私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。
6か所目は、島根県斐川町の「湯の川温泉」です。訪問日は、2009年12月8日です。湯の川温泉には現在6軒の旅館がありますが、今回訪れたのは、斐川町が整備した公衆浴場「ひかわ美人の湯」です。
この温泉施設は、“出雲いりすの丘”という大規模な公園施設の中にありますが、残念なことに公園は営業を休止しています。入浴施設だけは一時閉鎖を経て管理者が交代し、営業を再開されたようです。
湯の川温泉は「日本三大美人の湯」と称される温泉です。美人の湯の由来は神話の時代にさかのぼるようですが、具体的にどのあたりが“美人の湯”なのかは気になるところです。
泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉です。成分的には、硫酸塩泉、塩化物泉はいずれも慢性皮膚疾患に効果があるとされていますので一理あります。あとph値は8.4と弱アルカリ性ですので、角質などが落ちるいわゆる“美肌効果”はあるでしょう。といっても、非常に高い値ではありません。ですが、極端にアルカリ性だと肌質によっては入浴出来ない人も出てきます。人をあまり選ばない、バランスのとれた泉質が“美人の湯”といわれるゆえんでしょうか。
今回のお風呂は、公共の公衆浴場ですが、入浴料は大人500円です。近傍の松江市の温泉施設に比べると少し高い値段設定です。泉源は、温泉街に供給されているものと同じですが、一部を除いて循環式となっています。
まず内湯ですが、こじんまりしています。洗い場は8か所、ボディーソープとリンスインシャンプーがあります。これといって特徴のない風呂という印象で、これで500円は厳しいのではないかと思っていました。
ところが、露天風呂に出ると、それまでの印象は一変します。
ここは露天風呂の温泉です。広さは内湯の3倍、いや、もっとあろうかという大きさです。
庭園風の造りですが、とにかく広いので、自分の好きな場所でゆっくりできます。露天風呂と言うと、内湯よりも狭いのが一般的ですから、人が多いと居場所に困ることもありますが、ここではそういった心配は一切不要です。
うたせ湯もあり、かなり高い位置から大量のお湯が出ているのが豪快です。一角には、源泉かけ流しの浴槽があります。源泉そのままなので、少し温度が高めです。大露天風呂とこちらの風呂を入れ替わりで入るのもいいと思います。
内湯が小さめなだけに、露天風呂の大きさが引き立ちます。ちょっとした驚きでした。
脱衣場は濃い茶系の落ち着いた色合いでまとめられており、趣があります。ロッカーは全て鍵付きのタイプです。洗面台は4箇所、ドライヤーも各洗面台に配置されています。(故障なのか、一か所だけドライヤーが外された跡がありました。)
その他、温泉施設内には、1階にレストラン、2階に休憩コーナーがあります。レストランは、隣接する“いりすの丘”が一望できそうな場所にあります。残念ながら私が行った時はすでに日が暮れて外はよく見えませんでした。きっと眺めがいいと思います。2階の休憩コーナーは、解放感があってゆっくりできそうないい雰囲気です。こういった部分は充実しています。
ただし、入浴料を支払う受付からしばらく奥にあり、レストランだけの利用ができるのかどうは不明です。ちなみに、スペースの有効利用なのか、受付の奥に地元野菜の直売コーナーがあり、一風変わった印象を受けました。
今回は、仕事帰りに平日の夕方行ったのですが、私が帰るときにも家族連れが数組入れ替わりで入って行きました。
「露天風呂の温泉」、その解放感とぜいたく感は一度体験してみる価値があると思います。