2015
03.27

協和地建コンサルタント㈱は、地熱発電事業(温泉熱発電事業)に参入します。このたび、鳥取県東郷温泉で実施される温泉熱発電事業の事業者に選定されました。東郷温泉から湧出する約90℃の温泉熱を活用して地熱発電を行い、FIT(固定価格買取制度)を用いて全量を売電するものです。2015年10月1日の発電開始を目途に、施設整備を進めていきます。地熱発電(温泉熱発電)は、中四国エリアでは初の事業化となります。地域で“地熱”に関わる仕事に取り組んできた当社として、当地での第1号案件に携われることに感謝するとともに、これをきっかけに、「地熱」の地域活用に弾みをつけていきたいと考えています。今回、その概要をご紹介します。

温泉熱バイナリー発電の仕組み(IHIホームページより)

1.地熱発電(温泉熱発電)とは~「バイナリー発電」で広がる活用の裾野~

地熱発電とは、地下から噴出する蒸気で直接タービンを回す発電方法です。

地下深部のマグマに由来する高温地熱が存在する地域で実施されており、最低でも150℃以上の地温が必要となります。これが可能なエリアは、九州や東北など、国内でも限られています。山陰地域も含めたそれ以外のエリア、すなわち地下の温度が150℃程度に達しない温度帯の地域(※桁違いに深い地下深部ではどこでも達しますが)では、前述の方式による地熱発電は実施できません。しかし、ここで注目されるのが、水より沸点が低い媒体と熱交換し、この媒体の蒸気でタービンを回す発電方法です。「バイナリー発電」と呼ばれるこの発電方法は、地熱発電の可能性を大きく拡げるものとして、全国で年々増加しています。

「バイナリー発電」に関しては、近年、汎用発電プラントの開発が進んでいます。今回の事業で採用するのも、国内メーカー㈱IHI製のプラントです。前述のとおり、熱交換器を通じて温泉の熱だけを採取し、プラントで発電を行います。発電に使う温泉水は温度だけが低下し、量はそのまま既存の集湯タンクに戻ります。従来活用していた温泉の熱だけを利用するので、温泉資源を無駄にすることはありません。このプラントは、発電規模20kwほどで、現時点で国内販売されているプラントの中でも小さい方に入ります。既に初号機が運転を開始しており、今後続々と稼働予定です。今年の10月に鳥取県湯梨浜町で稼働すれば、全国で5事例目となる予定です。こういった小規模プラントは、導入が増えることで開発が進み、さらなる高性能化、低価格化が図られることが期待されます。

今回の事業では、導入を下支えするため、鳥取県及び湯梨浜町から補助金が準備されており、当社が補助金を頂いて事業を実施することになります。地元自治体からも補助金を頂き、大きな期待をして頂いている事業であり、ぜひ成功させたいと考えています。

2.カスケード利用で地熱を活用した地域づくりへ~国の手厚い補助事業を追い風に~~

前述のとおり、温泉熱を使った地熱発電は、出力的には僅かなものです。

山陰エリアでみると、比較的大きな温泉地であっても、全ての湧出量を発電に活用した場合でも発電量は数十kw程度と想定され、発電事業単独で大きな収益が得られるものではありません。同じ再生可能エネルギーを活用した、太陽光(メガソーラー)、風力、等とは様相が異なります。

一方、温泉熱を利用する発電の特徴は、発電した後の熱水(温泉水)を二次的に利用できるという点です。温泉地ですから当然温泉の浴用に使うという選択肢があります。東郷温泉のように湧出温度が高い(80~90℃)温泉地では、通常でも何らかの方法で温度を下げて浴用に使っていますので、発電に際してその熱が奪われれば温度を下げる手間とコストが省ける、というメリットがあります。また、さらに熱量に余力があれば、上がり湯等の給湯の昇温に活用したり、さらには、農業ハウスなどの温室、養殖施設等への供給に活用したりすることで、エネルギーコストに優れた生産施設を稼働できる可能性があります。

