2012年7月28(土)と29日(日)、松江市の夏祭り「水郷祭」に、まつえ南商工会青年部で出店しました。2日間のうち1.5日ほど(途中所用で抜けました)出店に出て、焼きそばと飲み物を売りました。私は、2010年に初めて参加して以来2回目。昨年は体制が整わず出店を見送りましたが、ことしは1年越しのリベンジを果たすべく、乗り込みました。なお、まつえ南商工会青年部と私との係わりについては、前述のブログを参照してください。
1.何を売るのか?~商品と売り方に反省を活かす~
一昨年の出店時には「お好み焼き」を売りましたが、数々の反省点が残る結果となりました。簡単に言うと、出来栄え自体はよかったのですが、一つ一つを作るのに時間がかかり、食事が売れるピーク時(花火前、18:00頃~20:00頃)にたくさんの商品を供給できず、かなりの機会損失が発生。短期決戦の限られた時間の中でそれを取り戻すことが出来ない、と言う状況でした。商品力はあっても、ニーズがあるときに必要な品物を準備できなければ商売として成立しない、という当たり前のことに気づかされました。
この反省を活かし、今回私は、「短時間で大量に生産出来て、小分けにして販売することができるもの」でなければ商売的には成功しないと考えていました。この代表例が「焼きそば」。だから夜店でみんな焼きそばを売るんでしょう。炊き込みご飯などもいいかもしれません。で、何を売ったのかというと、結局、「焼きそば」を売ることにしました。しかし、焼きそばは、例年他店も売っています。そこで、差別化を図るために目玉焼きを乗せることにしました。“肉玉入り焼きそば”というスタイルです。当初、私は機会損失の発生回避に気持ちが行き、目玉焼きを作るスピードが焼きそばを焼くスピードに追い付かず、商品供給が滞るのではないかと思い、反対の立場でした。しかし、実際には大型の鉄板の空きスペースやホットプレートを併用して目玉焼きを作ることで、十分な生産スピードを確保することができました。
実際、黄身がとろける目玉焼きを乗せた焼きそばは、かなりの美味しさを実現しました。他店で同じようにしているところはなかったので、“余所に負けてない”という自分達の気持ちが、より積極的に売ろうとする姿勢にもつながったと思います。「やってみなければわからない」という世界でした。まずはやってみる。理屈で考えることと現実は違う。現場でやりながら工夫出来ることもある。とかく机上で考えてばかりになりがちな自分を反省するいい機会になったと思います。
2.“何が何でも売る”という気迫が原点
商品と売り方に工夫を凝らしても、それだけでは売れません。今回改めて感じたのですが、大事なのは、「何が何でも売る!!」という気迫、熱意、です。特に、祭りの出店のような短期決戦の場において、“いいもの並べとけば客が来るだろう”、的な発想では競争に勝てないということです。特に、我々が出店する商工団体が店を連ねるエリアは、各店舗が工夫を凝らした商品を販売しており、激戦区です。いつもは控えめな我々のグループも、今回は、「とにかく売ろう!」と一致団結して望みました。その結果、2年前(前回)出店を上回る売上を達成することができました。商品の善し悪し、売り方の善し悪しもあるでしょうが、まずはじめに“売ろう”という熱意があり、それに戦術的、テクニック的なものが付いてくる。それがこういった商売で大事なことなのだと実感したところです。
その一方、こういった一時期に急激な人出がする場所での商売について、違う視点で考えさせられる機会もありました。2日目、一旦売り場を抜けさせてもらい、家族で花火を鑑賞しました。その際、いわゆる的屋さんから“たこ焼き”を買ったのですが、これが明らかに冷凍食品を温めたような商品で、「ああ、こんなもん売るんだ」という感じでした。花火見物で隣に陣取っていた方もたまたま同じたこやきを買われており(^_^;)、その品質にかなり文句を呈されていました。
面白いことに、このお店、店頭では鉄板でたこ焼きを焼いていたのですが、その焼いた商品では無く、あきらかに違うものを売っていました。さすがというのか?思わず感心します。いちいち焼いていたら間に合わないし、機会損失を避けるために予め準備した冷凍加温の商品を売る。的屋の商売的にはアリなのかもしれません。熱心に売らなくても、売ってくれという人が殺到しているのだから、何でも売ればいい。しかも、売り逃げ的な状況なので後々のことも心配しなくていい。まあ、祭りの売り物とはそんなものかもしれませんし、そこは、買い手側がしっかりと見定めなければならないということでしょう。みなさん、知ってる人、或いは商工団体のお店で買いましょう(笑)。
3.地域の交流の場としてのまつり~幅広い出会いも出店のメリット~
今回、初日はフル(14:00~22:00)に参加しました。私は、2年前と同様、店先に出て焼きそばや飲み物を売ったり、呼び込みをしたりする係でした。1年ぶりに祭りに出てきて感じたのは、「ものすごく知り合いによく会う」ということです。一昨年、初めて出店した時には感じなかった経験です。
私も島根に帰ってきて3年が経ちますので、それだけ知り合いが増えたということもあるでしょう。また、日頃顔を合わせる方ばかりではなく、フェイスブックを通じて知り合った方々と現実にお会いする機会になった、ということもありました。こちらが店先で待っていれば、向うからたくさんの知り合いの方がやってきて声をかけてもらえる。そこで、旧交を温める機会になったり、顔見知り程度であった方との交流が深まったりする。新しい出会いもある。これは出店者として店先でウロウロする役目のメリットではないかと感じました。
また、店は違えど、同じ場所で一緒に商売をしたという経験が一つの一体感を生み出すような気もします。同じ商工会のメンバーだけでなく、普段の仕事とは異なる場面で、それぞれに頑張っているみなさんの姿をお互いに見ることで、お互いの理解が深まる。そこにも大きな意味があると感じるところです。土日2日間を祭りのために費やすのは中々大変ですが、商売として売上を稼ぐということ以外にも、色々と得るものがあるからこそ、皆が頑張って続けているのだろうと感じます。
例年のことですが、となりで営業する“氷屋(まつえ南商工会宍道支部)”にものすごい行列ができていました。とにかく暑かったこともありますが、一つのブランドとして定着しています。一般的なかき氷よりもきめ細かく氷砕いた食感と、女性好みの盛りつけ、店構えもオシャレな造りとするなど、様々な工夫と努力の結果です。祭りの出店のレベルで、その商品をブランド的に定着させるということは中々できることではありません。我々の商品も、いつかそのぐらいを目指したい。前年の反省を踏まえて常に改善する。それを地道に繰り返していくという、努力が今後必要なのではないかと感じたところです。