経営指針に基づいた経営を実践しています。しかし、いつまでもそのやり方でいいのか、という問題意識もありました。それは、他地域の多くの同友会では、会外に講師を求めず、同友会のメンバーで経営指針成文化セミナーを運営しているという話を伺ってきたからです。

島根同友会も発足後10年を経過し、会としての立ち位置も次のステップに移っていかなければならない時期に来ています。そういった動きは、2012年10月の第40回青年経営者全国交流会in島根を開催から加速化し、2014年5月の第13回定時総会では、「ヒューマンシフト」を島根同友会理念と位置づけ、目標年次を2022年とする島根同友会ビジョンを策定・公表しました。こういった動きに対し、経営指針成文化への取り組みも変化していくことが必要と考え、今回の“直営方式”、すなわち、同友会内のメンバーで全ての講師を務めるセミナーを企画、開催するに至りました。

開講講義として松江支部の瀬崎支部長、決算書の講義に雲南地区会の周藤公認会計士、その他の策定講義を経営労働委員長として私が担当し、運営は従来どおり経営労働委員会メンバーが担当しました。2日間のセミナーを終え、改めて感じたことは、今までいかに講師の奥長先生に頼っていたのかということです。私自身、2日間の消耗度がこれまで運営してきたセミナーとはレベルが違いました。しかし、その一方で、自分達ですべてやらなければならない、という意識は、セミナーの様々な部分を担当した各講師陣にも好影響を与えたと考えています。後述する事前ガイダンスに講師も出席し、受講生の受講動機や業種特性等も踏まえ、自らの経験や伝えるべき勘所をつかみ、伝えて頂けたと思います。それは、各講師における自主的な取り組みであり、経営指針のセミナー講師を担わなければ経験する機会が無かったことだと思います。同友会の例会報告では、「報告者が一番勉強になる」とよく言いますが、経営指針成文化セミナーでは、「講師が一番勉強になる」と言い換えてもよいのではないかと実感するところです。

2.より近い立ち位置でセミナー参加者と係わる

会内講師としてセミナーに係わらせてもらって実感したのは、より近い位置でセミナー参加者と係わることができた、ということです。

これまでの外部講師によるセミナーは、コンサルタントとしての多くの経験や最近の経済状況などを踏まえた講義を交えて進められ、島根という地方部で事業を営む者にとって大きな魅力となっていました。その一方で、当然ではあるのですが、島根という地域での感覚とは一致しないという印象も時にありました。このため、今回は、せっかく地元で経営する者たちが講師を務めるのだから、地元の感覚、島根での感覚を踏まえてどうのように経営指針をつくっていくべきなのか、という視点を盛り込んで進めるようにしてみました。その試みはある程度成功したのではないかと感じてます。

また、私自身としても、受講生のみなさんとの係わりの度合いはそれぞれでしたが、みなさんそれなりに知った経営者の方が多く、各社の経営実態、例えば、どこにどんな店を持っているのか、という実感を持って助言をしながら進めることができました。県外への展開を目指す経営者もいる一方、この地域でどのように経営をしていくべきかを探っている経営者もいます。そうした中で、ある程度受講生の会社の状況をイメージしながら進めることができるのは、有限であるセミナー時間を最大限に活用する上でも、重要なことであると感じます。

今後は、このより近い視点で受講生と接していくという観点をさらに重視する一方、やはり日々の業務に忙殺する中では得ることが出来ないものを得られる場といていく視点も必要です。世の中の大きな動きや全国的あるいは全世界的な動向、他地域における様々な先進的な事例など、経営者として視野に入れておかなければならない要素をいかにバランスよく組み合わせていくのか、今回の振り返りと反省をしっかりと行い、次に活かしていきたいと考えています。

3.事前ガイダンスによる係わりのきっかけづくり

今回、初めての試みとして、受講前の「事前ガイダンス」を実施しました。

これまでも、受講希望者の方に対して個別に説明をすることはしていたのですが、申込みをして頂いた方を一堂に集め、また、講師担当も一緒に事前の打ち合わせをしたのは初めてでした。他県同友会では当然に行われている取り組みのようで、あらためて考えれば、そもそも、こういった事前説明の場がないこと自体がおかしかった、という反省もあるのですが、まだまだ発展途上の島根同友会であり、経営指針成文化セミナーですので、足りない部分は一つ一つ加えていければ良いと考えています。

