2010
05.27

2009年4月から島根県技術士会に入会し、活動に参加させて頂いています。

島根県技術士会http://peshimane.s3.zmx.jp/

2010年5月22日に、島根県技術士会の平成22年度総会が開催されました。

島根県技術士会は、現在会員数が250名弱、そのうち150名が今回の総会に出席されたようです。また、新入会員が25名ということで、約1割増という盛会ぶりです。

この度の新入会員が多かったというのは、当然ながら島根県内で技術士を新規に取得された方が多かったからでしょう。ですが、そもそも入会が必須な会ではありません。一般に、こういった任意の組織への入会者は減少する傾向にあると聞きますが、一気に一割近くの会員増となるのはめずらしいのではないでしょうか。

講演会の様子

なぜ、島根県の技術士会が盛会となるのか、総会とその後の懇親会の盛り上がりみて、考えてみました。

1.技術士≒建設部門

誤解を恐れず言えば、技術士=“建設部門の技術士”といっても言い過ぎではありません。全技術士の半分程度が建設部門の技術士です。

そもそも、「技術士」とは、科学技術の高度な専門応用能力を必要とする事項について、計画・研究・設計・分析・試験・評価及び指導などの業務を行う者が取得する資格で、科学技術全般にわたる多様な“部門”(全21部門)が設けられています。建設部門はその一部門に過ぎません。

しかし、実態としてはその中の一部門でしかないはずの“建設部門”において、最も活用されています。これは、公共事業に携わる建設コンサルタントの登録や、入札参加資格要件などにおいて、技術士の資格を有する職員の有無が問われ、企業の業績にも影響を与えるようになっているからです。関連する企業が会社を上げて資格取得に取り組むインセンティブがあるわけです。

2.技術士会≒公共事業に携わる技術者の会

さらに誤解を恐れず言えば、建設部門の“技術”というのは、“土木技術”がその大半であり、土木技術とは、インフラ整備、すなわち公共事業で用いられる技術がその中心です。そうすると、技術士会≒“公共事業に携わる技術者の会”という構図が見えてきます。(もう少し正確に言えば、建設部門以外にも、応用理学部門(地質)、農業部門(農業土木)、森林部門(森林土木)、環境部門といった分野も公共事業で活用されています。)

そして、建設部門の技術士を有する人たちというのはどういった方かと言えば、いわゆる土木系の建設コンサルタントやゼネコンなどで調査、設計、現場監理等を担当する技術者と、官公庁の技術系(特に土木系)公務員がその中心になっています。

細かいことはともかく実態としては大筋あっていると思います。(異論がある方は、“私がそう思っている”ということでご容赦ください。)

さて、そうなると、島根県技術士会はどうなんだということです。

3.島根県技術士会≒コンサルと土木系県職員の会

これも、私が“そう思っている”という話ですが、見た限りの実態です。やはり島根県が「公共事業の県」だということを端的に表す現象の一つでもあるでしょう。なお、私も公共事業で食べている人間ですので、公共事業をことさら批判するつもりもありませんし、島根県の公共インフラの整備はまだまだ不足しており、必要な事業は継続していくべきとの立場です。

さて、現在、島根県を取り巻く状況、特に公共事業を巡る環境が大きく変化し続け、それに対して(特に技術的な観点から)どのように対応していくべきなのか、企業もそして行政も、悩み、模索しています。企業や役所に所属する技術者においても、この局面に対応し、行動するためのヒントや気づき、知らなかった知見や情報を求めています。それが得られる組織として、この島根県技術士会の存在意義が強まってきているのではないかと感じるところです。

大盛況の懇親会

“技術士会”とは、全21部門の多様な科学技術に携わる技術者の会であり、本来は異業種交流会的な色彩を持つべきものだと思いますが、島根県技術士会は、まさに同業種・同業者の(技術者の)会となっています。しかし、公務員や企業といった立場を超えて、島根県の公共事業に携わる者(なおかつ高い技術力を有する者)が一堂に会するとい貴重な機会でもあるとも言えます。

