2012
03.29

社長の温泉めぐり43 美都温泉(湯元館) 島根県益田市美都町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回42箇所目は、島根県益田市美都町の「美都温泉 湯元館」です。訪問日は、2012年3月27日です。美都温泉は、益田市美都町にある日帰り温泉施設ですが、道の駅サンエイト美都にも近接しており、周辺には民宿も立地する等、周辺エリア一体が美都町の観光拠点となっています。ちなみに、美都温泉は島根県内で唯一「温泉ソムリエがいる温泉施設」として、温泉ソムリエ協会公式サイトにも掲載があります。

美都温泉湯元館 施設外観

泉質は、アルカリ性単純温泉で、PHが8.8と高めなのが特徴です。源泉温度は33.5℃なので加温されており、かけ流しと循環式を併用した温泉となっています。一部循環式ではありますが、営業時間中の循環には塩素を用いない光触媒殺菌装置を採用しており、循環式の温泉施設にありがちな塩素臭は一切ありません。循環量とかけ流し量のバランスも適度に保たれており、アルカリ性温泉の特性である皮膚のヌメヌメ感が直ぐに現れます。その他、衛生面に関する説明が施設内のいたるところで丁寧に行われており、その誠実さに好感が持てます。

温泉の成分分析上は“アルカリ性単純温泉”となるため、分析書に記載される適応症に特別なものはありません。しかし、実際の成分としてはナトリウムイオンと炭酸水素イオンの含有量が比較的高く、また加水もされていないため、ナトリウム‐炭酸水素塩泉の特性がみられると考えられます。適応症としては、切り傷、火傷、慢性皮膚病などの改善が期待されますし、皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流す石鹸のような効果も期待できます。高いPHと相まって、美肌の湯としてのポテンシャルが高いと言えます。もちろん、単純温泉ならではの柔らかい湯あたりも特徴であり、誰にでも入りやすい温泉と言えます。

内湯は、天井も高く広々とした浴室内で、開放感もあります。風呂は、シンプルに岩風呂風の浴槽が一つだけですが、これがかなり広々としており、ゆっくりと浸かることができます。この浴槽の周囲にはジェットバスの吹き出し口が取り巻くように配置されているのも特徴的です。ただ、岩風呂風で座面に様々な大きさの石が配置されている関係で、ジェットバスの吹き出し口の高さがまちまちで、やや使いにくい(気泡が腰など上手くに当たらない)場所もあるように感じました。

内湯のほかには、露天風呂があります。露天風呂も岩風呂風で、内風呂よりは小さめですが、深めの湯船になっており肩までゆっくり浸かれます。また、露天風呂も内湯同様周囲にジェットバスが配置されており、これは珍しいと思います。また、風呂全体をカバーできる大型の六角形の傘型の屋根が付いており、天候を気にせずに露天風呂を楽しむことができるようになっています。

洗い場は9箇所、リンスインシャンプーとボディソープが備えてありました。仕切りは無いタイプですが、うち3箇所は仕切りの代わりに大型のしっかりした手すりが洗い場の間に設置されており、高齢者の方等でも使いやすいように配慮されています。また、2箇所のシャワーコーナー(仕切り付)があり、ここでは少し座の高い椅子が備えてありました。座りながらシャワーを使えるようになっており、これも高齢者の方向けの配慮でしょう。洗面は3箇所ありましたが、ドライヤーは2つのみ配置されていました。気になったのは、建築上の制約でしょうか、洗面台の正面には鏡が無くサッシ窓となっており、(苦肉の策として?)洗面台の横に鏡が取り付けられていました。男性用であればそこまで苦情も出ないかもしれませんが、女性用もこのようになっていると使い勝手が悪いと思います。

施設内フロント付近の様子

ロッカーは50個程度ありますが、変わっているのは、ロッカーのカギを抜くために、小さな紙のカードを差し込む必要があるということ。受付時に渡されるのですが、私は初めて体験するシステムでした。聞いてみると、元々、受付時にロッカーのカギを渡す仕組みだったようですが、これだと、使うロッカーの場所が特定されてしまいます。一方、利用者の方からは「高い場所、低い場所、隅の方、など自分の好きの場所のロッカーを使いたい」という要望があり、その対応としてロッカー設備の更新にあわせて採用したそうです。説明を受ければ“なるほど”と納得する面もありますが、このシステム自体を説明する手間もかかり、またカードも小さく高齢者の方等は扱いにくいのではないかという気もして、“良し悪し”という印象です。この施設の入浴料は大人400円です。島根県内の他の施設との比較で考えても、おてごろで良心的な価格設定といえると思います。

