島根県技術士会

島根県技術士会 平成22年度総会 ~島根県における公共事業と技術士の関係を垣間見る~

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2009年4月から島根県技術士会に入会し、活動に参加させて頂いています。

島根県技術士会http://peshimane.s3.zmx.jp/

2010年5月22日に、島根県技術士会の平成22年度総会が開催されました。

島根県技術士会は、現在会員数が250名弱、そのうち150名が今回の総会に出席されたようです。また、新入会員が25名ということで、約1割増という盛会ぶりです。

この度の新入会員が多かったというのは、当然ながら島根県内で技術士を新規に取得された方が多かったからでしょう。ですが、そもそも入会が必須な会ではありません。一般に、こういった任意の組織への入会者は減少する傾向にあると聞きますが、一気に一割近くの会員増となるのはめずらしいのではないでしょうか。

講演会の様子

なぜ、島根県の技術士会が盛会となるのか、総会とその後の懇親会の盛り上がりみて、考えてみました。

1.技術士≒建設部門

誤解を恐れず言えば、技術士=“建設部門の技術士”といっても言い過ぎではありません。全技術士の半分程度が建設部門の技術士です。

そもそも、「技術士」とは、科学技術の高度な専門応用能力を必要とする事項について、計画・研究・設計・分析・試験・評価及び指導などの業務を行う者が取得する資格で、科学技術全般にわたる多様な“部門”(全21部門)が設けられています。建設部門はその一部門に過ぎません。

しかし、実態としてはその中の一部門でしかないはずの“建設部門”において、最も活用されています。これは、公共事業に携わる建設コンサルタントの登録や、入札参加資格要件などにおいて、技術士の資格を有する職員の有無が問われ、企業の業績にも影響を与えるようになっているからです。関連する企業が会社を上げて資格取得に取り組むインセンティブがあるわけです。

2.技術士会≒公共事業に携わる技術者の会

さらに誤解を恐れず言えば、建設部門の“技術”というのは、“土木技術”がその大半であり、土木技術とは、インフラ整備、すなわち公共事業で用いられる技術がその中心です。そうすると、技術士会≒“公共事業に携わる技術者の会”という構図が見えてきます。(もう少し正確に言えば、建設部門以外にも、応用理学部門(地質)、農業部門(農業土木)、森林部門(森林土木)、環境部門といった分野も公共事業で活用されています。)

そして、建設部門の技術士を有する人たちというのはどういった方かと言えば、いわゆる土木系の建設コンサルタントやゼネコンなどで調査、設計、現場監理等を担当する技術者と、官公庁の技術系(特に土木系)公務員がその中心になっています。

細かいことはともかく実態としては大筋あっていると思います。(異論がある方は、“私がそう思っている”ということでご容赦ください。)

さて、そうなると、島根県技術士会はどうなんだということです。

3.島根県技術士会≒コンサルと土木系県職員の会

これも、私が“そう思っている”という話ですが、見た限りの実態です。やはり島根県が「公共事業の県」だということを端的に表す現象の一つでもあるでしょう。なお、私も公共事業で食べている人間ですので、公共事業をことさら批判するつもりもありませんし、島根県の公共インフラの整備はまだまだ不足しており、必要な事業は継続していくべきとの立場です。

さて、現在、島根県を取り巻く状況、特に公共事業を巡る環境が大きく変化し続け、それに対して(特に技術的な観点から)どのように対応していくべきなのか、企業もそして行政も、悩み、模索しています。企業や役所に所属する技術者においても、この局面に対応し、行動するためのヒントや気づき、知らなかった知見や情報を求めています。それが得られる組織として、この島根県技術士会の存在意義が強まってきているのではないかと感じるところです。

大盛況の懇親会

“技術士会”とは、全21部門の多様な科学技術に携わる技術者の会であり、本来は異業種交流会的な色彩を持つべきものだと思いますが、島根県技術士会は、まさに同業種・同業者の(技術者の)会となっています。しかし、公務員や企業といった立場を超えて、島根県の公共事業に携わる者(なおかつ高い技術力を有する者)が一堂に会するとい貴重な機会でもあるとも言えます。

それは会員にとって分かりやすいし、公共・民間の枠を超える組織だから、この会を通じて得られる情報や人的なネットワークというものが、非常に魅力的に映るのではないかと思います。また、会の方針にも規約にも、どこにも書いてはありませんが、会の根底に“島根県の公共事業(地域づくり、地域活性化といったことも含めてです)をどうしていくのか”といった基本的な方向があり、会員もそれを承知しているからこそ、多くの参加者を得ているのだろうと思っています。

そういった会だから、島根県の公共事業に携わる者として、今後の活動について期待が持てるし、自分自身も携わってもっと盛り上げていくべきではないかと考えています。

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