島根県技術士会

島根県技術士会 オモシロ技術塾 「田園倶楽部奥出雲(奥出雲トマト) 農園見学会」

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2009年4月から島根県技術士会に入会し、活動に参加させて頂いています。

島根県技術士会http://peshimane.s3.zmx.jp/

島根県技術士会には「青年部」という若手会員の組織があり、その活動の一つに「オモシロ技術塾」というものがあります。普段は、会議室で講演、ディスカッションなどを行うのですが、この度、屋外の見学企画が催されました。

現地での説明の様子

2010年5月29日(土)に「田園倶楽部奥出雲(奥出雲トマト)農園見学」と題して、島根県奥出雲町横田にある、トマト農園を見学させて頂きました。この農園は、最新の設備で糖度の高い高級トマトを大量に生産し、都市部を中心に出荷されています。

今回は、技術士会のメンバーだけでなく、その家族も参加しての企画でした。見学では、トマト農園の景山社長から技術的な話、販売の話、家庭向けの話と、幅広く説明を頂きました。非常に示唆に富んだ内容で、全部は記せませんが、私の頭に残っている要点を3つほど記しておきます。

1.新技術を使えば上手くいく訳ではない

説明を受けて初めて知ったのですが、このトマト農園は全国的に例を見ない規模で、さらに最新の技術をふんだんに取り入れた温室として整備されているそうです。4haほどの敷地に2haのハウス(細かい数字は聞き漏らしました)があり、日本最大の“フッ素樹脂フィルムによる複層型エアハウス”という設備のようです。光の透過率が高く、またフッ素樹脂のフィルムは汚れが付きにくく、黄砂もひと雨で全て流れ、掃除要らずだそうです。

しかし、最新の設備であっても、その設備の環境でトマトを育てたデータが存在しないため、当初は失敗続きだったと聞きました。透過率が高いという特性も、光を通し過ぎるので内部の管理が想定したようにいかないこともあったそうです。

そう考えると、一般に“最新の設備=良い設備”という認識を持ちますが、その使い方のノウハウが存在しないというデメリットもあるという示唆は教えてもらって初めて分かることでした。技術者の観点からすれば、最新の技術に飛びつくのではなく、安定して実績のある技術をうまく活用し、結果として果たすべき目的を達成するという選択肢も考慮すべきだということになるでしょう。

ハウス内で説明する景山社長

2.独自の販売ルートと直売所を組み合わせて評価を知る

田園倶楽部奥出雲のトマトは、現在では島根県内でも買えることがあるそうですが、当初は大阪の大規模集荷業者と契約を結び、都市部に対してのみ出荷していたそうです。それ以外では、農園事務所の横にある直売所でのみ販売していたということです。大半を都市部に出荷しているのにわざわざ直売所を設けるのは、「お客さんの声を直接聞く」ためで、直売所のお客さんは特に厳しい評価をされるそうです。まあ、結構な値段がしますので、不味かったら文句を言うのも当然とは思います。

さて、この農園では糖度の高いトマトを栽培していますが、評価を直接聞くのは、要するに、「糖度の高さは機械で測定できても、実際の“食味”は食べてみないと分からない」ということなのだそうです。だから、食べた人の生の声が大事だということです。当日は試食をさせて頂き、糖度の低いもの(といっても普通よりは高いのですが)から高いものまで食べ比べをさせて頂きました。私は、一番糖度が高いトマトより、ひとつ糖度のランクが低いものの方がおいしく感じられました。そういったこともあるのだと実感します。

都市部に出荷すれば、末端の消費者の声は現場に届きにくくなるでしょう。しかし、直売所を設けることで、微妙な管理の差でも食味が異なってくる農作物の評価を直接聞き、それを改善に活かしていくというスタンスは、何の仕事に限らず、良い結果を追求しようとする姿勢の表れであり、感心したところです。直売所は、年間3,000万円の売り上げがあるそうです。