私が訪れたのは、平日の午前中でしたのでさすがに閑散としているかと思いきや、高齢者の方を中心にかなりの賑わいでした。受付で聞いてみると常連利用の団体のお客さんだったようです。和室で広々とした休憩コーナーも、高齢者の方々がくつろぐのに適しており、当日も風呂上がりにゆっくりされている方々がたくさんいらっしゃいました。ちなにみ、この温泉の泉源は、施設をすぐ出た脇にあります。現在は「お湯かけ地蔵」として泉源を石で囲ってモニュメントのようにしてあります。この手の入浴施設の場合、施設と泉源は結構離れていることが多いのですが、これだけ近くにあるのは珍しいと思います。

売り出し中の特産品「ゆずサイダー」

美都町は「ゆずの町」として知られ、ゆずを使った特産品がたくさんあります。この温泉施設やお食事処、道の駅を運営する会社が商品開発した『ゆずサイダー』は、全日空の機内販売でも採用された隠れた名産品です。この施設のほか、益田市内の特産品売り場などで買い求めることができます。温泉とセットでこういった新しい名産品をセットで売り出していくということも今後の温泉活用、地域活性化の一方策として有効だなと感じたところです。

2012
03.21

2012年3月17日(土)、この日は、協和地建コンサルタントにとって新しいステージへのスタートラインに立つ、節目の日となりました。島根同友会の経営指針成文化セミナーを経て、2012年新年のご挨拶にて表明した、「協和地建コンサルタント株式会社 経営指針発表会」を開催しました。当日は、当社役員、社員に加え、金融機関のみなさん、協力会社のみなさん、その他当社の発表会を聞きたいと駆けつけて頂いたみなさん等、総勢41名を前に経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を発表しました。発表会を開催してみての私の感想、振り返り、今後への決意などをまとめてみます。

経営指針を発表する社長

1.同じ時間を共有することの大切さ

今回の経営指針発表では、ほとんど全て社長である私が話をする形式でした。参加者の方は一方的に話を聴くスタイルとなります。このことについて、発表会前にある経営者の方に聴いてみたことがあります。聴くばかりでは窮屈ではないか、飽きてしまわないかということが気になったからです。その際の答えは「一緒に話を聴いたという事実が大切。時間を共有することが大事ですよ。」というものでした。少し気が楽になるとともに、その言葉の意味を考えながら、発表会当日を過ごしました。

実際のところ、発表会当日は、当社の役員、社員は全員参加し、さらに、4月から新卒で入社する予定の方、定常的に仕事をお願いしている協力会社のみなさんにも同席して頂き、一緒に話を聞いて頂きました。これから一緒に仕事をしていく仲間が、一緒の時間を過ごし、同じ話を聴く。これまでの当社にはその時間がありませんでした。これを実現できたことだけでも、開催したかいがあったのではないかと考えています。

そして、前述の経営者の方の言葉の意味するところについて改めて考えてみると、発表会での説明は、参加者である共に働く仲間たちの心の中にそれぞれの形で記憶されます。そして、「あの時社長がこう言っていた」「あの時こういった説明があった」、という形で、仕事の中、協議や打合せの中、雑談の中、で思い起こされ、話され、共有され、少しずつ共通認識が深まってくる、ということではないかと理解しています。そして、その現象は一緒の時間を過ごさなければ起らない。その意味でも、社員のみなさんには休日にも関わらず参加をしてもらい、また協力会社のみなさんには遠方の方も含めて無理を言って参加して頂きました。そのことに改めて感謝したいと思います。

発表会会場の様子

2.社員の想いや意見をくみ上げ、共有する機会

今回の経営指針発表会の開催にあたり、「経営指針策定にあたっての職場アンケート」という社内アンケートを実施しました。

このアンケートは、問1.何のために仕事をしているか、問2.自分の幸せとは、問3.大切にしている価値観や人生観、問4.社会に対する協和地建コンサルタントの役割・存在意義とは、問5.働きがいのある会社とは、問6.会社への期待・お願い、といった設問で実施しました。中々答えるのが難しい設問だったと思いますが、積極的に回答して頂き、結果、様々な気づきを得ることができました。

