2014年10月4日、松江市の保健センターから保健師の朝倉さんに来社頂き、社内での健康講座を開催しました。社内でこのような形で講座を開催したのは、私が社長に就任してからは初めての試みでした。今回、総務部の社員が自主的に企画・立案してくれました。社員にも大変好評でしたし、私自身も自分自身を変えるきっかけを頂きました。普通の会社なら年に一度ぐらいは開催されている当たり前の取り組みかもしれません。しかし、そういった取り組みが持つ意味を改めて考えさせてもらえる、いい機会となりましたので、感じたことをまとめておきます。
1.受動的な健康管理から能動的な健康づくりへ
これまでの当社の健康管理は、基本的に社員の自主的な取り組みにゆだねられていました。毎年健康診断(40歳以上は人間ドック推奨)を実施し、数値がよくない社員に対する指導は一般の保健指導にお任せする。そして、その後の改善は社員の判断にゆだねます。今回の講座は、そういった状況に対して、“それだけでいいのか?”という問題意識から、総務担当者の立案により企画されたものです。
内容ですが、今回は初回ということで健康管理全般を対象とした企画とし、各人でのセルフチェックを中心にとしたカリキュラムとなりました。それがとてもよかったと感じます。自分自身の最新の健康診断(又は人間ドック)結果データに基づき、特に重要視すべき指標について説明して頂き自分でチェックする、というワークが特に好評でした。健康診断結果などで示される各種データは、説明書きもありますので、なんとなくは知っているものですが、その数値が悪くなると一体どういう変化が体に起こるのか、という話とセットで自分自身の数値をみることで理解が深まり、また、改善に向けた動機付けも強くなると実感しました。
実施してみて感じるのは、社員全員で一緒に学ぶことの効果も含めて、受動的な健康管理から能動的な健康づくり、への転換につながるのではないかという期待です。健康診断後の保健指導は自分自身のことにも関わらず面倒くさく感じるものです。それに対し、今回のような講座形式で、社内の同僚の反応もみながら自分自身のデータを見ると気が付くことも多々あるように見受けられました。そこから、何か一つでも習慣や生活を“変える”ことにつながれば成功だと考えています。
誰しも年齢を重ねると体の不調が出てきやすくなります。当社でも繁忙期になると体の不調を訴える社員も出ます。会社としても出来るだけフォローしていきますが、そのベースとして日頃からの自分自身での健康管理が重要な事は間違いありません。そして、その健康管理は、能動的でなければ長続きしません。だからこそ、こういった企画を定期的に開催し、そのモチベーションを継続させていくことが大事ではないかと考えています。
2.骨密度測定からみる当社の健康状態の「見える化」~社長が一番不健康~
今回、健康講座の後、「骨密度測定」を実施して頂きました。
骨密度とは、カルシウムなど骨を構成する成分がしっかりと詰まっている程度を示すもので、端的には“骨の強さ”を表す指標です。これが低下すると骨がもろくなり、いわゆる骨粗鬆症などの病気になり、骨折しやすくなります。一般的に、20代でピークを迎えた後は、徐々に低下し、基本的に増えることは無いものだそうです。ですから、これが減らないように、食事も含めてきちんとした生活を送ることが重要になります。
この骨密度について、講師の保健師さんに測定機を持参頂き、大半の社員が測定してもらいました。結果は、かなり良好で、各年代の平均値を大きく上回る社員がたくさんいました。お互いの骨密度を比較し合い、大いに盛り上がりました。一方、私は同世代の平均の8割程度。危険領域とまではいかないようですが、これから十分注意していくことが必要なようです。いずれにしても、社員の大半の数値が良かったのは率直に嬉しい結果でした。現場でしっかり体を動かすことの多い職場ですから、弱っている人は多くないだろうとは思っていましたが、結果を見て一安心です。
これも「見える化」の一つだろうと思います。健康診断データ等を共有することはできないにしても、あまり差し支えのなさそうな指標・データであれば、お互いに見せ合うことができます。そのことで、より深く自分自身の意識に刷りこんでいくことができるし、自分自身を変えるきっかけになりうるのではないでしょうか。
3.仕事以外の共通の学びの場が持つ意味
会社での「仕事」は、社員全員で行うものであり、共通するものです。一方で、担当している個々の仕事やその領域は一緒ではありませんので、“全社員が一様に勉強する”機会は必ずしも多くありません。例えば、総務経理や営業を担当する社員と、技術的な領域を担当する社員とでは、仕事に関して勉強する領域は異なります。
それに対し、今回のような“健康”というテーマは、全社員共通です。全員にとって等しく必要な勉強テーマであり、理解しておくべき事項であると言えます。これを一緒に学ぶ、ということが大事であり、それを学んだことで共通認識が生まれてくる、ということに意味があると感じたところです。
社員とは、同じ組織で、同じ目的に向って日々一緒に過ごす仲間であり、チームである訳ですから、何事においても“共通認識”を持つことは重要です。健康をないがしろにする会社はあまりないかもしれませんが、「おれは健康なんかどうでもいい」という社員が居てもらっては困ります。今回はたまたまテーマが健康でしたが、やはり会社として進める方向性は、仕事内容に直結するものであろうとなかろうと、社員全体で共通認識を持って進めていかなければならないと考えています。
今回の健康講座、社員にとっても好評だったようで、この日の日報には健康講座を受けた感想や自分自身の改善点についてたくさんの記述がみられました。とかく仕事のことばかりになりがちな会社での日常に、そのベースであるにもかかわらず忘れがちな“健康”への関心。それを呼び戻してもらえたように感じています。私も、この講座の後、カルシウム分の摂取に気をつかうことと、塩分の取り過ぎにならないようラーメンの汁はあまり飲まないように(笑)しました。そういった“変化”を起こせたのは、この講座のおかげです。そして、こういった企画が総務を担当する社員の自主的な取り組みとして実施されたことが、なにより嬉しく思います。引き続き様々な企画を立案してもらいたいと願っています。