事前ガイダンスでは、セミナーの進め方、セミナー終了から成果発表までのフォローアップの進め方等、セミナーの全体像を理解して頂くだけでなく、セミナーに申し込まれた方の動機、想い、事業の状況などを伝えて頂きました。そういった情報をあらかじめ共有することができたのは、大変有意義でした。そのことで、講義を担当者がそれぞれに話をする視点、勘所を得ることが出来たと考えています。業種、業歴、事業規模も様々、またその経緯(起業家、後継者)も異なる会社の経営者が集まり、その中で経営指針について学ぶ訳ですから、基本的な部分で共通するものはあるとしても、異なる部分をできるだけフォローしながら策定を進めたいと考えた時、非常に参考になる情報を事前に得られたと思います。

前述のとおり、事前ガイダンス自体はさほど特別なことではないかもしれませんが、今回から講師を会内で担当する方式に変更したため、講師が受講生のことを知り、その上でどのように講義をしていくのかを考えるための貴重な機会となりました。同友会に所属するメンバーはお互いが学び合う関係と言われます。そのためには、できるだけ係わりあう機会を増やす、ということも重要になってきます。経営指針成文化セミナーで半年間を共に過ごす受講生と講師が最初に一同に会し、その係わりあう関係の第一歩を築けたことも、大いに価値あるものではなかったかと考えています。

参加者と記念撮影

今回の経営指針成文化セミナー、最大のトピックスは、女性経営者の参加比率が過去最大(6社中5名)だったことです。柔らかく和気あいあいとした面がある一方で、時に遠慮なく厳しい指摘をぶつけ合う、今までにない雰囲気のセミナーとなりました。島根同友会では、昨年度女性部会が新たに立ち上がり、第14期のセミナーでも7名中3名という比率でしたが、今回はさらにその比率が上がりました。地域社会でも経済活動でも、女性の活躍について非常に注目が集まっており、そのうねりを現実のものとして感じました。その一方、あまりの女性比率の高さに、もっと男も頑張らないといけない、と叱咤激励頂いているようにも感じます。経営者の世界ですので、男だから、女だから、ということはありませんが、それでも世の中に比率で言えば圧倒的に数が少ない女性経営者がこれだけ経営指針成文化に取り組むという熱意を圧倒的多数の男性経営者もしっかり受け止め、取り組んで行かなければならないと痛感します。今後、受講生のみなさんが経営指針成文化をしっかりと成し遂げ、実践を通じて会社を伸ばして行かれることを願い、我々もしっかりとしたサポートを続けて行きたいと考えています。

2014
10.24

2014年10月17日(金)、島根県中小企業家同友会 出雲支部・青年部合同10月例会が開催されました。この日は、『社員の物心両面の幸せを追求する 「家業」から「企業」へ、この手で創る、ヒト・カイシャ・ミライ』と題して、広島同友会の株式会社クニヨシ 代表取締役社長 早間雄大さんから報告を頂きました。㈱クニヨシは、広島県福山市で鉄・ステンレス等の一次加工・溶接等を行う会社です。元々、家業として運営していた会社から、同友会での学びを通じ、現在では、従業員33名、売上高4億5800万円、経常利益4300万円、自己資本比率30%、という状況まで成長しています。その間の様々な失敗や苦労の積み重ねを踏まえ、青年経営者としてどうあるべきなのか、島根同友会の若手経営者に対して強烈なメッセージを頂きました。その一部をまとめています。なお、早間さんの報告は、2013年1月の鳥取同友会の例会でも伺いましたので、このブログではそこと重複する部分を除き、今回の報告のキーワードだと私が感じたところをまとめています。

報告する㈱クニヨシ 早間さん

1.想いが全て

早間さんは、これまでの経営を振り返り、「想いが全てだった」と総括されました。

早間さんは、30歳の時に「10年ビジョン」を描かれました。それから10年、掲げた目標(従業員数、売上、経常利益、自己資本比率)を達成されました。ほぼゼロからのスタートで、なぜそれが出来たのか。それは、同友会に入って最初の例会報告で「家業から企業へ」、と言い切ったことが全ての始まり、あらゆるチャレンジのきっかけだった、と話されます。振り返ってみて、結局そこだったと認識されています。また、ビジョンを掲げたから、「逆算することでやることが見えてくる」と話されました。そうやって前に進んで行く会社は、社員が確実に変化を感じる会社、変化している実感がある会社だ、とも。その社員の感じる“変化”が会社の成長の重要な役割を果たしているのだと感じます。