一つ紹介しますと、「問1.何のために仕事をしているか」という設問に対しては、ほとんどの社員が「生活のため」と答えました。考えさせられる回答です。誰しも給料を得て生活していくために働くことは間違いありません。しかし、それは働く目的ではなく事情です。給料のために働くと言うなら、生活に困らなくなったら働かないのか。さらに言えば、そういう気持ちで働いている社員の会社と、地域のため人々のために役立つ仕事をしたいと考えて働いている社員の会社、同じ仕事をしているとしたら、どちらが選ばれるのか。どちらが発展するのか。答えは明らかでしょう。

であれば、我々が取り組むべきは、3年後、或いは5年後に同じ質問したときに、仕事の目的を答えられる社員がたくさんいる会社です。そうしなければならないと強く感じさせてもらえる良い機会となりました。経営指針策定にあたりアドバイザーをして頂いた、明石屋株式会社の明石代表取締役の助言を受けて実施したものです。本当にいい助言を頂きました。この場を借りて、お礼申し上げます。

交流会で4月から新卒入社予定の2名を紹介

3.社員をねぎらい、感謝の気持ちを伝える

今回の発表会は、経営指針の内容を説明する発表会と、参加者による懇親の場としての交流会、の2部構成としました。その際、それぞれにおいて、社員に対して社長としての感謝の気持ちを伝える機会をつくりました。発表会においては、社員表彰の形態、交流会では、社員紹介に際してお礼を述べる、という形で設けました。

このことの前振りとして、私自身が、人に対して、あるいは世の中の様々な物事に対して“感謝の気持ちに欠ける”という人間的な未熟さを有しているということがあります。社員に対していえば、「“やってくれてありがとう”ではなく、“そのぐらいやって当たり前だろ”」的な感覚といえばいいでしょうか。このことは、自覚はしていますが、長年身に染みついた性格なのか、変えることができないでいます。しかし、詳しい紹介は省きましたが、前述のアンケートの問5、問6の回答でも、“会社が社員に対して感謝の気持ちを有していない”、という経営風土を社員が強く感じ、その是正を求める回答が多く見られました。だからこそ、実践の行動で感謝の気持ちを示すことを習慣化し、まず自分自身が変わり、それを会社の風土にまで高めていかなければならないと考えています。

社員表彰では、今期業績の柱となった温泉開発案件で長期間にわたり現場に駐在し、安全に仕事を完了まで導いて頂いた社員を慰労しました。また、我々の業界で重要な「技術士」という難易度の高い資格があるのですが、その資格を取得した社員をお祝いの意味を込めて表彰しました。そして、交流会では、会の最後に当社の役員、職員全員を会場前に招き、一人ひとりの紹介と、日頃の仕事や取組みへのお礼を述べました。普段、中々面と向かって伝えることのできない気持ちを、自分なりの言葉で伝えました。伝えきれたからどうかは分かりませんが、私自身の気持ちが変わるきっかけにはなったのではないかと感じています。

この“感謝の気持ち”は、新しい経営理念の中にも文言として盛り込んであります。私自身へ言い聞かせる意味合いも込めて、社内に根付いて行くことを願っています。

交流会後の全員集合写真

経営指針発表会、初めての開催でもあり、意を尽くせなかったところもあります。しかし、現時点で私が思っていること・考えていることは伝えることができたのではないかと思っています。後は、経営指針で示したことの実践、そして実現を目指し、邁進していくだけです。そして、今回の経営指針は、社長である私一人でつくりました。来年以降の経営指針は、少しずつでも、社員が参画しながらみんなでつくり上げていくことができるようにしていきたいと考えています。そのことをお約束し、報告を締めくくります。最後に、ご参加頂いたみなさん、そして発表会を支えて頂いた社員のみなさんに改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

2012
03.16

2012年2月29日、地中熱利用促進協会主催の「平成23年度第2回地中熱利用シンポジウム~地下水利用型地中熱システム~」(於 東京大学 駒場キャンパス 理想の教育棟)が開催され、参加してきました。地中熱利用促進協会では、年2回程度の地中熱に関するシンポジウムを開催しています。再生可能エネルギーへの注目が増す中、参加者は年々増え続けているようです。

