2011年1月21日、島根県中小企業家同友会の2011年1月例会が開催されました。テーマは、「ホスピタリティと経営」と題し、島根銀行 松江駅前支店 岩谷津賀夫 支店長にご講演頂きました。
最近よく耳にする「ホスピタリティ」や「おもてなし」といった言葉。企業経営においても注目されています。しかし、どうも宿泊、飲食などの業種をイメージしがちでした。しかし、今回の講演を聞き、自社に置き換えた場合にどのように捉え、どのように考えていくべきなのか、ヒントを得ることが出来ました。以下、特に感じた点をまとめておきます。
1.お客様に喜んでもらえることを求めて働く従業員がいる
講演の中で“ホスピタリティ経営”が実践されている企業の職場でどんなことが起こっているのかを説明されたときの言葉です。本質を一番突いた説明ではないかと感じました。違う言い方をすれば、お客様に喜んでもらえることに喜びを感じる、そういった仕事ができること誇りとプライドを持つ、そんな従業員が働く職場ということです。それはとても素晴らしい職場だし、すばらしい価値が提供されているはずだと容易に想像できます。
このように考えると、ホスピタリティは、ほとんど全ての業種に当てはまることが理解できます。自分、あるいは自分の会社がお客様に提供するサービスや商品(企業の提供する付加価値)によって、お客様を喜ばすことができているのか、従業員は、そのことに喜び、誇り、プライドを感じているのか、ということです。それが、仕事のやりがい・面白さにつながり、自分自身を高めていく動機づけにもつながるのでしょう。そういった観点で現在の会社、職場、一人ひとりの状況を点検してみることが、ホスピタリティ経営を目指す一つのやり方ではないかと感じます。
2.誰でも出来ることで相手の心をつかむのが仕事
講師の岩谷さんが最後に口にされた言葉です。
この話の前段で、マナー研修についての話がありました。マナーとホスピタリティ。近いようで、何となく違うことのように思っていました。マナーというとあくまで形式的な印象で、ホスピタリティというと心がこもってなければならないような気がします。ですが、「お客様対応は“相手を大切に思う心“」であるなら、マナーから入るのが基本とのことでした。マナーが基本と言われても最初はしっくりこないのですが、そこで説明されたのがこの言葉。“誰でも出来ること”とはもちろん挨拶に始まるマナーや笑顔での接客のことで、それを徹底してやるからこそ相手に伝わるものがある、という話は分かります。それがサービスに対する評価となり、突き詰めればお客様の“感動”といったことにもつながるのでしょう。
当社の仕事でもお客様と接する機会はありますが、当然ながら接客業という意識はありません。提供する仕事の成果(調査結果であったり施工の出来型など)さえ良ければいいんだという意識がどこかにあると思いますが、それだけではない。相手(お客様)を大切に思う気持ちがまずあって、その先に成果があるのだという意識への切り替えがいるのだろうと感じました。
3.一流のサービスを自ら体験し、それをお客さんに提供する
ある参加者の方が、日頃行っている実践活動のことです。
同友会の例会では、話題提供としての講演を聞いた後、参加者間でグループ討議を行い、意見を交わします。その際、ある会社が自分たちで日頃取り組んでいる事例として話を出されました。ホスピタリティ経営が実践されているとされる一流ホテルなどを自ら利用し、どんなサービスが提供されるのか身をもって体験する。それを自分の仕事に置き替えてお客様に提供する、ということです。
これは非常に重要なことです。“ホスピタリティ”と言葉で説明しても中々分かりにくい話。だからこそ、自分で直接体験してみるというのは実践的で分かりやすい。それこそやろうと思えば誰でもできることです。なにも高級ホテルに泊まらなくても、素晴らしいホスピタリティを持った企業は身近にもあるはずです。そういった企業を探し、当社も、私自身も実践してみたいと感じる取り組みでした。
まとめますと、今回の講演やグループ討議を経て、当社のお客様対応はまだまだ心もとない水準にあると感じます。「ホスピタリティ経営」などと言っているレベルではありません。正直、お客様からの要望を面倒に感じてしまう、いやいや対応してしまう、という局面が少なからずあります。そう思ってしまうその気持ち、なぜそう感じるのか、なぜ“そういう時こそお客様の期待にこたえよう”という気持ちになれないのか。理由、いや、言い訳は色々あります。私も多々思いつきます。ですが、それでは進歩はありません。今回の講演をきっかけに、今一度考えなければならないと強く感じる例会でした。