島根県中小企業家同友会

青年経営者全国交流会in富山 ~若手経営者の本気と知恵が結集する気づきと学びの場~

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2011年9月15日~16日、第39回青年経営者全国交流会in富山が開催されました。この大会は、中小企業家同友会全国協議会の主催により毎年1回開催されるもので、今回は富山県富山市が会場です。実は、来年の10月、島根県でこの青年経営者全国交流会(以下、「青全交」といいます。)が開催されるため、来年に向けた準備の一環という意味も含めて、島根県中小企業家同友会のメンバー20数名でこの大会に参加してきました。

大会は、1日目の分科会(10分科会)、懇親会、2日目の記念講演、から構成されています。私は、1日目第3分科会、テーマ「人を活かす経営の実践」に参加しました。報告者は、京都同友会の㈱タザワ電気 代表取締役 田沢直氏で、「人が人を動かし 人が心を動かす ~幸せを分かち合える人創り 会社創りを目指して~」というタイトルで報告を聴きました。田沢社長は、いわゆる創業経営者で、創業後13期目。これまで、人と向き合うこと、人に想いを伝えること、想いを共有することについて様々な苦労をされながら、現在の会社を形作られており、その経験に基づいたお話は、後継社長の私にとって大変インパクトのあるもので、様々な気づきを得ることができました。その一部を整理しておきます。

1.経営者姿勢の学び~社長が変わり、社員が変わり、会社が変わる~

今回、田沢社長は、これまでの経営の中で経験した3つの大きな失敗について話をされました。一つ目は、会社立ち上げ当初、採用した若い社員(現在は会社の中核となっている)の方に当初期待を寄せ過ぎ、耐えきれなくなったその方に会社を辞めたいと思わせてしまったこと。二つ目は、東京進出を実現した後、東京で多忙を極めた社員2名が、クレームを頻発させ、ついには仕事を放棄してしまったこと。三つ目は、同友会青年部の幹事長を引き受けた後、社内に同友会の組織運営のやり方等を導入したところ、社内がおかしくなり、不平不満が蓄積し、離職者が多発するようになってしまったこと。

実際に報告された内容はこんなに簡単に書いて済むことではありませんでしたが、人・社員との関わり方が常に課題であり、社長の想い・会社の方向性の共有化が図れていなかった(図れているつもり)だったこと、共有化の術が不十分だったこと、などについて赤裸々にお話を頂きました。その失敗のたび、田沢社長自身が変わり、社員との接し方、想いの伝え方も変わって来たという経緯が報告の中核だったと理解しています。3回の失敗を経た後のタザワ電気は順調に業績を伸ばし、会社の雰囲気が変わり、活気が戻って来たということです。

田沢社長の最後のまとめを記します。「想いを正確に伝えること、正確に受け取ること。話したこと真意を正確に感じ、行動に移すこと。社長が変わり、社員を変えて、会社が変われることを実感してもらえるようにすること。」経営者になって間もない私が、田沢社長の報告から学ぶべき本質は何か、最後のお話に全てが集約されていたように感じます。

報告する田沢社長

2.具体的方策の学び~日報を共有化し、全ての日報に社長がコメントを加える~

創業以来様々な経験を経て、改めて社員との想いの共有化を図ることの重要性を訴えられた田沢社長でしたが、現在実施している具体的の取組みとして、「日報の共有化」ということについて話がありました。日報という基本的な作業、ツールをきちんと用いるという、ある意味基本的なことではありますが、タザワ電気の日報には二つの特徴があります。

一つは、特記事項として一人ひとりがその日の感想、気づき、新しい発見などを入力する項目を設けていること。この部分が特に重要だと言うお話を、講演後に話を伺った際に聞きました。もう一つは、上司及び社長がコメントを書く欄が設けられていること。現在、20数名の社員がいらっしゃるタザワ電気ですが、田沢社長は毎日必ず全員の日報にコメントを書かれるそうです。社長だけでなく、幹部(直属の上司)の方も追加して記載されるとのこと。日によっては半日ぐらいかかることもあるそうですが、そのことによって、社員の感情に気づき、日報から問題点が見えてくるというお話をされました。この情報の共有化によって素早い対応やフォローが可能になり、職場の活性化に役立っているとのことです。これも毎日日報を付け、毎日きちんとチェックしているからこそ、その変化が見え、異常にいち早く気が付くことができるのでしょう。また職員一人ひとりの成長もまた垣間見えるという側面もあるのではないでしょうか。

当社でも営業日報はありますが、内業や現場作業分については給与計算用に稼働状況を記録するのみです。今回の報告を聞いて、当社においても似たような仕組みを導入できないか検討してみたいと考えています。

第3分科会の様子(休憩時間)

3.グループ討議での学び~まず、向き合っているのか~

同友会では、報告者の報告を受けて、参加者(聴講者)が各テーブルに分かれてグループ討議を行います。私の参加したグループでも、全国から集まった様々な業種の経営者が、自社において社員と向き合うことの大切さ、そして難しさについて討議しました。

そのまとめの中で大事な気づきがありました。本質は「まず向き合っているのか」ということ。社員と向き合うのには勇気が要ります。その勇気をまず持つこと。そして、相手のことを理解しようという姿勢を示すこと。これらが出来ているのか、それを常に自問自答し、勇気を持って社員と向き合い、自分の今のスタンスについて話をする。それが本質ではないかと理解しています。

グループ討議の中で出たのは、「とかく方法論に逃げてしまいがち」だと言うこと。前述の日報も、方法論・手法であって、その背景に、社員と本気で向き合うのだと言う気持ちが伝わらなければ、日報作成は社員にとって“余計な仕事”となり、いずれ形骸化することが想像できます。タザワ電気の日報が成功しているのは、田沢社長が本気で社員に向き合おうとしていることが、社内に伝わっているからでしょう。私は、社員と向き合うことを苦手としています。自分でも認識はしていましたが、改善出来ずにいました。逃げていました。それが当社の問題だと言うことに、今回気づかせてもらいました。それが私にとって一番の収穫では無かったかと思います。

グループ討議の様子

初めて参加した青全交ですが、2日間はあっという間に過ぎました。約1000人が参加した大会のスケール感と熱気に圧倒されました。最初は行ってどれほどの意味があるのかという気もしていましたが、行って良かったです。やはり全国からわざわざ集まってくる若手経営者の方は意識が違います。そういった方々と触れ合うだけでも気づきをもらえます。しかし、そんな経営者でもそれぞれに悩んでいます。しかし、本気で悩んでいるからこそ、他の人の悩みに対して的確な助言ができる人がたくさんいる。お互いの悩みにお互いの気づきを伝え合うことで、お互いが成長し、それぞれ会社が良くなっていく。そういうプラスのサイクルを生み出すことが出来るからこそ、こういった大規模な全国大会を開催することの意義があるのだと私なりに整理しています。

この青全交、来年は島根県で開催されます。この学びの機会を島根の活性化に行かすべく、私も出来る限りの協力をし、大会を成功に導きたいと考えています。

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