2011
12.30

社長の温泉めぐり 2011年総括 ~泉質、たたずまい、美肌~

温泉めぐりのブログも、この年末までに通算39箇所となりました。しかし、2010年末でも28箇所、つまりこの1年で11箇所しか増えていません(^_^;)。昨年も年末に一年の総括をしたので、今年もと思い数えてみると年間11箇所。月1箇所も回れてません。あまりの少なさに“総括”するのがはばかられる思いですが、最後のブログのネタと思っていたので、何とかまとめてみたいと思います。

振り返ると、ブログを始めた当初は何をネタに書いていいか分からず、しかたなく?温泉を巡っていた時もありました。それが今では色々と活動の幅が広がり、ネタも増えた反動で温泉巡りの記事が相対的に少なくなりました。この間、温泉に行ってない訳ではないのですが、地元の八雲温泉玉造温泉など、これまでブログで記した温泉であったりして、あえて記事にしていないという面もあります。

ともかく、今回は2011年の総括として、この1年に廻った温泉の中から、泉質、たたずまい、美肌、の3つの観点で1つずつ選んでみました。

1.これぞ“温泉”という泉質 ~えんや温泉~

泉質では、島根県出雲市の「えんや温泉(ニューウェルシティ出雲)」です。

この温泉は濃いです。成分濃度の濃さは島根県内随一。泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、成分分析表によれば成分総計20.19g/kg、詳しくない方はあまりピンと来ないかもしれませんが、かなりの濃さです。ただ、いくら濃い温泉といっても、何にでも効果が期待出来る訳ではありません。この泉質による入浴の適応症は、切り傷・火傷や慢性皮膚病などが主なところです。これらの症状に対しては、より高い効果が期待できると考えられます。一方で、ともかく濃度が高いので、“湯あたりしやすい”温泉です。例えば、人によっては、塩化物泉などの保温効果の高い泉質だと、体が温まりすぎて熱が出たような症状を示す場合場あります。非常に成分濃度の高い貴重な温泉です。温泉に興味のある方には、ぜひ一度体験してみて頂きたいですが、前述のとおり、人によって合う・合わないがあります。高濃度の温泉だからこそ、有効な入浴方法を自分なりに見出しながら入られることをオススメします。

えんや温泉~ニューウェルシティ出雲の1Fにある

2.鄙びた温泉地のたたずまい ~三瓶温泉(鶴の湯(薬師湯))~

“たたずまい”という観点からは、「三瓶温泉 鶴の湯(薬師湯)」です。

温泉地のたたずまいを味わうというのも、温泉入浴の大きな魅力の一つです。三瓶温泉 鶴の湯(薬師湯)は、三瓶温泉街ほぼ中央部に位置する公衆浴場。古き良き時代のたたずまいを残す施設です。まさに公衆浴場というのがピッタリ。お風呂は内湯だけで、洗い場らしきスペースもわずか。目を引くのが洗い場に大量に掛け流されている源泉。毎分2500リットルという豊富な湧出量を活かし、贅沢に掛け流されているようです。この大量のかけ流しの源泉で頭や体を流すのがここの入力スタイルのようです。古き良き時代を思わせる内外観と、この豪快なお湯の使い方が、温泉地の風情と相まって非日常感を高めます。なお、この施設は以前経営難に陥り、一時は閉鎖の話もあったようですが、地元の方々が出資者として参画したり、様々な経費削減に取り組まれたりして経営を立て直し、運営を続けられているという施設です。そういったまちづくりの観点からも注目し、みなさんに利用してもらいたい温泉です。