現在、地熱開発及び地熱の理解促進に関しては、国の手厚い補助制度が準備されています。平成27年度予算で言えば、地熱資源開発調査事業(JOGMEC)では、地域の地熱関係法人に対して、地熱開発のための調査費(地表調査、坑井掘削調査)について定額(10/10)で補助しています。また、地熱開発理解促進事業(資源エネルギー庁)では、地熱発電後の熱水の有効利用のためのソフト・ハード事業を上限1億8千万円まで定額(10/10)補助しています。この事業は、平成29年度までの事業となっています。どの地域でも活用できる訳ではありませんが、地域の事業者並びに地方自治体が連携して取り組むことで、これらの効率的な地域づくりが実現できる可能性があります。

3.温泉と共生する「地熱活用」をキーワードに新しいまちづくりを

地熱開発を進めるに際して、避けて通れないことは、「温泉への影響」です。

温泉熱発電に限らず、地熱発電を実施しようとするエリアの近くには温泉地があり、地熱開発によって温泉に影響があるのではないか、という懸念は古くからあり、地熱開発が進まなかった理由の一つにもなっています。地熱発電が温泉に影響を与えるか否かについては、両面からの意見があり、また場所によっても異なると考えられますので、ここで言及することはしませんが、バイナリー発電は、既に湧出している温泉水から熱を採取する場合、この問題から離れることができます。全国で導入が進んでいるのは、新たに発電のための温泉井を掘るのではなく、既存の井戸から出ている熱水を有効活用する、という考え方で進められているところも多いと聞きます。

その一方で、やはり新しい井戸を掘削して発電を行う方法も追及していきたいというのが当社の考え方です。当然、当該温泉地の関係者の合意を得た上でのことですが、長く利用してきている温泉井戸は、湧出量の減少や温度の低下を生じることがあります。また、観光振興の成功等により従来よりも温泉水が多く必要になる場合もあります。そういった時に、単に、従来と同じような温泉井戸を掘削するのではなく、発電も視野に入れた井戸を掘削(より詳細な調査と大深度の掘削が必要)し、発電、温泉利用、二次利用、というトータルの熱利用が可能な仕組み(ビジネス)を構築し、その費用の回収も含めて地域の活性化につなげていくことが必要ではないかと考えています。

温泉と共生する地熱開発。今後の地域におけるキーワードと位置づけ、引き続き地熱活用に関する様々な事業に取り組み、トータルでサポートし、また自ら実践していくことが出来る企業を目指したいと考えています。

地熱発電設備設置予定地(東郷温泉集湯タンク前)

協和地建コンサルタントは、平成24年度から地熱関連事業に関する取り組みを進め、ポテンシャル調査や事業計画策定について実績とノウハウを蓄積してきました。今回、地熱(温泉熱)を活用した発電事業に着手することで、調査から実際の事業運営まで取り組みの裾野を広げることになりました。今回の事業を確実に成功させ、山陰エリアにおいて地熱に関して地域でトータルの提案、実行できる唯一のコンサルタントとしてその役割を果たし、地熱を活用した地域づくりに貢献していきたいと考えています。今後とも、事業の進捗にあわせ、このブログでも経過報告をさせて頂きます。

2015
03.19

2015年3月14日(土)、協和地建コンサルタント株式会社 平成27年度経営指針発表会を開催しました。平成24年度からスタートし、4回目の経営指針発表会となりました。当日は、当社役員、社員に加え、金融機関のみなさん、協力会社のみなさん等、総勢36名の参加者を得て、第56期を総括するとともに、新3カ年計画並びに第57期の経営計画を発表しました。