その一方で、「もっと大きなビジョンを描くべきだったのではないか」、という反省も語られました。ソフトバンクの孫社長が、創業まもない頃、「1兆円以上売り上げる会社になる、というような話を社員にしたところみんな辞めていった」、という逸話を例に出し、自分がもっと大きなビジョンを描いていればもっと違う現在があったのではないかと、話されます。これだけの成果を上げてなお、そう話されるのは、“想う”ということの大切さを実感されているからこそでしょう。よく、「想わないと実現しない」と言われますが、それは、「想った以上にはならない」という見方もできます。だから、想うからには、自分の創造を超える想いを抱くことが必要なのではないでしょうか。それが私にあるのか。身につまされます。

そこで思い出したのは、ある他県同友会の例会に参加した際のある若手経営者の方が話された「目標を立てたら桁を一つふやしておけ。未来が大きくなるからな。」という言葉です。当時は、そんな無茶なと、単に思うだけでしたが、未来は結局のところ自分が想像出来る範囲内にしかならない。それが自分自身にとって、また社員にとって夢のある、ワクワクする姿なのか。だから無理矢理でも大きな夢を描く。そういう示唆を与えて頂いていると思います。

また、早間さんは、「想いはあるけど現実は厳しい、と思われている方もいるかもしれない。しかし、あきらめてはいけない。少しずつ上がっていける。」とも話されました。この“少しずつ”というのは中小企業にとってのキーワードだと感じます。現状に落ち着いたら、それ以上の変化、前進はありません。だから、会社でも同友会でも自分自身の立ち位置を変えていくことが必要。変化し続けることで、前に進める。“少しずつ”だけど“常に変化し続ける”。肝に銘じ、私自身の想いを明確にすることとあわせて、取り組んで行きたいと考えています。

2.原因自分論

今回の報告で強調されたことの一つが「原因自分論」です。

すべての原因は自分の中にある。そう考えることが出来るかどうか。早間さんも、同友会に入会する前は、世の中、社員、取引先、自分以外の環境に対して文句ばかり言っていたと話されます。しかし、今は文句が全くない。それは会社が変わったから。ではなぜ、変わったのか。それは、全ての原因が自分にあると認識され、早間さん自身が変わったからだという訳です。

現在、早間さんは、「㈱クニヨシの強みは社員の主体性にある。」と自信を持って話されます。社長自らが全ての原因が自分にあると自覚し、主体的になった結果、社員が少しずつ主体的になり、今では、会社の強みとして発展を支えている。早間さんは、よく「どうしたら社員が主体的になりますか?」と質問されるそうです。その答えは、「その前に、自分自身は主体的なんですか?」という逆の問いかけだそうです。社員に主体性を問う前に、まず自分を問いただすべき、と指摘されます。

今回の報告でも、会場の参加者に対し、「現状、苦戦している会社があるとすれば、それはお客さまや社員のせいではない。社長がやるべきことが出来ていないからだ。」と話されました。人のせいにしているうちは解決しない、ということです。私自身のことで言えば、今期はかなり苦戦しています。公共事業の会社ですので、市場の環境すなわち、公共事業関係の予算の状況次第で大きく変化します。それは一つの訳にはなります。しかし、全ての会社が一様に苦戦している訳ではない。やはり、社長がやるべきことをやっていなかった会社が今苦戦しているのだと思います。本当は分かっていたけど、認めるのを避けていた真実を指摘して頂き、自分自身が主体性をもって取り組むことを改めて決意させて頂きました。

繰り返しになりますが、私自身、日々、他人のせいにしたい衝動との戦いです。それを踏みとどまれるか。「全て自分の責任だ」と認識して主体的な動きに転換できるか。それが将来を決定づけると痛感しています。

3.もっと係わりあっていく

“係わりあっていく”。これも今回の報告の重要なキーワードです。

「もっと周囲と係わらなければならない」と、早間さんは強く訴えられます。周囲とは、社員、家族、地域、お客さま、同友会、のメンバー、自分に関わる全ての人たちが対象となります。それは、「今、圧倒的に係わりあう量が少なくなっている」から。確かに、会社のことを考えても、1日、1週間、1カ月、その間にどれだけ社員と話をしているか。自分から主体的に関わり合いを持って相手を理解し、理解してもらおうとしているのか。私をはじめ、自信を持って答えられる人は少ないのではないかと思います。

同友会活動も同じです。なぜ同友会に入っているのか、ということです。「何かつかみ取りたいから入会しているのではないのか。だったら、もっと入り込んで行く必要がある。」というのが早間さんからのメッセージです。「同友会は係わった分だけ帰ってくる。だから、会員どおし、もっと刺激し合って、やりあって欲しい。」と話されます。