今回のテーマは、「地下水利用型地中熱システム」です。現在普及している地中熱のシステムは、地中にUチューブと呼ばれるパイプを埋設し、その中で水又は不凍液を循環させ、地中の熱との熱交換を行うタイプが主流ですが、地下水利用型システムは自噴している地下水、又はくみ上げた地下水から直接熱交換を行うものです。Uチューブを使うタイプに比べて熱交換の効率が高く、高い主力のヒートポンプを動かすことができる一方、地下水資源の枯渇につながるという問題や、地下水放流や還元に伴う環境への影響等の課題もあります。

今回のシンポジウムでは、地下水利用型の地中熱システムことのみならず、地中熱活用に関する様々な先進事例、今後の方向性について学ぶことが出来ました。その概要を整理しておきます。

開会前の様子(東京大学 駒場キャンパス 理想の教育棟)

1.ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の中核に地中熱システム

シンポジウムの特別講演で、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)という聞き慣れない言葉が出てきました。しかし、これは地中熱システムの将来性や今後の展開を期待させる大きなキーワードの一つです。

ZEBの定義は、「建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる建築物。」というものだそうですが、簡単に言えば、省エネの徹底や再生可能エネルギーの多面的な利用などを組み合わせ、建物の運営・維持に係るエネルギーを建物の中でつくるエネルギーで±0にする、ということになります。平成21年11月には、経済産業省(資源エネルギー庁)が、我が国の建築物のZEB化に向けた報告書を取りまとめており、建築物のZEB化に向けたビジョンとして、「2030年までに新築建築物全体での実現」ということを掲げています。要するに、2030年においては、新築の建築物はすべてZEBにしようという話で、かなり踏み込んだ提案になっているようです。

そして、このZEBの実現に向け、“中核的な技術の一つとして地中熱がある”、という訳です。すでに米国や英国では国策としてZEBの推進が図られているようで、我が国においても推進の流れは出来つつあり、その中で地中熱がさらに注目されてくることは間違いありません。非常に夢のある、そして現実として対応していかなければならないと認識させられる話を聞くことができました。

2.地下水利用地中熱システムからみる、地中熱の可能性と課題

今回のシンポジウムのテーマである地下水利用地中熱については、全国各地の事例紹介がありました。

石川県金沢市の福祉施設への導入事例では、RC造4F、7,000㎡、150床の病院施設への地下水利用地中熱システムの導入について報告があり、施設全体で約20%のエネルギー利用料の削減が実現されたとの説明がありました。重油使用のボイラーで給湯、暖房していたものを、冷房もまとめて水冷式のヒートポンプでカバーしたという事例です。全体のエネルギー削減量という観点もさることながら、現在重油を使用している給湯や暖房は、原油の高騰などに代表されるようにランニングコストの長期的なコストアップが懸念されます。さらにはCO2の問題なども含めると、この“重油ボイラーから地中熱への切り替え”が、非常に有効性や将来性のある分野ではないかと、認識を新たにしました。

森ビルにおける都心部の再開発事業における地中熱導入では、“検討の結果採用を見送った”という事例紹介がありました。都心部の高層ビルの場合、限りある敷地を高層利用するため、熱交換井のボーリング工事が制約を受けることや、そもそも敷地が限りあるため熱交換井の掘削本数が限られ、ヒートポンプの容量が限定されてしまう。その結果、地中熱導入の施工費を省エネ化による削減費用で回収できにくい、という課題があるようです。地中熱も万能ではなく、対象とする建物や敷地の状況によって他の再生可能エネルギーを使い分ける必要があると感じたところです。

3.地方部の会社こそ注目すべき地中熱への取組み

今回、地下水利用地中熱について3件の事例発表がありましたが、長野県、石川県、山梨県、という地方部における取組みの発表でした。そして、その取組みの中心になっているのが、地方の中小企業です。特に、我々のような地質調査やさく井工事などを手掛けている会社が積極的に地中熱に取り組んでいます。

私は、地中熱への取組みは、これまでボーリング技術を用いて地質調査やさく井工事に携わってきた技術者、技能者の新しい活躍の場の創出につながり、かつ、再生可能エネルギーの活用という喫緊の課題にも対応できる分野との認識から、必ず取り組まなければならない領域と考えています。今回のシンポジウムでの発表、懇親会での交流などを経て、全国各地、特に地方部で地中熱に取り組まれている企業の方々も同じような認識でいらっしゃるのだということを実感しました。

ふだん、島根県に居て、従来からの仕事に追われていると中々見えてこないことがあります。こういった全国大で開催され、各地から地中熱に先駆的に取り組む企業が集まる場に出向くことで、やるべきことが見えてくるのだと改めて感じたところです。