平成27年度経営指針発表会 社長による報告

1.ピンチをチャンスにするための決断~飛躍に向けた試練の年~

第56期(平成27年3月期)の業績は非常に厳しいものとなりました。

昨年度、大変な好業績に沸き、その一方で手綱を緩めず行きたいと昨年度の経営指針発表会でも話をしましたが、見事にその反動を受けた結果となりました。原因はある程度明らかになっていますが、いずれにしても全ての責任は社長である私にあります。私がもっと早く今期の外部環境の変化を予測し、もっと本気で取り組みを進めていたならが、ここまでの不振は発生しなかったかもしれません。だからこそ、私自身に大きな反省と危機感をもたらし、経営者としての実力の無さ、至らなさを実感させてもらえる機会になったと考えています。

その一方、良く言われるようにピンチだからこそ、それをチャンスに変えていくことが必要です。今期、業績は振るいませんでしたが、仕事上余力があったこともあり、社内では様々な取り組みが進展しました。このブログでも紹介している3S活動(キックオフ大会第1回定例会第2回・第3回定例会)もそうですし、環境整備や新しいことへの取り組みを進めました。いずれも、必ず次年度以降、結果につながっていくと考えています。

新卒採用も継続しました。今年度(平成26年度)は大卒1名の採用、そして次年度(平成27年度)は高卒2名、そして、平成28年度も大卒1名の採用に向けて動き出しています。業績が不振に陥れば、採用活動については不安になります。私自身、そんなに人を増やして大丈夫なのか、という気持が無いと言えばウソになります。しかし、企業が継続的に発展していくためには、新たな人財の獲得は欠かせません。現状ではなく、将来を見据えて、決断が出来るかどうか、その試練を与えて頂いたのではないかと考えています。

業績の不振は経営者にとっての試練です。そこでどう決断するのか、どう振舞うのか、社員も、取引先も、金融機関も、当社を取り巻く様々なステークホルダーに見られています。だからこそ、今回の様々な決断が、後々振り返って“よかった”と実感できるよう、さらなる決意を持って次年度以降の取り組みを進めたいと考えています。

2.新3カ年計画テーマ「攻めの営業・市場創出」

今回、新3カ年計画を策定・発表しました。テーマは「攻めの営業・市場創出」です。

今更ながらの気づきではありますが、やはり中小企業の業績に大きく影響するのは「営業力」です。前述のとおり、第56期(平成27年3月期)の業績は大幅な減収減益となりました。一言で総括すれば、営業力の弱さが顕在化した、と考えています。当社のこれまでの営業は、「待ちの営業」でした。公共事業の元請け受注を除けば、可愛がって頂いているお客さまから継続的に仕事を頂く案件、過去にお世話になったお客さまから紹介して頂く案件、そういった仕事を積み上げて売上を創っていました。大変ありがたいことですが、その現状に甘えていたことがハッキリしたのが今回の業績不振だと考えています。この体制を転換し、こちらから攻めていく営業体質、より当社を知って頂き、当社の強みを理解して頂けるように切り替えていきます。営業に携わる要員を増強するだけでなく、会社組織全体で営業活動に取り組める体制を今一度創りなおす計画とし、各部の取り組みに展開しています。

もう一つは「市場創出」です。従来型の公共事業市場の縮小は規定路線です。今年度、その影響をもろに受けました。分かっていながらそうなるのは経営の至らなさです。今更いい訳してもどうにもなりません。これから必要なのは、既存の仕事に変わる新しい市場を創っていくことです。当社の新市場は「地熱・地中熱」という市場です。島根県及び山陰エリアではまだまだ認知度が低い領域です。新しい市場は自ら動いて生み出していかなければ具体化しませんし、会社の発展もありません。具体的な取り組みとして、「地中熱融雪市場」の創出にも既に着手しています。そして、これからは、単独で取り組んできたこの新しいエネルギーの普及促進を、業界全体、或いは興味を持つ仲間たちと一緒に広げていきます。その結果、新3カ年計画では、3年後、この新しい市場での仕事量を、総受注額の1/4まで高めていくことを目標としています。

いずれにしても、一朝一夕にいくことではありません。しかし、動きださなければ結果もありません。必達に向けて、社内の総力を結集し、また新しい力を招き入れ、実現したいと考えています。

