平成23年1月22(土)、平成22年度島根県技術士会新年例会が開催されました。
毎年開催されている「新年例会」ですが、午後からの研究発表会と夕方からの懇親会で構成されています。研究発表は、共同研究と個人研究に分かれており、様々な会社・組織に所属する会員のみなさんが、共同或いは個人で実施された研究活動について報告されます。今回の研究発表会は4時間半にわたる長丁場で、昨年の8件を上回る11件の研究発表が行われました。発表者が多くて時間目一杯に詰め込んだ盛りだくさんの内容で、これらの研究に取り組まれる方々の熱意には頭が下がります。事務局発表では、研究発表会が約90名、懇親会が約60名という参加者数だったようです。
今回、その中で、バイオマス研究分科会の報告「島根県内の木質バイオマス利用の事例調査」について取り上げてみます。バイオマスについては、青年部会でも2010年5月に講師をお招きして話を聞いています。この分科会でも木質バイオマスに着目し、島根県内における木質バイオマスの供給側(チップ加工等)、利用側(チップボイラ等)、それぞれの実情について調査されています。実は、私もこの調査に参加しようと思っていましたが、都合が悪くなり行けませんでしたので、なおのこと興味がありました。
言うまでもなく、バイオマス資源の有効活用については近年注目が集まっています。森林面積比率が全国3位の島根県(“率”で3位ってあまり意味がない気もしますが)では、“木質バイオマス”資源をどう活用してくかは重要な論点かと思います。
しかし、国を挙げて取り組んでいるという割には伸びやなんでいるというか、日常生活に飛躍的に浸透しているという感覚はありません。それは何が原因なのか、実情はどうなのか、興味があるところです。
結論から言えば、やはり、バイオマス資源は、単発的な導入・利用では持続的なものにならないということで、供給側、利用側両面から、地域一体となって市場を拡大することが重要だということのようです。今回の研究は、事例調査といいながら、現状の問題点や課題、今後の取り組み方策まで提案されており、大変参考になるものでした。
ところでえ、私は2年前に広島から島根(松江市八雲町)にUターンしてきましたが、その際、実家を改修し、ペレットストーブを導入しました。本当は薪ストーブが良かったのですが奥さんの反対(手入れが面倒すぎるとの意見)により、ペレットストーブにしました。このペレットストーブの燃料となるペレットですが、広島県内の業者さんから買っています。島根県内で生産したものを使えればよいのですが、まだ気軽に購入できるような生産体制はできていないようです。最近は薪ストーブが人気で、薪やペレットなど木質燃料の需要も以前よりは高まっているようですが、灯油並みという訳にはいきません。
ちなみに、薪ストーブより取り扱いが簡単というのがペレットストーブの売りの一つですが、それほど簡単ではありません。ほぼ毎日手入れ(掃除)も必要ですし、上手く着火しないこともあります。使うペレットの種類とストーブとの相性もあるようです。また、燃料のペレットもできるだけ吸湿しないよう、保管に気を付けないといけません。この点、利便性について灯油と比較できるレベルにはありません。
それでも使うのは、“買ってしまったので仕方ない”こともありますが、ある程度の熱量があって暖まるということ、さらには、火が燃える様子を見ながら暖を取るということの心地よさ、といったものがあります。生活の一部に木質バイオマスを(一応)取り入れている身として、その活用が今後どのように進むのか、興味があるところです。
研究発表会の後は懇親会です。
公共事業に関わる土木系技術者のみなさんが中心なので、顔なじみであったりするわけですが、発表者の方にそれぞれの研究の概要や、発表では十分話が出来なかった内容を聞いたりする場になっています。島根県という地域に根差して活動する技術者が、発表の場、そして懇親の場で交流を図れる島根県技術士会という組織は、大変有意義なものだと改めて思います。