地中熱は、日本中どこでも活用できる熱エネルギーであり、だからこそ、地方の企業が中心になって取り組む必要があると考えています。その一方、地中の“熱特性”は全国どこでも全く一緒ではない、という話も伺いました。今回のシンポジウムのテーマとなる地下水利用という観点も含めれば、地域毎に大きく環境は異なりますし、同じ地域でも敷地が異なれば違う場合もあります。だからこそ、地域に根差し、地域に精通した企業が取り組むべき領域だと考えています。

懇親会の様子

これまで我々は、地中の地質特性に着目した仕事をしてきましたが、このノウハウに、地中の“熱特性”という観点を加え、それを分析・提案する能力が、この地中熱活用には求められます。その地域に即した熱利用のあり方を、地中の熱特性に合わせて最適な提案を行う能力、これが今後の地中熱活用を活性化させるキーポイントになると考えています。その提案ができる会社を目指し、新しい技術の研鑽、ノウハウの蓄積に取り組んでいきたいと考えています。

2012
03.08

社長の温泉めぐり42 みなと温泉(ほのかみ) 鳥取県境港市

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回42箇所目は、鳥取県境港市の「みなと温泉 ほのかみ」です。訪問日は、2012年3月4日です。みなと温泉は、境港市の夢みなとタワーに隣接した温泉施設で、旧名称は、みなと温泉館。このたび、2011年12月23日に名称も「みなと温泉ほのかみ」と改め、リニューアルオープンした施設です。このエリアは、1997年に開催された「山陰・夢みなと博覧会」の跡地活用として博覧会の際に整備された「夢みなとタワー」を中心に、境港さかなセンターや夢みなと公園などが整備され、海辺の観光拠点となっています。

みなと温泉ほのかみ 施設外観

泉質は、ナトリウム-塩化物泉で、塩化物イオンに特化した成分構成となっています。成分総計も2.6g/kgと、ほどほどの成分量です。口に含むとやや塩味がします。近傍の皆生温泉も塩化物泉ですが、ここは皆生温泉ほど成分濃度が高くありません。その分、湯あたりしにく、入りやすい温泉と言えます。また、皆生温泉と異なりアルカリ性温泉なので、風呂に浸かるとすぐに体にヌメヌメとした感覚が現れ、アルカリ度の高い温泉独特の入浴感も味わえます。

施設は本館と別館に分かれ、リニューアル前からある本館は、内風呂と露天風呂から構成されています。浴室内はタイル張りで銭湯風のしつらえ。壁一面にタイルで描かれた白鳥が昭和の風情を醸し出します。浴室内は特にはリニューアルされていないようで、新しくなった受付やロビーとのギャップはありますが、それも趣の一つでしょう。風呂は比較的大型なので、多少人数でも隣を気にせずゆっくりお湯に浸かることができます。また、深さも結構あるので、肩までしっかり湯に浸かりたい方にはいいと思います。一部にジェットバスが付いています。その他には、サウナと水風呂があります。サウナは比較的広めですが、目に付いたのは水風呂がかなり大きいこと。これはレイアウト上の都合だと思いますが、4~5人は一度に入れそうなサイズです。水風呂好きの方にはいいかもしれません。洗い場は8か所。仕切りは無いタイプで、間隔もやや狭め。ボディソープとシャンプーがありました。

露天風呂は岩風呂風のつくりで、日本庭園風の石灯籠などもあります。(確認はしていませんが)露天風呂部分は、新しく改修されたのではないかという雰囲気です。ホームページによれば大山も見えるということでしたが、この日の男湯側からは見えませんでした。

脱衣場のロッカーは50個程度。縦長のタイプですので使い勝手はいいと思います。ただ、少しさびが見えたりするなど、古さを感じる面もあります。洗面は3箇所で、ドライヤーは2つ備えてありました。水飲みが設置してあり、入浴前後に水分補給ができるのはいいと思います。

ロビー、休憩コーナーの様子

エントランスからロビー、休憩室のあたりはリニューアルに伴い、一新されているようです。高級感のあるフロントやカウンターやテーブル席、奥には座敷の休憩コーナーなど、広さはさほどありませんが、うまい空間づくりがなされています。こういった施設によくある土産物コーナー等が無いので、シンプルですっきりとした印象を受けます。また、ロビーの一角に女性専用のパウダールームというエリアが整備されています。(当然ながら)中は確認していませんが、女性客を意識した配慮も最近リニューアルした施設ならではです。