3.社員アンケートで“見える化”する当社の課題と変化の糸口

今回の発表会にあわせて、初めて「社員アンケート」を実施しました。

これは主に社員が仕事のやりがいという部分に対して、どのように感じているのかを簡単な質問項目で確認するものです。質問項目は、成長の実感があるか、自分で考えて仕事ができるか、自由に意見が言えるか、自分の努力は評価されているか、職場の人間関係はよいか、チームワークはよいか、セクショナリズムはないか、所属している組織が好きか、といったものを設定しました。メンタルヘルスに関する問題を抱える企業では、これらの質問に対して良い回答がでにくいのだそうです。

このアンケートは、2014年9月にネッツトヨタ南国で研修(その1その2)を受けさせて頂いた際に、同社の横田相談役から伺った話がきっかけです。横田相談役によると、一部上場の大企業などでこのアンケートを実施すると、前向きな回答は3割程度。それが中小企業では6割程度が平均とのことです。今回、当社では総回答数として、7割弱がこれらの質問に対して「そうである、まあまあそうである」という前向きな回答になりました。中小企業の平均的なところまでは達していると理解してよいかもしれません。

このアンケートのねらいは、働くことの幸せ、仕事のやりがい、など、目に見えないものを「見える化」するための取り組みの一つです。見える化することで、問題解決に取り組みやすくすることが出来ます。全体では7割弱が前向きな回答でしたが、唯一「セクショナリズムはないか」という質問に対しては、「ある」という回答が多くを占めました。小さな会社でも部門・組織間の壁があるとみんなが認識している訳です。しかし、それがこういったアンケートで明らかになれば、その結果を踏まえ、変化するための次の一手を打つことが出来ます。次年度は、まずそこに取り組みます。

そして、このアンケートは今後とも継続し、当社の変化を継続的に把握し、継続的な改善につなげていきたいと考えています。

交流会 来期の復活を誓います

前述の社員アンケート以外にも、毎回実施しているのが「施策アンケート」があります。今回も実施しました。1年間、社内で新たに取り組んだ様々な施策について、社員からみた評価を聴くものです。今回、“必要ない・あまり必要ない”と評価される項目数が減少から増加に転じました。この結果をどう評価するのか、ですが、実はいいことではないかと感じています。会社の中に様々な“変化”が生まれているからこそ、反発や違和感が生じ、“必要ない・あまり必要ない”という回答として顕在化している。ある社員から、「このアンケートがすべて“効果がある”と回答されるような組織は逆に不気味です。」という意見がありました。全体とすればいい評価をもらい続けているこのアンケート。社内の違和感も受け止めながら、より社員との対話を増やし、社内の変化を見逃さず、さらなる飛躍・発展を目指していきたいと考えています。次年度も協和地建コンサルタントをよろしくお願い致します。

2015
03.11

協和地建コンサルタントは、新卒採用に取り組み始めて4年目になります。これまで計4名(高卒2名、大卒2名)の新卒者が入社し、平成27年度も新たに高卒2名の採用が決まっています。そして、このたび平成28年度の新卒採用がスタートしました。平成28年度は大卒の採用を予定していますが、今年から新卒採用スケジュールが変更になったことに伴い、それにあわせた初めての採用活動をスタートさせました。その第一歩として、ふるさと島根定住財団(ジョブカフェしまね)が主催する「しまね企業ガイダンス」(合同企業説明会)に初めて参加しました。参加を通じて、地方の中小企業の採用活動に関して感じたことをまとめてみます。

企業ブースでの説明の様子

1.無名企業のアピールの場~企業PR&学生×企業交流会~

本番の企業ガイダンスに先立ち、当日オプション企画として、「企業PR&学生×企業交流会」なるものが開催されました。これは、企業ガイダンス当日の午前中に開催されたもので、企業のプレゼンと学生とのフリートークを組み合せたものです。