それは会社における社員に置き換えても同様ではないでしょうか。本来、社員も社会生活を通じて自分とその家族、自らの地域や仲間が良くなることを望んでいるはずです。それならば、その社会生活の中心にある会社において、お互いがもっと関わり合うことで成長し、結果として会社も成長していく。そういう姿を目指していかなくてどうするのか。もっと係わっていこうじゃないか!という強烈なメッセージをもらいました。

そのことを「恩送り」という言葉で説明されました。我々が今まで育ってこれたのは、自分の知らないところでたくさんの人たちが係わってくれていたから。そのお世話のおかげで現在がある。だから、その関わりを自分達は次の世代へ送っていかなければならない。それが「恩送り」。社員、後輩、子どもたち、係わる全ての人たちに、いい意味でのおせっかいをしていく。その結果、送られた者たちが先輩達より立派に育つことが恩返しになる。早間さんが、そういう気持ちで何事にも取り組まれた結果、素晴らしい会社の業績と、素晴らしい社員に囲まれた会社が出来上がりつつあるのだと感じます。

100名を超える参加者

最後に、「経営者は恵まれている。この立場に居る我々が、地域、そして国を背負うという気概が要る」と話されました。自分のことで精一杯の私ですが、それでも経営者という立場が恵まれているという指摘は同感です。そういった立場だからこそ、地域のこと、子どもたちのこと、様々な事に関わり合うことが求められる。私自身も出来るだけ役目を担うようにはしていますが、一方で、“もうこのぐらいやればいいんじゃない?”という気持ちが湧き出る時もあります。しかし、それをもっと限界まで、係われる限り係わることで、また違うステージが見えてくるのかもしれない。今は、そんな気がしています。あらゆることに全力で係わりあう。最善を尽くす。その結果がどうなるのか、改めて挑戦してみたいと決意させてもらった報告でした。

2014
10.16

社長の温泉めぐり68 はわい温泉(ハワイゆ~たうん) 鳥取県湯梨浜町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

68箇所目は、鳥取県湯梨浜町「はわい温泉(ハワイゆ~たうん)」です。訪問日は、2014年10月15日です。

はわい温泉は、鳥取県の中央部にある東郷湖の北岸に位置する温泉地で、南岸に位置する東郷温泉と同様、東郷湖の湖底より湧き出した温泉を活用している温泉地です。東郷湖の湖畔の風景が優雅な雰囲気を醸し出す鳥取県を代表する温泉地です。「ハワイゆ~たうん」は、はわい温泉の温泉街から少し離れた立地で、いわゆる“ハワイ”をイメージさせる南国リゾート風のネーミングです。はわい温泉の位置する旧羽合町は、その名が「はわい」であることから米国のハワイを連想します。実際に、姉妹都市提携もされているということで、街並みにもヤシの木の並木路があり、また公共施設のネーミングなども含め、ハワイをイメージしたまちづくりがされています。

ハワイゆ~たうん 施設外観

ハワイゆ~タウンは、“銭湯感覚で気軽に楽しめる温泉施設”とのキャッチコピーで、リーズナブルな料金で利用できる日帰り温泉施設となっています。元々は、水着着用のクアハウスとしてスタートしたようですが、現在は一般的な温泉入浴施設として営業されており、浴室内の造りは、その名残を感じることが出来ます。施設の立地する湯梨浜町は、旧羽合町、旧東郷町、旧泊村が合併してできた自治体ですが、東郷町には「ゆアシス龍鳳閣」という温泉施設があり、こちらにも水着着用の施設があります。そちらとの役割分担等の背景もあり、現在では温泉入浴施設に転換されているものと推察します。

ハワイゆ~タウンの泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉です。成分総計1.566g/kgで、成分量は少なめの、入りやすい温泉と言えます。塩化物イオンの“パック”効果で湯ざめしにくい温まりの湯、ナトリウム-硫酸塩泉の特性として、浴用により高血圧症、動脈硬化症などの効果があるとされています。泉質的な特徴は、当然ながら隣接する東郷温泉の泉質とよく似ています。源泉温度は、掲示されている情報が54.8℃となっている資料と、28℃となっているものが並べて掲示されており、実際の湯温がどのようになっているか分かりません。東郷温泉との比較で言えば、28℃という温度はかなり低めですが、詳細は不明です。通年で循環ろ過器が使用されていますが、加水はされていないということです。いずれにしても、適度な成分量であり、湯あたりしにくく、長時間ゆっくりと入浴するのには適しています。