入浴料は大人500円。ほどほどの価格設定ですが、近傍の皆生温泉にある日帰り温泉施設と比較すると、OUランドが350円なので、少し高めの設定でしょうか。ちなみに、日帰り温泉オーシャンは1300円(会員900円)ですので、ターゲットが異なりそうです。また、今回は利用していませんが、2011年12月にリニューアルされたときに別館が増築され、目玉として10室の家族風呂が新設されています。みなと温泉の新しい“売り”として、陶器、さわら(ヒノキ科の針葉樹)、タイルなど趣の異なる様々なタイプの風呂が準備されているようです。機会があればそちらも利用してみたいです。利用料金は45分で1800円。この値段設定、あくまで価格だけの比較ですが、先ほどのOUランドの家族風呂は、40分で1500円、日帰り温泉オーシャンは40分~、2500円、という設定です。これらの中間的な価格設定というところでしょうか。

新設された家族風呂のある別館

近傍に皆生温泉という山陰を代表する温泉地をひかえ、その中で特徴を出しながら“みなと温泉らしさ”を出そうと努力をされている様子がうかがえます。訪問したのは日曜日の午後ということもあり、中々の賑わいでした。家族風呂目的での来湯した方も多いように見受けられました。リニューアルからまだ間もないということもあるでしょうが、新設の家族風呂を中心に、隠れたおすすめスポットと捉えられているのかもしれません。この家族風呂という形態。米子、境港ではかなり充実してきていますが、松江市内ではほとんど見かけません。これから多くなってきそうな温泉利用の形態で、この施設が今後どこまで人気がでるのか、気になること頃です。

2012
03.01

島根経営品質研究会の活動の一環として、昨年に引き続き「株式会社さんびる」さん(以下、「さんびる」と記載させて頂きます。)の第36期経営方針発表会及び創業祭(2012年2月25日開催)に参加させて頂きました。

さんびるは、山陰を中心にビルメンテナンスや指定管理、教室運営など、様々な事業を展開されるとともに、すばらしい経営に取り組まれている会社です。昨年に引き続き、大変大きな学び、気づき、元気を頂きました。今回、2年連続参加させて頂いたことで気づいたことを中心に書き記しておきます。このため、発表会全体の様子は、昨年の参加報告をご覧頂けると幸いです。

ところで、さんびるでは、役職員全員をフルネームで呼び合います。「社長」とか「部長」といった呼び方はしません。このため、このブログでも、さんびるの代表取締役社長は田中さんですが、“田中社長”ではなく、“田中正彦さん”とフルネームで記載しています。

経営方針発表会の様子(壇上は田中正彦さん)

1.深化する経営方針~試行錯誤を経て、社員と一緒につくり上げる~

さんびるでは、経営方針は、「経営方針書」という一冊の手帳にまとめられています。経営は全てのこの経営方針書に基づいて進められ、“マネジメント”と呼ばれる社員(現場で清掃作業などに携わるワーカーの方と区別する意味でこう呼ばれるようです)全員がその手帳を常に携帯されています。この手帳形式というスタイルは最初からそうであったのではなく、試行錯誤の結果、現在のスタイルに落ち着いているようです。これは株式会社武蔵野さんのスタイルをまねているものだとも聞きました。

そして、今回、発表会の説明の中で、田中正彦さんが、最初に経営方針書を作成された時のことを話されました。それは、平成8年、A4判32ページで作成されたそうです。それを作成した時のことを振り返り、田中正彦さんは「自画自賛、どうだっ、という気持ちだった。しかし、独りよがりの経営方針書だった。」と話されました。そして、全職員に配布したものの、その後どこに行ったか分からない。1年後、自分自身のものもどこに行ったか分からなくなったという失敗談を語って下さいました。それが今は、様々な項目を社員と一緒につくり上げることができるスタイルになった。そこまで進化したということです。

私もこの度、当社なりの経営指針を策定しました。さんびるの経営方針書には遠く及びませんが、社内でも一度説明を行い、今後は社外に向けて発表会を行います。しかし、その経営指針は、私が一人でつくったものであり、現状は、田中正彦さんの言う“独りよがりの経営指針”に近いものだと思います。しかし、当社とすればこれがスタート。これを繰り返しつくり上げる中で、社員と一緒に作成し、深化させる。そういう当社なりの経営指針をつくり上げたいと感じたところです。