まず、午後からのガイダンスへの参加企業のうち、24社が2分で自社のプレゼンを行います。その後、7分間のフリートークを7回開催しました。1回あたり5~6名の学生がその会社の席(写真参照)を訪れてくれます。そこで、会社のこと、今後の就活のことなど、幅広く話をします。7分という時間はわずかではありますが、企業の経営者や採用の担当者と直接話をする機会をたくさん設けられるのは良いことだと感じました。

椅子取りゲーム風に学生が回ってきますので、中には、思い描く業種・業界とは異なる会社の席に来た学生も居たでしょう。それでも、これをご縁に会社を知ってもらうことで、当社に限らず、新しい出会いが生まれていきます。自分が想定する範囲外の出会いを創出していく。そういった取り組みは挑戦的でもあり、幅広くUターンを含めた地元就職を生みだしていくために必要なことだと感じました。

午後から開催された企業ガイダンスの本番では、この交流企画で当社のグループに来てくれた学生が、再度ブースを訪ねてくれました。これらの学生は、おそらく当社がこの午前中のイベントに参加していなければブースを訪れることは無かったでしょう。そういう意味では、圧倒的に知名度に劣る中小企業においては、企業側から様々な形で存在をアピールすることが重要であり、特に、こういったフェイス・トゥ・フェイスで話が出来る機会を大切にすべきと実感したところです。

2.中小企業の中でも格差を実感~しまね企業ガイダンス~

午後からは、企業ガイダンスの本番です。25分間×6サイクルで学生が興味を持つ企業のブースを訪れます。当社ブースに来場して頂いた学生は計9名という結果になりました。多いか少ないかはさておき、興味を持って訪れてもらったことに感謝します。

ここで実感するのは、地元企業であってもその知名度には格段の差があるということです。銀行系、大手製造メーカー系、公共公益機関系、マスコミ系、といった企業のブースは学生であふれかえっています。普通に生活していて名前を目にする会社、テレビCMを出しているような会社、そういったところはやはり強いのだなと実感します。一方、さほど知名度のない通常の会社は、2~3人程度。時には全く来訪のない時間帯もあります。当社も6サイクルのうち、1回は来訪者ゼロでした。確かに、協和地建コンサルタントなど、普通に生活していて知るはずもありません。

そういう中で幅広く人財を求めようと思えば、一つ一つのご縁を大切にし、つなげていくことが重要だと感じます。今回当社ブースを訪れてくれたのは前述のとおり9名。恐らくは少ない方でしょう。しかし、これを“少ない”と捉えるのではなく、“少数精鋭”と捉えたいと考えています。ブースでの説明はわずか25分。学生も会社のことが十分理解できた訳でもないでしょうし、企業側として得られる学生の情報は限定的です。少ない人数だからこそ、今後、きめ細かく対応していける。そういう発想の転換が必要ではないかと考えています。

3.フォローアップで独自性を出す~インターンシップの重要性~

知名度が限られる中で、自社が求める人財を獲得していくためには、前述のとおり、一つ一つの出会いを大切にしながら、その後のフォローアップで独自性を出していくことが重要ではないかと考えています。これは、このガイダンスに参加した同じような規模の企業経営者の方との話の中でも共通認識を得ました。

具体的な方法はインターンシップです。ふるさと島根定住財団でもインターンシップの企画を準備されていますが、会社独自でインターンシップを企画し、こういったガイダンスでご縁のあった学生をいち早く受け入れ、仕事の内容や会社の雰囲気を知ってもらうことが必要だと考えています。そういったきめ細かいフォローアップこそ、中小企業が差別化していけるところではないでしょうか。そのほか、財団では、今後もさまざまな形の企業説明会を企画されています。当社にあったものを活用し、学生とのいい“ご縁”を増やしていきたいと考えています。

いずれにしても、実際に職場に入ってみなければ本当のことは分かりません。インターンシップとて、限られた期間の中では何から何まで分かることはありません。しかし、小さな会社だからこそ、迎える側が本気で対応できれば、その気持ちは伝わるのではないでしょうか。そのためにも社員の中で、インターンシップというものに対する認識を強く持ってもらいたいと考えています。今年度、当社では大学生、高専、高校生、と計6名のインターンシップを受け入れてきました。社内の訓練の一つだと思ってたくさん受け入れました。インターンシップを受け入れるのを当たり前とする環境づくり。これも、いい人財を迎えるための方策の一つではないかと考えています。

