島根経営品質研究会

島根経営品質研究会 DOIT!ワールドカフェin出雲~会議の新手法と映像活用の相乗効果~

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2010年11月から島根経営品質研究会に入会しました。

同研究会の4月例会として、2011年4月21日(木)に「DOIT!ワールドカフェin出雲」に参加してきました。このセミナーを企画したのはブロックスという会社で、不況の中でも成長する企業のドキュメンタリー映像教材の製作などをされている会社です。セミナータイトルにある“DOIT!”とは、このドキュメンタリービデオシリーズの名称です。今回のセミナーで実際のビデオを見る機会がありました。

そして、タイトルにあるもう一つのワード、「ワールドカフェ」という話し合いの手法を体験しました。今回、このワールドカフェの手法、その中で試聴したビデオからの気づきなどをまとめました。

開始前のオリエンテーション(小グループに分かれて実施)

1.「ワールドカフェ」の真髄は“結論を出すというストレスからの解放”

“ワールドカフェ”というのは、最近注目されている(らしい)会議手法の一つで、私も今回初めて体験しました。カフェのようなリラックスした雰囲気の空間で、一つのテーマを自由に語り合う手法だということです。

背景として、多くの会社・組織では、“良質な話し合いが出来ていない”という実態があります。「意見があるのに話せない」というのは日常茶飯事で、当社でもきっとそうだと思います。本音を話せるのは安全な場に限られる。プライベートの飲み会で盛り上がるのが好例です。そのエネルギーをビジネスに活かせないかと考えられたのが、ワールドカフェだそうです。

そして、“結論を求めない”のが特徴で、結論を求められるストレスから解放されることで、創造的アイデアを生み出すことを狙いとしています。そういった雰囲気の中で他人から発せられる意見に触発され、そして“いい意見”に自らが気づく。そんな手法です。

さらに、今回はビデオの視聴を交えることが特徴です。ビデオを見ることで同じ話題を共有し、話し合いをしやすくしてくれます。しかも、そのビデオの内容が素晴らしいのでなおさらでした。

もう一つ実際に体験してみての感想は、“知らない人同士が話し合うことの効果”というものが大きかったと思います。今回、参加者は4名程度のテーブルに分かれ、基本的に知らない人同士になりました。その環境+ワールドカフェの雰囲気が、様々な前向きな意見を生み出し、お互いの気づきにつながったと思います。このブログに書くだけでは意を尽くせませんが、実にすがすがしい気持ちで終了したセミナーで、今まで体験したことが無い感覚でした。

話し合いをしながら皆がメモした気づき

2.トヨタビスタ高知(現ネッツトヨタ南国)のすごさを“映像と音”で感じる

前述のとおり、話し合いの話題としてビデオを試聴するのがDOIT!ワールドカフェの特徴ですが、今回、試聴したのはトヨタビスタ高知(現ネッツトヨタ南国)を取材したビデオです。同社は、知る人ぞ知るトヨタグループディーラーの顧客満足度ナンバーワン企業で、「やらされ感無し。日本一本気で働く人の多い会社」と言われています。

今回、ビデオを通じて、同社の実際の仕事を様々な角度から垣間見ることができました。それぞれの従業員が語る、自分に厳しく、前向きで、明るく、積極的な言葉の数々は“本当にヤラセじゃないの?”と勘繰りたくもなりますが、ヤラセでもあそこまで言いきれば立派だなと感じるほど大したものでした。その中でも、横田社長(現会長)が語られる言葉は、社員さんの言葉同様、斜に構えて聞けば「本気で言ってんだろうか?」と思うものありますが、会社の業績、お客様満足の実績がその言葉の正しさを物語っており、私ごときが異を唱える余地はありません。聞き取った中から抜粋します。

『お客さまと社員とどちらが大事かと言えば、社員が大事。社員を大事にしたいから、お客さまを大事にする。』

『どうやったらやる気が起こるのか?それは自分が成長していると感じているとき。その4原則は、自分で考える、発言する、行動する、結果を反省する、ということ。』

『社員同士が競うのは悪いことではない。しかし、ある一つの指標で競わせると、それだけの集団になる。成長のバランスが崩れ、チームワークが乱れる。“人間として成長する”ということが重要。』

『給料、休みといったものは順番としては最後。チームワーク、いい同僚・先輩、いいお客さまの数、感謝される度合い、といったものがあっての話。』

素晴らしい言葉の数々。しかし、一番すごいのは、この状況が既に10年以上前の姿だということです。今はさらに進化した組織になっていることでしょう。当社がこの状況に達するまでどのぐらいかかるのか気が遠くなりそうですが、進まなければ到達もしません。横田社長(現会長)も最初から全て分かっていらっしゃった訳ではないと思います。試行錯誤もあり、現在の状態に辿り付き、そして後輩たちがさらに上を目指して取り組まれている(のだろう)ということに感銘しました。そして、今回、そのことを、文字では無く“映像と音”で受け取りました。派手な演出や音楽は一切ありませんが、“本質”の持つインパクトの凄さを感じさせてもらいました。

3.大人と子どもの違いは“信じる力”

このセミナーには、ネッツトヨタ南国 ビスタワークス研究所の大原光秦さん(2月の経営品質特別セミナーの講師)がゲストとして来場されており、最後にコメントがありました。

世の中で、一番チャレンジングで失敗を恐れない存在とは誰か。それは「子ども」。そして、大人と子供の一番の違いは“信じる力”だという話をされました。子どもは疑いません。素直な心で、“できる”と信じて物事に取り組みます。昔は誰しもそうだったものが、大人になるにつれ、色々な人生の垢が付き、信じられなくなる。確かにそうです。しかし、そこで“そんなもんだ”と言ってしまっては、やってくる未来も来なくなってしまうでしょう。

未来の自分を信じる力、会社の将来を信じる力、今、そういったものが根本的に欠けています。少なくとも当社には欠けています。それをもう一度考え、取り戻す。それがこれからの経営、もっと言えば自分の生き方を考える上で重要なことなのではないかと感じます。

もう一つ最後に注釈があったのは、“みなさん、今は麻痺状態です”という言葉。前述のとおり、とてもすがすがしい気分で終了し、意気揚々とした心持ちではありましたが、翌日から日常に戻ってしまう人もいるかもしれません。そうならないように、その日の気づきが薄まらないうちに、何かの行動を一つ起し、継続していくことが大事なのだと感じたところです。このブログに記録するのもその一助になればと思います。

コメントする大原光秦さん

最後に、これまで私は“社長の人間力を高める”ことが経営の改善、会社の発展に不可欠と考え、経営の勉強になると思われる様々な会合、セミナー、研修に参加してきました。しかし、今回のセミナーを経て感じたのは、並行して、役職員も私が進もうとする方向を一緒に向き、一緒に進んでくれるよう、学んでもらうべきだということです。一緒に話をして“お互いに気づく”ということの重要性。今後、そのための勉強、研修の場を設けたり、役職員が様々なセミナー等に参加する機会を設けていくことも必要だと考えています。

 

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