温泉めぐり

社長の温泉めぐり35 皆生温泉(おーゆ・ランド) 鳥取県米子市

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

35箇所目は、鳥取県米子市の皆生温泉「おーゆ・ランド(OUランド)」です。訪問日は、2011年7月3日です。

皆生温泉は、言うまでもなく鳥取県西部を代表する温泉地です。米子市内から車で10分ほどの海岸沿いに複数の大型宿泊施設が立ち並ぶ温泉街が広がっています。おーゆ・ランドは、温泉街の入口付近にある民間の日帰り温泉施設ですが、ホテルと一体になっており、“ホテルの大浴場部分を日帰り温泉施設にした”という見方もできそうです。

おーゆ・ランド入口(背後の建物がおーゆ・ホテル)

皆生温泉の泉質は、ナトリウム・カルシウム‐塩化物泉で、総湧出量は毎分4456.5リットル、源泉数は19カ所、源泉温度は63~83℃(以上、皆生温泉旅館組合公式サイトによる)となっています。この施設で使用されている泉源もそのうちの一つで、成分分析表によると、源泉温度は76.2℃、成分総計12.56g/kgと濃いめの泉質となっています。塩化物イオンの含有量が多く、高温のため加水してあるようですが、それでも口に含むとかなり塩辛さを感じます。

塩化物泉は、“温まりの湯”と呼ばれ、入浴によって皮膚に塩分が付着することで汗の蒸発を防ぎ、保温効果が高く、湯冷めしにくいのが特徴です。この温泉は、塩化物イオンの含有量が多いので、特に効果が期待できます。一方で、食塩制限のある疾患(高血圧、心臓病、肝臓病など)のある場合は控えた方がよいとされています。また、濃いだけに、浸かり過ぎによる湯あたりにも注意が必要で、施設内のあちこちに“湯あたり注意”の張り紙がみられます。

風呂は、O風呂(おー風呂)とU風呂(ゆー風呂)の2種類のタイプ(それで、“OU”ランド)があります。それぞれに趣向が異なり、男女入れ替わりで使用されるようです。私が訪れた日は、U風呂が男湯でしたが、浴室中心部に、その名のとおりU字型の湯船があり、その周囲にジェットバス、ジェット寝湯、バイブラバス(泡の出る風呂)、テーマ風呂(薬湯など)、水風呂、サウナ等が配置されており、さらに外には露天風呂と、バラエティに富んでいます。なお、ジェットバス、ジェット寝湯は、水道水が使われていました。これは、温泉を使うと塩分濃度が濃いため、機械に故障が出やすいためだとのことです。

なお、別料金にはなりますが、この施設は、家族風呂が充実しているのも特徴です。家族風呂は計12箇所、中には露天風呂付などもあり、訪れた時も順番待ちが出ていました。

洗い場は、さすがに大型施設だけあって、浴場内に24箇所ありました。なお、この施設には施設備えつけのせっけんやシャンプーがありません。日帰り温泉施設でこれらを置いていない施設は、山陰ではここぐらいではないでしょうか。あるのが当たり前という感覚ですから、思い切った割りきりだと思います。

脱衣場のロッカーは100個以上あり、一部は縦長(上着などが掛けれらるタイプ)となっています。洗面台は3箇所のみで、水回りの無いカウンターだけのスペース(ドライヤー付き)が5席分ありました。割烹温泉ゆらりや、天然温泉ラピスパなど、民間施設ではこのような造りが一般的なようです。なお、この施設では、脱衣場と浴場の間に仕切りのあるスペースがあり、そこに洗面台が2つあり入浴前後に水が飲めるようになっています。入浴前後の水分補給は大変重要ですので、よい工夫・気遣いだと思います。

施設内の様子

入浴料は、大人350円。かなりリーズナブルな値段設定で、山陰地域の民間温泉施設と比べても格安です。しかし、前述のとおり、浴場内にはせっけんもシャンプーもありません。差し引いて判断する必要がありますが、施設内容からみても、お買い得な値段設定ではないかと思います。また、おーゆ・ホテルの会員(入会金1000円)になると、温泉及びレストランの利用が割引になるというサービスもあるようでした。

おーゆ・ランドとおーゆ・ホテルの入り口は共通で、左が温泉、右がホテル、という造りになっています。海水浴シーズンには海水浴帰りの方々の利用も多くあるようで、その専用の入り口もありました。おーゆランドは施設も新しく、内部は外光をふんだんに取り込んで明るく開放的な雰囲気に仕上がっており、清潔感もあります。お食事処、理容院、マッサージ、など、美容・健康関連の施設が一とおり揃っており、施設内でゆっくり過ごすことができます。

入口付近にある飲泉所

珍しいのは、施設入口に“飲泉所”が設置されていることです。入浴施設に使われている泉源とは別にある、飲用専用の泉源に対して許可が出ているようです。温泉の飲用許可は所管の保健所が出すのですが、実際に飲用許可となっている温泉は多くありません。特に、こういった濃い泉質の温泉に飲用許可が出ているのは珍しいと思います。飲用許可の出ている泉源の多くは、濃度の薄いものが対象になっていると理解していましたので、ちょっとした驚きでした。80℃近い源泉そのものが出ていますので、水で3倍程度に薄めて飲むように但し書きがあります。慢性消化器病、慢性便秘などが適応症となっていました。

皆生温泉ブランドの高濃度の泉質、割り切りによるリーズナブルな利用料金、明るく開放的の施設など、大変利用しやすい施設ではないかと思います。事実、訪れたのは日曜日の午後でしたが、持参のカゴ(シャンプー・石鹸などが入っているのでしょう)を抱えた常連さんと思われる利用者の方々でごった返していました。それでも、浴室内がかなり広めなので混雑感はあまりありません。全国的な知名度も高い皆生温泉を気軽に楽しめる、中々のおすすめ施設ではないかと思います。

 

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