鶴の湯~ひなびた雰囲気がよくでている

3.温泉と言えばやはり“美肌” ~岸本温泉ゆうあいパル~

”美肌”という観点からは、「岸本温泉ゆうあいパル」です。

温泉と言えば健康、そして“美肌”です。美肌を売りにした温泉は数多くあります。島根県内でいえば、玉造温泉はもちろん、日本三大美人の湯「湯の川温泉」、日本三大美肌の湯「斐乃上温泉」など女性の方は要チェックの温泉が多数あります。その中で、今回選ぶのは鳥取県米子市の「岸本温泉ゆうあいパル」です。この温泉は、アルカリ性単純泉でph9.2とアルカリ度が高めです。それだけでも美肌効果の期待できる温泉ですが、おすすめするのはそれプラス、この施設にある「雪肌サウナ」です。雪肌サウナ、それは、室内が0℃に保たれた山陰地区唯一の“冷たいサウナ”で、温泉入浴、そして熱いサウナの後に入るとことで、肌を引き締め、美肌効果をより高めることができるそうです。また、この施設は、島根系品質研究会でお世話になっている、株式会社さんびる さんが指定管理で運営されており、笑顔で温かみのある接客、来場者を飽きさせない行事やイベントなど、手作り感満載の運営面も魅力な施設です。

ゆうあいパル~なかなか立派な外観

温泉は、その地域の地下から湧き出る貴重な資源です。地域によって多様に活用され、絶対的に良い温泉も悪い温泉もありません。すべて貴重な地域資源なのです。温泉開発にたずさわる者として、温泉の魅力や効果をもっと知ってもらい、様々な温泉がその特性を活かし、地域の役に立つことを願っています。今年は回った数が限られたのですが、あえて3つ選んでみました。ご覧頂いている方の参考になれば幸いです。来年も、島根県内に限らず、頑張って色々な温泉を巡っていきたいと思います。

〔2011年温泉巡り一覧〕

39 比田温泉(湯田山荘) 島根県安来市広瀬町

38 皆生温泉(日帰り温泉オーシャン) 鳥取県米子市

37 三瓶温泉(鶴の湯(薬師湯)) 島根県大田市三瓶町

36 塩屋天然温泉 ほの湯 広島市佐伯区楽々園

35 皆生温泉(おーゆ・ランド) 鳥取県米子市

34 隠岐温泉GOKA 島根県隠岐の島町

33 出雲平成温泉(出雲保養センター) 島根県出雲市

32 みとや深谷温泉(ふかたに荘) 島根県雲南市三刀屋町

31 えんや温泉(ニューウェルシティ出雲) 島根県出雲市

30 岸本温泉(ゆうあいパル) 鳥取県伯耆町

29 ゆだに温泉(弥山荘)その2 島根県川本町

 

2011
12.22

2011年10月15日(土)~16日(日)にかけて、島根同友会の経営指針成文化セミナーに参加し、経営指針のたたき台を作成しました。その後、引き続いて「フォローアップセミナー」に参加し、内容のブラッシュアップを図っています。このブラッシュアップを進める過程が、経営指針成文化セミナーで経営指針の素案を作成することにまさるとも劣らず重要なことだと感じています。そのことについて、3点ほど整理しています。

第2回フォローアップセミナーの様子

1.フォローアップミーティングからの学び~質問されてはじめて自分のことに気づく~

島根同友会の経営指針成文化セミナーでは、受講者1名に対して、同セミナー受講済の会員がアドバイザーとして2名ずつ付いて、経営指針の完成までフォローするという体制をとっています。既に経営指針を策定している経営者が、自分の経験等に基づいて助言をしたり、策定の進捗を支援したりするという、ある意味贅沢なサポート体制です。アドバイザーの方は、貴重な時間を割いて、受講生が策定する経営指針のたたき台を読み込み、ミーティングの場に出向いて様々な意見や指導をして下さいます。もちろん無報酬です。私にも2名のアドバイザーの方が付いて下さっていますが、本当に感謝です。

このアドバイザー制度の重要な点は、言うまでも無く、アドバイザーとの人間的信頼関係です。各受講生の直接の担当として助言して頂くためには、まず、会社の内部環境、外部環境、問題点・課題、自分(経営者)の想い・人となり等、様々なことを理解して頂く必要があります。そのことにかなりの時間を割きました。様々な質問を受け、答えながら自分自身の考えや、会社の状況を把握していきます。質問されて、いかに自分が自分の会社のことを知らないか気づかされることがあります。しかし、そういった手間をかけるだけのことがあります。アドバイザーが当社のことや私の考えを理解してもらう分だけ、策定している経営指針への助言が的確になり、具体性を増すことにつながるからです。