それは会員にとって分かりやすいし、公共・民間の枠を超える組織だから、この会を通じて得られる情報や人的なネットワークというものが、非常に魅力的に映るのではないかと思います。また、会の方針にも規約にも、どこにも書いてはありませんが、会の根底に“島根県の公共事業(地域づくり、地域活性化といったことも含めてです)をどうしていくのか”といった基本的な方向があり、会員もそれを承知しているからこそ、多くの参加者を得ているのだろうと思っています。

そういった会だから、島根県の公共事業に携わる者として、今後の活動について期待が持てるし、自分自身も携わってもっと盛り上げていくべきではないかと考えています。

2010
05.19

社長の温泉めぐり20 君田温泉(森の泉) 広島県三次市君田町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。

温泉めぐりも20箇所目となりました。今回は、広島県三次市君田町の君田温泉 森の泉です。訪問日は、2010年5月14日です。

君田温泉は、道の駅「ふぉレスト君田」に併設された温泉施設で、温泉入浴だけでなく、食事・宴会、さらには宿泊も可能な施設となっています。君田温泉を核として、ふれあい市場、レンタサイクル、喫茶・レストラン、背後地にはキャンプ場、隣接地には「はらみちを美術館」といった施設が集積しており、来訪日は土曜日の夕方ではありましたが、利用者も多く非常に賑わった印象でした。

君田温泉 森の泉 外観

この温泉は泉質が非常にいいと思います。泉質名は、含二酸化炭素-ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩・塩化物泉という長い名称で、源泉の温度は20℃ほどの、いわゆる冷泉です

一般に“重曹泉”と呼ばれる泉質で、皮膚の表面(角質)を柔らかくし、さらに皮脂や分泌物を乳化する作用があり、石鹸のような効果があるとされます。実際、入浴するとまもなく皮膚にすべすべ感が感じられ、入浴しただけなのに、体を洗った後のような感触を得られます。アルカリ度の高い温泉のつるつる(というかヌメヌメ)感とはまた違った、爽快な入浴感です。湯あがり後も非常にさっぱりしており、夏向きの温泉とも言われるようです。

浴室は天井が高く、木材を上手く使った柔らかい印象です。内湯の構成は、源泉湯(通常のお風呂)、ジェットバス、水風呂、サウナとなっています。露天風呂もあり、石風呂風の造りで、長方形のシンプルな造りです。さらに、外に打たせ湯が二箇所ありました。この温泉は浴室の床などには“湯の花”と呼ばれる白色の固形付着物が見られます。また、特に露天風呂では湯の表面に湯の花が大量に浮いていました。一見石鹸の洗いカスのようにも見えるのですが、成分量が豊富な裏返しでもあります。

洗い場は12箇所で仕切りの付いたタイプで、一人あたりのスペースも十分な広さです。ボディソープとシャンプー、リンスが備わっています。面白いのは、“炭”シリーズと“豆乳”シリーズの2種類が、洗い場の交互に置いてあり、好みのタイプを使うことができるようになっているようです。“炭”シリーズのアメニティは、君田温泉の独自商品のようで、売店でも販売していました。気になったのは、シャワーがプッシュ式(一回押すと一定時間シャワーが出るやつ)なのですが、5秒ぐらいしか連続して水が出ないので、頭を洗うのにはちょっと手間取りました。節水の意味もあるのかもしれませんが、もう少し長くしてもよいのではと思いました。

脱衣場の鍵付きロッカーは100個備わっており、全て、上着等が掛けられる縦長のタイプになっていました。これは非常にいいと思います。洗面台は6箇所ですが、ドライヤーは2つに1つという扱いのようで、3つほどでした。ピーク時には不足するのではないかという気もします。

利用料金は、大人600円と島根県内の施設との比較ではやや高めの印象ですが、泉質が非常に優れており、値段なりの価値はあると思います。実際、施設内には、リクルート社の運営する“じゃらん”から受けた数々の表彰が並んでいます。「2005年温泉ランキング 泉質自慢の温泉部門 第2位」「2006年温泉なんでもランキング 行きつけの温泉部門 第1位」「2007年お気に入りの温泉ランキング 広島県民が選んだ温泉部門 第1位」(いずれも中国・四国でのランキング)など、中々のものです。

ロビーの様子

この温泉は、1988年のふるさと創生事業で旧君田村が開発した温泉だそうですが、道の駅とセットで運営される多様な施設群は、第三セクター方式で運営され、その成功例として知られるようです。温泉だけでなく、道の駅としてみても多彩で興味深い施設でした。

