2014年6月3日(火)に開催された松江3S勉強会のキックオフ大会以降、メンバー各社において、第2回定例会に向けた準備が進められています。定例会では、参加メンバー各社を会場として、持ち回りで開催されます。そして、第2回目は、さっそく協和地建コンサルタントに来社頂くことになっています。第2回定例会を直前に控え、当社内での3S活動は予想以上の盛り上がりを見せつつあります。その要因となった事項について考えてみます。
1.身の回りの整理・整頓・清掃から始めることの意味
当社における3Sの取り組みは、キックオフ大会以降、社内の「生産性向上チーム」の4名が中心に計画を策定し、実施に向けて取り組んでくれています。
1年をかけて実施する計画のあらましは、キックオフとして身の回りの整理整頓からスタート、その後、事務室の共用スペースの3S、最後は倉庫の3Sに広げていく、というものです。私は当初、いかにも3Sらしさが感じられる、共通の書棚や物品や資機材のスペース等からスタートしてはどうかと考えていましたが、実際にやってみて、現在の取り組み順序はとてもいいステップだと感心しています。
私自身、この2年ぐらいの間に、机周り、周辺の書棚等の整理整頓がおろそかになって来ていると実感していました。そんな中で取り組みを決定した3S。まずは、自分自身がしっかりとその姿勢を実践で見せることが必要です。まずは身の回りから。そして、当社は地質調査やさく井工事の現場を持つ会社ですが、仕事の最終的なアウトプットは「報告書」の形態をとるため、執務室内にはありとあらゆる“紙”が溢れています。昨年度は特に仕事量が多かったこともあり、社員それぞれの机周りもかなり乱雑になっていました。そこからまず手をつけていこう、というのはむしろ自然な発想だったと思います。
また、中々全員一丸でスタートしにくいだろう、取り組みにムラがあるだろう、というのはチームメンバーとしても予想するところでありました。であれば、メンバーが先行して自分の机周りをキレイにすることで、机上・引き出しのモデルを作り、それを少しずつ社内に浸透させていこうという考えでした。その結果、周りの人がキレイになるので、まだ手を付けていない社員も、なんとなくやらざるを得ない状況が生まれ、一気に取り組みが広がる、という流れが出来ました。社員目線での着眼点のすばらしさを感じたところです。
2.毎日少しずつやることの意味
最初のキックオフ大会では、各社で「毎日の3S活動時間を設定する」、という指示があり、メンバーによる協議の結果、当社では、11時50分から12時までの10分間を毎日の3S活動時間と設定しました。
スタート当初は、どれだけのメンバーが協力してくれるのだろうかと不安もありましたが、1週間もすると、少なし社内で内業をしている社員は、仕事で手が離せない場合を除き、全員が参加してくれるようになりました。取り組みを一緒にスタートできるように、11時50分からアラームを鳴らすことにしました。よくあるデジタル時計のアラームです。10分後12時になるともう一度鳴るようになっています。ちなみに、現場作業に従事する社員は、現場で、或いは会社に帰ってから10分間の作業を行う、という決まりを作りました。
「毎日やる」ということが3Sの取り組みで重要だと聞いていましたが、実際はハードルが高いだろう予想していました。しかし、意外にも、みんなすんなり受け入れられたようです。一つのポイントとして、スタートにあたり、前述のとおり“身の回りの片づけ”からスタートするという計画にしたことがあります。10分でも不要な書類を捨てたり、引き出しの中の不要物を整理したり、だれでも容易に着手することができたのがよかったのではないかと考えています。
実際のところ、机周りの整理をし出すと10分というのはかなり短く感じ、もっと時間をかけないと進展がありません。しかし、ちょうど昼休みでもあり10分で切るようにしています。なんとなく物足りなさが残ります。しかし、それが大事なのではないかと考えています。一気にやり過ぎると、また少しずつ元に戻っていく。毎日少しずつ改善しているから継続する。3Sは直接的な生産活動ではありませんので、売上や粗利に直結している訳ではない。だからこそ、“やりすぎない”という視点も重要で、むしろ、少しずつ改善し、良好な状態を定常化する。習慣化とはそういうもので、毎日少しずつやる事の意義がまさにそこにあるのではないかと実感しています。
3.社員が自主的に取り組むことの意味と効果
前述のとおり、当社の3Sの計画と実行は、生産性向上チームのみなさんが中心に進めてくれています。計画策定に際しては、私はほとんど関わっていません。計画内容について報告を受ける程度です。毎月1回開催している全体会議の場で、会社として3Sに取り組むのだということのメッセージを全社員に伝えましたが、社長の役目はそこまでで、実際の3S活動においては、私も一メンバーとして活動に取り組んでいます。
私が社長に就任して以降、この活動ほど、社員のみなさんが自主的に取り組みを進め、さらに短期間で成果が目に見えて出はじめるようなものはなかったように感じます。なぜ、そうなったのか。色々理由はあると思いますが、やはり、キックオフ大会で特別講演会を一緒に聴き、その後のワークと意見交換を通じ、その必要性と、この3Sを通じて何かが変わるのではないか、という感触を推進メンバーがそれぞれに感じ取ったからではないかと考えています。社長だけが講習会や学びの場にでかけるのではなく、社員と一緒に学び、成長するということの重要さを改めて感じます。
もう一方で、いいタイミングに恵まれたということも確かだと考えています。今年度、4月以降は比較的仕事量が少なく(それはそれで心配事ですが)、新しい取り組みに着手する時間を取りやすかったことがあります。また、第2回目以降は、参加の各社を回って社内ウオッチングを実施する、というやり方になっています。当社は、年末・年度末に向うと仕事が忙しくなり中々時間が取れなくなる可能性が高まります。各社回りの初回に、来社して頂くよう手を上げました。そのことが、有形無形のプレッシャーとなり、メンバーを中心に、取り組みを加速化させたように感じています。
チームメンバーがこういう結果を最初から予想していたのかどうはともかく、社員が自主的に提案した取り組みを進めることで、いかにスムーズに、また、社長としてはとても楽に取り組みが進むものか、実感しているところです。
当社の3Sはまだまだ始まったばかりで、たかだか机周りの整理を始めたに過ぎません。しかし、最初の一歩がなければゴールにも行きつきません。今後も紆余曲折があろうかと思いますが、この勉強会の節目となる1年後をどのような形で迎えられるのか、この調子で習慣化が進めば、展望が開けてくるように感じています。そして、定例会での会社ウオッチングではどんな意見や指摘を頂けるのか。その事に対する社員の受け止め、そしてそれを受けた次の一手をどうするか。大いに楽しみであり、期待をしているところです。