経営指針の完成まで、繰り返しアドバイザーの方と議論する機会があります。その中で培われるアドバイザーの方々との人間的信頼関係、これもまた、このセミナーを受講することで得られる財産だと感じます。

2.フォローアップセミナーに参加することの学び~多くの経営者が集まる貴重な時間~

島根同友会の経営指針成文化セミナーでは、2日間のセミナーの後、3回にわたって「フォローアップセミナー」が開催されます。これは、同友会の経営指針が、経営理念、経営戦略、経営計画、の3つに大別されることにからめ、各回にテーマを設け(第1回目は経営理念、第2回目は経営戦略、第3回目は経営計画)セミナー後の各社における検討状況を確認し、よりよい経営指針とするための幅広い意見交換を行うものです。

フォローアップセミナーは、大変限られた時間なのですが、各参加者それぞれの想いや、アドバイザーからの意見を頂ける貴重な場となっています。たくさんの経営者の方々が貴重な時間を割いて集まって頂いている訳ですから、その時間を1分たりとも無駄にせず、学びや気づきを貪欲に収集する場にしたいと考えています。

惜しむらくは、島根同友会のアドバイザーのみなさんはやさしいというか、ソフトな方が多く、割とおだやかな雰囲気で進むということです。他県の同友会ではもっと厳しいやり取りが交わされると聞いています。よいところは良いと褒めればいいと思いますが、足りないところや甘いところは、もっと厳しく指摘し合い、それを真摯に受け止める。そういった流れを築くことがもっとできれば、さらに良い取組みになる気がしています。私も経営指針策定中の身ですから、そんなに偉そうなことを言える立場でもないですが、たくさんの経営者が貴重な時間を割いて集まる場です。指導を受ける受講者側だけでなく、参加するアドバイザー側にとっても気づきと学びのある場になれば、なお有意義な会になると考えています。

3.共に学ぶ仲間からの学び~意欲ある若手経営者が切磋琢磨し続ける~

今回の島根同友会の経営指針成文化セミナーは6名が受講し、これがいわゆる“同期”ということになります。一方、最近は島根同友会のメンバーでもフェイスブックを活用される方が多くなっています。そして、この同期の仲間の仕事ぶりや活躍の様子はフェイスブックを通じて日々伝わってきます。そういった様々な活動の様子を垣間見ると、自分も負けてはいられない、もっと頑張らねばと、発奮させてもらうことができます。業種も、年齢も、経験も異なる経営者どおしですが、同じ時期に経営指針を策定しようと決め、まじめに経営に取り組んでいる仲間から、日々刺激を受けつつ仕事に向えるのはありがたいことだと感じます。

そして、単に刺激を受けるということだけでなく、取り組みの方策を参考にさせてもらったり、同友会の例会で会ったときに相談したり、実践に向けて役に立つことも多々あります。それは、セミナーを通じてお互いの会社の実情や課題、財務状況、今後の方向性など、企業経営にかかる様々な情報を共有しているからこそ、より実践的な話し合いや、問題点・課題の指摘などが適切にできるということだと考えています。これは、前述したアドバイザーの方に当社の状況をよく理解してもらっていることと似通った面があります。

今回、集まったメンバーは、取り組み姿勢、熱意、人格、本当に素晴らしい経営者の方々ばかりです。これも一つのご縁です。このご縁を大切にし、活かし、お互いの経営の向上につながっていくよう努めていきたいと考えています。

私は、島根同友会に入会以降、毎月の例会をはじめ、様々な活動に参加させて頂き、都度、学びや気づきを得させて頂きました。入会後1年ほどの経験ですが、同友会の活動の中で最もオススメなのは、この経営指針成文化にかかる各種取組みだと感じています。経営指針成文化セミナーを受講することはもちろんですが、フォローアップセミナーや、成果発表会での報告には、経営にかかる様々なエッセンスが詰まっています。同友会会員のみなさんには、この場にもっと参画し、ぜひ役立てて頂きたいと感じています。

