松江3S勉強会

松江3S勉強会・キックオフ大会~モーションマインドを磨き、やるからには徹底的にやる~

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2014年6月3日(火)、松江市内の中小企業5社で立ち上げた「松江3S勉強会」のキックオフ大会が開催されました。キックオフでは、基調講演として、枚岡合金工具株式会社の古芝会長にお越し頂き、『儲けとツキを呼ぶ「経営革新」成功の秘訣』と題して、枚岡合金工具㈱における3S活動の取り組み経緯やその経験を踏まえ、これから3S(整理・整頓・清掃)活動に取り組もうとする5社のメンバーに対して、エールを込めて講演を頂きました。当社からも、社長以下、社員6名が一緒に参加し、講演の聴講並びに、講演後のグループワークを実施しました。その概要を整理しておきます。

古芝会長の講演会(勉強会メンバー以外からも多数聴講)

1.モーションマインドを磨く~時間は誰にでも平等~

今回の講演の中で、「モーションマインド」というキーワードがありました。その定義を調べると、「作業方法または動作方法について、その問題点が判断でき、より能率的な方法を探究し続ける心構え。または、作業や動作の効率化を検討できる能力」とのこと。それを“磨く”ことが、3Sの実践のステップアップにとって非常に重要だということです。

組織の中には、慣れ、当たり前、組織の常識、などがあり、それに浸かり過ぎると、異常を感じる事が出来ず、組織自体が衰退するという危険性があります。3Sは、そういった組織の異常を発見し、改善させる効果がある。社員一人一人、そして職場全体でのモーションマインドが磨かれることによって、仕事の改善が進む。問題はそれをどう身に付けるか。その手段となりうるのが3Sの取り組みという訳です。

今回、3つのモーションマインドについて指摘がありました。1)問題を発見できて、気になってならない感覚、2)問題を発見できて、それを解決できる能力、3)問題を発見出来て、それを解決できる習慣、の3つです。3Sが徹底されていく段階で、このモーションマインドの段階がステップアップすることが大きな成果につながるのでしょう。大事なことは“習慣化”だと感じます。古芝会長も、講演の冒頭、今回松江駅を訪れた際、落ちていたごみが気になり、ゴミ拾いをしたと話をされました。私も、最近では社内にゴミが落ちていると見過ごせなくて拾ってしまいます。そういう意識がより深く、全社に浸透することなのだと理解しています。

そしてもう一点、3Sを極める事を通じて強く意識する概念に「時間」があります。どんなに小さな会社でも、従業員1万人の会社でも、一人一人に与えられる「時間」は平等。その時間を有効活用するのが3S。場所のムダだけでなく、時間の無駄を排除する。週40時間労働とすれば年間労働時間は2080時間。その時間をどう使うかが企業の業績を左右する。まさにその通りなのですが、その認識を経営者が本気で認識できるかどうか、社員一人一人が共通認識を持てるかどうか。3Sによってモーションマインドを育むことでそれが実現に近づくと信じ、今後の取り組みを進めたいと考えます。

2.やるなら徹底的に3Sする~誰にも負けない努力を~

今回の講演を通じて放たれた大きなメッセージとして「やるなら徹底的に3S活動する」、ということがあります。

真似できないレベルまでやる。誰にも負けない努力をする。一つの事例ですが「テレビ番組の取材が来る会社を目指そう。年間○回以上取り上げられるようになろう。」といった目標設定もやり方の一つだと示されました。雑誌や新聞の取材なども同じようなものでしょう。そういったマスコミ取材という象徴的な出来事をきっかけに、取り組む全員が自信を深め、それを励みにまた上を目指す。外の目が入ることが中だるみを防ぐ。徹底が徹底を生み、誰にも負けない、唯一の会社組織が出来上がる。そういう明るい未来を描きながら取り組むのが3S流なのだと感じています。

