2013年11月17日(日)、松江市のくにびきメッセで開催された「2013松江市環境フェスティバル」に、地中熱ヒートポンプ空調システムの紹介を出展しました。この催しは、松江市の主催により、松江市民をはじめ、環境に関心の高い事業者、NPO、行政・自治体、教育機関、報道関係者などの参加を募り、環境関連の情報発信や交流イベントなどを通じて、市民の環境意識を啓発することを目的に開催されるものです。当社も松江市に本社を置く企業として、また「地熱・地中熱」という再生可能エネルギーに取り組む事業者として、その一翼を担うべく出展しました。今回初めての参加となりましたが、こういった催しに出展すること自体が、会社の地力を上げることにつながると感じました。また、様々な方にご支援を頂くことができました。準備と当日の出展を通じた気づきと学びをまとめておきます。
1.「地中熱」をご縁としたさまざまな支援で乗り切る
今回の地中熱に関する展示準備にあたり、様々な方に支援を頂きました。まず、当社も入会している地中熱利用促進協会からは、事務局の方1名がわざわざ手伝い(もちろん無償)に来て頂きました。また、協会で準備している地中熱の一般的なパネルを貸して頂き、またパンフレット等を提供頂きました。各地で会員がこのような取組みをする際には、支援を行っているそうです。本気で地中熱の普及に取り組もうとされている素晴らしい組織だと思います。こういった方々の強い想いを受ければ、この山陰地域で地中熱の普及促進に取り組もうという気持も高まってきます。
また、今回、地中熱のPRに際して大きな役割を果たしたのが、「地中熱模型」です。これは、独立行政法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」といいます。)が作成されたもので、今回、貸し出しをお願いしたところ快く応じて頂きました。この模型は、住宅の地下に地中熱交換用のパイプを埋設したところをイメージしたもので、冬場・夏場、それぞれの季節の熱交換のための水循環をLEDで表現しています。この「模型」というものは、こういった展示会のような場では効果絶大なのだと実感しました。となりで地中熱のDVDも流していたのですが、やはり人が立ち止まるのは模型の前です。そこで関心を持った方に説明をする。もしこの模型が無ければ、立ち止まる人はずいぶん少なかったかもしれません。時と場合に応じたアピール方法の重要性を再認識することができました。
出展に向けては社員のみなさんが色々なアイデアを出してくれました。そこに地中熱を通じて知り合った様々な方の支援を受け、今回のブースを設営することが出来ました。たくさんの方々の協力を得てこそ、できあがった取り組みです。多くのご縁があってこそ、この出展が出来たことに感謝し、また次のステップに進みたいと考えています。
2.地熱利用ゲームが思いのほか好評~伝えることの楽しみとむずかしさを学ぶ~
今回、出展に際した企画の一環として「地熱利用ゲーム」というイベントを準備しました。このゲームは、子どもでも楽しめるクジ引き式のゲームで、前述の産総研さんが地熱利用の理解促進を目的に、楽しみながら地熱について学べる取り組みとして構築されたものです。こういったゲームがあることをインターネットの記事でたまたま知りました。今回、産総研さんに環境フェスティバルでの地熱利用ゲームの活用をお願いしたところ、快く進め方の指導や資料提供等を提供頂き、今回の会場で実施することが出来ました。産総研のご担当者様には改めてお礼を申し上げます。
この地熱利用ゲームは、「あなたは地熱開発会社の社長です」という設定で進めます。ボーリングによって色々な温度の熱水が得られた(カードで引いてもらう)と仮定して、それを何に使うか(発電、温泉、養殖、ハウス栽培、融雪、等々)考えてもらう、という進め方です。利用方法を考えた後、説明用資料(回答的なもの)を使って、実際にどの程度温度で、どのようなことが出来るのか学んでもらいます。特に、カスケード利用と呼ばれる、熱水の多段階利用についてよく分かるようになっており、子どもだけでなく、大人も勉強になる面白い仕組みになっています。
今回、このゲームを新入社員と事務系職員の2名で担当してもらいました。まず、自分自身が理解することが必要であることと、さらにそれを子どもに教えながらゲームとして進めるということで、最初は苦心したようですが、実際の会場では思いのほか人が集まり、それぞれに楽しみながら学んでもらえたようでした。元々は、子どもをターゲットにしていたのですが、比較的年齢の高い方も興味を持ってブースを訪れて頂きました。地熱という再生可能エネルギーも段々と認知度が増してきており、興味を持つ方が増えているのではないかという感触を得ました。今後とも機会があれば、このような取組みを継続し、少しずつでも地熱エネルギーも理解促進に貢献していきたいと考えています。
3.フェスティバルをきっかけに出来ていないことを前に進める
今回の参加の目的の一つに、「参加をきっかけに出来ていないことを進める」ということがありました。それは、会社及び地中熱のPR資料等を整備することです。本社屋への地中熱ヒートポンプ空調システムの導入から1年、ある程度の結果が出たところで、その成果をPRしていくための資料を準備しないといけません。また、今年完成した「スモールZEB」も今度はそれを使ってアピールしていくことが必要です。しかし、日々の業務に追われて、中々思っていることが出来なかったのが実態でした。
だからこそ、この環境フェスティバルに出展すると決め、それに向けて説明PR用資料を新たに作成することのきっかけにした訳です。そして、あわせて、会社案内や封筒、名刺などもデザインをリニューアルしました。いつかいつか、と思いながら出来ていなかったことが前に進んだことも、このフェスティバルに出展した効果だったと考えています。
そして、関わり合う社員全員が「地熱・地中熱」に関する知識を本気で学ぶ環境を作ることにつながると考えています。当社における地熱・地中熱の活用は、新規領域開拓の一環であり、社長である私と一部の社員が取り組んでいます。直接関与しない社員にとっては、正直なところよく分からないというのが実態でしょう。しかし、今回のような場に担当者として出かけることで、全くの無知でいることはできなくなります。自分なりに理解を深め、説明できるようにしておかなければなりません。今回の対象が、一般市民のみなさんであったことは、その説明のハードルを低くすることにもつながりますので、取っ掛かりとしてはとてもよかったと感じています。
今回、日曜日の開催であったため、多くの社員がフェスティバルの見学がてら応援に来てくれました。本当にありがたいことです。そういった会社を上げての取り組みであることを認識してもらう意味でも、意義ある出展だったと考えています。
今回の出展も、最終的には当社の新たな受注につなげることが目的です。しかし、市民向けのイベントであり、直接的な商談を行う趣旨の催しではありません。あくまで、周知広報が主体となります。しかし、実際に出展して一般市民の方とお話し、また、時に企業の方とお話をするにつれ、この地中熱という再生可能エネルギーに対する期待感を感じることができました。また、あらゆる方々に対して説明する立場になる事、またその説明の場数を踏むことで、我々自身の成長につながることを実感します。また、“知らなければ選択肢に入らない”ということも痛感します。だからこそ、「地中熱」というエネルギーの存在をもっと広く知ってもらうこと。それと並行して、技術的、性能的な検証やデータの活用を進めていくことが大事だと感じています。今後とも、このような機会への積極的な参加を通じ、会社のレベルアップと地中熱というエネルギーの普及促進に取り組んでいきます。