学生との交流企画(車座でのフリートーク)

今回のしまね企業ガイダンス(合同企業説明会)は、島根県内の中小企業を対象としたものとしては、H28年度新卒採用の就職活動解禁後、初めてのものです。この前日には、「学生の”自分”商談会~リアルアドバンス~」が開催されました。これは、学生が自分を企業に売り込む、という趣旨の企画で、41名の学生がエントリーし、26社の企業が参加されたそうです。当社も参加を希望しましたが、残念ながら定員超過で参加できませんでした。当社は、今回の新卒採用から本格的に定住財団のお世話になっていますが、島根での定住促進に向けて、地元企業の採用活動に際して様々な施策を実施されており、大変頭が下がります。情報発信力に劣る地元中小企業にとってとても力強い支援になります。これからも、財団を十二分に活用させて頂き、未来につながる採用が実現できるよう、取り組んでいきたいと考えています。

2015
03.06

島根経営品質研究会の活動の一環として、「株式会社さんびる」さん(以下、「さんびる」と記載させて頂きます。)の第39期経営方針発表会及び創業祭(2015年2月28日開催)に参加させて頂きました。昨年度は都合がつかず参加できませんでしたので、1年ぶりの参加となりました。さんびるは、山陰を中心にビルメンテナンスや指定管理、教室運営などを中心に、多様な事業を展開され、近年では九州、関東など中国地方外のエリアにも事業を拡大されています。今回の経営方針発表会でも、この数年来の会社の成長を実感させて頂きました。(過去の発表会の様子 第36期発表会第35期発表会

さんびるでは、役職員全員をフルネームで呼び合います。「社長」とか「部長」といった呼び方はしません。このため、さんびるの代表取締役社長は田中さんですが、以下、“田中社長”ではなく、“田中正彦さん”とフルネームで記載しています。 今回は、田中正彦さんの発表会での発言の中から私の気づきをまとめておきます。

発表する田中正彦さん

1.発表会は魂を入れる場所

発表会の冒頭、田中正彦さんは「発表会は方針に魂を入れる場所、目と耳と魂を清めてしっかり納得理解して下さい」と語られました。言い換えて、企業価値、あるいは存在価値を入魂する、とも話されました。企業は方針に沿って事業運営を進めていきます。しかし、その前提にある企業の価値、存在意義、を社員一人一人が理解した上でなければ、本当の意味での企業価値の実現には至らない、という基本認識があると理解しています。

私の理解では、魂を入れるとは、頭で理解している理念であったり企業の存在意義であったりするものを、トップからの直接のメッセージを通じ、その場所と時間を共有することで社員一人一人が腹に落とすことだと考えています。そのため、さんびるの経営方針発表会では、全ての説明は田中正彦さんが行います。部署長が説明したりする時間はありません。全てトップが話をすることで、トップの想い、トップが進める方向性を明確なものにする意図があるのだと、以前聞いたことがあります。言うまでもなく、経営の責任は全て経営者にあります。だからこそ、発表会で伝える方針とその魂は全てトップが語る。それを徹底されているのが、さんびるのやり方ということでしょう。

そして社員にどう伝えるのか。田中正彦さんは、冒頭、「本気でやっていけない人は、どうぞゆっくり辞めて下さい」、「能力があっても覚悟が出来ない人は、どうぞ他社で能力を発揮して下さい」、と明言されます。このことは、さんびるの経営方針書に書いてあります。だから、明確に発言して構わない。その一方で、社長自身が先頭に立ってやりつづけることもまた明言する。それが毎年行われます。全マネジメント社員とたくさんの来賓の前で繰り返し明言するからこそ、社員にもその本気度が伝わり、社員に田中正彦さんの魂の言葉が注入されるのだと実感しています。