2.リーダーに必要なのはメッセージを伝える能力

今回の経営方針発表会の中で、「リーダーに必要なのは、メッセージを伝える能力だ」という田中正彦さんの言葉が記憶に残ります。リーダーに必要な要件、それは色々あるでしょう。しかし、今回、田中正彦さんは“メッセージを伝える能力”と言い切りました。この意味合いは、大きく2つあると考えています。

一つは、経営者自身が発信する能力を持つということ。まず、何を目指すのか、どうしていきたいのか、という方向性があることが前提。そして、その後はそれをどう伝えるか。経営方針書のような形態にまとめる、経営方針発表会のような場をつくる、そこで自分の言葉でしっかりと語る、ということも大変重要でしょう。それだけでなく、毎日の朝礼、ミーティング、社員との懇親会の場、色々な場面で様々に伝える仕組みをつくるということ。そういう意味合いがあったと理解しています。メッセージを伝える能力(+仕組み)の重要性を改めて感じたところです。

もう一つは、幹部職員が、一般職員や現場で清掃作業をするワーカーのみなさんへメッセージを伝えるということ。さんびるは現場の職員さん達を含めれば1000名以上の会社です。全員が一堂に会す機会はありません。そのような方々を各支社、視点等で統括するのが“マネジメント”と呼ばれる社員のみなさんで50~60名いらっしゃいます。この方たちは、前述の経営方針書と、朝礼やミーティング、アセスメント等の仕組みを使って、経営のメッセージを伝えていきます。そういった幹部(マネジメント)層の職員が、自分の部下たちに正しく会社のメッセージを伝え、共通認識、価値観を共有していく。そのことの大事さを強く説明されたのだと理解しています。

当社は20名ほどの会社ですから、全員を一堂に集めて私が話をすることもできます。しかし、“人数が少ないからいい”ということではなく、日々の業務を進めていく中で、幹部職員から都度個別に会社の方針や考え方が伝わり、共通認識が得られるような“仕組み”がもっと必要ではないかと感じたところです。

3.進化するビジョン~具体化する将来像が未来を予感させる~

昨年に引き続き2年連続参加させて頂いて感じたのは、「ビジョンが具体化している」という点です。

さんびるの経営方針発表会は、昨年度同様、一年間の振り返りと、次年度以降の経営方針の発表に分かれていました。前半は、ES(従業員満足度)アンケートの結果や、今期の業績について数値的な検証を交えながら進められました。そして後半は、会社の将来像、目指していく姿、具体的な経営方針についての説明です。これが発表会を催して経営方針を発表する意味だと考えています。

そして、今回聞きながら気が付いたのは、昨年の発表会の際に頭出しされていた施策が、今期は既に具体化してその成果が報告されているという点です。当たり前のことかもしれませんが、大事なことだと感じました。経営方針の中身ですので具体的な言及は控えますが、例えば、昨年、新会社を立ち上げて新規事業に取り組むと発表したその事業について、今期の成果として業績を含めて報告される。そして、その新しい事業を含めた将来的な構想がさらに具体的に発表される、という具合です。会社全体がどういう方向に向おうとしているかが、毎年少しずつ具体的に見えてきます。自分の会社ではないにもかかわらず、聞いていて私もワクワクしてくるような、そんな将来ビジョンの発表でした。

このことは、経営者は、「将来のビジョンを示す」ということだけでなく、示した将来のビジョンに向けた道筋がどうなっているのか、その成果は出ているのか、そういった経緯・経過も含めて社内外に示すことが大事なのだと教えて頂いたと理解しています。そうやって、ビジョンそのものも進化させていくことも、ビジョンの共有や社内の想いを一つにしていくということにつながるのだと、感じたところです。

懇親会で幹部職員が壇上に集合

島根経営品質研究会での活動を通じ、さんびるの社員のみなさんと仲良くさせて頂いています。顔見知りの方も増えてきました。経営方針発表会は、そういった方々の頑張っている姿、成長する姿を見せて頂く機会でもあり、私自身も大変元気をもらうことができます。最後になりますが、田中正彦さん、さんびるのみなさん、今年もお招き頂いてありがとうございました。あらためてお礼申し上げます。来年もぜひお伺いしたいと思います。