管理されて整然と育つトマト

3.普通の種でも美味しく育つ・・・家庭向けトマト育成の秘訣

これも聞いて初めて分かった話ですが、ここでは本当に糖度が高く美味しいトマトを作られているのですが、その種はごく普通のトマトの種で、ホームセンターで売っているものと同じだそうです。美味しくなるかどうかは育て方の問題で、「節水管理」が重要だそうです。実際、ここのトマトは、水分が少なく、皮が硬い、小さいトマトばかりです。1本のトマトの木に20ccずつの水を10分おきに与えるという管理を機械的に実施しているそうで、家庭でも同じことができれば、糖度の高いトマトができるそうです。(実務的にはほぼ不可能ですが)

その他にも様々なポイントを教えて頂きました。トマトの木は最大で6mぐらいの長さに育つそうですが、高さは2mまで(この農場では1.4mに設定)に抑えるよう、斜めに延ばすと良いそうです。2m以上は栄養素が上がらなくなるので、木が高くなると水っぽくて味がうすいトマトができるそうです。また、葉っぱも12枚(束)までにして取ってしまわないと、やはり葉に養分が行き過ぎて美味しくならないそうです。

こういったアドバイスは、事前に試食をさせて頂いた上で、実際にハウスの中で整然と育っているトマトを見ながら聞くので、非常に納得がいくものでした。

試食の様子(ハウスに入る前に頂きました)

今回、座学ではなく、現地に出向いて話を聞くというスタイルでしたが、実際の現物を見ながら、様々な取り組みをされている方の話を聞くということの重要性を改めて認識させられました。特に、失敗をしながら改良し、現在の仕組みを構築されてきた方の話は説得力が違います。技術士会の活動に限りませんが、外に出ていく企画は参加するのがつい億劫になるものです。しかし、それではいけません。こういったチャンスを逃さず、刺激に触れる機会を増やしていきたいと思い直させてくれる、非常に良い会だったと思います。

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コメント

  1. 下河敏彦 より:

    初めてコメントをいたします。環境地質の下河といいます。
    島根県技術士会の今岡さんとはブログを通じた交流を深めさせて頂いております。
    このたび私のブログで、このブログを紹介させて頂きました。

    http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/2010/06/blog-post_04.html
    環境地質HP http://www.kankyo-c.com/

    今後とも有益な情報交換をしていけたらと思います
    よろしくお願いいたします

    1. 石倉 昭和 より:

      コメントありがとうございました。下河さんのブログも拝見させて頂きました、当社ブログの紹介と過分な評価、恐れ入ります。なお、私は技術士ではりますが、地質分野の技術士ではありません。現在は地質に関わる会社の社長をしておりますが、元々は都市計画・まちづくりなどの分野でコンサルタント業をしておりました。ブログタイトルは、社長就任にあたり、”当社としてこのような姿勢で仕事に取り組んでいきたい”という姿勢を示すため考えた会社のキャッチコピーです。
      引き続きよろしくお願い致します。

  2. 下河敏彦 より:

    初めてコメントをいたします。環境地質の下河といいます。
    島根県技術士会の今岡さんとはブログを通じた交流を深めさせて頂いております。
    このたび私のブログで、このブログを紹介させて頂きました。

    http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/2010/06/blog-post_04.html
    環境地質HP http://www.kankyo-c.com/

    今後とも有益な情報交換をしていけたらと思います
    よろしくお願いいたします

    1. 石倉 昭和 より:

      コメントありがとうございました。下河さんのブログも拝見させて頂きました、当社ブログの紹介と過分な評価、恐れ入ります。なお、私は技術士ではりますが、地質分野の技術士ではありません。現在は地質に関わる会社の社長をしておりますが、元々は都市計画・まちづくりなどの分野でコンサルタント業をしておりました。ブログタイトルは、社長就任にあたり、”当社としてこのような姿勢で仕事に取り組んでいきたい”という姿勢を示すため考えた会社のキャッチコピーです。
      引き続きよろしくお願い致します。

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