 

2011
12.16

協和地建コンサルタントは、「地中熱」を活用する事業分野に参入します。

東日本大震災と原発事故以降、今後、この国はどうなるのか、当社は何をすべきか、考えずにはいられませんでした。復興に向けて東北に出向いて地質調査等の仕事を手伝う、そういったこともあるかもしれません。が、世の中の構造そのものが変わってくることが間違いない中で、どうあるべきなのか。その自問自答への答えの一つが、「再生可能エネルギー」への注目の高まりです。そんな中、2011年10月に地中熱活用のフォーラムに参加する機会があり、取り組みの必要性を痛感しました。その後、2011年11月末には「地中熱」活用の推進団体である地中熱利用促進協会に入会するとともに、同協会へのヒアリングと、関東地方で地中熱活用に先行的に取り組まれている企業3社を回り、取組みの経緯や現状、今後の展望などについて調べてきました。

各社では大変親切に対応頂き、貴重な示唆を頂くことができました。地中熱利用促進協会(東京都)様、株式会社萩原ボーリング(山梨県)様、光洋土質調査株式会社(埼玉県)様、株式会社アグリクラスター(埼玉県)様、に大変お世話になりました。改めて感謝申し上げます。伺ったお話や情報に基づき、当社の地中熱への方向性として、次のような取り組みを計画しています。ここでその概要を報告し、自分自身へのコミットメントにするとともに、取組みを加速化させたいと考えています。

1.自社社屋への導入と特徴あるシステムの採用~まず自らやってみる~

2012年度に自社社屋に地中熱ヒートポンプによる冷暖房システムを導入します。

新しいことに取り組むにあたっては、自らが使ってみてその良さや仕組みを理解するのが近道です。「地中熱」という再生可能エネルギーが有望なエネルギーであることは間違いないと考えていますが、実際に使ってみてこそ分かることも多々あるでしょうし、お客様に勧めるにあたって自らが使っていなければ説得力がありません。島根県内の事業所で地中熱システムを導入した事例は少ないと考えられ、先駆けて導入しようとするものです。費用は経済産業省や環境省などの補助金事業を活用し、出来るだけ効率的な投資とする予定です。

なお、当社が想定するシステムは、地中熱を採取する地中熱交換井戸(深さ100m程度まで)、地中熱用のヒートポンプ、ファンコイルユニットと呼ばれる冷暖房を行う装置、で構成されるものを指しています。その中でも、地中熱交換井戸については、Uチューブと呼ばれるパイプに不凍液を循環させて熱交換するのですが、当社では、長年この地域で井戸掘削に携わってきた経験を活かし、井戸水を直接活用するようなシステムの採用も検討し、独自性を打ち出すことを考えています。

〔参考〕地中熱源空調システム(光洋土質調査株式会社)

2.施工能力を高めるための投資と連携~自分達でできる体制を整える~

地中熱交換井(ちちゅうねつこうかんせい)の掘削工事を迅速に行える体制を整えます。

地中熱はその名のとおり、その土地の地中から熱を取ります。その地中を掘削するのは、その地域の地質に精通した地域のボーリング会社であることがもっとも合理的です。当社はボーリングを行う会社ですから、地中熱を採取するための熱交換井の掘削に従来の技術や技能を活かせると目論んでいますし、だからこそやる意義があると考えています。

現在、当社が所有する機械でも掘削することは可能ですが、地中熱の事業に取り組むにあたっては、より短期間で効率よく掘削できる(短期間で沢山掘れる)設備(機械)が必要となります。我々が出来る仕事だし、我々がやるべき仕事です。今はその体制が十分ではないというだけです。これについては、遠くない将来、設備投資を行わなければなりません。

一方で、地方の中小企業ですので資金的には限界があります。最初から1社で全てをカバーするには困難なことも多々あります。そのためには、現在でも仕事をお願いする協力会社のみなさんと一緒になり、必要な設備を整えていくことも必要だと考えています。何社かが一緒になって仕事を造り、一緒になって仕事をこなして行く。そういう体制や協力関係を整えることも必要と考えています。