浴室内は天井が高くガラス張りで広々としています。しかし、いわゆる温泉入浴施設の浴室と思って入ると、何となく違和感があります。プールのようなイメージ。実は、前述のとおり元々水着着用で男湯・女湯の区別は無かった(ロッカーはが別々なので入口も元々別々)ところを、中央に仕切りを付けて2つに分けてあります。このため、浴槽と洗い場までの間が妙に広々としています。これらは、元々がクアハウス的な利用方法が転換したのだと思えば納得できる造りです。浴槽は3つに分かれており、一番大きな浴槽が半円形で一部がジャグジーになっています。元々大きな円形の浴槽を真ん中で仕切ってあります。それを中心に、中・小の二つ浴槽があり、計3つの浴槽となっていますが、露天風呂はありません。また、東郷湖湖畔の立地ではありますが、浴室内から湖畔を見ることはできませんでした。珍しいのは、中央部の仕切りです。横断幕や懸垂幕で使われる素材(ターポリン)が用いられており、そこに、町内の観光地や名所等の説明が描かれていました。あまり見たことのない浴室内の使い方でした。

浴室内の様子(誰もいなかったので撮影)

洗い場は11箇所。浴槽を取り巻くように9箇所、小浴槽の脇に2箇所ありました。いずれも、仕切りの無いタイプです。シャンプー・リンス等の設置は無く、せっけんが備わっているのみでしたので、そこは注意が必要です。脱衣場のロッカーは、およそ80箇所、大きさはやや小さめです。一部が100円を入れて返却するタイプです。洗面台は4箇所で、ドライヤーは2つありました。脱衣場の一角にちょっとした休憩スペースがあり、これもあまり見かけないレイアウトです。また、脱衣場から浴室の間に1部屋広めのスペースが設けられており、そこからトイレに行くスタイルで、ここにも洗面が2箇所ありました。これは、元々水着着用の施設だったなごりもあるのでしょう。

利用料金は、大人360円。ゆアシス龍鳳閣を入浴のみで利用する場合と料金が揃えられています。オリジナルのフェイスタオル(青・赤)が販売されていました。こういった温泉施設ではどこでもフェイスタオルを購入できますが、デザインされた色つきのものは珍しく、200円という値段(通常100円が多い)でしたが、せっかくなので購入してみました。私が訪れたのは平日の昼時ということもあり、利用者は限られていました。同じ湯梨浜町の日帰り入浴施設である、ゆアシス龍鳳閣と比較すると、値段は同じでうまくすみ分けている印象です。お風呂としてはこちらが広々としていますが、龍鳳閣の中国風呂は特徴的で趣があります。お互いの施設が非常に近い距離にあり、その日の気分に応じて使い分ける、ということも出来そうです。

施設入口はロビー兼休憩スペースとなっており、出入りの多い時間帯はゆっくりしにくい印象もありますが、その分、職員のみなさんがとても気さくで私の問いかけにも丁寧に色々と教えて下さいました。シンプルな施設で値段もリーズナブルなので、地域住民のみなさんの身近な交流・憩いの場として貴重な役割を果たしているのではないかと思います。

2014
10.08

2014年9月29日、島根経営品質研究会 2014経営品質特別講演会が開催されました。テーマは、『未来を創る、「強い人財」が育つ場づくり』と題し、㈱ビスタワークス研究所 代表取締役社長 大原光秦さんを講師に招いて開催しました。同社は、日本経営品質賞受賞企業でもある、ネッツトヨタ南国の人財開発を担当する企業です。大原さんは、島根経営品質研究会の特別講演会講師として、7年連続お向えしています。今回も、「組織の目的」、「一生懸命働くということ」、「考えることの大切さ」、など、とても貴重なお話を頂いたと思います。講演全体を網羅することはできませんが、その一部を整理し、紹介しておきます。

講演する大原さん

1.甲子園出場チームのような会社をつくりたい

今回の講演で、一番印象に残った言葉です。

誰ひとりとして手を抜かない、チームの目標に向って一丸となって取り組む、甲子園に出場するチームとはそんな組織ではないか。そんな会社になれば素晴らしい。だが、そんな会社は少ない。なぜ、会社組織はそんな風にならないのか。それが長年の大原さんの問題意識だったと言います。