2.鉄砲は売らない、玉を売る

田中正彦さんが発表会を通じて強調されていたことの一つが、さんびるのビジネスモデルについてです。すなわち、「鉄砲は売らない、タマを売る」ということ。要するに「繰り返し発生するお客様の需要に答える」ということです。さんびるの主力であるビルメンテナンス、指定管理業務、教室運営、といった領域はまさにそれに該当します。また、新しい事業領域として、空調設備の領域にも進出されていますが、これもエアコンなどの設備工事の受注をねらっているものではなく、その受注後の設備メンテナンスを定期的な仕事にしていくことを目指しています。

この、繰り返し発生する需要に答えるという観点、建設業や建設関連業に従事する者にとっては、非常に頭を悩ませる大きな課題です。建設業は、基本的に一品ものであり、一度きりの商売です。もちろん補修や修繕もありますが、繰り返し定期的に(もっと言えば毎年)発生する需要ではありません。このため、常に新しい需要を開拓し、毎年ゼロからその積み上げをしていかなければなりません。そこから(一部であっても)脱却して行かなければ、今後の事業継続は難しくなってくるという認識は業界共通だと思います。

建設分野においても構造物等の維持管理が叫ばれるようになり、新設から点検・補修の領域に転換しつつあります。当社でも、温泉や水源井戸のメンテナンスの領域で実績を増やしつつあります。これとて同じお客様から毎年発生する仕事ではありませんが、市場で一定のシェアを確保することで、平準化してみると年間一定程度の仕事を確保する、といったことが可能ではないかと考えています。後は、その転換を加速化させなければなりません。何をしなければならないか、何が急ぐのか。大きな示唆を頂きました。

3.目標はそのとおり行かないからこそ必要

今回、印象に残った田中正彦さんの言葉があります。「目標はそのとおりに行かないからこそ必要」というものです。目標と実績の差との意味するものを読み取って方向性を見出す。さんびるの第38期は、目標を大きく上回る売上を確保し、今回の第39期の計画につなげています。いい時はもちろんそれでいい。しかし、目標が達成できなかった時にこそ、この言葉の持つ意味が重要になってくると感じます。

当社は、今期は業績的に大変苦戦しました。目標に対しては大幅に未達です。当社における目標と実績との差が意味するものは何なのか。それを見出すのは経営者の仕事です。答えの一つは“営業力”です。当社の技術やサービスを地域の市場において周知することが十分に出来ていない。また、そのための努力が足りていない。そのことが今期の業績に直結していると認識しています。また、自らの市場を広げていくこと、新しい市場を自ら創出していくこと。その取り組みがスピード感に欠け、従来市場の変化(縮小)に追いついていないことも要因です。

当社も、2015年3月14日に経営指針発表会を開催します。現在その準備中ですが、目標と実績とのかい離をどう捉え、どう次に活かすのか。その問題意識をどうやって社員全員で共有していくのか。発表会を前に貴重な気づきを頂いたと考えています。

創業祭で全員集合

さんびるの社員のみなさんとは、島根経営品質研究会での活動を通じて仲良くさせて頂いており、顔見知りの方もたくさんいます。発表会の後は創業祭(懇親会)が開催され、そちらにも出席させて頂いています。発表会及び創業祭の司会は、新入社員(採用予定社員)が担当するのが通例で、毎年新しい方がたくさん入社されています。どんどん知らない顔が増えています。一方で、馴染みの方はどんどん役職が上がり、若くても営業所を任されるなど、その活躍のステージをあげています。新しい人財を獲得し続けることと、領域を拡大して活躍のステージを創っていく。その2つが上手く出来て来ているのだと感じます。当社も人財の獲得と市場の創出、その両輪を回し続けることで成長していきたいと考えています。最後になりますが、田中正彦さん、さんびるのみなさん、今年もお招き頂いてありがとうございました。引き続き学ばせて頂きたいと思います。