〔参考〕スーパープローブSP-8000(光洋土質調査株式会社)

3.地域における推進体制の構築~地域内で協力して推進していく~

地域の意欲ある企業が集まって推進していくことが必要と考えています。

「地中熱」は震災・原発事故以降、注目されている再生可能エネルギーの一つとして知名度が高まりつつありますが、太陽光・風力・バイオマスといったエネルギーに比べると知名度の低さは否めません。比較にならないぐらい低いといってもいいでしょう。

島根では、行政の施策においても未だ位置づけがありません。平成20年6月に島根県が策定した「島根県地域新エネルギー導入促進計画」においても、“地中熱”という単語は一回も出てきません。問い合わせたところ、今後の国のエネルギー政策の見直し動向を踏まえて、県としての方針を出すことになるため、現時点では位置づけが無いままであるとのこと。であるならば、民間が、地元の企業が中心となり、普及啓発に向けたうねりをつくっていくしかありません。

結局のところ、新規事業として地中熱に取り組むとしても、認知度が高まらなければ、市場が拡大しなければ、早晩、壁に突き当たることでしょう。だから、1社でやるのではなく、意欲のある複数の企業、団体などで構成する推進団体のような枠組を構築し、一体となって普及啓発から技術習得、実績づくりまでの取組みを進める必要があると考えています。推進体制の構築についてはまだ私の頭の中で考えるのみですが、前述の取組みとあわせて実行に移し、大きな流れを島根の地においても生み出して行きたいと考えています。

〔参考〕山梨県地中熱利用推進協議会のパンフレット

ところで、この地中熱への取組みを明確化しなければならないと考えたきっかけは、島根同友会の経営指針成文化セミナーに参加したことです。そのセミナーを通じて、現在、当社の経営指針(経営理念、経営戦略、経営計画)を策定しているのですが、将来に向けてどのような会社を目指すのかを考える時、世の中に求められ、夢のある・ワクワクする仕事を造りだす、という観点で今まで自分が考えてきたことを整理する機会を得ました。その答えの一つが「地中熱」です。経営指針の策定、それは会社のあるべき姿や理想を考えるだけでなく、具体的な行動としてどういった分野に取り組むべきなのかを気づかせ、意思決定させてもらえる機会にもなる。そんな場を与えて頂いた島根同友会に感謝しています。

2011
12.08

2011年11月島根県技術士会青年部会の主催で、オモシロ企画2011「捨てる?使う?見出す!?」~平成23年度島根県技術士会青年部会企画 産学交流会~が開催されました。

この企画は、平成19年度から島根大学及び松江工業高等専門学校(松江高専)と島根県技術士会との産学交流イベントとして実施されているもので、技術者を目指す学生を支援する目的で開催されています。これまで計5回開催されており、私は、2009年度に一度参加させて頂き、今回で2回目です。今年は、島根県松江市の松江高専を会場として開催され、今回の参加者は、島根県技術士会から15名、松江高専の学生が9名、日本技術士会中国本部青年技術士交流会から7名、という構成で、計31名の参加がありました。以下、その様子を整理しておきます。

1.仕事の基本を凝縮して疑似体験する交流会のプロセス

今回の企画は、技術者と学生とが単に交流すると言うだけでなく、”技術者が仕事を実施するプロセスを凝縮して疑似的に体験してもらう”という趣旨も含まれ、工夫を凝らした企画となっていました。よく考えられた企画で、島根県技術士会青年部で企画を担当してもらった株式会社イズテックの大坂さん他、準備に携わった皆さんには頭が下がります。

テーマは、『10年後にあると思われる技術を応用し、指定場所周辺で役に立つモノ(機械、装置、施設等)を考える』というものです。“指定場所”は、松江高専周辺の8箇所(JR松江駅、大橋川、宍道湖湖畔、恵曇港、など)がくじ引きで指定され、参加者は4名を1グループとして8グループに分かれて活動しました。

