私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。
18箇所目は、鳥取県米子市淀江町の淀江ゆめ温泉です。訪問日は、2010年4月20日です。
淀江ゆめ温泉は、“白鳳の里”と名付けられた米子市淀江町の観光・交流施設を構成する施設の一部です。白鳳の里には、ゆめ温泉のほか、“どんぐり館”と呼ばれる物産館、“伯耆古代の丘公園”が一体的に整備されています。
泉質はアルカリ性単純泉で、成分的には特徴的なものはありませんが、毎分500㍑という豊富な湯量を活かし、かけ流し方式で供給されている点が特徴です。ごく近く(直線距離で800m程度)に立地するラピスパと同じタイプの温泉と考えてよいと思います。
風呂の構成はシンプルです。内湯は、大浴場があり、その一部にジェットバス、そして一角に水風呂があるのみです。なお、女湯にのみ超音波によるミクロの泡風呂が備わっているそうです。その他、室内にはサウナが備わっています。
かけ流しについては、施設内の至る所でPRされていますが、浴室内には“約1時間30分で全てのお湯が入れ替わります”との断り書きがありました。かけ流しを謳う温泉は結構ありますが、具体的にお湯が入れ替わる時間を明示しているのは珍しいと思います。
露天風呂もあります。長方形で大きめの浴槽で、両辺の部分が岩風呂風の石造、それ以外はシンプルな石張りで品の良いつくりです。パンフレットによると“森林浴”と“温泉浴”を同時に楽しめる露天風呂というコンセプトのようで、手入れの行きとどいた雑木林風の植樹が非常に心地よい雰囲気でした。
洗い場は9箇所あり、ボディソープ、リンスインシャンプー、せっけんが備わっています。洗い場に仕切りはありませんが、間隔が広く隣の人を気にしないで済みます。
洗面台は8箇所でいずれもドライヤーが備えてあります。脱衣場のロッカーは120まで番号があり、全て縦長のタイプで中にはハンガーが付いていましたが、中に小段があり、上着をかけようとすると段に引っかかって上手く収まらないのが気になりました。
この施設(建物)は、浴場だけでなく、レストラン、宴会場、休憩室、ギャラリー、土産物屋なども備わっており、多目的な利用が可能な複合施設となっています。また、ホームページによると、1階のロビーでは毎月、地元で活躍するセミプロ級アーティストのライブが開催されているそうで、地域の交流施設として活用されている様子がうかがえました。
なお、淀江町は“どんぐり”を町おこしに活用しているようで、この施設の土産物コーナーにも、どんぐりを使った様々な商品が展示されていました。
また、この温泉は飲用も可能になっています。施設内のレストランで昼食を採ったのですが、温泉水が飲用水として無料で飲めるようになっていました。また、隣接するどんぐり館の前には“足湯コーナー”も設置されており、そこで温泉水が自由に汲めるようになっています。
少し気になったのは料金です。お風呂の利用料金は大人700円と高めの設定です。だだし、米子市内居住者は500円で入浴できるようでした。それでも、700円は純粋に温泉入浴料のみで、他に何かサービスがある訳ではなさそうなので、島根県内の同様の公共温泉施設と比べると割高感は否めませんでした。例えば、玉造温泉のゆーゆでは、一般利用が500円、市民利用が300円ですので、200円ぐらい高いことになります。近接するラピスパの一般利用が大人1200円(会員は800円)ですので、まあまあ妥当なところかもしれません。
白鳳の里は、淀江町の観光スポットとして整備されたようですが、温泉施設はどちらかといえば地元向けの感が強い印象です。遠方からの利用者の方は、大山周辺の観光とセットで立ち寄ってみるという使い方がよいかもしれません。