ネッツトヨタ南国にも試行錯誤の時代があったそうです。車の販売に苦労した1996年頃、辞める人が増え始め、それに伴い、現場の不満・不平の声に耳を傾けたそうです。給料が割に合わない、休みが取りにくい、3K(きつい、きたない、きけん)、興味の無い仕事をさせられる、会社の方向・上司に共感できない、等など。これらは、いつの時代、どの業種・職種であっても同じようなものです。しかし、いくら傾聴を続けて対策を講じてみても、抜本的な解決が訪れない、ということに徐々に気がついたそうです。

そして、同じ待遇でも文句を言う人が居る一方、頑張ろうとしている人もいる。その人たちの声を聴くと、感謝される仕事をしている、自分の仕事には大義がある、自分で考えて働くことができる、仕事を通じて成長することができる、会社の方針に共感している、といったもので、実はそちらに耳を傾ける方が重要なのではないか、という気づきがあったそうです。

同じ条件でも文句を言う人と頑張る人の違い。それは、「事情」と「目的」です。お金、生活、他に就職口がない、などの“事情”で働くやらされ感を持って仕事をしている人と、自分自身の仕事に目的を持っている人との違い。先ほどの不平不満に耳を傾ける作業は、そもそも事情で働いている人を対象にしているので、対処療法的にその不満を改善しても、その先に次の不満が出てくる。永遠に解決しないスパイラルに巻き込まれてしまう可能性があります。それならば、仕事に目的を持って働く人たちの声に耳を傾け、その考え方にみんなを合わせていくべきではないのか。それがネッツトヨタ南国での一つの回答。その究極の姿を分かりやすく表現したのが「甲子園出場チームのような会社」なのではないかと理解したところです。

2.やらんといかん人が一所懸命やらんといかん

『「ワタシの仕事ではない」、「ボクの仕事ではない」、誰の仕事でもない仕事が放置されている組織はそこから腐敗していく』という言葉を紹介されました。

組織は共通の目的に向っているものであるはずです。強い組織とは“有機的結合体”。すなわち、“つながりに意味がある組織”だと話されます。ここで言う“意味”とは組織の目的。目的によってつながった組織は強い、ということになります。

目的が一番先にくれば、前述の「ワタシの仕事ではない」「ボクの仕事ではない」という発想は出てこなくなります。共通の目的を達成するために、やらなければならないことがあれば、気が付いた誰かがやればいい。ただそれだけの話だということになります。しかし、実際にはそうなっていない組織も多いし、簡単なことではないでしょう。しかし、自分の所属する組織は、このような発言が溢れる組織か、あまり耳にしない組織か、考えてみる余地は大いにあります。

そして、経営の質とは、「目的にかなっている度合い」だと説明されます。組織の目的を達成するために、出来る人が出来ることをする。それをさらに進めれば、「やらんといかん人が一生懸命やらんといかん」となります。大原さんは、8時30分始業の会社で、5分前に来るというのは違うのではないか、と話されます。これは、子育てや家庭の事情で早く来ることが出来ない人に対しての話ではありません。時にそういう環境に身を置かざるを得ない人もいる。そういった方をフォローするために、早く来れる人が早く来て仕事の準備をし、サポートしてあげるべきではないのか、と話されます。一生懸命仕事が出来る環境にある人は一生懸命やる。それが、共通の目的に向って進む組織の姿であり、後述する、「日本には、一生懸命やったら返してくれる人がいる」、ということに通じるものだと理解しています。

3.考えることで人間が強くなる

「考える」ことの重要性について今回深く掘り下げて話を聴くことができました。

「考えるとは、変化する行動を起こすための思考と定義する」という説明がありました。考えるということは脳内活動。考えないと脳がダメになってしまう、ということは脳科学上も証明されているそうです。そして、使わないと発達しないが、年をとっても成長する、という特性があるそうで、だからこそ、人間は考えつづけることで、生涯成長することが出来る訳です。

『変えられるものを変える勇気、変えられないものをあきらめる冷静さ』、その両方を併せ持つことが必要だとも話されました。“変えられるもの”とは自分自身です。自分のことなら自分が変わろうと思えば変えられます。変えられないものとは“過去と他人”です。外部環境などもそうでしょう。変えられないものを変えようと必死になり、変わらないことを悲観したり愚痴るのが人の常です。しかし、それは変わらないのだとあきらめることで、ではどうするのかを“考える”ことができます。

最後に話されたのは、「少しずつ、考えて行動することが未来を切り開く」ということです。行動することが、周囲に連鎖反応を起こしていく。だから、どうせやるなら一手間かける、ということが大事だとも話されます。「日本には、一生懸命やったら返してくれる人がいる。」、だから後は、どちらが先に与える(行動する)のか。どうせやるならこちらから先にやろう、というのが大原さんの最後のメッセージです。私の僅かな経営者としての経験からしても、自ら動いたことで上手く進んでいることが多いと実感します。こちらから先に動く。これからも一層心がけ、実践に移していきたいと考えています。

