温泉めぐり

社長の温泉めぐり46 佐白温泉(長者の湯) 島根県奥出雲町

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回46箇所目は、島根県奥出雲町の「佐白温泉 長者の湯」です。訪問日は、2012年5月13日です。佐白温泉は、平成22年度に協和地建コンサルタントが温泉掘削を担当させて頂いた新しい温泉で、平成24年4月29日に施設がグランドオープンしました。現在、島根県で一番新しい温泉施設です。 建物は古民家風の和風建築で、立派な門をくぐると白砂を敷き詰めた広い中庭が大胆に配置されており、目を引くアプローチが印象的です。

佐白温泉長者の湯 施設外観

「長者の湯」のお風呂は、内湯と露天風呂というシンプルな構成です。内湯は、窓の開口が大きく、明るく広々とした造りです。天井も高く、太い梁を見せる造りが印象的です。浴槽は岩風呂風の造りで、パンフレットによると斐伊川の川石を使って造られているようです。露天風呂は、内湯とほぼ同じ大きさで、同様に岩風呂風の造り。変わっているのは、内風呂から外を見るガラスの正面に露天風呂があり、ガラスで内湯と露天風呂が仕切られているような配置になっている点です。

泉質は、アルカリ性単純温泉で、ph9.8という高い値が特徴です。源泉温度は34.0℃で、これを加温して源泉かけ流しで利用されているようです。なお、加温にあたっては、木質チップを用いたバイオマスボイラーが採用されており、“木質チップによる優しい温もり”が売り文句です。バイオマス燃料を使用することで、CO2排出量の削減にも貢献する環境にやさしい施設と言えます。ただ、このバイオマスボイラーは運転中結構大きな音がします。一つの特徴とも言えますが、聞き慣れない方は何の音かと思われるかもしれません。

長者の湯 内湯の様子(内覧会時に撮影)

ph9.8という高い値が示すとおり、入浴するとアルカリ性温泉の特性であるヌメヌメ感がすぐ感じられ、美肌の湯として高い効果が期待されます。なお、たまたまかもしれませんが、ヌメリ感は露天風呂に比べて内湯の方がより顕著に感じられました。実は、内湯はかなり熱めに温度設定されており、一方で露天風呂はぬるめ調整されていました。加温された源泉の継ぎ足し量に影響されているのかもしれません。

洗い場はL字型に配置され、6箇所ありました。仕切りは無いタイプで角になっている2箇所はやや間が狭い印象です。ボディーソープ、シャンプー、リンス、と3つのボトルが備えてあります。脱衣場のロッカーは比較的大きめのタイプで20個ありました。ロッカーの上に籠も置いてあり、貴重品を持たない地元の方等はこちらでもよさそうです。洗面は3箇所で、ドライヤーも3つ配置されていました。椅子に座ってドライヤーを使う場合、やや鏡の位置が高いように感じます。浴槽のサイズからしてもそうですが、お風呂としては、地元の方の利用を中心としてコンパクトに使う想定でつくられた施設と言えます。大規模なお風呂は亀嵩温泉を利用してもらうという役割分担の意味合いもあるのでしょう。

長者の湯 露天風呂の様子(内覧会時に撮影)

利用料金は大人300円。地域の交流施設として位置付けられていることもあり、非常にリーズナブルな値段設定です。施設の営業時間も特徴的です。施設の営業時間としては午前10時から午後9時まで。遅くまで利用可能ですが、さらに風呂は午前6時から利用可能とのこと。地域の方が、仕事前にひと風呂、という使い方もできる、ある意味贅沢な運営時間と言えます。

地域の交流拠点施設として整備されただけあり、お食事処、和室休憩室、マッサージ、特産品コーナー、交流サロン、など、宿泊機能こそありませんが、多様な機能を有しています。 私が訪れたのは、日曜日の午後でした。オープンから間もないこともあり、かなりの人出がしていました。和室の休憩コーナーではたくさんの方が体を休め、お食事処でも昼食、喫茶にと賑わっています。お食事処は奥出雲町の地元産品を使い、ふるさとの味を提供するというコンセプトで運営されており、また、広々としたテラス席、囲炉裏風のボックス席など、工夫を凝らした空間づくりがされており、食事も楽しみの一つになるのではないかという印象です。

今回、オープンして間もないタイミングでの訪問でしたので、これから運用面の細かい見直しなどがなされていくのだろうと思います。少し時間を置いて、また訪れてみたいと考えています。そして、奥出雲町内には、この度オープンした佐白温泉に加え、亀嵩温泉斐乃上温泉、という3つの温泉があります。この3つの温泉を総称し、「奥出雲美肌温泉卿」としてPRされています。いずれも協和地建コンサルタントが開発に携わった温泉であり、地域に根差し、また今まで以上に多くの方々にご利用頂き、温泉とともに奥出雲町が発展することを願っております。

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