今回の企画の“ねらい”について企画書から抜粋させてもらうと、『あるテーマについてグループで議論し、学生と技術士との交流を図る。その中で、現状の把握→課題・問題点の抽出→解決策の提案→成果の作成・発表、という、技術者が普段やっていることを学生に体験してもらう。それらに加えて、達成のためのスケジューリング、プレゼンテーション、コミュニケーション、なども体感してもらう。』とされています。

技術者の集まりですから、“技術者の仕事”という視点になっていますが、現状把握から問題解決の提案に至る流れは、技術者に限らず、あらゆる仕事の基本といってもいいでしょう。そこに、時間的な制約やプレゼンなどの要素を加えることで、ケーススタディとしての現実味や緊迫感を増しています。さらに進め方や内容を練り上げることで、技術士会としての行事だけでなく、企業における研修の一パターンとして活用できる可能性もあるのではないかと感じたところです。

各グループによる提案検討の様子

2.コミュニケーション力・プレゼンテーション力は学生生活でも必須の能力

今回、私も検討グループの1つに参画し、松江高専の学生さんと一緒に、現地を見て回ったり、アイデアを検討したり、プレゼンテーションを行ったりしました。率直に感じるのは学生さんたちのレベルの高さです。こういった行事に参加すること自体、意識が高いとは思いますが、話し合いや意見交換、プレゼン作成の作業などに積極的に参加する姿勢には大変好感が持てます。

個別の能力面で目を見張るのが、まず、プレゼンテーションツールの技術です。ツールとしてのパワーポイントの使用はもはや当たり前。どこまで使いこなすか、という段階にあります。学生生活においても必須のツールとなっているようで、こういったツールを日々使ってレポートや発表を行う訓練を繰り返せば、卒業までにはかなりの力が付くのではないかと感じます。

コミュニケーション力についても、本当に自然に議論ができます。松江高専の学生のみなさんは20歳~22歳、一方、島根県技術士会や日本技術士会中国支部からの参加者は40歳前後の方が多かったでしょうか。20歳以上年が離れているおじさん達相手でも、物おじすることなく、自然にやり取りして提案をつくり上げる。彼らにとっては当たり前のことかもしれませんが、むしろ大人の我々が認識を改め、コミュニケーション力を付けなければならない。そう考えた方がよいのではないかと感じました。

各グループのプレゼン(発表者は高専生)

3.肩の力を抜いて自由な発想で自分達の仕事を見つめ直す

今回、私が参加したグループに指定された場所は、一畑電鉄の「イングリッシュガーデン前駅」でした。ローカル私鉄の一畑電鉄の駅で、日頃、訪れる機会はほとんどないところでした。そんな場所を改めて確認し、今後実現化するであろう技術を活かした提案を行う。仕事でもなく、誰に頼まれた訳でもなく、純粋に、地域に、そして環境に貢献するものを考えてみる。そんないい機会を与えて頂いたと感じています。私のグループは「駅ナカ地熱バイナリ発電システム」という提案をまとめました。駅構内の敷地で地熱発電を行い、一畑電車の運行電力を賄うとともに、駅駐車場で電気自動車などに電力供給を行ってパークアンドライドなどを推進しようというものです。実現性はともかくとして、「優秀賞」を頂くことができました。

さて、この他、計8つのグループの提案は、参加した技術者が携わっている仕事に関わる技術に関した提案が多かったように感じました。“10年後にあると思われる技術”を使うことが与えられた課題ですから、自分の携わっている技術の10年後を考え、与えられ場所における提案に当てはめてみるのは当然の流れではあります。こういった発想は日頃の仕事の中でも持ちあわせていてもよいのではないかと感じますが、日々の仕事に追われると、そのような時間を持てないのも実態だと思います。それに気づかせてもらえる機会だったと感じています。また、他のグループの提案を見比べながら、世の中の今後どう変わっていくのか、様々な着眼点から多様な見方があることを知る機会にもなりました。