2010
05.13

社長の温泉めぐり19 鹿島多久の湯 島根県松江市鹿島町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。

19箇所目は、島根県松江市鹿島町の「鹿島 多久の湯」です。訪問日は、2010年5月12日です。

多久の湯は、松江市(旧鹿島町)が整備した温泉入浴施設で、デイサービスセンター等の福祉施設と同じ敷地に整備されています。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉で、無色透明、無味無臭です。ph値は確認できませんでしたが、入浴した印象では、さほど高くはなさそうです。なお、この施設は“多久の湯”という施設名称を前面に出していますが、温泉名としては、「講武堀部温泉」というようです。

多久の湯の外観(入口で特産品(干物等)を売っている)

利用料金は、大人400円ですが、松江市内の居住者は300円で入浴できます。これは玉造温泉のゆーゆや八雲温泉の熊野館と同じようなシステムで、松江市の温泉入浴施設は、市民に対しては料金を揃えているようです。

浴室は天井が高く広々とした印象です。風呂の構成はシンプルで、ジェットバスや打たせ湯といった設備はありません。大浴槽の回りを洗い場が囲み、一角にサウナが備わっています。浴槽の枠がヒノキになっており、見た目のアクセントと柔らかい印象を醸し出しています。

露天風呂もあり、内湯と同じタイプの長方形のシンプルな浴槽でした。ここは男女入れ替わり制で、岩風呂風の露天風呂のあるようですが、当日の男湯露天風呂は内湯をそのまま外に出したようなスタイルの風呂で、これもまたいいと思います。変わっていたのは、浴槽の枠がヒノキなのですがですが、その一角が少し削られたようになっており、そこからお湯が越流しています。流れ出たお湯は、石張りの床を流れており、その部分は“寝湯”のように使われていました。入った時に実際に寝ている人がいました。しかし、寝湯といってもスペースがやや狭く、元々そのような設計ではなかったのではないかと思いますが、施設を運用しながら出てきたアイデアなのかもしれません。これ以外には、個室風呂があるようです。

洗い場は10箇所で仕切りの付いたタイプですが、一人あたりのスペースはやや狭めです。ボディソープとリンスインシャンプーがあります。たまたまかもしれませんが、シャワーの水圧が低めで弱く感じました。節水で圧を下げているのかもしれません。

脱衣場のロッカー(鍵付き)は40個程度あります。通常のタイプと、上着等が掛けられる縦長のタイプと両方ありました。また、貴重品用のロッカーもたくさんあり、加えて脱衣籠のみというスペースもあって、この併用で使っている人もいました。車で乗り付ける地元の常連さんは、脱衣籠のみで十分かもしれません。

洗面台は4箇所、なぜかドライヤーは5つありました。さらに、仮設的に鏡と椅子、ドライヤーを置いたスペースが隅に一か所ありました。私も最初の印象で、施設規模の割には洗面台の数が少ないかなと思いましたので、途中で追加されたのでしょう。

ロビーの様子

島根県内にある公共の温泉施設はどこも同じような傾向がありますが、ここも地域住民を主対象とした施設です。浴場だけでなく、お食事処、休憩室、会議室、土産物屋なども備わっており、多目的な利用が可能な複合施設となっています。特に会議スペースが広くあるようで、訪れた日も会議室利用の団体の予約が入っていました。また、座敷の休憩室に加え、“ラウンジ”という名称の休憩コーナーも併設されていました。

施設の印象としては、地域福祉の色合いが強く、観光的要素は薄い印象ですが、入口では鹿島町にある恵曇港(えとも港)特産の干物が販売されていました。地元の方が買うのかどうかは分かりませんが、会議室利用で訪れた利用者の方などが買い求めていくのかもしれません。

その他としては、敷地の一角には温泉スタンドがあり、100円で200㍑のお湯が汲めるようになっていました。ちなみに、八雲温泉にも温泉スタンドがありますが、なぜか専用コインが必要でした。やはり現金を入れて買える方が便利だなと思います。

敷地内にある温泉スタンド(写真奥が多久の湯)

