温泉めぐり

社長の温泉めぐり74 有福温泉(三階旅館) 島根県江津市有福温泉町

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

74箇所目は、島根県江津市の有福温泉「三階旅館」です。訪問日は、2015年4月10日です。仕事の宿泊でお世話になりました。これまで、有福温泉の旅館には、旅館樋口小川屋旅館、に宿泊させて頂いたことがありますが、今回で宿泊は3軒目となりました。

三階旅館の外観

三階旅館は、有福温泉街の中心部にあり、その名に示すとおり、木造三階建ての建物が特徴的です。江戸時代末期に有福温泉から約40kmの距離にある三隅(みすみ)を治めていた殿様の隠居用別邸として建てられたものだそうです。その由緒ある建物が現在に残っており、それを旅館として利用されています。現在でもそうですが、在来工法による三階建ての木造建築はめずらしく、ましてや江戸時代末期であれば、とても目を引いたことと思います。そういった江戸時代の有福温泉の姿を想像させてくれます。建物の内部も、いたるところに建築当時そのままの材料が残されており、当時の職人の技術を見ることが出来ます。元々旅館ではない建物を宿泊施設として利用していくための苦労が色々あるとお伺いしましたが、現代のニーズに答えるべく必要最低限の改修を続けながら、歴史ある純和風の趣をしっかり残していく。その経営の姿勢に大いに感銘を受けました。

今回、三階旅館さんのお風呂は、旅館からとは別にある、貸切露天風呂を利用させて頂きました。有福温泉の貸切露天風呂は2010年に有福Cafeと一緒にオープンした有福の新スポットです。その名のとおり、温泉街の外湯の一つで、日帰りで貸切露天風呂が利用できます。三階旅館とこの貸切露天風呂は実はつながっていて(これまで何回も有福は訪れていましたが、今回初めて知りました)、三階旅館さんの宿泊者の方が専用で利用することも出来る仕組みとなっています。

今回利用させて頂いたお風呂は、毘沙門天(びしゃもんてん)と名付けられたお風呂で、ヒノキの浴槽に木のカウンター、石見焼の椅子など、和の要素を現代的にアレンジした心地よい雰囲気の部屋でした。入浴した時間が遅い時間になってしまったので、お風呂からの眺めはさほど楽しめませんでしたが、昼間にゆっくり利用出来ればとても贅沢な時間を過ごせそうです。貸切露天風呂がオープンして以来、一度は利用してみなければと思いつつ機会を逸していましたが、今回思いがけず利用することができ、ちょっとしたサプライズでもありました。

貸切露天風呂の様子

有福温泉の泉質は、アルカリ性単純泉。美人の湯としても定着しています。過去にも外湯である御前湯などを紹介指せて頂きましたが、この貸切露天風呂でも、おなじようにアルカリ度が高くスベスベ感を満喫できます。入りやすい温泉であり、ゆっくりと過ごすのに適しています。貸切露天風呂ですので、当然ながらお湯は一回一回張り替えます。1360年以上にわたり有福温泉の泉源から自然湧出している鮮度の高い源泉をそのまま利用できますので、自然の恵みを満喫できます。

アメニティは宿泊と日帰り利用で異なるのかもしれませんが、タオルやドライヤーを含めて一とおり揃っています。一点だけ留意しておくとすれば、この風呂にはシャワーがついていませんでした。色々探しましたがありませんでした。いわゆる“浴場”という使われ方を想定していないからかもしれません。貸切露天は日帰りユースが基本ですので、頭を洗うとか、そういったニーズの場合は公衆浴場を使う、というすみ分けを想定されているのでしょう。三階旅館は、旅館を出て階段を上がると直ぐに、大正レトロ漂う御前湯、少し下がるとさつき湯、など、有福温泉の特徴ある外湯を巡るにも最適な立地です。時間に余裕を持って訪れ、ゆっくりと有福の街並みを楽しんでみたいと、改めて感じたところです。

現在、有福温泉の若手経営者が中心となり、カフェや貸し切り露天風呂、新神楽殿などの新たな事業が進んでいます。2010年の火災で焼失した旅館等の跡地開発もいよいよ今年度から具体化すると伺っています。有福の再生・活性化に向け三階旅館さんもその中心メンバーとして活動されています。当社も長年にわたり有福温泉の泉源メンテナンスでお世話になっていますが、平成24年度に地熱資源開発調査(地熱発電の可能性調査)に挑戦させて頂いて以来、地熱発電(温泉熱発電)と発電後の熱水の多段階利用を通じた新しいまちづくりの実現に向け、一緒になって取り組みを継続させて頂いています。

長年、協和地建コンサルタントは、有福温泉でお世話になってきています。地域に根差した温泉・水源開発に携わる会社として、また、地熱(温泉熱)の活用に取り組む会社として、今後とも、有福温泉のまちづくり対して可能な限りお手伝いしたいと考えています。

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