島根県中小企業家同友会

島根県中小企業家同友会 「経営指針成文化セミナー・成果発表会」で同友会の真髄を伺い知る

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2010年10月から、島根県中小企業家同友会に入会しました。

この度、「経営新成文化セミナー・成果発表会」に参加しました。同友会では、“経営指針成文化セミナー”という取り組みに力を入れています。これは、経営理念から経営戦略、そして中期の経営計画までを2日間のセミナーで取りまとめるというものです。

私も、同友会入会早々、「これを受けなければ同友会に入った意味が無い」と言われており、来年度、受講してみる予定でいます。「これが同友会の真髄だ」とまで言う方もいるのですが、参加してみて、その意味が少し分かったような気がしています。

1.なぜ経営指針の成文化が必要なのか

当社もそうですが、中小企業には、“成文化”(文書で明らかに)された経営指針(経営理念や経営戦略)が無い場合が多くあります。しかし、社会経済情勢の変化が激しい今日において、企業の役職員が一体となって難局に当たるためには、経営者が、この会社が何のためにあるのかを明確に示し(経営理念)、その実現のために何を、どう進めていくのか(経営戦略)を会社全体で考えていくことが重要であることは間違いありません。

同友会が、会員企業に対して経営指針成文化セミナーへの参加を勧めるのは、中小企業が我が国経済、そして地域の経済、生活、雇用を支えており、その発展なくしては地域の存続も成り立たないという思想が根底にあるからです。そのためには、会員各社が目指すべき方向とその実現のための取り組みを明らかにし、この厳しい情勢においても存続・発展する企業を増やしていくことが重要になります。しかし、日々の仕事に追われる中で、すべての経営者が自分だけの力で自主的に経営指針を成文化するのは中々難しい。そこで、同友会がセミナーという形でその場を提供している訳です。

成果発表に先立ち講演する講師の奥長先生

2.協和地建コンサルタントはどうなのか

協和地建コンサルタントにも、現在のところ、明確な経営理念はありません。

いや、創業当初はあったのかもしれませんが、今では明確に文書になったものは存在しません。経営理念など無くても仕事は出来ますし、今までもそうやって仕事をしてきたので、必要だと思ったことも無かったのではないでしょうか。

一方、経営戦略らしきものはあります。私が、昨年度、当社の持つ強みや資源(人材)を活かし、どのような分野に注力していくのかという方針設定、その方針に向かっていくための人材活用方策、経営基盤としての財務体質の強化・経費管理等の改善、といったことについては方向性を定めました。また、実現のためにいくつかの仕組みを改め、今年度から運用しています。

しかし、その上位に位置する“経営理念”については、私も考えたことがありません。何のために会社を経営するのか、経営者として大事にしていることは何なのか、そういったことについては、ほぼ、気にしたことがありません。考えて意味があるのかという気持ちもありますし、そんなお題目を考えている場合ではないという切羽詰まった状況に直面しているということもあります。

しかし、今回の成果発表を聞いて、自分なりに考えてみる価値はあるのではないかという気がしてきました。それは、自分自身の考えをまとめるということだけでなく、その理念、思想を従業員にも明確に示すことが大事なのではないかということです。私も「役職員一体となって難局を乗り切ろう」などと社内で説明するのですが、その前提として、この会社の存在意義、役割、地域に求められている仕事なのだという確信、そんなものが必要なのではないという気がしてきました。理念だけで仕事が増える訳ではありませんが、人がする仕事である以上、“心のよりどころ”というものは必要なのだろうと漠然と感じているところです。

この1年以内に、協和地建コンサルタントの経営理念を私が新たに造りたいと考えています。

3.セミナー参加者のタイプは大きく2つに分かれるが

さて、今回の成果発表会では、セミナーに参加された7社の会員企業が経営指針の取りまとめ結果を発表されました。小売業、製造業、サービス業、建設業など多様な業種の経営指針を聞くことができました。

基本的に経営者の方が受講するのですが、現職の社長の場合もあるし、近い将来後を継ぐ予定の後継者の方が受けられる場合もあります。そういった参加者の立場の違いによって、成果の内容は2つのタイプに分かれていました。

1つは、今まで考えたことが無かった、あるいは漠然と考えていた方(後継者の方など)が、自分なりの“経営指針”について考えてみた、というもの。もう1つは、日頃から様々なことを考え、実践されている方(こちらが普通の経営者)が、自分の考えや取り組みを体系的に取りまとめてみた、というもの。

どちらも意義あることですが、私(当社)の場合は、後者でなければ受ける意味が無いと感じました。さらに言えば、取りまとめた成果について、様々な業種の先輩経営者から忌憚のない意見を頂き、更なる気づきを得られた時に、初めて受講した価値が生まれるのだろうと思います。いずれにしてもセミナー受講は一つのきっかけに過ぎません。セミナーを受けるときに経営指針を考えよう、という悠長なことでは会社の先行きが不安です。これまでの経営改善に向けた取り組みをさらに進めるとともに、多様な意見をもらえるような準備をしておくことが重要なのではないかと感じます。

成果発表するモルツウェル㈱野津社長

色々な業種の話を聞くと言うのは、率直に言って面白いものです。13時スタートで、終了は19時という長丁場でしたが、退屈することなく全ての発表を興味深く聞くことができました。また、通常では聞きにくい質問も、この場では経営者同士で率直に確認し合えるというのも貴重な経験でした。

私はまだ入会したばかりですが、この会で得られる知見やネットワークが当社の役に立ちそうだという感触がありますし、そうしなければならないと考えています。地域の役に立ち、従業員とともに発展、成長できる企業を目指して、引き続き勉強させてもらいたいと考えています。

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