参加者で満席の会場

島根経営品質研究会の特別講演会は、大原さんにお越し頂く事が恒例となっています。今回の講演の少し前に、ネッツトヨタ南国を訪問して実際の現場での話しを聴くことができました。そこでの学びと関連付けて聴講することで、今まで以上に理解が深まったという実感があります。一方、今年も最終的に130名以上の参加があり、また、初めて大原さんの話を聴いた方がたくさんいらっしゃいました。そういう意味で、一回聴いただけでは、中々全てを理解しきれないかもしれません。しかし、一見難しくても、企業経営者はもちろん、組織で仕事をしている方であれば、全ての方にとって意味のある内容であると自信を持ってお勧めすることが出来ます。このブログが理解の一助となり、また、ネッツトヨタ南国における組織づくり、人財育成を通じた学びに触れる機会となることを願っています。

2014
10.02

2014年9月24日、島根県技術士会青年部会のオモシロ技術塾9月例会が開催されました。最近は欠席することが多かったのですが、この日はどうしても参加したいと思っていました。それは、タシマボーリング(鳥取市)の田島社長の話を聴く機会だったからです。田島さんはさく井工事(井戸堀り)と得意とする会社の後継者で、テレビ番組の企画で単身アフリカのガーナに乗り込み、「上総掘り」という日本伝統の工法をベースに、現地の道具と材料のみで井戸を掘るというチャレンジをされ、みごとに成功させた方です。この経験をきっかけに各地で講演もされています。大変素晴らしい話を聴かせて頂きました。ガーナでの奮戦記は、田島さんの会社のブログに詳しく掲載されていますので、今回の話を伺って私自身が感じたところを整理します。

講演する田島さん

1.不可能と思われることへの挑戦に意義がある

今回の講演の冒頭に田島さんが話された言葉です。

田島さんは20歳のころから先代と一緒に全国を回って仕事をされてきた現場たたき上げの社長であり、豊富な経験と現場に対する強い思い入れを持った方です。しかし、それでも、単身(TVスタッフ、通訳等は居るとしても)でアフリカの途上国に乗り込み、機械(動力)を使わず人力で、言葉も通じない地元の方々を使って、道具や資材は全て現地で調達(日本からの持ち込みは一切不可)し、何の地質的な情報もない土地で井戸を掘って、飲み水として使用できる水を出さなければならない。こういう条件を“不可能”と言うのでしょうし、そう感じる方がまともだと思います。

しかし、田島さんは、そういった条件だからこそ挑戦してやろうという気持ちを持たれるタイプの方です。誰でも出来ることならわざわざやらなくてもいい。なによりも、ガーナに行って水に困っている地元の方々、子どもたちを目の当たりにし、そういう気概、志を益々強くする。私などは、なぜ、そんなに強く気持ちを保てるのだろうと不思議に思います。

それを知りたくて、後日、田島さんの会社を訪問させて頂き、色々と話をさせて頂きました。そこで感じたのは、長年の経験で培われた自信に裏打ちされたチャレンジ精神です。前述のとおり20年以上、さく井の現場に携わり、施工方法の改善や新しい機械の導入、取り組み領域の拡大、スピード化とコストダウン等、常に新しい課題に取り組み、苦労を重ねながら経験を積み上げてこられた経験をお持ちです。それが自信となり、また新たな挑戦を引き寄せていらっしゃるのだろうということです。田島さんは、人のせい、外部環境のせいにするような発言を一切しません。井戸堀りという仕事を本当に誇りに思い、これからもその技術を世の中のために役立てていこうと本気で思われていることを感じます。

私と1つしか年齢が違わない田島さんですが、こんな方とぜひ仕事をしてみたい、こんな方にお願いしてみたい、そう思わずにはいられません。

2.社員が応援してくれたから行くことが出来た

今回の企画のために、田島さんはおよそ40日間、会社を留守にしたそうです。

普通に考えて、中小企業の社長が40日間会社を留守にして大丈夫かと言えば、そうでない会社も多いと思います。そもそも、社員が一体どう思うのか。その点、タシマボーリングでは、「社長ぜひ行って来て下さい!」と社員のみなさんが送り出して下さったそうです。「社内のそういった雰囲気が無ければ行くことは出来なかったかもしれない。」とも話されました。タシマボーリングは、社長のチャレンジを社員一同が応援してくれる会社なのです。