訪れた当日は、平日の丁度昼時でしたが、浴室内はかなり人が多く、10ある洗い場がほとんど埋まっているような状況でした。予想以上の利用者で(失礼ながら)意外でした。松江市内には同様の温泉施設がいくつかありますが、島根半島側には少ないので、人気があるのかもしれません。

2010
05.07

2009年4月から島根県技術士会に入会し、活動に参加させて頂いています。

島根県技術士会 http://peshimane.s3.zmx.jp/

島根県技術士会には「青年部」という、若手会員の組織があり、45歳までの会員で構成されています。私もまだ該当年齢なので、参加させて頂いています。

その活動の一つに「オモシロ技術塾」というものがあります。月1回、様々なテーマで話題提供と議論をする場として設置されています。会員が講師となって自分の関連する技術的な話題に関して話をしたり、或いは外部から講師を招いて最新の情報を得たりするというものです。単に講義・講演を聞くだけでなく、後半はディスカッションに時間を割いているところが特徴です。毎年年間10回程度開催されています。

2010年4月28日(金)には「地域振興を目指してのバイオマスの利活用について」と題して、NPO法人バイオマス総合研究センターの村上代表理事を招いて話を伺いました。同センターは、島根県松江市にあるNPO法人で、島根県内のバイオマス資源の有効活用について、より広く総合的な視点から研究開発を行うことを目的とされています。なお、私も縁あって同センターの会員となっており、少しだけ活動のお手伝いをさせて頂いています。

さて、村上代表理事からは、現状のバイオマス活用の問題点やその課題解決策等について幅広くお話を頂きました。全部は記せませんが、私の頭に残っている要点を3つほど記しておきます。

話題提供の様子(村上代表理事)

1.バイオマスエネルギーの基礎知識・・・再生可能なエネルギーだが扱いにくい

バイオマスは、廃棄物系(食品残さ)、未利用系(間伐材の木質チップ化等)、資源作物(トウモロコシで燃料を精製する等)に分けられる。そして、エネルギーの定めは、通常は「一度使ったら終わり、再生するにはもっとエネルギーが要る」だが、バイオマスエネルギーの主体である植物は例外で、数年から数十年で再生が可能である。ただし、天候任せであったり、石油ほど凝縮されておらず扱いにくいというのが難点ということです。この“再生可能性”が注目されているが、その特性にあった活用方法が必要だということです。

改めてバイオマスの基礎知識について説明を受けましたが、分かりやすかったです。短大などでの講義用にまとめられたものだと話されていました。

2.現状のバイオマス活用の問題点・・・経済性がゼロ

これまでの施策は単発的で「産業として成り立たないから続かない」という指摘です。

バイオマスの活用技術は、大きく、(1)堆肥化、(2)木質ペレット、(3)食廃油BDF(バイオディーゼル燃料)、の3つの技術に分類されるそうです。これらについては地方自治体が中心となって様々な取り組みがなされていますが、いずれも経済性がほとんどゼロ(エネルギー効率が低い、スケールが小さい等の問題があるそうです)のまま取り組まれており、途中で立ち行かなくなってしまう事例が後を絶たないという話でした。その解決こそが、バイオマス総合研究センターが目指しているものだということです。

3.課題と解決の方向性・・・バイオマスの産業化

バイオマスを産業化することこそが、経済性を確保することだという話です。そのための方策として、次のようなことが示されました。

(1)効率の良いプロセスを構築する・・・一か所に集中して効率的にエネルギー利用ができようにする、性能の高い装置を導入する(ヨーロッパの技術が進んでいるという話)

(2)総合的に考える・・・農業、林業を含めて地域全体(市町村単位を想定)で総合的に取り組むことで、年間を通して高い稼働率を維持することにつながる

この3.で示したようなバイオマスの産業化を島根県内で実現させることがバイオマス総合研究センターが目指しているものだそうです。非常に大きな話で、短時間では理解も議論もしつくせない印象でした。もう少し検討が進んだ段階で、もう一度この話題で論議が出来ればよいのではないかと感じました。

いずれにしても森林資源の豊富な島根県(島根県だけではありませんが)にとって、バイオマスが産業として成立することは意義深いものだろうと感じます。この構想の実現に向けて、技術士会としても、また、一会員としても何らかの形で関与していければと考えています。