たった1日の企画ではありましたが、日頃中々考える機会を持てない思考をさせて頂く、貴重な機会となりました。企画をして頂いたみなさんに改めてお礼を申し上げたいと思います。

一畑電鉄イングリッシュガーデン前駅

今回、松江高専の学生さん達と一緒に大変有意義な時間を過ごさせて頂きましたが、惜しいのは、この優秀な学生のみなさんの多くが県外に就職してしまうということです。大学と異なり、高専は基本的に島根出身者です。島根で育ち、学んだ優秀な学生の大半が県外に出てしまうという状況は、大変残念なことです。その状況を改善するためにも、優秀な地域の学生をたくさん採用できるような企業にならねばならないし、そういった企業を増やさなければならない。企業経営者のはしくれとして、優秀な学生の雇用の場、活躍の場の確保の必要性について、改めて感じさせてもらう機会にもなりました。

2011
12.02

2011年11月25日、2011年度島根経営品質研究会 特別講演会が開催されました。

テーマは、「人が輝く、笑顔が輝く、最幸の組織づくり」と題し、ネッツトヨタ南国ビスタワークス研究所所長 大原光秦さんを講師に招いて開催しました。大原さんは、島根経営品質研究会の特別講演会講師として4年連続お向えしており、島根における経営品質向上活動に対してご支援頂いています。

ネッツトヨタ南国のある高知県は、島根県と同様に若者の県外流出、少子高齢化、といった課題を全国に先がけて抱えている県です。その地域で若者の雇用の場の創出や教育といったことにこだわり、熱意を持って活動されている大原さんのお話は、中小企業を取り巻く実情がよく似ているだけに、説得力があります。さらに、4年間にわたる来訪の経験から島根の実情も踏まえた上で講演して頂ける内容は、都市部から講師を向えて話を聴くのとは異なって、腑に落ちることばかりです。講演内容全体を網羅することはできませんが、その一部を整理しておきます。

講演する大原光秦さん

1.「お客様満足」と「仕事」との結びつき~“仕事”とはお客様の共感を得ること~

今回の講演の中で、「お客様満足」と「仕事とは何か」ということが、どう関連しているのかについて時間をかけて話をして頂きました。これは非常に分かりやすく、本質をついていると思うので、整理しておきます。まず、“お客様満足”と呼ばれる「満足」にも区別(レベル)があるということ。

ア)損得のレベル~どうせなら楽に、安く買いたい…相対的なお買い得力(ドラッグストア、ネットショップ)
イ)嗜好のレベル~どうしてもそれが欲しい…絶対的なブランド力(各種ブランド品)
ウ)共鳴のレベル~ぜひともあなたから買いたい…圧倒的な親切さ、想いやり、一生懸命さ など

そして、この損得や嗜好といった領域では、満足・不満足という評価が現れるが、共鳴という領域に達すれば、満足・不満足という範疇を超えた、「幸福」をお客様は感じている。我々のような地方の、中小企業が目指すべきはそこではないかという話です。一方、仕事をする側の意識、考え方も次のように整理されました。

ア)作業のレベル・・・決められたとおり正しくする(規則本位)
イ)趣味のレベル・・・自分のやりたいことを追求し、上手に上手くやる(自分本位)
ウ)仕事のレベル・・・今出来ることをやり、お客さまを笑顔に、そして幸福にする(お客様本位)

すなわち、仕事とは自分にできることを一生懸命やり、売り手(自分)よし、買い手(お客さま)よし、さらに世間よしという環境をつくる。それが実現できている状態が、“やりがい”を感じる状態だということです。このお客さまの満足と、仕事をする側の意識を関連付けると、次のようになります。

ア)損得(手軽に買いたい)⇔作業(手軽に稼ぎたい)
イ)嗜好(欲しいものが買いたい)⇔趣味(好きなことがしたい)
ウ)共鳴(あなたから買いたい)⇔仕事(幸せにしたい)