その背景には、田島さんの生き方、挑戦する姿勢があり、それに共感する社員のみなさんによって会社が動いている、という良い循環があるのだと思います。元々、先代が立ち上げ、田島さんが入社してからも4名ほどでスタート、少しずつ領域を広げ、現在は、十数名の社員を抱えて全国の施工現場で活躍されています。鳥取を起点に全国の現場で長期滞在して施工にあたることも多いそうで、従業員の心身の健康、プライベートの充実を気にかけていらっしゃるそうです。その気持ちは、必ず社員のみなさんに伝わっていると思います。

そして、ガーナから戻った後、社内の士気は上がったと話されます。会社の看板を背負ってガーナに行き、見事成功させた社長を誇らしく思うのは当然でしょうし、だからこそ、“自分達もいい加減な仕事はできない”、と感じる。「子は親の鏡」と言いますが、「社員も社長の鏡」だと思います。だからこそ、タシマボーリングさんと一緒に仕事をしてみたいと思う訳です。そのことで、私だけでなく、当社の社員も色々な気づきがあるのではないかと思っています。単に技術や値段だけでなく、「この人にお願いしてみたい」と思う出会い。そんな風に感じる出会いは、そう多くはありません。何かを感じ取る機会をぜひ持ちたいと思っています。

3.重い腰を上げて動くことで未来が拓けてくる

ガーナでの経験をきっかけとし、「次々と思いがけないことが起こった」と田島さんは話されます。

一つ目は、地元の小学校での井戸堀りの実現です。ガーナでの経験を小学校で講演したことをきっかけとし、鳥取県さく井協会の活動とも連動して、ガーナで行ったのと同じような手堀りの仕掛けを学校につくり、子どもたちがロープを引いて井戸を掘っていく、という取り組みが実現したそうです。そこでも見事に水が出て、子どもたちの喜ぶ姿を見ることができたと話されます。その様子は地元テレビに取り上げられて、話題になり、行政による防災井戸の検討が加速化するという動きにつながったということです。

二つ目は、先代であるお父さんとの関係です。実は、お父さんはパーキンソン病を患っていらっしゃるそうで、体が不自由な状態にあります。しかし、息子が単身ガーナに乗り込んで井戸掘るということに挑む姿勢をみて、元々趣味であったサイクリングにもう一度取り組み、しまなみ海道(本州四国連絡道路の尾道~今治ルート)の横断に挑戦します。薬を飲んで一時的に麻痺した体が動くようにし、少しずつ自転車で進んでいくという危険を」伴う大変なチャレンジです。田島さんも一緒にサポート役として参加し、3日間をかけて見事ゴールされます。その様子もテレビに取材されており、映像として見せて頂きました。

私も父である先代から会社を引き受けた身です。同居もしていますが、職場で仕事の話はしても、家で会社よりたくさんの話をしているかと言えば疑問です。継承した時に業況が悪かったこともあり、私は会社の苦境を先代のせいにし、批判を繰り返していました。今は当時ほどの悪態つきませんが、それでももっと若かった頃の関係と比べれば、他人行儀な感は否めません。そういう私の立場で見た、田島さん親子の関係は、本当に素晴らしいし、自分自身はどうしてそんな風な思いやりを持って生きられないのか、悩むところです。それは、私自身が解決すべき課題ですが、今回の出会いによって、それに気が付くことが出来たことをまず感謝し、私自身の今後に活かしたいと思っています。

オモシロ技術塾の様子

田島さんが挑戦されたテレビ番組は、「世界の子供がSOS!THE仕事人バンク マチャアキJAPAN」というテレビ朝日系列の番組で、残念ながら島根では見ることができないので、直接は知りませんでした。今回の一連の出来事は、そのテレビ番組から一本の電話が全てのきっかけになっているということ。恐らく全国の何社もの会社にオファーがあり、断った会社が大多数でしょう。しかし、そこで田島さんは引き受けた。違いはそこだけですが、その後の結果は大きく違った訳です。田島さんが最後に語られのは、『ちょっとしたことでも、素晴らしことに発展する可能性がある。面倒くさくても重い腰をあげて動くことで未来が拓けてくる。』という言葉。日頃、どうしても損得勘定や目先のことで判断してしまう私に重くのしかかります。しかし、こういった出会いがあるからこそ、重い腰を上げて今回の技術塾に参加してよかったと思います。「重い腰を上げる」、肝に銘じて今後とも実践していきたいと思います。