私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。
今回38箇所目は、鳥取県米子市の「皆生温泉 日帰り温泉オーシャン」です。訪問日は、2011年9月11日です。オーシャンは、皆生温泉の民間日帰り温泉施設で、2010年12月にリニューアルオープン。敷地内に独自の泉源を持つ“源泉かけ流し”の温泉施設、さらに中国地方最大級の大露天岩風呂が売りとしてPRされています。
皆生温泉の民間温泉施設としては、おーゆランドもありますが、この2つは価格面で全く異なるアプローチの施設で、おーゆランドが入浴料350円なのに対し、オーシャンは、入場料が大人1300円。かなり高めの設定です。もっとも、施設全体が高級志向のしつらえで、一度入場すれば何回でも入浴可、バスタオル、フェイスタオル、専用館内着、などがセット。また、後述しますがリラックスコーナーには無料インターネット・マンガコーナーなどもあり、それらを勘案すれば、まずますの値段設定という見方もできます。近傍の施設では、湧くわく天然温泉ラピスパとよく似た施設と言えます。前述のとおり値段は高めの設定ですが、新しいということもあるのでしょう、日曜日の昼間時は駐車場も満車に近く、かなりにぎわっている風でした。
泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、皆生温泉に共通する泉質です。成分総計9.229/kgと濃いめで、かつ泉温が73.8℃という高温度。これを、この大規模施設でかけ流しで使用しているということなので、湧出量もかなりのものと推察されます。高温のため加水して使用されているようですが、口に含むとかなり塩からく感じます。塩化物泉の特性については、おーゆランドの温泉めぐりで記載した内容とほぼ同じですので、今回は省略します。
この施設ですが、風呂が1階と2階に分かれており、1カ月ごとに男湯と女湯が交代するようです。今回、たまたま1Fが男湯だったので、売り物である大露天岩風呂にも入ることができました。
まず、内湯は、大浴槽と水風呂、サウナ、というシンプル(2Fにはジャグジーがあるようです)な構成。珍しいのは、大浴槽が「ぬる湯」と「あつ湯」に分かれている点。ぬる湯はその名のとおり“ぬるめ”で比較的長い間入っていることができました。一方、あつ湯はかなり熱めで、その一角に電気風呂が併設されていました。もう一つ珍しいのは、それぞれの風呂に、名称と“水深”が書いてあること。「ぬる湯 水深60㎝」という感じ。水深が表示してあるのは初めてみましたが、いいアイデアだと思います。しかし、この温泉は無色透明なので、むしろにごり湯で底の見えない温泉でこういった配慮があるといいと思いました。洗い場は、20箇所あり、ほとんどが大型の仕切り付きで、一人当たりのスペースもかなり広め。ボディソープ、シャンプー、コンディショナーがあります。
そして、売りである大露天風呂。中国地方随一という広さは、うたい文句だけではなく、確かにかなりの広さです。ただ、ラピスパの露天風呂もかなりの広さで、(あくまで雰囲気ですが)同じぐらいの感じがします。風呂のつくりとしては岩風呂風で、一部に底が浅いスペースが何か所かあり、そこが寝湯として使えるようになっています。また、外のスペースの一角には、クリアミストサウナと呼ばれる、低温のサウナがありました。
脱衣場もかなり広々。ロッカーは100以上はある(数えるの忘れた)と思います。ロッカーはほとんどが縦長のタイプで上着やシャツが掛けられるようになっています。また、脱衣場に併設してリラックスコーナーがあり、横になれるソファーが20程度(これも数えるの忘れた)あり、湯上りにゆっくりくつろげるようになっています。洗面は、手洗いができる洗面台は数か所で、髪を乾かす「化粧台」がずらっと並ぶ感じです。男女が入れ替わることもあるのでしょうが、高級感ある造り。化粧台の席は10ほどあり、すべてに大型の鏡、高そうなリキッドなどのアメニティ、そしてドライヤーがセットされていました。
この施設は、「気軽に行けるバリ風温泉リゾート」と銘打たれています。私はバリ島には行ったことないので、本当にバリ風なのかどうかの判断はつきませんが、アジアンテイストの内外装は、非日常感を上手く演出しながら、適度な高級感も醸し出しています。風呂だけではなく、海の見えるレストラン、タイ式ボディケア、中国式アカスリ・エステ、無料インターネット・マンガコーナー、ゆったりとしたソファーを多数そろえたリラックスコーナーなど、長時間、ゆっくり過ごせる仕掛けはたくさんありました。また、館内着に着替えて過ごすため、支払いはロッカーキーの番号で管理する後精算方式が採用されるなど、余計な手間をかけない配慮もあります。
その他、施設内外の無料足湯コーナーや、高級感ある家族風呂(パンフで見たのみですが)など、高温度で豊富な湯量の泉源を活かし、ぜいたく感ある温泉施設と言えます。まだ新しく、山陰地域では珍しいタイプの温泉施設。一日かけてゆっくり過ごすなど、長時間の滞在で利用するのであれば、値段なりのメリットもあるのではないかと思います。