つまり、お客様に提供する商品、サービスについて、お客様から“共鳴”して頂けるということ。それができてはじめて仕事。それが出来ているのかを意識しながら仕事をすべきということです。私も、色々な場面で「仕事だから」という言葉を使います。しかし、その仕事は本当に“仕事”だったのか、常に問いかける姿勢が必要だと感じたところです。

2.「場」づくりの大切さ~人間は場に飲まれてしまう~

今回のセミナーの最後のまとめとして、“場”づくり、の大切さについて話がありました。

“場”という言葉の概念、企業にあてはめれば企業風土、組織風土、と言ってもいいのかもしれません。そして、人は場にのまれてしまう、ということ。確かに、いい意味でも悪い意味でも人は環境に順応してしまいます。厳しい職場で育てば厳しい社員が育つし、ダレた職場で育てばダレた社員が育つ。だから、いい職場では、いい社員が育つ。人が育つ場をつくるのは、経営そのもの。経営者の重要な仕事です。では、その場(職場)をどうやって作るのか。

例えば、今回の講演会は大変気づきが多く、有意義なお話をたくさん聞くことができました。受講した直後は、その影響を受ければ、“やらねばならない”、“変わらなければならない”と思うものです。私も良くそう思います。しかし、そういう感覚は持って3日、というお話もされました。それ以上経てば、よほどのことが無ければ元に戻ってしまう。そうならないためにも、“場”が大事だと言うことです。

その答えの一つが“鍛錬する仕組み”ということです。まず、“クセ”と“習慣”の違いについて話がありました。いずれも無意識のうちに出るものですが、習慣は有能でクセとは無能なもの。これを毎日の「鍛錬」によって意識的で有能なものに変えていく。そのための「仕組み」が必要だということです。概念的ではありますが、前述の“共鳴”、“仕事”ということについて常に意識し続けられるような鍛錬の場と、仕組みを整えることが必要です。それは経営者の仕事に他なりません。

3.人間関係の質を高める“ビジョナリー・スパイラル”へ

講演の最後に「ビジョナリー・スパイラル」という好循環を形成することの大切さについて話がありました。前述のとおり、“人が育つ場をつくる”ということは経営そのもの。そして人が育つ環境とは、「人間関係の質」が高い環境だということです。特に、同僚から育てられるという環境が重要だということ。よく「お客様に育てられた」という話がありますが、それはゼロでは無いにしても、実は、毎日顔を合わせて一緒に仕事をする同僚にから受ける刺激の方がよほど多く、同僚との人間関係の質が高いほど、良い社員が育つというのが実際のところだというお話です。

そして経営側のスタンスとしては、最初から結果を問うのではなく、まず、人間関係の質を高めるところからスタートする。その結果、思考が変わり、行動が変わり、結果が変わる。そのことにより人間関係の質がさらに高まり、さらに思考が変わる。この循環を「ビジョナリー・スパイラル」と呼ぶそうです。これに対して、結果ばかりを求めると、行動が抑制的になり、思考がマイナスになり、人間関係の質が低くなる。そして結果も悪くなる。この悪循環を「サバイバル・スパイラル」と呼ぶそうです。

伸びている会社というのは、このビジョナリー・スパイラルの循環が出来ている会社ということになります。私が社長に就任した時の当社は、間違いなくサバイバル・スパイラルにハマっていました。そして今、サバイバル・スパイラルの負の循環を止めるところぐらいまでは出来ているのではないかと思っています。これをビジョナリー・スパイラルに替えていくためにはどうすればいいのか。特効薬はないでしょうが、前述の“場づくり”と並行しながら、少しずつ変えていく、変わっていくしかないと考えています。

事情で仕事をするのか、目的で仕事をするのか

島根経営品質研究会の特別講演会、この数年、大原さんにお越しいただきお話を伺っていますが、毎回、たくさんの気づきを得られる大変貴重な機会となっています。経営者だけでなく、職員が受講しても大きな気づきを得る機会にもなります。それは仕事、そして人生を生きる、といったことの本質をベースにして常にお話をして頂けるからではないかと考えています。今回の学びを実践できる“場づくり”に向け、当社なりに一つ一つの取組みを進めたいと考えています。