一方で、3Sの取り組みは、「古い価値観と新しい価値観のバトルだ」という指摘もありました。ある程度の水準になると「もういいんじゃないか」という雰囲気が出てくるそうです。事前ヒアリングに際しても同じような話を聴きました。それを回避する手法の一つが、「見学者の受け入れ」だそうです。前述のマスコミ取材にも通じるものがあります。自分達だけの価値判断ではなく、社外の、できるだけ厳しい目からみてどう映るのか。松江3S勉強会では、参加5社が相互に会社を見て回ることで類似した効果を期待しています。当面の1年間だけでなく、継続的にチェックし合う仕組みが構築することも視野に入れる必要がありそうです。

もう一点、牧岡合金工具㈱では、3Sの取り組みを発展させ、書類・文書管理のITシステムの開発・コンサルティングを新事業として展開されています。当社は、製造業ではないので「工場」と呼ばれる場所はありません。成果品は「報告書」として紙媒体となることが大半です。このため、事務所内には書類が多く、その整理には長年頭を悩ませています。3Sを通じて、その書類探しのための時間を短縮することも、生産性の向上につながる大きな課題だと認識しています。

3.グループワークで問題点の共通認識を持つ

講演の後、事前に各社で準備していた社内の写真(200~300枚程度)を見ながら、社内の問題点を抽出し、その改善方法を検討するグループワークを実施しました。

この写真は、事前ヒアリングの際に指示を受けた作業でした。私がUターンして社長に就任したおよそ5年前に比べると、社内はずいぶんとキレイになったような気がしていましたが、実際に写真を撮ってみると、どこもかしこも突っ込みどころ満載で、やるべきことがたくさん見つかります。ワーク前に実施された古芝会長の講演を聴いて、メンバーそれぞれが心に響いた想いが冷めやらぬうちに作業が出来ました。参加したメンバーで写真を確認して共通認識を持ち、今後の取り組みの必要性を感じることができたのは、大変意義深かったと考えています。今回のワークでは、今後に向けた計画策定の基礎資料づくり、といった段階まででしたが、今後、当社なりの計画を取りまとめる基礎資料として、良いまとめが出来たのではないかと考えています。

グループワークの終了後、各グループから発表を行いました。各社から参加した社員が発表します。発表のテーマは「1年後どんな会社になっていますか?」。これから行う3Sの取り組みが徹底できたとして、その先にある者は何か。会社は、自分達はどう変わっているのか。実は、この質問に対して明確に答えを出せた会社はありませんでした。そこは3Sに留まらない、大きな課題なのだと認識しています。

3Sで、職場がキレイになる、効率的な仕組みが出来る、ということまでは分かる。しかし、それは何のためにするのか。その結果として自分達はどうなっているのか。一社員がそれを明確に描き、発言するレベルまで達することは、難しい事なのだと改めて感じました。確かに、整理・整頓・清掃と、自分達の将来像や人生そのものがどう係わるのか、直観しにくいのは確かでしょう。いずれにしても、経営指針発表会などで、経営者が指し示す会社の将来像も、社員一人一人の目線でみれば、さして腑に落ちていないということです。それが分かったことも学びです。それを、明らかに意識できるようにしていくのが経営者の仕事であり、そのために、この3S活動が大いに役立っていくのだろうと期待するところです。

「定点観測」用写真に基づいたグループワーク

講演の最後に、「3つの言わない約束」について話がありました。1)「昔」のことは言わない、2)他人(ひと)のことは言わない、3)やりもしないで出来ないとは言わない、3つです。3S活動の実践に際して示された言葉ですが、会社経営、さらには人生そのものにも当てはまる、大きな示唆を頂ける言葉だと感じました。今後、3Sの実践の中では色々な問題やハードルも出てくるでしょう。そんな時、私も含めて、ついつい陥ってしまうマイナスの方向性を先んじて封じて頂いたと思います。この3つの約束をしっかりと守り、今後一年間、社員とともに実践を徹底していきます。

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